敬語もねこ語もお任せ! LINEラボのAI機能でメッセージをもっと楽しく

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緑のシャツを着た男性が、明るい背景の前で微笑んで立っています。左下に「LINEヤフーストーリー」と書かれています。

みなさんは、LINEでメッセージを送るときに「敬語を使わなきゃ...」などのプレッシャーを感じたことはありませんか?
そんな心理的なハードルを下げてもっとコミュニケーションを楽しんでもらいたい! という思いから登場したのが、LINEのメッセージを敬語やねこ語、侍語などに簡単に変換できる「LINE AIトークサジェスト(※)」です。
口調の変換以外にも、返信やスタンプもAIが提案してくれるので、負荷が減る上に、コミュニケーションの楽しみ方が増えています。

この機能を企画した理由は? ねこ語や侍語は、どんなシーンで役立つの...? 企画を担当した松浦に、これらの疑問について聞いてみました。

※LINE AIトークサジェストは、ホームタブの右上にある設定アイコンからアクセスできる「LINEラボ」にて無料でご利用可能です。2025年2月に限定公開した「AIメッセージ変換」の機能は、2025年4月にリリースしたこの機能に統合されたため、追加取材をして記事をアップデートしました。

新登場の「LINE AIトークサジェスト」でLINEのトークを楽しもう!

緑のシャツを着た男性が、白いブラインドの前で笑顔を浮かべています。
松浦一輝(まつうら かずき)
コミュニケーションカンパニー メッセンジャープロダクトチーム
2023年 LINE(現LINEヤフー)新卒入社(学生時代は、LINEの就業型インターンシップに参加)。現在、「LINE」のトーク機能の企画業務を担当している。

一部の若者が感じる、LINE利用のハードル

――LINE AIトークサジェスト(メッセージ変換)機能はAIを活用した新たなチャレンジですが、どのような経緯で誕生したものですか?

私たちはトーク部門のチームとして、ユーザーがLINEをより快適に利用できるよう、常に課題の解決に取り組んでいます。その取り組みのなかでユーザーへの聞き取り調査を行ったところ、特に若い世代から、「LINEでのやりとりにプレッシャーを感じる」という声が聞かれました。

たとえば、上司へのメッセージでは「丁寧な文章を送らなければ」と作成するのに時間がかかる、バイト先の店長に休みの連絡をする際などにも「敬語でどう伝えるべきか迷う」といった悩みが挙げられました。

それによって、未読メッセージをためてしまったり、LINEを開くこと自体が億劫になったりするケースもあると聞き、これらは解決すべき大きな課題だと感じていました。

また、生成AIの進化による新たな可能性もあり、LINEもAIを活用し、ユーザーの悩みを解消しようという意識が高まっていたことも背景にあります。
企画チームとエンジニアでAIを取り入れたサービス改善の議論を重ねる中で、エンジニアからメッセージの口調変換機能の試作品が提案されました。初期段階では敬語変換のみでしたが、これが「LINE利用のハードルを下げる手助けになるのでは」と考えました。

これらの流れがうまく合流して、「AIメッセージ変換」機能を期間限定で公開し、反応が良かったことから、返信とスタンプのサジェスト機能とともに、「LINE AIトークサジェスト」として統合してリリースしました。

LINE AIトークサジェスト設定方法

LINEアプリで「AIトークサジェスト」機能を有効にする手順を紹介。ホーム画面から設定を開き、「LINEラボ」を選択し、AIトークサジェストをオンにします

――どのようにすれば使えますか?

LINEのホームタブから右上の設定アイコンをタップして、下にスクロールすると「LINEラボ」という正式なサービスとして公開する可能性のある機能を試験的に提供するサービスがあります。そこで「LINE AIトークサジェスト」をオンにし、表示される利用規約に同意していただくと、この機能を利用できるようになります。

トーク画面でメッセージを入力すると、文章の横に「AI」ボタンが表示されます。
このボタンを押すと、「返信を提案」、「スタンプを提案」、「口調を変換」と3つの提案が表示されます。
その中で、「口調を変換」を選択すると、今度は、「敬語」、「タメ口」、「誤字修正」、「ねこ語」、「侍言葉」と、変換できる口調の選択肢が5つ表示され、選んだ口調に合わせてメッセージが変換されます。

「LINEラボ」でLINEの新機能を試してみる

LINE AIトークサジェスト利用方法

メッセージ入力画面でAIアイコンをタップし、「口調を変換」を選択。様々な口調オプションから選び、メッセージのトーンを調整します 口調オプションを選択後、送信アイコンをタップしてメッセージを送信。選んだ口調でメッセージが変換され、より個性的なコミュニケーションが可能になります

機能実装での課題解決にもAIを活用

――実装に向けて、どのような課題がありましたか?

エンジニアの試作機能から始まった企画なので、基本的な機能は初期段階からある程度完成していました。ただ、最初は「敬語」と「タメ口」しか変換できなかったので、他にどの口調を追加するべきか、かなり悩みました。

アイデア出しはChatGPTに手伝ってもらい、まずは口調変換の候補を数十個挙げてもらいました。そして、それらの候補をもとにサンプル文を変換してもらい、面白そうなものをピックアップし、チームメンバーや社内の他のチームの同期にも、どんな変換機能があれば面白いか聞いてまわりました。

その結果、「敬語」「タメ口」「誤字修正」「ねこ語」「侍語」の変換機能を今回のリリースでは実装しました。

緑のシャツを着た男性が、オレンジ色の椅子に座り、指を立てて話している様子です。

――多くの候補の中からねこ語と侍語を選んだのがおもしろいと思いました。この2つにした理由とは?

敬語の変換機能は、ユーザーが感じる「LINEでのやり取りのプレッシャー」を軽減するためのものだと思っています。LINEのトークをもっと楽しいものにするためにも、残りの変換機能は楽しい口調にしたいと考え、ユーザーが「ついメッセージを送りたくなる」「送られてきたら嬉しい」と感じられるものを基準に選びました。

まず、ねこ語を選んだのは、私がねこ好きだったこともありますが、周囲に聞いても人気が高かったからです。見た目にもかわいく、すぐにわかるのが魅力です。
誰も傷つけず、わかりやすく楽しめるものにすることを意識して、この2つに決めました。

――口調の選定以外では、どのような苦労がありましたか?

口調変換を行うために、生成AIへの適切なプロンプトを設定するのにかなり苦労しました。 AIチームが韓国のエンジニアで構成されていたため、侍言葉などのニュアンスが伝わりにくかったんですよね。そのため、まず私からプロンプトを提案し、AIから出力された結果を確認しました。
その上で、「もう少し〝ござる〟を使ってほしい」「逆に〝ござる〟が多すぎる」などのフィードバックを繰り返し行い、精度を高めていきました。

口調の精度についてはまだ改善の余地があるので、変換のクオリティーを向上させていきたいと思っています。

――LINE AIトークサジェスト(AIメッセージ変換)はLINEのトークで初めて生成AIを取り入れた機能ですが、初めて生成AIに触れるユーザーもいるのではないでしょうか?

はい。近年、生成AIは大きな話題となっていますが、まだ使ったことがない人も多いのが現状です。
日本で多くの方にご利用いただいているLINEにこの機能が組み込まれたことで、特別なアプリをインストールしなくても、LINEを通じて生成AIに触れることができるようになります。 たとえば、私の祖父が初めて生成AIに触れるのは、おそらくこの機能になるでしょう。

緑のシャツを着た男性が、オレンジ色の椅子に座り、手を動かしながら話しています。

ユーザーの反応をみながら、慎重に実装

――この機能は、ユーザーの反応を見てから正式リリースしたそうですが、どのような反応がありましたか?

先ほどお伝えした通り、LINEでのコミュニケーションについて、ユーザーの「負荷を減らしたい」ですとか、「もっと気楽にメッセージを送ってほしい」という企画意図がありました。実装後、X(旧Twitter)などで情報収集をしたところ、狙い通りの好意的な声があったのは嬉しかったです。
「敬語」については、実用的で「便利だ」「助かる」という声が、「ねこ語」や「侍語」については「面白い」、「楽しい」という声が多く見られました。
一方で、ポジティブな想定外と感じた反応もありました。目が少し不自由な方が、音声入力でメッセージを入れた後に、「誤字修正」で文章を完成される方法が便利だと発信していたのです。確かに、音声入力は正しい日本語にならないケースが多いですから、こういう合わせ技は有効ですよね。
また、フィードバックのフォームがあるのですが、非常に高い満足度でした。多くのユーザーがポジティブな反応を書き込んでくれていて、「こんな口調も欲しい」という提案までありました。前向きに検討していきたいですね。

――このように段階を踏んで慎重にリリースした理由を教えてください

この機能はOpenAIのAPIを利用して口調変換を行った結果をトーク画面に反映しています。もしかすると、一部のユーザーは「自分の入力した文章がLINEに見られているのでは」と心配されるかもしれません。

ですが、下書き中のメッセージが当社のサーバーに保存されることは一切ありません。一方で、過去のトーク内容を分析した上で最適な返信をおすすめするため、トークヒストリーの分析に同意したユーザーに限り利用が可能です。

ユーザーのプライバシーがしっかりと保護されていることを示すためにも、まずは上限人数を設けて試験的に提供し、使っていただいて反応を確認したいと考えました。
結果、とても好評だったため、正式に実装することになりました。
このように、ユーザーのみなさまに安心して利用していただくためにも、慎重にリリースした経緯があるのです。

緑のシャツを着た男性が、白いブラインドの前で微笑みながら座っています。背景に色とりどりの椅子が見えます。

ユーザーの思いをもっと汲み取れる場に

――今回は初めてLINEのトークに生成AIを取り入れた機能をリリースしましたが、メッセンジャーチームのみなさんが新機能を考える上で大切にしていることは何ですか?

私たちはユーザーファーストの考え方を大切にしており、この理念はチーム全体に浸透しています。
今回の生成AIを取り入れたトーク機能もその一環で、他にも進行中のプロジェクトがあります。
ですが、生成AIを使うこと自体が目的ではなく、ユーザーの課題を解決するための手段として位置づけています。
まずはユーザーが抱える課題をしっかりと把握し、それに対する最適な解決策を考えることが、企画の出発点です。

「LINEラボ」は、そうした課題解決のアイデアをユーザーに試験的に提供する場です。もちろん、ユーザーに使っていただくものなのでコンプライアンスには十分配慮しつつ、試験的な場としてもっと多くのアイデアをユーザーに提案していきたいですね。
そして、アイデアをすぐに実現し、ユーザーの反応を得られて、ユーザーも私たちにどんな機能がほしいかを伝えられる場にできればと考えています。

また、LINEはコミュニケーションアプリとして、ポジティブなつながりを提供する場でありたい、自由なコミュニケーションを促進したいと考えています。
たとえばカップルがLINEで喧嘩になってしまったときに、片方がねこ語で謝り、もう片方が侍言葉で許す、というやりとりになったら、クスっと笑って早く仲直りできるかも...? などと想像しています。
そんな風に、みなさんのコミュニケーションがより豊かになるような機能をこれからも提供していきたいですね。私たちの頭の中には「こんなことができたらいいのに」というアイデアがもっともっとたくさんありますから。

関連リンク

取材日:2025年1月24日 文:平木理平 編集:verb
※2025年6月5日更新:LINEの「AIメッセージ変換」機能は、新機能「LINE AIトークサジェスト」の提供に伴い、本機能に統合したため、本文内容を加筆・修正しました。
※記事中の所属・肩書きなどは取材日時点のものです。
※記事内で紹介したLINEのUI画像はiOSのものです、OSによって一部デザインや使用方法が異なる場合があります。

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