特集:人的資本の強化
更新日:2024/10/1
人と事業をつなぎ
人材と組織の
パフォーマンスを最大化する
人材戦略の方針
2023年10月、Zホールディングス(株)、LINE(株)、ヤフー(株)などグループの中核的な会社が1つになり、私たちはLINEヤフー(株)として新たなスタートを切りました。
グループ内再編前のZホールディングス(株)体制では、経営ストラクチャーの複雑化などが影響し、早期のシナジーの創出ができなかった点を踏まえ、新会社のLINEヤフー(株)では、"「WOW」なライフプラットフォームを創り、日常に「!」を届ける。"を新たな企業ミッションと定め、さらに圧倒的なプロダクトドリブンを目指す姿として位置付け、プロダクト主導の成長戦略を推進することにしました。また、組織の壁をなくすことで、社員同士が自由にコミュニケーションをとりながら共創し、新たな価値を生み出す組織へと成長させていきます。そこで人材戦略においても、社員がパフォーマンスを最大限に発揮し、組織全体の成長力向上に寄与するために、「人と事業をつなぎ、人材と組織のパフォーマンスを最大化する」を根幹に掲げました。
インターネット事業における競争力の本質は、革新的なサービスやプロダクトの創出力にあり、これは社員の力によって支えられています。社員が活力をもって働き、卓越したサービス・プロダクトを生み出すサイクルを確立することが、LINEヤフー(株)にとっての最優先事項です。

人材戦略全体像
人材戦略は、 「人材強化」と「カルチャー醸成」の二つを主軸にしています。更に各主軸の下に重点領域を設定しました。人材の採用や育成、働く環境づくりを含む「人材強化」は当社の重点課題(マテリアリティ)の1つ(人材の強化 ) に位置付けています。また再編以前は、各社の風土、制度、環境などの違いが強みである一方、グループとしての一体感醸成が課題であった背景もあり、「カルチャー醸成」を掲げることで、LINEヤフー(株)独自のカルチャー創出につなげ、社員が一丸となって目標に向き合い、事業戦略・ミッションの実現に寄与することを目指しています。

異なるカルチャーを持つ会社のグループ内再編であることを踏まえ、人材の強化、環境づくり、カルチャー醸成の観点で様々な取り組みを実施し、LINEヤフー(株)として人的資本価値を最大化していきます。

施策1:人材強化
人材の強化はマテリアリティの重点領域の一つであり、どのように人材を強化していくかについて経営陣を含めて議論しています。DX、AI、データの活用などに優れたスキルや経験を有し、数多くのサービスを創出し、事業を牽引してきた社員をはじめ、他社にはない人材ポートフォリオが当社の強みです。その社員の成長に資する多様な機会を創出することで社員とプロダクト双方の持続的な成長を目指し、社員は変化や挑戦を楽しみながら、プロダクト創りを通じて自らの成長機会を探求し続ける。そのための機会・環境の構築に取り組んでいます。

成長支援
LINEヤフーグループでは、社員がパフォーマンスを最大限に発揮し、組織全体の成長を促進させることが、良いプロダクト創りに繋がると考えています。
社員一人ひとりが個々の能力を高め、自律的かつ主体的に活躍・成長するための機会を充実させることで、社員とプロダクト双方の持続的な成長を実現します。
人材開発
日々の職場(業務)での経験のサイクルと、各種研修やeラーニングを通じ、リスキリングを含めたスキル・知識の向上やマネジメント力の向上機会を提供し、社員一人ひとりの成長促進やトランジションの支援を行っています。



評価・処遇
人や組織のパフォーマンスを可視化し、更なる成長につなげるための評価制度を導入し、フィードバックを通じた気づきや社員の処遇にも反映させることで、やりがいと成長の両軸で社員を支援しています。

人材ポートフォリオ強化
社内にとどまらず、グループ各社も含めた幅広い経験機会を提供するなど、採用のみならず、適材適所の実現による人材ポートフォリオの強化により、事業戦略の実現に寄与していきます。
採用
年齢・経験・国籍・人種に関わらない人材の採用(新卒・中途)
社内タレントの活躍推進
社内・グループ間公募制度の通年実施
環境づくり
人権を尊重し、社員の誰もがその属性やライフステージに関わらずパフォーマンスを発揮できる環境づくりに取り組んでいます。新会社の発足に伴い、全社DE&I意識調査を実施してさらに多様性の高まった新たな社内の状況や社員の意識を可視化し、その調査結果に基づいて「LINEヤフー DE&I基本の考え方 」を定めました。DE&Iを推進していくことは、プロダクトドリブンをより加速し、ミッションを実現するうえで大切だと考えています。イノベーションを創出し、多くのユーザーを感動させるプロダクトを創るためには、作り手である社員自身が多様であること、そして多様性への理解と尊重が不可欠だと考えているからです。当社の働き方「LINEヤフー Working Style」はすべての社員が協調し、チームとして最も高いパフォーマンスを発揮するために、社員が個々の多様なライフスタイルやライフステージに応じて最適な労働場所やスケジュールを自律的にマネジメントする働き方を推進しています。
多様性
相互理解・尊重、議論と対話により、誰もがその属性やライフステージに関わらず、能力を最大限に発揮できる環境を実現します。
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女性活躍推進
社内メンターとの対話を通して活躍を支援するとともに、社内メンターを育成し社内でのメンター/メンティのセッションを通じて視野の拡大や意識醸成をサポートしています。またLINEヤフーアカデミア等で次世代女性リーダーのマインド醸成を目的としたプログラムを定期的に開催しています。
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LGBTQ等に関する取り組み
LGBTQ等性的マイノリティの当事者が、差別や偏見がなく、安心して働き、生活できる社会の実現を願い、社内外で取り組みを行なっています。企業のLGBTQに関する取り組みの評価指標「PRIDE指標」の最高位「ゴールド」を2023年度も取得しています。
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ノーマライゼーションの推進
オンライン勤務も可能な環境の整備により、障がいがあるなしに関わらず、すべての社員がパフォーマンスを発揮しやすい働き方を実現します。一人ひとりが安心して業務に取り組めるよう、さまざまなサポート体制を整え、活躍推進の取り組みを行っています。
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海外人材へのサポート
日本で生活をスタートするまでのサポートやビザ手続き、生活周りの相談、帰国時の住宅関連解約等の出国に必要な手続きの相談等まで、社員やその家族が、慣れない日本での生活に困ることのないようサポートを行っています。社内ツールの多言語化や宗教に配慮したオフィス等、多言語・多文化な働く環境を整備しています。
働き方
柔軟な働き方のための制度や仕組みを整えることで、人と組織がパフォーマンスを最大化できる環境を整備しています。
※規則・規程類に基づく一定の制約あり

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Well-being
社員一人ひとりの心身の健康に着目し、健康経営やライフサポート施策の充実により、働くWell-beingを向上していきます。

施策2:カルチャー醸成
バリューを通じたカルチャー醸成
グループ内再編以前は、グループとしての一体感醸成が課題であった背景もあり、「カルチャー醸成」を掲げることで、LINEヤフー(株)独自のカルチャー創出につなげ、社員が一丸となって目標に向き合い、事業戦略・ミッションの実現に寄与することを目指しています。まずはお互いを理解しあうことに始まり、ミッションを実現するために定義した働き方である「バリュー」を通じて、一体感の創出と当社ならではのカルチャー醸成につなげてまいります。

カルチャー融合を目指す機会創出
仕組やルールを共有する土壌を形成しつつ、社員同士がお互いを理解・尊重しあえる場を創出します。
共に学ぶ場の提供(LINEヤフーアカデミア、サステナビリティアカデミア、AI活用アカデミア)


交流促進(懇親会、サークル活動、ボランティア・推進活動)


社員個々人への共有と浸透
バリューの共有・浸透を図りながら、DE&I視点でも相互理解・尊重の重要性を強調しています。
- しくみやルールの共有(イントラネットWorkers Hub、E-learning)
- 社内広報の取り組み(社内報、LINEヤフーストーリー)
経営と社員の対話
経営の声を頻度高く、社員に届け、社員の声を聞く仕組み・機会を設けています。
- 「共有する場」の定期的な開催(All hands meeting)
- 対話の促進(社内報、経営幹部インタビュー)

施策3:モニタリング
バリューを通じたカルチャー醸成
当社では、多様性の観点から、女性管理職比率を指標と位置づけ、現状18.5%を踏まえて、2030年までに、2023年10月1日時点の従業員男女比率と同等(33%)を目指すこととしています。また、人材戦略の二つの主軸である「人材強化」と「カルチャー醸成」については、全従業員を対象に毎月実施しているエンゲージメント調査項目や、定期的な実施を予定しているDE&I調査項目等を通じて、その進捗を測ることとし、グループ内再編時点よりも維持・向上を図っていくことを目指してまいります。

指標と目標


なお当社は、2023年10月1日にグループ内再編したことに鑑み、まずはLINEヤフー(株)単体での考え方を記載するとともに、女性管理職比率以外の具体的な指標および目標については現在策定中となります。
人材戦略推進体制・評価指標
LINEヤフー(株)は、グループ会社横断で人材戦略を含むサステナビリティを巡る諸課題への取り組みを推進するべく、最高意思決定機関である取締役会の監督のもと、執行機関としてサステナビリティ委員会を設置し、原則年4回開催しています。取締役※のサステナビリティ推進へのコミットメントを図るべく、役員報酬内現金賞与決定の指標として±5%の範囲でサステナビリティ評価を組み込んでいます。
※監査等委員である取締役を除く。


AI人材の強化 ~社員全員がAI人材になる~
LINEヤフー(株)では2023年から、OpenAIのAPIを活用した対話チャット型の独自AIアシスタントサービス(以下、AIアシスタント)※1を全社員が利用できるようになっており、“社員全員がAI人材になる”を目指し、業務の効率化や品質向上のため積極的な生成AIの活用を推進しています。
当社では生成AI活用推進サイクルを制定(下図)し、AIの利用環境を整えるために組織を整え、ガバナンスポリシーを制定し、社員教育を徹底しています。
社員は定期的な必須研修や、生成AI活用のための社内イントラ、AI活用アカデミア等を通じて様々な活用事例や最新の論文等にアクセスが可能です。また勉強会、意見交換会、相談室等も設けています。更にはLINEヤフー(株)、ソフトバンクグループを含めた生成AI活用アイデアコンテストを実施※2しており、グル-プを上げて生成AI活用を推進しています。またコンテストで受賞された数々のアイデアが既にサービスに実装されています。
生成AIはLINEヤフー(株)の「Yahoo!知恵袋」等、2024年3月末で19件※3に反映されています。今後すべてのサービスでの生成AIの活用を目指しており、生成AIを日本で一番活用している会社を目指します。また生成AIの活用によって中長期的に売上収益約1,100億円(年間)、生産性改善額約100億円(年間)を計画しています。
- ※1:独自AIアシスタントサービスの社内利用にあたっては社内認証やネットワーク制限を行い、セキュアな環境を整備(社外からのアクセスは不可である仕様)。出入力情報はOpenAIモデルのトレーニングやOpenAIのサービス改善に活用されず、二次利用や第三者への提供がされない仕様になっている。
- ※2:2024年6月末迄で6回実施済
- ※3:2023年度活用数(社内・サービス活用合計)(終了を含む)
生成AI活用推進サイクル
- 国内最大級のユーザー基盤を持つLINEヤフー(株)
- 生成AI活用のサイクルを回せる“超実践的”な環境

組織
- 活用推進組織「生成AI統括本部」には約100名(2024年1月時点)が在籍
- ソフトバンク(株)や当社グループ会社など、社外とのアセット連携も担う

社員教育
- 全従業員が受講必須として、リスクやテクニックを学ぶ
- 生成AI利用研修(定期的に更新)を実施、
さらにテスト合格後に独自AIアシスタント使用開始可能に

- 「AIと共に働く」LINEヤフーが生成AIツールで目指すもの
- AI活用アカデミア(1.01MB)
- Yahoo!検索、生成AIが観光のモデルコースを提案する「観光AIモデルコース」機能を提供開始
- AIは人よりやさしい? 20周年を迎えたYahoo!知恵袋が生成AIとタッグを組んだワケ
- Yahoo!知恵袋、生成AIによる回答を表示する「AI回答機能」にAnthropic 社のClaude 3を追加
- LINE AIアシスタントは何ができるの? 担当者に聞く、友だちと会話する感覚での生成 AI 活用術
- 安宅和人が語るAI×データ活用の過去と未来 ビジネスパーソンに求められるマインドとは?
- Yahoo!広告 検索広告、広告文を生成AIが提案する機能の提供開始
- LINEヤフー、生成AIの業務活用法などが学べるリスキリングプログラムを法人向けに提供開始し、「文系デジタル人材」の育成を支援
- AI倫理基本方針
- サステナビリティの取り組み・推進体制
- サステナビリティ担当役員メッセージ
- 特集:人的資本の強化
- ESGデータ集
- SDGsへの対応
- 健康経営
- ESG格付け評価
- ガイドライン参照表
- 特集:3月11日に「3.11 検索は、チカラになる。」を実施する意義とは
- 環境
- 環境基本方針
- 環境中期目標
- TCFD・TNFDへの対応
- 脱炭素社会に向けたサービスの取り組み
- 気候変動にともなう自然災害に対しての自治体・支援団体との連携
- 循環型サービスの拡充や自然資本の保全に向けた取り組み
- 環境データ
- 第三者検証
- 社会
- 人材戦略
- 人材開発
- 評価・処遇
- 人材ポートフォリオの強化
- 人権・DE&I・働く環境・Well-being
- カルチャー醸成・モニタリング
- サービス品質の向上
- 研究開発
- 知的財産