鳥海さん:
2025年はインバウンドが過去最高を記録した2024年を超えて約4,200万人になる見込みです。一方、外国人の消費額はやや伸び悩んでいて、買い物よりも体験重視にシフトしていることがうかがえます。
引き続き、円安の影響が大きく、日本人の海外旅行客数は1,400万人台で回復途上。やや変化は見られますが、コロナ前の水準にはまだ戻っておらず、海外旅行をよくされていた方が、インバウンドを避けて、国内のリゾートホテルや温泉を選ぶという流れは今年も変わりませんでした。
2025年も引き続き、インバウンド需要が日本人の旅先選びに大きな影響を与えています。
どこを目指せば、オーバーツーリズムを避けながら、満足度の高い滞在ができるのでしょうか。
昨年に続き今回も、旅のプロフェッショナルである鳥海高太朗さんと、一休.com/Yahoo!トラベルの西村が、2025年の旅行トレンドを振り返り、年末年始、そして2026年のおすすめ旅行プランを語ります。
ぜひ、旅の計画にお役立てください。


※Yahoo!トラベルは、LINEヤフーからの委託により株式会社一休が運営しているサービスです

鳥海さん:
2025年はインバウンドが過去最高を記録した2024年を超えて約4,200万人になる見込みです。一方、外国人の消費額はやや伸び悩んでいて、買い物よりも体験重視にシフトしていることがうかがえます。
引き続き、円安の影響が大きく、日本人の海外旅行客数は1,400万人台で回復途上。やや変化は見られますが、コロナ前の水準にはまだ戻っておらず、海外旅行をよくされていた方が、インバウンドを避けて、国内のリゾートホテルや温泉を選ぶという流れは今年も変わりませんでした。

鳥海さん:
大阪・関西万博の人気と注目は、とにかく大きかったですね。4月13日から10月13日まで184日間開催されましたが、当初は「大屋根リング以外にどんな見どころがあるのかわからない」といった声もあり、期待値は低めでした。
それが始まってみると、「あのパビリオンがすごいらしい」「ミャクミャクがかわいく見えてきた」など口コミが広がり、じわじわと盛り上がりを見せました。
一方で、期待値が高かった「ジャングリア沖縄」(7月25日開業)は、現状ではかなり空いている状況です。レストランや一度に楽しめるアトラクションの選択肢が限られている点、そして沖縄らしさがあまり感じられないことなどが影響しているようです。私も行ってみて実感しましたね。
大阪・関西万博で話題となった大屋根リング(Adobe Stock)

西村:
私は全国各地の宿泊施設の皆さまにお話を伺う機会があるのですが、今年は万博の影響が大きく、大阪のひとり勝ちという印象でした。5月以降は予約が一気に増えましたし、来訪者の多くが日本人観光客だったので、国内需要の押し上げにつながったと言えると思います。
一方で、今年の夏は酷暑の影響で旅行を控える方も多く、苦戦をしているといったご相談も目立ちました。
そのなかでも、インバウンドが少なく、コストパフォーマンスの良いエリアは旅慣れた方の支持を集めました。四国、中国、東北の宿泊施設は特に好調でしたね。
また、インバウンド好調の影響で外資系やラグジュアリーホテルの価格はさらに上がる一方で、中価格帯の宿泊施設は落ち着いてきています。こうした動きから、今後も価格帯による二極化は進んでいくと見ています。

鳥海さん:
はい、なかなかないビッグイベントですからね。私は海外旅行を減らして大阪に月に半分、好きな日に滞在できるホテルレジデンスを借り、合計で37回通いました。
国内パビリオンでは、大阪ヘルケアパビリオン「Reborn体験ルート」「未来人間洗濯機」、シグネチャーパビリオンでは話題になった落合陽一さんの「null²」(読み方:ヌルヌル)、そしてNTTパビリオンが特に印象に残っています。
海外パビリオンも魅力的で、ヨルダンの砂漠体験やアメリカの没入型展示、フランスの愛の讃歌をテーマにした空間、イタリアのアート、クウェートのインスピレーション展示などが心に残りました。実物を大胆に持ち込んだ展示が多く、とてもインパクトがありましたね。

鳥海さん:
そうですね。今年、ニューヨーク・タイムズが選んだのは富山と大阪でした。大阪は万博があったので予想通りでしたが、富山にも多くのインバウンドが訪れました。
朝ドラの効果も大きかったですね。「あんぱん」で今田美桜さんが主演されたこともあり、舞台となった高知は大いに盛り上がりました。
現在放送中の「ばけばけ」は松江が舞台で、もともとインバウンドが少なかったエリアということもあって、島根県全体で好調です。
そして2026年は、さらにその西側、山口あたりにも注目が集まりそうと見ています。このあたりは後ほど詳しくお話ししますね。
高知・桂浜公園の坂本龍馬像/イメージ写真(Adobe Stock)

鳥海さん:
年末に差し掛かっての出来事でしたがやはり、中国政府が11月14日に日本への渡航自粛を呼びかけた影響については避けられないトピックですね。
みなさんの記憶にもあると思いますが、夏には香港で「7月に日本で大災害が起こる」という予言が広まり、飛行機や宿などのキャンセルが相次ぎました。ただ、今回は中国本土ですので、影響の規模がまったく違います。この状況は、少なくとも来年の夏場くらいまでは続くのではないかと見ています。

西村:
2025年はインバウンドの本格回復が市場を力強く牽引した一方、国内旅行需要には慎重さも見られた一年でした。
鳥海さんのおっしゃる通りで、5〜7月の香港からのキャンセルの影響を受けた一部のエリアの宿泊施設様には大きな打撃がありました。あまりに突然の出来事でしたので、リカバリーできなかった宿泊施設様も多かったようですね。
中国政府が日本への渡航自粛を呼びかけた影響については、宿泊施設の皆さまにお話をうかがうと、中国からの観光客への依存を避ける体制に切り替えているところも多く、落ち着いて受け止めている声もあります。宿泊価格への影響は現時点では予想していたよりも限定的だなと感じています。中国からの観光客の予約のリードタイムは比較的短いので、もう少し間近のタイミングになってから実際のマーケットは動いていくものと思います。
例年中国では、旧正月の春節が大型連休にあたり、家族で日本旅行をする方が年々増えていました。2026年の春節は2月17日で、春節休暇は15日から23日まで9連休になります。本来なら一年で最も中国からの観光客が多い時期ですが、今回はその影響が避けられないでしょう。

鳥海さん:
ある程度、この流れは日本人観光客にも影響してくると思います。
具体的には、これまで中国からの観光客が多かったエリアは、今後しばらく「比較的旅行しやすい地域」になっていく可能性があります。
このあたりの詳しい傾向についても、後ほどまたお話ししますね。
「お伊勢さん」と呼ばれる伊勢神宮/イメージ写真(Adobe Stock)

鳥海さん:
今から首都圏を起点に行けるエリアで考えますと(11月28日時点)、新幹線で行ける都市部のシティホテルを拠点にするプランが現実的です。中国客が減っている今こそ、都市部が狙い目ですから。大阪や神戸、京都あたりも良いでしょう。
名古屋もおすすめで、さらに足を伸ばして、三重の伊勢神宮へ向かうプランも良いですね。
それから広島もいいですね。嚴島神社、しまなみ海道などの観光スポットもあります。

西村:
年末年始なら、「せっかくなら普段はなかなか泊まれない良い宿泊施設に行きたい」という方も多いですよね。予約状況を見てみると、例年なら早い段階で満室になっている京都や北陸の人気宿泊施設にも、今年はまだ空きがあり、予約できそうでした。
また、三重の伊勢志摩や鳥羽は、もともと中国からの観光客が多いエリアです。
1〜2月は旅行の閑散期で、中国からの観光客の減少も重なり、人気の宿泊施設にお得に泊まれるチャンスではないかと思います。
世界遺産の石見銀山/イメージ写真(Adobe Stock)

鳥海さん:
まず、インバウンド率が特に低いのが山陰地方です。島根県西部の萩・石見空港周辺は、まだまだ穴場といえます。
さらにその西側にある山口県長門市も、美しい棚田や多彩な見どころがあり、日本海の幸を味わえるグルメも充実しています。この島根県から山口県へと続くエリアは、これから注目していきたい地域ですね。
関西では、大阪や京都の代わりに奈良のホテルが続々とオープンしていて、選択肢が広がってきました。
和歌山も、「アドベンチャーワールド」からパンダはいなくなりましたが、施設の整備が進んでいて、引き続き魅力的なエリアです。
北海道も外せません。なかでも帯広市は、市内にモール温泉やサウナを楽しめるホテルがコンパクトにまとまっているうえ、屋台などでグルメも楽しめます。富良野や旭川、釧路へのアクセスも良いですね。
そして、今後のキーワードになりそうなのは、「外国人観光客が少ない」「コストパフォーマンスが良い」に加えて、「落ち着く」「疲れない」。無理なく楽しめる旅がますます求められていきそうです。

鳥海さん:
ですよね。今年、私のYouTubeで「1泊2日の旅行にもおすすめ! 疲れない空港ランキング」という企画をやったのですが、なかなか良い反響がありました。
その観点でいくと、私の推しは、宮崎ブーゲンビリア空港、函館空港、福岡空港、神戸空港、そして、先ほどもお伝えした萩・石見空港あたりですね。
福岡空港は特によく知られていますが、他のどの空港も、主要な観光地へのアクセスが良く、グルメも充実しているので、短い日程でも満足度の高い旅が楽しめます。

鳥海さん:
そうなんです。奈良と山口に注目してみてください。ほかにも、ニューヨーク・タイムズが毎年1月に発表する「今年訪れるべき場所」も気になります。これは予測が本当に難しいのですが、来年はどこが選ばれるのか楽しみですね。
それから、昨年もお伝えした通り、「島ブーム」が来るのではないかと感じています。屋久島、宮古島、伊良部島、石垣島などでは、新しいホテルやサウナが次々と誕生しています。
伊豆諸島も都内からのアクセスがよく、星空の美しい伊豆大島や神津島などが注目エリアになりそうですね。
神津島の美しい星空/イメージ写真(Adobe Stock)

西村:
そうですね。私たちは自社の一休.comに加えて、LINEヤフーと連携しYahoo!トラベルも運営しています。どちらも無駄のない効率的なコスト構造で運営できているため、その分をユーザーに還元するという戦略です。
一休.comは、ホテルや旅館での滞在も楽しむお客さまが多く、厳選された宿泊施設をお得に、そして心地よく予約できるのが魅力です。
一方でYahoo!トラベルは、カジュアルに旅を楽しむ方やビジネス利用が多く、全国の宿泊施設をいつでも誰でもオンラインカード決済限定で10%以上お得に予約できる点が強みです。
こうした特徴もあって、特にYahoo!トラベルでは、お得な価格で宿泊施設を提供しやすくなっています。

西村:
はい。Yahoo!トラベルではアプリをリリースしましたし、同じタイミングで一休.comのアプリもリニューアルしました。UI(ユーザーインターフェース)やUX(ユーザー体験)を大きく改善したことで、「予約までの手間がぐっと減って便利になった」と好評です。
また、今年はふるさと納税そのものが改訂され、9月末で各プラットフォームのポイント付与が終了しました。
そこで私たちは、日常的に使っていただけるサービスとして選ばれるよう、ふるさと納税の利便性を高める取り組みを進めています。
具体的には、「寄附先の共通クーポン化」によって、従来の「宿泊施設を指定してクーポンを購入」から「自治体のクーポンを購入し、その自治体の中にある対象の宿泊施設から幅広く選べる」ようになりました。
また、当日のお昼12時まで寄附を適用できるようにしたりと、急な予約にも対応できるようにしました。
さらに、有効期限もつい最近、5年から10年に延長しました。特に一休.comのユーザーには高額の寄付をまとめて行う方も多く、「使いやすくなった」という声もいただいています。宿泊予約との相性の良さを改めて実感しています。

西村:
一休.comとYahoo!トラベルでは、12月1日から20日23:59まで、人気の宿が最大20%お得になるキャンペーンを実施しています。対象プランをオンラインカード決済で予約するとポイントが付与され、その場で割引として使えるため、お得に宿泊できる企画になっています。
また、一休.comでは年末年始に限らず、毎月19日を「一休の日」として、テーマ別に人気宿トップ10を紹介し、宿泊された方に10%ポイントを付与するキャンペーンも行っています。こちらも旅の計画に活用いただけるとうれしいですね。
2026年も、多くのユーザーのみなさまに旅を楽しんでいただけるよう、今後も魅力的なプランをご提案していきます。ご期待ください!
取材日:2025年11月28日
文:LINEヤフーストーリー編集部
※記事中の所属・肩書きなどは取材日時点のものです。
