皆さんは、日々のニュースや必要な情報をどのように得ていますか? 台湾で展開されている「LINE TODAY」は、台湾で最も人気のあるニュース・コンテンツサービスです。ニュースからエンターテインメント、スポーツまで、幅広いコンテンツをリアルタイムで提供し、ユーザーの生活に欠かせない存在となっています。
なぜLINE TODAYは多くの支持を集めているのでしょうか。LINE TODAYをリードするLINE Taiwanのゾーイに、LINE TODAYの魅力や台湾で人気のコンテンツ、運営の工夫などについて聞いてきました。
LINE Taiwan Content Service チーム リーダー
メディア、音楽、ゲーム、eコマース業界でコンテンツ企画や、デジタルマーケティングの経験を積んだ後、2021年にLINE Taiwanに入社。現在は過去の経験を活かし、LINE TODAYのコンテンツ企画やマーケティングをリードする。
「LINE TODAY」は、2016年から提供を開始したニュース・コンテンツサービスです。台湾国内外の600以上の主要メディア・パートナーと協力して、ユーザーが興味関心を持つ最新のニュースをリアルタイムで配信しています。さらに、ニュースだけではなく、映画やテレビに関する情報、スポーツ中継、占いなどのコンテンツも楽しむことができます。
また、LINE TODAYのオリジナル番組を制作している点も大きな特徴です。国際ニュースやお金、台湾文化に関する番組や、地元の芸能人を起用したオリジナルのバラエティ番組など、他のメディアでは見られない新しい切り口や内容を提供しています。
現在、LINE TODAYでは20のカテゴリを展開しており、ユーザーは自分の興味に応じて幅広い分野の情報を得ることができます。 それぞれのカテゴリは、独自の特徴を活かして運営されていて、たとえば「映画」のカテゴリでは、映画の上映スケジュールの確認や、作品に評価をつけたりコメントを残したりすることもできます。「グルメ」のカテゴリでは、おすすめのレストラン情報を閲覧するだけでなく、そのまま予約システムとつながって席を予約することも可能です。
このように、コンテンツの閲覧だけでなく、その先にアクションを起こせる仕組みを提供している点もLINE TODAYがこだわっているところです。
LINE TODAYのサービス画面。主要やおすすめ、サブスクのほかに、エンタメ/国内/国際/暮らし/お得/金融/ドラマ/映画/アニメ/音楽/スポーツ/NBA/台湾プロ野球/動画/健康/星占い/グルメ/旅行/ファッション/トレンドのカテゴリーを運用している
LINE TODAYは現在、台湾人口の約78%にあたる1,800万人のユーザーに利用されています。 また、LINE TODAYのLINE公式アカウントとは別に、特にアクセスの多いカテゴリは独立してLINE公式アカウントを持ち、ユーザーに直接多様なコンテンツを届けています。それぞれのLINE公式アカウントの友だち登録者数の合計は、2,800万を超えています。
それぞれのカテゴリのLINE公式アカウント。スポーツやエンタメ、映画などが人気
LINE TODAYは、ニュースに加えて、さまざまなジャンルのコンテンツをユーザーに提供するプラットフォームでありたいと思っています。「LINE TODAY」というサービス名には、ユーザーが「今日」必要とするニュースや情報を提供し、日々の生活に価値を加えたいという思いが込められています。
このサービス名の通り、ユーザーは地震や台風速報、天気情報など、毎日の生活に必要な情報や興味のあるコンテンツをLINE TODAYでチェックすることが当たり前になっており、台湾の人々の生活に欠かせない情報源として定着しています。
台湾の人々は、NBAや台湾プロ野球といったスポーツに強い関心があります。そのため、スポーツニュースや試合中継はよく見られています。特に、大谷翔平選手は台湾でもとても人気で、彼の試合の成績やオフシーズンの活動、さらにはインスタグラムの投稿まで、LINE TODAYで頻繁に取り上げています。彼に関する記事はアクセス数も非常に多く、ユーザーの注目を集めています。
また、台湾のテレビやドラマ、音楽、映画を称える3つの大きな授賞式「ゴールデンベル賞」「ゴールデンメロディ賞」「ゴールデンホース賞」の生配信も、LINE TODAYで大人気のコンテンツです。 LINE TODAYでは授賞式の配信に加えて関連ニュースや投票、各作品のレビューやアーティストインタビューなど、ユーザーのニーズに合わせたコンテンツを提供しており、毎年多くのユーザーがLINE TODAYを通じて授賞式を楽しんでいます。
はい。スポーツやエンタメは、LINE TODAYのキーとなるカテゴリですね。それから、健康や自分の生活に関わるニュースやコンテンツも、多くの方に閲覧されています。
コロナウィルスの流行時には、ワクチンや治療法、感染者数などについて誤った情報が拡散される中、LINE TODAYで配信されたファクトチェック記事へのトラフィックが400%も急増しました。これは、台湾の人々がLINE TODAYを信頼できる情報源として利用していることを示しています。
LINE TODAYでの野球中継(左)や人気のスポーツニュースのタブ(右)
LINE TODAYでは、日々の膨大なニュースやコンテンツを効果的に配信するために、各カテゴリに専任のコンテンツプロデューサーと編集チームを配置しています。さまざまなコンテンツのキュレーション方法や、サービスの機能を活用してユーザーと交流する方法などについて日々議論を重ねています。
また、主要やおすすめタブ、LINEアプリ内での配信では積極的にAIを活用し、ユーザーごとにカスタマイズされた情報を表示させています。このように、人間の知識と技術の力を合わせて、ユーザーに最適な情報をタイムリーに届ける運営を行っています。
はい。LINE TODAYは台湾だけでなく、タイ・香港でも展開されています。サービスの枠組みはほとんど同じですが、タイ・香港では台湾とは異なるコンテンツが人気で、各地域の文化やユーザーの興味関心に合わせた情報が提供されています。各国のメンバーとは定期的に意見交換を行って、市場別のインサイトや成功事例、課題などを共有しています。
特に、アメリカ大統領選挙など世界で大きな注目を浴びるトピックについては、各国でどのように取り上げるかアイデアを出し合っています。こうした交流は、台湾での運営や改善のヒントを得られるとても貴重な時間です。
ユーザー体験を向上させるために、ユーザーの行動を細かく観察し続けています。1日のアクティブユーザー数や滞在時間、PV数などは、すべてサービスの成功を測るための重要なKPIです。これらの分析やA/Bテストを通じてユーザーの行動パターンや好みを理解し、機能やコンテンツ運営を継続的に最適化しています。
それから、ユーザーの実際の声を聞くことも大事だと考えています。特に新機能を検討する際や特定のテーマについて意見が欲しい時にはユーザー調査を実施しています。ユーザーからいただく意見はとても貴重で、サービス改善の指針になっています。
台湾の大多数の方に利用されているサービスだからこそ、ユーザーの声を大切にしてしっかりサービスに反映していくべきだと思っています。これからもユーザーが何に興味があるのか、しっかりと情報を収集し、よりユーザーが使いやすいサービス作りを目指していきます。
まずは、現在のサービスをさらに進化させるために、今よりももっとインタラクティブでSNSの要素を追加したいと考えています。ユーザーが配信されたニュースやコンテンツを閲覧するだけではなく、ユーザー同士がコミュニケーションし、ニュースやコンテンツについての考えをより積極的に共有できる機能を提供する予定です。
また、新たな取り組みとして、有料コンテンツの配信にも取り組んでいます。2023年には、台湾プロ野球とのコラボレーションで試合の有料配信を行い、今年からは他の分野でも有料配信のコンテンツを拡大していく予定です。直近開催した金融セミナーの有料配信も多くの方に参加いただき、大成功を収めました。
LINE TODAYは、これまで国内外のニュースだけでなく、映画や音楽のランキング、スポーツ中継、食のおすすめ、知識など、幅広いコンテンツを提供することで、ユーザーの多様なニーズに応えてきました。
これからもユーザーに信頼されるサービスであるためには、LINE TODAY、そして各カテゴリが独自のコンテンツを配信し続け、機能をどんどんアップデートし続けていくことが重要です。そうすることでより魅力的で競争力のあるサービスへと成長することができると思っています。
また、今後はサービスや技術、コンテンツの開発においてLINEヤフーと連携する機会を深めていきたいですね。LINE TaiwanとLINEヤフーのお互いの強みを活かせる部分がたくさんあると思います。例えば、日本と台湾はどちらも野球が人気なので、一緒にユニークな機能や特別コンテンツを作れたらいいなと思います。そして、両方のサービスにさらなる価値を加えることができたら最高ですね。とても楽しみです!
「失敗を恐れず進化し続ける」 LINE Taiwanの成功の鍵と組織文化
「この情報、本当に正しい?」 台湾のフェイクニュース拡散を防ぐ「LINE Fact Checker」の取り組み
こんなところにLINEヤフー〜in 台湾〜
取材日:2024年11月11日
※本記事の内容は取材日時点のものです