グローバル視点で挑む!「スタンプアレンジ機能」開発の舞台裏

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LINEヤフーのストーリー広告。女性が微笑み、スタンプアレンジ機能の開発について紹介されている。

LINEヤフーでは、さまざまな社員が働いています。「WHY? LINEヤフー」シリーズでは、社員の仕事内容や思いを通じて、LINEヤフーで働く魅力をお伝えしていきます。
今回登場するのは、提供開始からわずか約1カ月で送信数2億回を突破した「スタンプアレンジ機能」のPM(プロダクトマネージャー)を務める、トーク事業統括本部の李 萌 "Shelly"(シェリー)。新卒2年目にしてPMを託されたシェリーに、リリースまでの苦労やこだわったポイント、仕事をする上で大切にしている価値観についても聞きました。

眼鏡をかけた女性が微笑んでいる。背景は明るく、彼女の表情が柔らかく見える。
李 萌(リ モエ)
トーク事業統括本部 トーク事業本部 コミュニケーションプロダクト室 スタンプ企画2チーム
2022年11月から旧LINEの内定者アルバイトで「LINE NEWS」や「LINEスマート通知」の業務に関わる。2023年4月に新卒でLINEヤフー入社。同年5月からスタンプ企画として「スタンプアレンジ機能」のPMを務める。チーム内では、 "Shelly"(シェリー)の愛称で呼ばれる。

―最初に、これまでの経験と現在の仕事内容について教えてください。

学生のころはアメリカの大学で応用数学を学んでいました。その後、旧LINEの内定者アルバイトで「LINE NEWS」や「LINEスマート通知」の業務に関わりました。昨年、LINEヤフーに入社してから、コミュニケーションプロダクト室のスタンプ企画担当として、コミュニケーションを豊かにするためのスタンプや絵文字の送信体験の改善、クリエイターズマーケットの企画などに携わっています。入社してから初めて担当したプロジェクトが今回お話しする「スタンプアレンジ機能」で、2023年の5月からPMを担当しています。

―「スタンプアレンジ機能」はどんな使われ方をしているのでしょうか?

「スタンプアレンジ機能」はユーザーがスタンプキーボードでスタンプを長押しすると、最大で6個まで角度や大きさ、配置を自由にアレンジできる機能です。特徴としては、これまで使われていたスタンプよりも表現の自由度が高いことが挙げられます。

例えば、メッセージの中で感情の強弱を表現したり、4コマ漫画のように並べたり、大喜利のような使い方をしているユーザーもいます。SNSのモニタリングをしていて最近話題になったのは、ラーメンやアイスクリームを自分の好きな具材でつくってみるという使い方です。利用者の属性としては10代や20代の若年層が多いです。

女性が机に座り、手を使って何かを説明している。ノートパソコンが前に置かれている。

ユーザーやクリエイターと一緒につくりあげるスタンプアレンジ機能

―リリースまでの経緯について教えてください。

私が入社したときにはすでに「スタンプアレンジ機能」のプロジェクト進行が決まっていました。社内でスタンプに関するアイデアコンテストを実施し、集まったアイデアをもとにユーザーインタビューを行って検討を進めてきたそうです。昔、スタンプを連打するのが流行ったことがあると思いますが、たくさんの通知が飛んでしまったり、トークルームのスペースを取ってしまったりして困るという意見がありました。その問題を解決するために生まれたのが「スタンプアレンジ機能」のもとになったアイデアです。ユーザーやスタンプをつくっているクリエイターにもインタビューが実施され、新機能に対する意見や懸念点などを聞いて検討を重ねていきました。

―SNSで特に若年層から大きな反響がありましたが、当初から若年層に流行らせることを狙っていたんですか?

そうですね。若年層にもっとLINEスタンプの楽しさや魅力を感じてもらいたいという狙いがあったので、その達成を目標にプロジェクトが進みました。今回リリースした「スタンプアレンジ機能」以外にも、おもしろいアイデアがたくさん出ていました。

―若年層からの反響がよかった要因は何だと思いますか?

「スタンプアレンジ機能」では、私たちプロダクト側からユーザーへ使い方を提示するのではなく、少しの手を加えることで自由にアレンジできるツールを提供し、使い方はユーザーが発見していけるようにしています。そのため、ユーザーやクリエイターと一緒につくりあげる一種のUGC(User Generated Content)だと思っています。プロトタイプが完成したときに、ユーザーインタビューを再度実施し、実際に試していただきました。その際に、スタンプを送信するときだけでなく、つくる過程も楽しいという意見も得られました。このような特徴が好評となった要因だと感じています。

女性がノートパソコンの前で話をしている。背景には本棚のようなデザインがある。

リリースまでの苦労と改善のプロセス

―ユーザーインタビューではどのような気づきがありましたか?

「スタンプアレンジ機能」のコンセプト自体は変わっていませんが、ユーザーインタビューを実施したことでUI/UXを一部変更しています。例えば、当初はスタンプを消す際に、ごみ箱までドラッグする仕様でした。しかし、ユーザーを観察しているとスタンプを配置するキャンバスが狭く、ごみ箱付近に置きたいスタンプがあっても動かしにくいことに気づきました。ユーザーインタビューの難しいところでもありますが、ユーザー自身が言葉にしなくても、観察して気づくことが大切です。これらを参考に、現在はスタンプの左上の×マークを押すと消せるように改善しています。

ユーザーインタビューは入社してから初めての経験だったので、とても印象にも残っています。自分が考えたプロトタイプを目の前で触っている姿を見て喜びを感じました。自分の想定とは異なる使い方をするユーザーもいましたが、その様子を観察するのも興味深かったです。

―リリースまでに苦労したこと、解決に向けて取り組んだことは何ですか?

スタンプクリエイターのみなさんにとって、当初はユーザーがこのように利用する想定はしていないので、その点でクリエイターをどのようにサポートするかに苦労しました。具体的には、クリエイターが自分のスタンプをスタンプアレンジ対象とするか選択できるようにしました。また、ユーザーに対しては、同じスタンプパッケージ内での利用のみと制限するのか、それとも全てのスタンプを組み合わせられるようにするのかといった、ユーザーの自由度をどの程度にすると良いのかも悩みました。クリエイターの作品を尊重しながら、ユーザーが自由に楽しんで利用できるにはどうしたらいいか考え抜きました。

LINEのチャット画面で、スタンプを使ったさまざまな表現が紹介されている。

おすすめのスタンプアレンジ例

新卒PMとしてのチャレンジ

―なぜ新卒でPMを担当することになったのですか?

大学では理系だったので、エンジニアを目指したこともあります。私は日本で生まれ日本で育ちましたが、海外の大学を卒業し、両親や親戚は中国にルーツがあります。そのため、さまざまな国の人たちとコミュニケーションをとることの難しさや大切さを感じていて、それを豊かにすることに興味を持っていました。そこで、身近な人とのコミュニケーションを促進するプロダクトに関わりたいと思い、PMに挑戦したのです。周りの優秀な先輩方を見習い、日々多くのことを学びながら取り組んでいます。

―新卒だからこその苦労や、逆に良かったことはありますか?

苦労したことは、入社間もなかったため社内での人脈があまりなかったことです。いろいろな人に自分から声をかけて、自己紹介から始め、機能に対する意見を聞いていきました。ユーザーインタビューをする際は、1週間で質問を用意しなければならず、頭を抱えるほど悩むこともありましたが、周りの人にレビューをもらいながら助けてもらいました。新卒の同期にもとても助けられました。自分と同じ年齢の人がどのような使い方をするのかという観点でユーザーインタビューにも協力してもらい、多くのインサイトを得られました。

また、入社前はプロダクトに関しての知識が少ないと感じていたので、App Storeのランキングで海外含め50位くらいまでのアプリをダウンロードして触ったりもしていました。新卒だからこそフレッシュな感覚もあると思っているのでこれを強みにして、アプリを使った感触や気になることがあったらユーザー目線でメモすることで、感覚を磨いています。

―プロジェクトの進行において、特に印象に残っているエピソードを教えてください。

プロトタイプの作成とインタビューが終わった段階で、プロジェクトメンバー全員が参加するワークショップを福岡で実施しました。プロジェクト内には中国、韓国、ネパール、ドイツなどの外国籍の方々がいて、通訳を通じて非常に白熱したディスカッションができました。ワークショップではユーザーストーリーマッピング(※)を行い、ユーザーが最初から最後までどのように使用するのかを分析しました。その中で最も必要な機能は何なのかを洗い出し、優先度を整理しました。開発とプランナーの間で優先度に対する意見が異なることもありましたが、新たな気づきがある有意義な時間でした。現在はZoomでのミーティングが多いですが、対面で顔を合わせて実施したことで意見のぶつかり合いもありました。そういったこともあったからこそ、結果として良いものが生み出されたのではないかと思っています。

※ ユーザーストーリーマッピング:
提供するプロダクトの全体像をユーザーの行動軸と優先順位軸で整理し、何を優先的に提供すべきかを理解するための手法

眼鏡をかけた女性がノートパソコンの前で真剣に話をしている。背景には本棚のデザイン。

グローバル目線で「多様性」を大切にする

―意見がぶつかることもあった中で、シェリーさんが意識していたことは何ですか?

できるだけ多くの人の意見を聞くことです。私が想定している一般的なスタンプアレンジの使われ方は、おそらく身の回りの10人程度の平均に過ぎませんし、プランナーだからといって正しいわけではありません。開発者も一人のユーザーとして、どのように使いたいかを受け止めることが大切だと考えています。また、グローバルで提供しているサービスなので日本国内だけではなく、海外での使われ方も考慮することが大切です。これは、メンバーがグローバルだからこそ得られたインサイトだと思います。

プロトタイプをつくってユーザーインタビューを行うことや、多くの人の意見を聞いてどのような使い方をするのかを検討することなど、プロジェクト全体を通して「多様性」にこだわっていました。ユーザーにとっての多様性という観点でのエピソードですが、「ポジションテンプレート」というユーザーがスタンプを長押ししてキャンバスを起動したあと、スタンプキーボードでスタンプをタップするとキャンバスエリアに自動配置される機能があります。これについて開発メンバーと議論しているときに、実装が難しいという話がありました。しかし、「ポジションテンプレート」はユーザーインタビューでも、とても使いやすいという声をいただいていたので、難しくてもやり切りました。

また、現在最大6個のスタンプが組み合わせ可能ですが、それぞれのスタンプがちゃんと見えるサイズを考慮して6個としています。ユーザーインタビューを実施した際にも、6個は多いという方や、逆に無限に使いたいという方もいたので、まだまだ改善できる余地があるとも思っています。今後もモニタリングを続けて、多様性を意識したより良いプロダクトにしていきたいです。

LINEのスタンプ選択画面が表示され、さまざまなキャラクターのスタンプが並んでいる。

キャンバスエリアにスタンプが自動配置される「ポジションテンプレート」

―今回のプロジェクト以外でも、仕事をする上で大切にしている価値観はありますか?

プロダクトにおいて、ユーザーそれぞれの使い方が異なる中で、どのようにしたら最大公約数を見つけ出せるかを大切にしています。例えば、日本で海外のアプリを使っているときに使いにくいと感じることが多々あります。そういった視点から、すべてのことに対して当たり前だと決めつけず、海外の方がアプリを使うときにどう感じるのか、目線を変えて考えることを意識しています。

―最後に今後の意気込みをお願いします。

「スタンプアレンジ機能」をたくさん使っていただき、とても感謝しています。これからも、ユーザーのニーズやフィードバックをしっかりと反映しながら、良いプロダクトづくりに励んでいきたいです。

廊下で青い服を着た女性が微笑んで立っている。明るい光が差し込み、清潔感がある。

取材日:2024年6月26日 ※本記事の内容は取材日時点のものです。LINEヤフー株式会社の社内広報に掲載した記事を一部修正し再掲載しています

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