LINEヤフーでは、さまざまな社員が働いています。「WHY? LINEヤフー」シリーズでは、社員の仕事内容や思いを通じて、LINEヤフーで働く魅力をお伝えしていきます。
今回登場するのは、Yahoo!ショッピングの安全対策部で日々、安全・安心のために取り組んでいる栗原です。お客さまが安心してお買い物ができる売り場づくりのため、どのような対策を行っているのでしょうか。大切にしている価値観や今後の目標についても聞きました。
Yahoo!ショッピングの安全対策部で、ガイドラインや約款整備、出店ストアのみなさまに適切に商品を出品いただくための働きかけなどを行っています。
Yahoo!ショッピングは、「日本中を『買って良かった』で埋め尽くす」をビジョンに掲げ、商品を取りそろえ、優良配送、お得の提供に向け、日々ストアのみなさまと連携して取り組んでおりますが、一部には、お客さまを意図的にだまそうとしたり、がっかり体験を与えてしまうストアも残念ながら存在します。そこで、そうした悪意あるストアを取り締まり、お客さまが安心してお買い物ができる、「どこよりも安全・安心な売り場」の実現に向けて安全対策を行っています。
私は2021年にYahoo!ショッピングにジョインしたのですが、当初は配送を改善する「優良配送プロジェクト」のマネジャーを務めていました。
このプロジェクトが一段落し、社内表彰をいただいたタイミングで、当時の上長から「最近、未着詐欺(※注1)が増えてきて困っている。次はこれをなんとかしてほしい」と言われました。そこで、サービスの中に入って、きっちりと対策をするため、Yahoo!ショッピング内に安全対策部を設置し、私が部門長となりました。
※注1:お客さまが購入した商品を発送せずに、代金だけを搾取する詐欺行為
そうです。安全・安心は、品ぞろえや配送スピードと並んで、あるいはそれ以上に大切なものだという考えから、Yahoo!ショッピングとして優先度をあげ、組織やプロセス作りから始めました。
たとえば、それ以前は、何かが起きてから対策を打つケースが多かったのですが、それでは、お客さまのがっかり体験が生まれてしまった後に対策を行うことになります。そこで、被害が発生する前に先手を打とうと取り組みを始めました。まず、真っ先に取り組んだのが未着詐欺対策です。未着詐欺を起こしている事業者について徹底的にデータ分析をしました。その結果、出店時期、売上金の入金口座や入金サイクルなど、同じような特徴があることがわかってきたのです。
そこで、特定の条件に合致した出店ストアに対して、途上審査として改めて本人確認を実施し、本人確認がとれなかった事業者にはアカウントの停止処分を実施しました。また、未着詐欺に悪用されていた入金サイクルの一部の機能において審査制を導入し、実績と信頼のある出店ストアに対してだけ提供するように変更しました。そのほかにも、お客さまの金銭的な被害を防ぐため、未着詐欺の疑いを検知した出店ストアに対しては、注文管理ツールの機能を一時的にロックしたり、注文を強制的にキャンセルして被害に遭われたお客さまに返金できる機能を追加するなど、さまざまな対策を講じました。
「Yahoo!ショッピングって無在庫転売が多いよね」という声がSNS上でも多く見られたため、今年の4月から新しい対策を始めました。 具体的には、個人事業主が出品できる数を500商品までとし、それ以上を出品する場合は審査を必要とする取り組みです。
そもそも転売自体は犯罪ではなく、Yahoo!ショッピングのガイドライン違反でもないのですが、無在庫で商品を販売することはガイドライン違反になります。無在庫転売業者は大量の商品を在庫を持たずに出品しており、ひどい場合には10万点もの商品を無在庫で出品することもあります。
そして、注文が入ってから在庫を探し、見つからなければ勝手にキャンセルするのです。そうなるとお客さまの多くは、「5のつく日」などのキャンペーンを利用してお得にお買い物をしたいのに、注文がキャンセルされて、お得もなく、商品も届かないという、がっかり体験につながってしまうのです。
これをなんとか是正したいと考え、データ分析を進めた結果、無在庫転売を行っているのは個人事業主が多いことがわかりました。背景には、最近の副業ブームもあり、副業で出店している人の増加があるのだと思います。そこで、まずは個人事業主の出店者に対して、在庫を持っている商品だけを出品するように求める対策を進めました。
最近では無在庫やキャンセルに関するお客さまからのご意見の件数もかなり減ってきていますし、個人事業主による勝手なキャンセルも減りましたので、一定の効果があったと捉えています。
この仕事をしていると、さまざまな方から情報提供があります。たとえば、「あのストアはこんな悪いことをしているよ」という話や、「あのストアは全然連絡をくれません」といったお客さまの声などです。そうした中でも大切にしているのは、公平、公正に判断をするため、1つの情報ごとにしっかり調査し、複数の情報源を確認して、きちんと確定した段階で是正措置を行うことです。お客さまの問い合わせにきちんと返答しているか、配送会社の配送伝票番号を基に、いつ発送をしているか、といったファクトデータも照合しながら、おかしなことがないかを、多角的に判断するようにしています。
SNSの投稿で、「最近、Yahoo!ショッピングが厳しくなってきた」という声や、無在庫転売が減少したことで、「最近、Yahoo!ショッピングの売り場がきれいになってきたよね」という評価をいただくことが増えてきました。売り場がきれいになり、正当に商売をしている人たちが正しく評価される、そんな状態にできた時はうれしいですね。
また、LINEヤフーにおいては、マネジメント層も含めて「不正は許さない」という姿勢を発信をしているため、活動がしやすく、この活動自体が正義だという自負があります。現在のチームメンバーの約半分は不正対策のプロで、残りの半分は私も含めて異なるバックグラウンドの出身者ですが、正義感が強い人が多いですね。
また、1つ1つのストアを丁寧に見ていくことで、本当にそのストアが不正をしているかどうかを見極める根気強さが求められます。日本中からECでのがっかり体験を撲滅するために、守るだけでなく、積極的に攻める姿勢を持った人にとっては非常に魅力的な仕事だと思います。
人気のあるモールであれば、当然良い人も、悪い人も集まってきますし、不正の手口も巧妙化しています。何か対策を講じるたびに、手を替え品を替え、いかにYahoo!ショッピングの追及を免れるかといった対策も高度化してきています。終わりのない戦いですが、日々チェックを行いながら、対策や基準も変えていくというおもしろさがあります。
私たちの部門では「日本中からECのがっかり体験をなくす」というビジョンを掲げています。このビジョンを実現するためには、自社だけで不正対策を行うのではなく、他社も含めた環境整備が必要です。
私たちが独自で行っている取り組みもありますので、そういった事例を外部に発信し、他社にも活用してもらうことで、この業界全体で安全対策を強化したいと考えています。EC事業者全体で手を組み、安全・安心が当たり前な世の中を実現したいですね。
取材日:2024年8月5日 ※本記事の内容は取材日時点のものです。LINEヤフー株式会社の社内広報に掲載した記事を一部修正し再掲載しています