2024年9月に10周年を迎えたカジュアルゲーム「LINEポコポコ」。2024年8月30日から、EXILE/三代目 J SOUL BROTHERSの岩田 剛典さんを起用したCMなど、10周年を記念した大型プロモーションも展開中です。
2014年9月に「ポコパン」の続編としてつくられ、累計2,500万ダウンロード以上(2024年1月時点)と、多くのユーザーに愛され、LINE GAMEの最注力タイトルの一つへと成長した「LINEポコポコ」。今回、プロデューサーの鄭昇弼(ジョン・スンピル)、サポート役の岸達彦、林(イム)ヘリに、長く愛されるサービスをつくる秘訣などを聞きました。
岸:
もともと「LINE ポコパン」(以下、ポコパン)という一定時間内にブロックをたくさん消して、モンスターをやっつけるゲームがありまして。これは「LINE POP」とともにLINE GAMEの初期を大いに盛り上げたタイトルでした。ただ、2つとも時間制限があるため、もっとゆっくり遊ぶゲームがあってもいいのでは? ということで、2014年9月に「ポコパン」の続編として「ポコポコ」がつくられました。
その後、ゆっくり遊べるカジュアルゲームとして、累計2,500万ダウンロード以上(2024年1月時点)のビッグタイトルにまで成長し、売り上げとしては、「ポコパン」と同じぐらいの成功を収めました。
既存と新規の事業の関係性でいうと、既存は徐々に下がっていくため、新規を成功させなければなりません。それが、ゲーム業界だけでなく、長く続けていくために必要な新陳代謝の一環です。「ポコポコ」はこの新陳代謝を成功させ、いまだに、ゲーム事業を支える人気タイトルになっています。
岸:
「ポコポコ」の売り上げを見てみると、リリース初月の2014年9月から半年ほどで約3倍の売上規模に成長し、その後は少し落ち着きましたが、10年たった現在でもその水準を維持し続けています。それだけ多くのお客様に支持いただいているということで、本当にありがたいです。
スマホゲーム全体の傾向として、スマホがはやり始めた頃にヒットしたタイトルが、ずっとランキングの上位を独占し続けているというのがあると思います。「モンスト(モンスターストライク)」、「パズドラ(パズル&ドラゴンズ)」、「FGO(Fate/Grand Order)」などもその例です。
当時からヒットしていたゲームを遊び続けてきたユーザーは、ゲーム内で蓄積し続けてきた資産があるので容易にはやめられなくなっていきます。しかもスマホゲームは、運用型のものが主流で、何年もコンテンツが追加され続けます。そういった背景もあり、「ポコポコ」は定番アプリの座を維持できているのだと思います。LINE GAMEだけではなく、LINEヤフーにとっても、とても重要なタイトルだと思います。
スンピル:
まず、「じっくり考えられる」要素を大事にしていきたいですね。他の3マッチパズルと比較しても、「ポコポコ」は簡単な操作ルールではありながら、ユーザーがじっくり考えながらプレイできるようにバランスを考えて運営をしています。
特に「ポコポコ」には、リリース当初からずっと遊んでくれるユーザーがたくさんいます。これからも自分でじっくり考えて、ステージクリアの糸口を見つける楽しさを提供していきたいですし、そういった楽しさに気付いてくれるユーザーをもっと増やしたいですね。
スンピル:
ユーザーにずっと寄り添いながら、ストレス発散できるゲームであり続けたいです。いつでも手軽にプレイできるところも、「ポコポコ」の強みです。
どうしても1回のプレイに多くの時間を割かなければならないゲームもあります。「ポコポコ」はちょっとした空き時間にもストレス発散できるので、その特徴を生かし続けたいなと考えています。
スンピル:
ディレクター時代を含めて5年前から関わってきた中で、アンケートやデータ分析を通じて、ユーザーの反響を確認し、そのフィードバックに基づいた改善を継続してきました。結果が良かったからそれで終わりではなく、絶え間なく新しい楽しさを提供し続けることが大事だと考えています。そういう姿勢を前任者から引き継ぎ、改善を続けてきたことが10年続いた秘訣だと思います。
ヘリ:
まったく同じですね。何かをアップデートしたら、すぐにデータを分析していました。たとえば、イベントの参加状況に問題があった場合は、それが報酬の問題なのか、難易度の問題なのか、あるいは導線の問題なのかを分析して、より具体的な改善策を講じます。それでもうまくいかなかった場合は、次の改善を行うことを10年間ずっと続けてきていました。
岸:
はい。ただ、積み上がってきたノウハウを大事にしながらも、たとえば、7年前のノウハウをそのまま適用できるのか、という疑問もあります。本当に揺るがない根源的なノウハウは大事にしつつ、直近1、2年の出来事にフォーカスして話すことが多いですね。それでも解決策が見つからない場合は、先人の知恵を借りることもあります。
岸:
ありますよ。部の方針は「情報共有は積極的に!」なので、担当者同士でお互いのタイトルの施策情報やノウハウを共有する場を定期的に設けています。
ヘリ:
他のタイトルが、その月にどんな施策を実施して、結果がどうだったのか、次にどう改善していくのかを発表する「マンスリー報告会」という場があります。報告会の内容は、担当者が替わっても過去の施策について確認できるようになっています。他のタイトルで実施した施策やノウハウなどはそれぞれのゲーム性や状況が違うため、そのまま取り入れるわけではなく、現状の課題や状況に合わせて調整をしていますね。
岸:
「ポコポコ」は30ステージあたりから、ちょっとずつ難しいステージが増え始めてくるんですよ。その難しいステージで、「もう一手もミスできないぞ」という状況から、クリアできたときの快感をみなさん好んでくれていると思います。
「いや、そんな難しいのはいいです」っていう方は、もっと簡単に遊べるパズルゲームに乗り換えているかと思いますね。いまも残ってくれている多くのユーザーは、「本当に難しくて、イラついたりもしたけど、ようやくクリアできた! ああ、気持ちいい......」と。そういうカタルシスを楽しめるのが、やっぱり「ポコポコ」の醍醐味なんですよね。
他のタイトルのノウハウを取り入れる際も、そういった難しいゲームが好きなユーザーに向けて、ちゃんとカスタマイズすることを大切にしています。
スンピル:
「ユーザーファースト」でいうと、先ほどお話ししたように、ユーザーの反応をデータで見て、それに基づいて今後の改善を行うことです。その取り組みをずっと継続しています。アンケートで直接、ユーザーの声を聞くことも大切ですが、それだけでは参加するユーザーが限られてしまうので、ユーザー全体の声をしっかりとデータを見るようにしています。
スンピル:
「ポコポコ」では、他のIP(Intellectual Property)とコラボイベントを行うことがあります。そのイベントに対するユーザーの反響や、どんなIPが好きなのかをヒアリングして、次のコラボ先のヒントを得ています。
スンピル:
Google PlayやApp Storeのレビューで、「10年間、遊んでいます」といった、お礼やお祝いのメッセージを自発的に送ってくれる方もたくさんいらっしゃいます。そういった声を聞くたびに、「ポコポコ」が本当に愛されているタイトルだなあ、と感じます。
岸:
SNSの投稿キャンペーンなどで書いてくれる言葉も嬉しいんですが、何の見返りもないのに自発的に書いてくれているメッセージって、もう本心からのものじゃないですか。純度の高い感謝の言葉なので、私たちとしてもストレートに受け止めることができ、その喜びが大きいですね。
アンケート以外でも、そういったレビューや、SNS上のコメントを参考にすることもあります。書いてくれる人はお客様の一部ではありますが、心からの意見が集まってくるので、定量的なデータも大事ですが、感情が濃縮された定性的な情報も同時に参考にしながら、運営しています。「今回は難しすぎるわ」というコメントがあったときには、実際の「クリア率」を確認して、「たしかに悪すぎるね」という話になることもあります。
岸:
そうですね。SNSなどでもありがちですが、不平不満は発散したいけど、うれしい言葉は自分の胸の中にしまっておくことがあるので、ネガティブな情報の方が多くなりがちです。でもそれがゲームを改善するための重要なヒントにもなってきます。
毎週の定例会議で「ここ調子悪いみたいだけど、どうなってる?」「実はSNSでこういう評判が出ていて......」という話になることもよくあります。自分のタイトルにまつわる話題はSNSを日々チェックして、ユーザーの評判は常に見るようにしています。
岸:
たとえば、LINEヤフー側から「ポコポコ」の改善案について提案すると、Treenod(※)さんが「いや、これはタイトルに合わないです」「こういった懸念があります」といったことを遠慮なく言ってくれます。そういった点で、Treenodさんは非常にありがたいパートナーです。
逆に、Treenodさんの提案に私たちがダメ出しすることもあります。先方は開発者目線で、こちらはパブリッシャー目線で、最初の提案とは違ったものになるかもしれませんが、「ポコポコ」にとって最良の形になるように、納得のいくところまで考え抜いて一つひとつの施策を実装しています。そういった取り組みは「やりぬく」になっていると思います。
岸:
はい。Treenodさんにとっては「ポコパン」が最初に手掛けたタイトルで、LINEと一緒に歩んで成長してきた経緯があります。そのため、われわれとの協業に対して、とても前向きに考えてくれているのを感じます。
オフィスは韓国の釜山にあり、普段は主にSlackやZoomを使ったオンラインでのコミュニケーションが中心ですが、年に一度、出張して直接お話しています。
使っている言語は、実は日本語です。先方の企画担当者は「日本語を話せること」が前提になっています。スンピルさんと先方の担当者は2人とも韓国人なのですが、周りのメンバーにもわかるように、ずっと日本語でしゃべってくださっていて、私としては本当に助かっていますね。
スンピル:
「ポコポコ」は長い間遊んでくれている方がたくさんいますが、まだ遊んだことがない方、ちょっとだけしか遊んだことがない方もたくさんいると思います。そういう方にも、「ポコポコ」はこんなにおもしろいゲームなんだ! と知ってもらえるようなタイトルにしたいです。
8月30日から「ポコポコ」の10周年キャンペーンが開始されました。これまでの集大成のようなコンテンツを展開しますので、ぜひご覧いただき、みんなで「ポコポコ」やろうぜと、広めてほしいですね。
さいごに、スンピルさんたちに「LINE ポコポコ」をプレイするコツも教えてもらいました。
「LINE ポコポコ」は、悪魔に乗っ取られてしまった「ポコ森」の平和を取り戻すため、ステージをクリアしながら森に再び花を咲かせていく「3マッチパズルゲーム」です。
iOS Android遊び方は簡単で、ブロックを指でなぞって移動させて、同じキャラクターのブロックを3つ以上そろえて消していきます。各ステージにはそれぞれターゲット(ミッション)があり、決められた移動回数で達成するとステージクリアになります。LINEヤフーのゲームサークルのみなさんが、サークルの威信をかけてプレイしている動画があるので、参考にしてみてください。
【ガチ対決】LINE ポコポコで対決! ゲームサークルの頂点は誰だ?
【LINE ポコポコ】これを見ればあなたもポコマスター!ポコポコの楽しみ方ガイド
2024年8月30日から、10周年キャンペーンとして、EXILE/三代目 J SOUL BROTHERSの岩田 剛典さんを起用したテレビCMなど、「ポコまでやるか!」と盛りだくさんのコンテンツがリリースされました。詳しくは、特設サイトをチェックしてみてください。
「LINE ポコポコ」10周年特設サイト「ポコまでやるか! 10周年」
取材日:2024年8月13日
※本記事の内容は取材日時点のものです。LINEヤフー株式会社の社内広報に掲載した記事を一部修正し再掲載しています。