AIで、人にもっと寄り添う未来へ LINE Taiwanが描くAIエージェント時代 「LINE CONVERGE 2025」レポート

リーダーズ
LINE CONVERGEと背景に書かれたステージにLINE Taiwanのマルコ、ロジャー、ジャニス、ベニーが立っている様子

2025年10月22日、LINE Taiwan Limited(以下、LINE Taiwan)は事業戦略説明会「LINE CONVERGE 2025」を開催しました。今年LINE Taiwanが掲げたのは、「テクノロジーの革新」「共創」「インタラクティブ体験」の3つのテーマです。

説明会では、生成AIを軸にした新たな「AIエージェント戦略」をはじめ、人々の暮らしに寄り添うサービスや台湾発コンテンツのグローバル展開など、未来のLINEを形づくるビジョンが語られました。 本記事では、LINE Taiwanのリーダーたちが語ったサービスの内容と、CEOロジャーに聞いた説明会への反響や今後の展望をお届けします。

 

テクノロジーの革新:AIが導く新時代へ

すべてのサービスにAIを

基調講演に登壇したLINE TaiwanのCEO、ロジャーはこう語りました。 「これからのLINE Taiwanを動かす原動力はAIです。あらゆるサービスにAIエージェントを取り入れ、台湾全土のパートナーと共に新しいテクノロジーとイノベーションの波を起こしていきます」。

さらに、政府や産業界と連携した詐欺防止システムの強化にも触れ、「台湾社会のデジタル・レジリエンスを高めていく」と意気込みを語りました。

2つの新AIサービス

続いて登壇したのは、LINE TaiwanのCTO(Chief Technology Officer)マルコ。 彼がまず紹介したのは、生成AIを活用した新しいAIアシスタントサービス「AI Conversation Assistant」です。

マルコ:
AI Conversation AssistantはLINE公式アカウントやその拡張機能「LINE OA Plus」に統合される予定です。LINE公式アカウントは、LINE Taiwanを代表する主要サービスのひとつであり、常にブランドとユーザーのインタラクション体験の向上に取り組んでいます。今回のAI Conversation Assistantは、企業がより自然で効率的に顧客とコミュニケーションをとり、これまで以上に質の高いサービス体験を提供できるようにする新機能です。

この機能では、生成AIを活用した業界別テンプレートにより、ユーザーからの質問に自然な会話形式で即時に応答できます。さらに、ブランドの特徴に合わせて「信頼感のある」「親しみやすい」など文体を自由にカスタマイズすることも可能です。商品やサービス情報をアップロードするだけでAIが自動的に学習するため、導入や運用の手間を大幅に削減しながら、応答精度も継続的に向上していきます。

LINE Taiwan CTOのMarcoの写真

LINE Taiwan CTO マルコ

次に紹介されたのは、旅行好きのユーザーに向けた「Travel Assistant」です。

マルコ:
Travel Assistantは、ユーザーの好みや予定に合わせて、オーダーメイドの旅を提案するAIアシスタントです。ユーザーの希望や属性に応じて、AIが最適な旅行プランを提案します。信頼性の高い情報源に基づく安心できるアドバイスと、複数回の自然なやり取りを通じて、まるで旅行のプロのように寄り添いながらサポートします。

台湾ユーザーの日本旅行への高い関心に合わせ、第一弾として日本の観光スポットの提案を中心に行う機能を先行リリース予定です。

今後は、「LINEトラベル(LINE旅遊)」など既存サービスとも連携を強化し、友人や家族とグループトーク上で旅の計画を立てられるようになる機能も追加予定です。 旅の準備から思い出の共有まで、LINEの中で完結する。そんな「旅のワンストップ体験」を目指しています。

Travel Assistantのサービスを女性が操作する様子の写真

Travel Assistantのサービス画面

AIエージェント戦略の背景

マルコ:
こうしたAIサービスの基盤にあるのが、LINEヤフー全体で進めている「AIエージェント化」です。グループでは「すべての人がAIエージェントを持つ時代」を掲げ、社内業務から顧客サービスまで生成AIを活用しています。LINEの強みである「膨大なユーザー基盤」「多様なサービス」「豊富なコンテンツ」を活かし、より自然に生活に溶け込むAI体験づくりを進めています。

LINE Taiwanでも、LINEヤフー本社の技術リソースを活かしつつ、現地で独自のAI基盤づくりを本格的に進めています。具体的には、大規模言語モデルを使ったカスタマーサポートBotや社内のHR相談サービスを再構築しました。これにより、AIとの自然で人間的な対話が可能になり、実際の業務や顧客対応の中で価値を生み出せるようになっています。生成AIは今、単なる技術実験から「人に寄り添い、価値を生むエンジン」へと変化していると言えるでしょう。

パートナー企業と共に広がるAI応用

マルコ:
LINE Taiwanは、企業パートナーと手を組み、人々の暮らしの中にAIを届ける新しい挑戦も進めています。

たとえば、AIが語り手としてニュースを届ける「PODCAST TODAY」。台湾の発音で訓練されたAI音声が対話形式でニュースを読み上げます。 また「AI Voice Reservation 2.0」では、AIと音声認識を活用し、LINE上で自然な会話を通じてレストラン予約が可能です。ユーザーはLINE通話を通じて店舗のLINE公式アカウントに発信するだけで、人と話すようなスムーズなやり取りで予約が完了します。

LINE Taiwanが目指すのは、AIが人にとって変わることではなく、人の可能性を広げることです。AIが日常のなかで自然にサポートし、一人ひとりの「らしさ」を理解して行動を助ける存在になる。それがLINE Taiwanの描く、これからの「AIエージェント時代」です。

共創:プラットフォーム拡大と台湾IPのグローバル展開

「LINEミニアプリ」全面オープン化へ

「共創」を掲げるLINE Taiwanは、誰もが参加できるプラットフォームづくりを加速させています。 エンタープライズソリューション事業グループ責任者のベニーから語られたのはLINEミニアプリの全面オープン化です。 これまで申請制だった仕組みが、開発者やブランドに広く開かれ、LINE上で新しいサービスを自由に生み出せるようになります。

ベニー:
今回のアップデートでは、いくつかの大きなポイントがあります。まず、「アプリ内決済」と「アプリ内広告」を導入し、サービスの提供と収益化を両立できる仕組みを整えました。開発者はAPIを接続するだけで、LINE上で課金や広告収益を得られるようになります。

さらに、ユーザー向けの新しい入口として「MINI HOME」を正式リリースしました。LINEウォレットのページ内に複数のサービスを集約したことで、ユーザーはワンタップでさまざまなブランドのLINEミニアプリにアクセスできるようになりました。 2026年上半期には、スマートフォンを専用のNFC(近距離無線通信)タグにかざすだけでLINEミニアプリのサービスページを即座に起動できる「LINE Touch」の登場も控えています。クーポンの受け取り、注文、イベント参加などを「ワンタッチ・1秒」で実現し、オンラインとオフラインをシームレスにつなぐ体験を提供します。

MINI HOME、LINE Touchのイメージ画像

(左)MINI HOME:さまざまなブランドのLINEミニアプリにアクセスが可能
(右)LINE Touch:ワンタッチ・1秒でLINEミニアプリのサービスページにアクセスが可能

台湾ではすでに100以上のブランドがLINEミニアプリを活用し、他のアプリをダウンロードすることなく使える新しい体験を生み出しています。私たちが目指すのは、誰もがLINEの中でサービスを創り、広げられる世界です。 開発者、ブランド、そしてユーザーがともに成長する。それがLINE Taiwanが描く次のデジタルエコシステムです。

LINE Taiwanコーポレートビジネスグループのベニーが登壇する様子の写真

LINE Taiwan エンタープライズソリューション事業グループ責任者 ベニー

台湾発のコンテンツが世界へ

LINE Taiwanは、テクノロジーだけでなくカルチャーの面からも、台湾のクリエイティブ産業を支えています。 CEOのロジャーは、「台湾の才能を世界へ届けることが私たちの使命です」と語りました。

ロジャー:
私たちは、台湾の才能あるクリエイターや制作チームと共に、オリジナルIP(知的財産)の価値を高め、国際的な舞台で発信していくことを目指しています。

たとえば、LINE Taiwanが出資したボーイズグループ番組「SCOOL」が台湾のゴールデン・ベル・アワードで番組部門の最優秀最優秀ディレクター賞を受賞しました。ドキュメンタリー作品「Shipwrecks Taiwan(沈睡的水下巨人)」もアジア・クリエイティブ・アカデミー・アワードで複数部門にノミネートされました。

そして最も注目を集めているのが、LINE WEBTOON発のドラマ「The Black Box(黒盒子)」です。台湾初のオリジナルウェブトゥーンを映像化したこの作品は、LINE TVとNETFLIXで同時配信され、台湾コンテンツのグローバル進出を象徴する一歩となりました。台湾のクリエイターたちの挑戦が、アジアの舞台で確かな評価を受けています。

LINE Taiwan CEO Rogerの写真

LINE Taiwan CEO ロジャー

また、スタンプクリエイターと企業が手を組む「LINEサステナブル・ステッカー共創プログラム」も始動しました。キャラクターの魅力を活かして、サステナビリティを楽しく伝える取り組みが広がっています。 これからも、エンターテインメントを通じて社会的なメッセージを広げ、「台湾発の物語」を世界に届けていきます。

インタラクティブ体験:より生活に寄り添うサービスへ

「LINE Premium」始動

日本、タイに続き、台湾にも「LINE Premium」が登場します。 ポータル・コンテンツ事業部責任者のジャニスが、その新しいサービスの内容を発表しました。

LINE Taiwanポータル・コンテンツ事業部責任者のジャニスの写真

LINE Taiwan ポータル・コンテンツ事業部責任者 ジャニス

ジャニス:
台湾でのLINE Premiumは、2026年上半期にリリース予定です。月額165台湾ドル(約817円 ※1)で利用できるサブスクリプション、メンバーシップサービスで、以下の機能が利用可能です。

※1 2025年10月22日付けの為替レートにて円換算

  • LINEのサブプロフィール:通常のプロフィールに加え、シーンに合わせて最大2つの追加プロフィールを作成可能。表示する相手も設定可能
  • アルバム機能:トークルームから直接動画を保存でき、オリジナル画質の写真もアップロード可能。最大100本(1本5分または200MBまで)の動画、写真を含め計1,000件を保存可能
  • バックアップ機能:テキスト、写真、動画、音声、ファイルなど、トークルーム内のデータを自動でLINEクラウドに保存。容量上限は100GBで、iOSとAndroid間の機種変更にも対応
  • LINEアプリアイコンのカスタマイズ:豊富なデザインや特定のIPとのコラボアイコンを提供
  • 会員限定フォント:デフォルトフォントに加え、多様なフォントを選択の選択が可能

また、LINE Premiumの会員は、「LINE SHOPPING」「LINE GIFTSHOP」「LINEトラベル(LINE旅遊)」「LINE MUSIC」のサービスにおいてLINEポイントやクーポンの獲得などの特典も受けられます。

LINE Premiumは、LINEを「毎日使うアプリ」から、「暮らしを支えるパートナー」へと進化させるための新しい挑戦です。 今後は「通知なしでのメッセージ送信取り消し」や「メッセージ予約送信」など、便利な機能を順次拡充していく予定です。

ジャニスが正面を向いて青いLINEのアプリアイコンのパネルを持っている写真

ユーザーと共に進化する、LINE TODAYの新しいかたち

LINE Taiwanは、ニュース・コンテンツサービス「LINE TODAY」を、「読む」から「参加する」「対話を生む」双方向型のプラットフォームへと進化させました。

ジャニス:
8月に導入した「Social Feed」機能では、匿名で意見を投稿できるようになり、わずか2カ月でインプレッション数が5億回を突破しています。 AIがコメントを要約したり、オピニオンリーダーに認証バッジを付与したりするなど、建設的な対話を生み出す仕組みも次々と拡充しています。 スポーツ分野では、台湾プロ野球の試合をリアルタイムで追える試合の速報機能の提供を開始し、ファンがLINE上で一緒に応援できる体験が広がっています。

官民が連携する詐欺防止ネットワーク

LINE Taiwanは、テクノロジーで人と社会をより安全につなぐことにも力を入れています。

ロジャー:
LINE Taiwanでは、疑わしいアカウントを1秒以内に通報できる自動通報システムを独自に開発しました。この取り組みには、台湾のデジタル発展部、刑事警察局、警察庁、法務部、金融監督管理委員会、経済部、衛生福利部、通信各社など複数の政府機関が参加しています。

2023年5月の運用開始以降、LINE Taiwanは11万件以上の詐欺関連アカウントに対応しました。また、台湾ネットワークインフォメーションセンターや台湾の3大通信キャリアとの連携により、1,000件以上のフィッシングサイトのドメイン削除へとつなげました。さらに、フィッシングサイトの削除までの時間も大幅に短縮され、現在ではおよそ24時間以内での対応が可能になっています。 こうした官民一体のデジタル防衛ネットワークは、今や台湾全体を支える重要なインフラとして進化を続けています。

LINE Taiwanは、人と人、企業とユーザーが共に新しい価値を育む場として、LINEをより安心して使えるプラットフォームへと進化させていきます。

※2025年10月22日のLINE CONVERGE 2025の内容を編集しています。

LINE Taiwan CEOインタビュー

LINE Taiwan CEOのロジャーに、今回の説明会での発表に対する反響、今後の展望について聞きました。

眼鏡をかけた男性のポートレート写真です。背景には地図が描かれており、ビジネスシーンを連想させます。
Roger Chen (ロジャー)
LINE Taiwan 会長兼CEO

2017年10月にLINE Taiwanに入社。現在はLINE Taiwanの会長兼CEOとして台湾市場におけるLINEの全体的なビジネス開発を指揮する。台湾のユーザーにとってより便利で豊かなデジタルライフを提供するため、サービスのユーザー体験を最適化することに注力する。市場への投資を強化する一方で、LINEプラットフォームと地元企業とのシナジーを構築することを目指し、ビジネスパートナーとの協力を通じて、業界に新たな価値と機会を創出するために日々取り組んでいる。台湾大学で電気工学の修士号を取得。

――LINE CONVERGE 2025を終えて、パートナー企業やメディアからはどのような声が寄せられましたか?

Rogerの写真

台湾を代表するブランドとして、LINE Taiwanは不正行為の防止を社会全体の重要課題と捉えています。今回の説明会で発表した自動通報システムは、パートナー企業だけでなく政府機関からも大きな注目を集め、官民が連携した共同保護ネットワークの広がりを一層後押しする結果となりました。

また、パートナー企業や地元企業と連携して推進してきた中小企業向けのDX支援も、多くの関係者から高い評価をいただきました。地域の企業に寄り添い、社会的なつながりを生み出す取り組みとして、その影響力と広がりが認められています。

3年ぶりに開催した説明会ということもあり、市場・メディア双方からの期待は大きく、LINE Premiumや開発中のAI技術には強い関心が寄せられました。また、新しい収益モデルを取り入れたLINEミニアプリのアップデートや、LINE Touchの発表も大きな反響を呼び、今回の発表がLINE Taiwanへの期待をより高める機会となりました。

――AIやオープンプラットフォームの進化は、台湾の生活をどのように変えていくと思いますか?

Rogerの写真

LINEは台湾で非常に広く利用されており、LINEのエコシステムにAIを組み込むことは、ユーザーがテクノロジーをより身近に感じられる最適なアプローチだと考えています。こうした背景から、今回の説明会ではCTOのマルコがAIのビジョンを示し、LINEを通じてAIがユーザーやパートナー、クライアントをどのように支援していくのかを紹介しました。

また、パートナーとの協働によって、LINEが提供できる価値はさらに広がっていきます。オープンプラットフォームとしてのLINEを起点に、さまざまなサービスがすべてのユーザーとつながり、より包括的でシームレスな体験を実現していきたいと考えています。

――すでに提供を開始したLINEミニアプリのオープン化やドラマ「The Black Box」には、どのような反響がありますか?

Rogerの写真

LINEミニアプリは、直近1か月で新規ユーザーが大きく増え、デイリーアクティブユーザー(DAU)は約2倍に成長しました。幅広い業界のブランドが自社サービスの拡張を目的に導入を進めており、プラットフォーム全体が活性化しています。

また、オリジナルドラマ「The Black Box」は10月31日の公開直後から人気を集め、LINE TVと NETFLIX台湾の週間ランキング(11月3日〜9日)で1位を獲得しました。ドラマのヒットに伴い原作ウェブトゥーンの閲覧数も急増し、ドラマ公開前と比べて約10倍に達するなど、作品と原作が相互に盛り上げ合う好循環が生まれています。

――AIエージェント時代を迎える中で、今後取り組んでいきたい課題や目標を教えてください。

Rogerの写真

LINEは台湾で最も広く利用されているコミュニケーションプラットフォームです。これからの時代、ユーザーがAI機能や会話型の体験を思い浮かべたとき、真っ先に思い出すのがLINEであることを目指しています。

LINE Taiwanはその実現に向けて日々取り組んでおり、グローバルチームとも連携しながら、このビジョンを形にしていきたいと思っています。

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