ERM(全社的リスクマネジメント)

LINEヤフーでは、ERM活動(Enterprise Risk Management:全社的リスクマネジメント)、リスクインテリジェンス活動、グループ全体におけるインシデントの発生の把握および、リスクカルチャーの醸成を柱に、リスクマネジメント活動を行い、リスク(※)の管理に努めています。

※ISO31000に基づき、組織の目標に影響を与える不確かさとして、不利益をもたらす「脅威」のみならず、収益機会となり得る「機会」の両面を包含しています。当社は、これら不確かさを適切に管理・活用することが、持続的な企業価値向上に不可欠であると考えています。

ERMプロセスおよびプロセス基盤

LINEヤフーでは、ERMに関する規程に基づき、包括的にLINEヤフーおよびグループ各社における経営および事業に関わるリスク把握・評価を行い、企業価値の創出に繋げるERM活動を推進するとともに、リスクマネジメント委員会を開催し、リスクに係る意思決定を行います。

(1)リスクマネジメント:LINEヤフーグループのミッションの実現および、事業活動に関わる目標の達成などに影響を及ぼすリスクおよび機会を特定し、リスクが顕在化した場合の影響度(リスクが目標達成に与える影響の大きさ)と発生可能性(どのくらいの可能性/頻度で顕在化するか)の観点から分析しています。そして、影響度×発生可能性=リスクの大きさとし、リスク評価をした上で対応を行っています。期末には対応を振り返り、各リスク主管部門や事業部門によるリスクマネジメント成熟度調査を行い、現状把握、次年度への改善に努めています。また、内部環境(各リスク主管部門、事業部門による自己分析)や外部環境(外部より情報取得)の分析、経営層や実務責任者による認識を踏まえ、特に重要度が高いリスクを「グループトップリスク」と位置づけています。「グループトップリスク」は、当社グループを取り巻く環境の影響を考慮しながら適宜見直し、優先度をつけて対応策を実行し、進捗のモニタリングを行っています。

(2)クライシスマネジメント:インシデントが発生した際、迅速かつ適切な初期対応を行い、事態の拡大防止と早期収束、再発防止策等の検討を行っています。また、生活やビジネスに欠かせないインフラとなるサービスをユーザーの皆さまに継続してご利用いただくため、非常時におけるサービス継続運用体制を構築しています。

(3)基本ルール、計画、体制の整備:ERMプロセスの運用を支えるための方針、規程、規則等を作成しています。

(4)リスクインテリジェンス活動:事業環境および社会情勢変化等の外部情報を収集分析し、グループ全体のリスクマネジメント関係者へ連携しています。

(5)リスクカルチャーの醸成、教育:リスクマネジメントの重要性をトップメッセージとして全従業員に向けて発信している他、グループ内のすべての関係者がリスクマネジメントの意識をもって日々の活動に取り組むことができるよう、あらゆるチャネルを使い、その意識の向上に努めています。

(6)外部公表情報対応:LINEヤフーグループにおける重要なリスクおよびその取り組み状況を、各チャネルを通じて適時適切に公表しています。

ERMプロセス (1)  リスクマネジメントのプロセスで潜在リスクを洗い出します 左から順に リスクアセスメント 内部環境分析→リスクアセスメント 外部環境分析→リスクアセスメント リスク特定→リスクアセスメント リスク評価→リスク対応→モニタリング・フォローアップ ここまでのプロセスでリスク顕在化を図りさらに (2)  クライシスマネジメントのプロセスで顕在化リスクを洗い出します 左から順に インシデント対応→BCP 危機対応組織構築→BCP ダメージコントロール→BCP 復旧 ここまでのプロセスを経て(6) 有価証券報告書・コーポレートサイト・各種報告書対応 プロセス基盤として (3) 基本ルール(方針、規程、規則等)、計画、体制の整備 (4) リスクインテリジェンス活動 (5) リスクカルチャーの醸成、教育

ERM体制

LINEヤフーは、リスクマネジメント最高責任者を代表取締役社長としたERM体制を構築し、ERMプロセスを円滑に実施することにより、リスクの低減、未然防止等を図っています。なお、外部基準としてISO31000のフレームワークを参照しています。
グループ全体のリスクマネジメントの基本方針は取締役会で決定します。取締役会で決定された基本方針に基づき、リスクマネジメント委員会、ガバナンス部門長を責任者とするリスクマネジメント統括組織、リスク主管部門や事業部門等からなる執行機関でERM体制を構築し、各グループ会社とも連携することでグループ全体によるリスクマネジメント活動を推進しています。
事業環境が常に変化し続ける中で迅速にリスクに対応するため、重要な事項については経営会議(代表取締役社長、取締役等で構成される会議体)等に報告のうえ対応を協議します。また、各事業部門長が管轄するリスクに対しての責任者をリスクマネジメント責任者とし、さらにリスクマネジメント推進マネジャーを設置しリスクに迅速に対応できる体制を組んでいます。リスクマネジメント機能の有効性について保証・助言できるよう監査等委員会(委員は全員独立社外取締役で構成)および内部監査部門長を責任者とする内部監査部門は独立した体制を維持しています。監査等委員会へは、特筆してインプットすべき論点について適宜報告しています。内部監査部門は、独立した立場から全体のリスクマネジメント体制・状況を監査しています。また外部からのリスクマネジメントに関する評価として、ISO31000の要求事項を踏まえたERM体制の評価を第三者機関により受け、リスクマネジメント体制のさらなる精度向上に努めています。
また、リスクマネジメント統括機能は、構造的に、事業部門から分離しており、独立性が担保されています。この独立性をさらに強化するため、リスクマネジメント統括組織の責任者であるガバナンス部門長と、内部監査部門の責任者である内部監査部門長は、それぞれ異なる役職者がその任にあたっています。

関連リンク

LINEヤフーのリスクマネジメント体制を示した図である。最上部に「最高意思決定機関 取締役会」が配置され、その下に「執行機関」、さらに「経営会議」が置かれている。取締役会とリスクマネジメント委員会の間には、監査等委員会による監査、意思決定・監督、報告の双方向の矢印が示されている。中央左には「リスクマネジメント委員会」があり、その内部に「リスクマネジメント最高責任者(代表取締役社長)」「リスクマネジメント委員(取締役等)」「リスク管理責任者(ガバナンス部門長)」が階層的に配置されている。委員会の下には「リスク主管部門」がある。中央右には「リスクマネジメント統括組織」があり、内部に「【ガバナンス部門】リスクマネジメント部門」と記載されている。リスクマネジメント委員会から統括組織へは「指示」、統括組織から委員会へは「報告」の矢印が示されている。統括組織は「事業部門」および「リスク主管部門」とそれぞれ「連携・報告」の双方向矢印で結ばれている。図の右側には「グループ会社」の枠があり、その中に「リスクマネジメント責任者」「リスクマネジメント統括組織」「各リスク担当」が縦に配置され、本体側のリスクマネジメント統括組織と「連携・報告」の双方向矢印で接続されている。左側には「監査等委員会」および「内部監査部門(内部監査部門長)」が縦に配置され、全体の監査機能を担う構造となっている。

※1 リスクマネジメント委員会:リスクマネジメント最高責任者である、代表取締役社長が委員長を務め、リスクマネジメント委員の取締役(社外取締役を除く)およびCFO、CTO等、リスク管掌責任者であるガバナンス部門長のほか、リスクマネジメント最高責任者が指名するものを含めた人員とリスクマネジメント統括組織を所管する執行役員で構成され、グループ全体のリスクマネジメントを統括しています。

リスクカテゴリー

LINEヤフーグループにおけるリスクを網羅的に捉えるべくリスクカテゴリーを設定しています。リスクカテゴリーとして分類した特定領域のリスクとその主管部門を定めリスク評価を行っています。また、リスクカテゴリーからトップリスクが特定された場合は、そのリスクカテゴリーの主管部門がリスクオーナーとなります。

なお、今期より、近年の事業を取り巻く環境変化およびリスクを網羅的にとらえる必要性の増加を背景とし、次の点についてリスクカテゴリーを変更しています。

・「戦略系リスク」「非戦略系リスク」の二軸で分類する方法を見直し、リスクをより網羅的に捉えるため、全ての分類を並記し同じ粒度で捉える枠組みとしました。

・「経済安全保障リスク」「事業継続リスク」「有形資産リスク」について、既存のリスクに内包できるため廃止しました。

・「AIガバナンスリスク」について、事業戦略上重要となるため新設しました。

分類 リスクカテゴリー 概要
戦略 事業戦略リスク 組織の事業戦略および戦略目標に影響を与える、またはそれらによって生じるリスク
財務 市場リスク 様々な市場のリスク・ファクターの変動により財務的影響を被るリスク
信用リスク 信用供与先の財務状況の悪化等により財務的損失を被るリスク
流動性リスク 必要な資金が確保できず資金繰りがつかなくなるリスク、または通常より著しく高い金利での資金調達を余儀なくされるリスク
投資 投資リスク 自社および企業間の投融資、M&Aにおいて投資した資産の価値が変動し影響を被るリスク
IT システムオペレーションリスク 平時や有事におけるサービスの運営や維持に必要なオペレーションにおいてのミス、システムダウン又は誤作動、不備等に伴い損失を被るリスク
プロダクト品質リスク 提供するサービスや商品において品質管理が行き届かずユーザーに影響を与えるリスク
情報セキュリティリスク 情報システムやデータの破損および改ざん、または情報漏洩等で損害を受けるリスク
法令・コンプライアンス 法令・契約リスク 各種取引上の契約等における順守違反や契約違反等に伴い罰則適用や損害賠償の影響を被るリスク、LINEヤフーグループ企業もしくは従業員が法令違反を犯すリスク
コンプライアンスリスク LINEヤフーグループ行動規範や社内規程に反する行動により影響を被るリスク、LINEヤフーグループもしくは従業員が、故意または重過失により違反を犯すリスク、贈収賄・腐敗・汚職行為に関与するリスク
マネー・ローンダリング及びテロ資金供与リスク LINEヤフーグループのサービスが、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与に悪用されるリスク、またはマネー・ローンダリング対策の不手際により監督官庁から指摘を受けるリスク
ガバナンス コーポレートガバナンスリスク LINEヤフーグループにおける重要な意思決定に関するガバナンスの枠組みが十分に整備されず、LINEヤフーグループにおいて適時適切な意思決定が行われないリスク
データガバナンスリスク 保有するデータの管理や利活用に関連するリスク
AIガバナンスリスク AIの利活用において、ガバナンスの不備により信頼を損なうおそれ、または適正管理により信頼と価値を高める可能性に関するリスク
サプライチェーンガバナンスリスク 不適切な委託先の選定や、委託業務・委託社員の管理が不十分なことにより影響を被るリスク
社会 規制・政策リスク 事業に関連する特定の国や地域の規制・政策、ステークホルダーの情勢把握等に関する不備、各種法令への対応の不備に関するリスク
環境・社会リスク 事業が環境や社会に悪影響を与えてしまうリスク、または外的な社会環境の影響により事業が影響を被るリスク
レピュテーションリスク 悪評や風評の拡大により影響を被るリスク、またはメディア対応を失敗するリスク
事業運用 人的リスク 人材リソースに関連するリスク、または従業員の生命・健康を脅かすリスク
業務オペレーションリスク 業務運営上での事務的なミスにより、損失が発生するリスク

LINEヤフーグループにおけるリスクカルチャーの醸成

LINEヤフーでは、全従業員を対象とした必須研修を定期的(年1回以上)に実施し、業務を行う上で必要なリスクマネジメントの基本知識や考え方を学び、意識向上に努めています。また、社内外の各分野の専門家からリスクに関する提言や情報を収集し、全従業員に向けて発信しています。

社外取締役に対しても、社員向けリスクマネジメント教育プログラムの教材や関連情報を活用し、当社のリスクマネジメントの全体像を把握する機会を定期的(年1回以上)に設けています。これにより、社外取締役が当社グループを取り巻くリスクに対する適切な監督機能を発揮できるよう支援しています。

グループ会社との関係においても、重要な情報共有・意思疎通のしやすい関係を構築することは、グループにおけるリスクマネジメントの重要事項であるととらえ、グループ各社とのコミュニケーションに力を入れており、定期的に各社のリスクマネジメント担当者と情報共有を行っています。
LINEヤフーの取り組み等の共有や各社からの情報共有を相互に行いながら、リスクマネジメント活動を推進しています。

さらに、グループ社員が自由に参加可能なリスク・インテリジェンスセミナー等を開催し、グループ全体でのリスクマネジメント意識の向上を図っています。

サービス企画・開発におけるリスクマネジメント

LINEヤフーでは、事業特性に合わせ、サービス企画・開発においてリスクを含めた検討を実施しています。
例えば、プロダクトを開発・運営する上でのプロセスを明示したガイドラインを導入しています。また、グループ会社のPayPayでは各部署がリスクの洗い出し・リスク評価・コントロール評価を実施しており、残余リスクを許容できない場合は現場自らがリスク対応計画を策定するプロセスを導入しています。

LINEヤフーグループ・トップリスク

リスクマネジメント活動の中から、LINEヤフーグループとして注目すべきリスクを「トップリスク」として、グループ全体におけるリスクマネジメント活動の指針にしています。

「トップリスク」は、年に一度以上、LINEヤフーグループに重大な影響を及ぼす可能性のあるリスクについてリスクマネジメント委員会にて議論を重ねたうえで、特定しています。ただし、期中に把握した重要なリスクにおいては、都度経営会議にて報告し判断をしています。また、リスクマネジメント委員会は通常の開催に加え、必要に応じて臨時開催もしています。

「トップリスク」は、対策の責任を明確にするためにリスクオーナーを設定します。リスクオーナーは、優先順位や対応方針について経営会議等で決定した事項を推進し、半年に一度リスクマネジメント委員会へ対応状況を報告します。

合わせて、リスクマネジメントに関する報告については、リスクマネジメント委員会の後、リスクマネジメント統括組織から取締役会にて社外取締役にも報告しています。

推進状況については、定期的にリスクマネジメント統括組織にてモニタリングする仕組みを構築・運用しています。


2026年度LINEヤフーグループにおけるトップリスク

  • 事業戦略リスク
  • 情報セキュリティリスク
  • 規制・政策リスク
  • 人的リスク

なお、投資家の投資判断に重要な影響を及ぼす可能性がある財務リスクは、有価証券報告書でご確認いただけます。

トップリスクカテゴリ 代表的リスク内容 リスク低減措置
事業戦略リスク
生成AI時代のユーザー接点の棄損およびマネタイズモデルの未成立
  • 生成AIの普及に伴うユーザー行動の変化は急速であり、これに対応した新たなユーザー接点の構築や、生成AIを活用した広告やAI機能への課金等の新たなマネタイズモデルの確立が計画通りに進まない場合、将来的な売上・利益目標の達成が困難になる可能性があります。
  • データを活用した既存広告の収益性改善施策を実行し、収益基盤の防衛を図っています。
  • 新たな収益源としては、新たなユーザー接点の構築に伴い、エージェント型広告の導入やユーザーニーズに即したAI機能への課金を早期に進め、マネタイズモデルの確立に取り組んでいます。
LLM利用拡大に伴うコスト増大
  • 大規模言語モデル(LLM)の利用拡大に伴い、AIコスト(推論・学習・運用などの費用)が増大する可能性があり、適切なコスト管理が進まない場合、利益率の悪化や将来の投資余力の低下を招くリスクがあります。
  • モデル提供ベンダーと最適な契約条件を随時最適化するとともに、コスト管理体制を整備することで、費用対効果の最大化に努めています。
  • 技術開発と外部パートナー連携のハイブリッド戦略やガバナンス体制の強化を通じて、事業環境の変化に柔軟に対応し、中長期的な競争力の確保を図ってまいります。
情報セキュリティリスク
大規模なサイバーインシデントの発生
  • 業務上の人為的ミスや故意による不法行為、災害等によるシステム障害、マルウェア感染や標的型攻撃等のサイバー攻撃、システムや製品等の脆弱性等により、情報漏洩、データの破壊や改ざん、サービスの停止等の被害等が発生した場合、当社グループの業績に影響を与えるだけでなく、当社グループの信用失墜につながる可能性があります。
  • 講じた対策を回避する高度な攻撃等が発生した場合、当社への信用毀損や業績等へ影響を及ぼす可能性があります。
  • 昨今のサイバー脅威動向においては、ランサムウェア等による被害が深刻化しており、事業継続性に直結する脅威となっています。
  • 想定以上のサイバー攻撃等の脅威が発生した場合には追加費用が発生し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
  • 安心して利用できる安全なサービスをユーザーに提供するため、中長期的な視点で全社を挙げて情報セキュリティの向上に取り組んでいます。
  • 2023年11月27日に公表した不正アクセスの事案を受け、総務省および個人情報保護委員会へ定期的に報告を行ったほか、行政指導および勧告を踏まえ推進していた再発防止策は、2026年3月末をもって、システム基盤を共有していた関係会社等とのシステム・ネットワークの分離、当社環境における全体的な多要素認証の導入、業務委託先の管理高度化等の主要な技術的・組織的対策の実装を完了し、定常的・継続的な運用フェーズへと移行しています。
  • 当社社長CEOが委員長を務める「セキュリティガバナンス委員会」を通じたモニタリング体制を継続し、ガバナンスの実効性維持に努めています。
  • 当社はグループ会社の情報セキュリティを支援しています。具体的には、当社CISOおよびグローバルを含む当社の主要なグループ会社CISO並びにオブザーバーとしてのソフトバンク株式会社CISOで構成される「グループ CISO Board」等の体制のもと、情報セキュリティ対策の仕組みの共有や導入支援、脆弱性情報等の情報セキュリティに関する情報の共有、各社の求めに応じて情報セキュリティ対策の相談対応等を行っています。また、グループ会社に対しては当社と同等の情報セキュリティ対策を行うための規程の提供や第三者認証取得支援等の支援を行っています。
  • 従来のセキュリティの取り組み全般に加え、ランサムウェア等の攻撃によるシステム停止を想定したデータの保全や、実効性のある復旧手順の検証をはじめとする対策をグループ連携して重点的に推進しています。
規制・政策リスク
当社事業への規制強化に伴う企業価値低下のリスク
  • 欧州やアジア各国で、ユーザー情報提供・保全、捜査協力義務、法定代理人設置等を義務付ける法令の整備が進んでおり、当社サービスにアクセスできる国においては、当社に対して体制整備や運用変更が求められます。
  • 国内においても、個人情報保護法や消費者契約法および特定商取引法の改正検討、青少年保護や選挙時のSNS利用等のデジタル空間の諸課題に関する規制の検討等、当社事業を取り巻く規制は強化される傾向にあります。
  • 諸問題への対策が不十分である場合、国内外の法令に基づく処分、レピュテーションの低下、法令遵守のための更なるサービス変容が発生し、ユーザーの減少やさらなる対応コストの増大につながり、ひいては企業価値が低下する可能性があります。
  • 海外法規制に対して、迅速かつ適切に対応するため、海外規制のモニタリング、法令対応のための実務運用体制の構築、システム整備を進めています。
  • 政府の検討会を注視し、必要な場合は関係事業者として提言を行うなど、規制が適切なものとなるよう政府とコミュニケーションを図っています。
  • 将来的に法令に基づき禁止され得るような行為については、すでに自主的に対応を実施している場合もあります。
各種法令対応および国際情勢の変化に伴う事業運営に影響が生じるリスク
  • 重要設備の導入・変更等に関する事前審査への対応が適切に行われなかった場合、是正勧告や命令等の行政措置を受ける可能性があるほか、重要設備の導入遅延、追加的な設備投資や運用コストの発生、サプライチェーンの見直し、技術選定の制約等が生じる可能性があります。
  • 適切な管理体制を構築できなかった場合、行政上の措置を受ける可能性があるほか、対応コストの増加、情報管理負担の増大等が生じる可能性があります。
  • 地政学リスクの顕在化により予期せぬ事象が発生した場合には、当社の事業運営に重大な影響が生じる可能性があります。
  • 「経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律」(経済安全保障推進法)に基づき、2023年11月 16日付で特定社会基盤事業者の指定を受けているため重要設備の導入・変更等に関する事前審査や報告義務への対応が求められており、社内体制の整備および管理態勢の強化を進めています。
  • 2025年5月に成立したサイバー対処能力強化法および関連整備法(能動的サイバー防御法)により、特定社会基盤事業者に対して、特定電子計算機の資産登録やサイバーインシデントの報告義務等が課される予定であり、当社は当該法令への対応を進めています。
  • 経済安全保障室を中心に国内外の政治・経済動向のモニタリングおよび専門家の助言を通じたリスク管理を実施しています。
人的リスク

外部環境等の変化による人材構造のミスマッチ

  • 事業戦略と人材との間に乖離が生じ、または継続した場合には、事業戦略の遂行が遅延する、期待した成果を十分に発揮できない、あるいは事業運営の効率性や競争力の低下を招くなど、当社グループの事業活動、業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
  • 将来の外部環境や事業環境の変化の内容およびその影響の程度によっては、当社グループの想定を超える形で人的リスクが顕在化する可能性があり、その場合には当社グループの事業展開、業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
  • 人事総務部門を中心として、各事業ドメインの事業戦略と必要となる人材との整合性、ならびに要員計画および人材配置の実現状況について、グループ横断的な視点も含めて継続的な把握およびモニタリングを行っています。
  • 人材と事業戦略との乖離が生じていないかを定期的に確認し、リスクの顕在化を未然に防ぐことに努めています。

関連リンク

新興リスク

定期的にリスクを見直すことで、事業に重大な影響を与える可能性のある新興リスクも識別・管理しています。年次で洗い出した重要リスクを中心に、新興リスクを選定し、対策を講じています。
2026年度の新興リスクは以下の通りです。

AIエージェントを中心とした生成AI活用から生じるリスク

代表的リスク内容 生成AI技術の急速な進展に適切に対応できない場合、検索や広告等の主要事業の競争力が低下し、価値の創出が困難となる可能性があります。しかし、生成AI技術を効果的に活用することで、これらの中核事業のみならず、さまざまなサービス領域において新たな価値を創出することが可能となります。
事業に対する影響 生成AI技術への戦略的な取り組みの効果が得られず、また外部リソースへの一方的な依存関係や特定の企業依存となった場合、対外的な技術競争力が失われます。しかし、生成AI技術への戦略的な取り組みの効果が得られた場合、さまざまなサービス領域において新たなユーザー体験をもたらし、顧客満足度の向上、競争優位性の確立につながります。
対応策
  • 差別化されたAIエージェントを実現するための必要技術の明確化
  • 内製化すべき領域を確実にする技術開発体制の構築と強化
  • 外部リソースに依存する領域のアライアンス強化
  • AIガバナンス判断に関わる国内外の法規制などの外部環境のウォッチングとルールやフローへの反映

重大インシデント対応

インシデント管理規則に基づき、重大インシデントの基準を定義しています。重大インシデントに該当するものはリスクマネジメント統括組織を通じて経営陣に速やかに報告する体制を整備しています。報告された内容は、リスク主管部門に対しても共有され、インシデント状況について速やかに把握できる仕組みを整備しています。また、LINEヤフーグループ重大インシデント報告ガイドラインを展開し、グループ会社において発生する重大インシデントについても同基準で経営陣に報告する体制をとっています。

事業継続計画(BCP)

LINEヤフーでは、生活やビジネスに欠かせないインフラとなるサービスを数多く提供しています。突発的な事故や自然災害等が発生した際に重要な役割を果たすサービスも多く、LINEヤフーが担う公共的な責任が増加しています。災害発生時の被害を最小限にとどめ、ユーザーの皆さまに継続してサービスをご利用いただけるよう、体制を整備しています。

非常時のサービス継続

巨大地震などの有事の際にこそ、ユーザーの皆さまが必要とする「Yahoo!ニュース」や「災害情報」、コミュニケーションアプリ「LINE」などのサービスを提供し続けることは、LINEヤフーの重要な使命のひとつです。
そのため、有事の際にもユーザーの皆さまが安心してサービスを継続して利用できるように、非常時に複数の拠点にてサービスを継続運用できる体制の整備を進めています。

非常災害も想定した柔軟な勤務制度

適切なセキュリティ対策が実施されたVPN環境を整えた上で、在宅勤務を可能とする勤務制度を導入しています。
これは、多様で柔軟な働き方を提供すると同時に、BCPの一環として、災害などで通勤や外出が困難な状況になった場合でも、従業員の安全を担保しつつ、事業を継続させていくことも想定しています。

危機対策本部の設置と定期的な訓練の実施

非常時には、サービスの継続および早期復旧のため、代表取締役社長をトップとした危機対策本部を設置し対応にあたります。

危機対策本部の根拠となるBCP規則を策定し、非常時における経営陣や各部署の役割を明確にし、平時から関係者を集め非常事態の発生を想定した訓練や、全従業員を対象とした安否確認訓練を定期的に実施している他、訓練結果や環境の変化に合わせて、BCPを随時見直ししています。

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