国内旅行の新トレンド 旅のプロに聞いた2025年に行きたい穴場エリアは?
近年、インバウンド需要の影響で、東京や大阪などの都市部ではホテルの価格が大幅に上昇しています。また、リゾート地でも予約が困難な状況が増えているようです。
オーバーツーリズムが国内でも大きな社会課題となっている中、混雑を避けつつ、コストパフォーマンスを重視した旅行先や、多少の出費を惜しまずに楽しみたい注目スポットはどこにあるのでしょうか?
この年末年始休みは「奇跡の9連休」の方も多く、旅のチャンスとも言われています。
そこで今回は、旅のプロフェッショナルである鳥海高太朗さんと、株式会社一休(※1)の西村に、2024年の旅行トレンド、年末年始と2025年のおすすめ旅行プランについて語ってもらいました。ぜひ、旅の計画にお役立てください。
※1 Yahoo!トラベルは、LINEヤフーからの委託により株式会社一休が運営しているサービスです
- 西村達雄(にしむら たつお)
- 株式会社一休 旅館・リゾートホテルチームリーダー兼事業支援部部長
2024年の国内旅行先の傾向
――まずは、2024年の国内旅行、日本人観光客の傾向について教えてください。
鳥海さん:
今年は円安や物価高の影響が大きく、海外旅行をよくされていた方が、国内のリゾートホテルや温泉を選ぶことが増えています。これはコロナ禍以降、2022年や2023年にも見られた傾向です。
ただ、インバウンド需要が増えてホテル代も上がってきたので、コロナ前に比べて高級ホテルに泊まる回数を減らす人も増えています。1、2泊くらいでの滞在が多いようです。グループ旅行よりも少人数の個人旅行が多い傾向も続いています。インバウンドの方も個人旅行が中心になってきていますね。また、テレワークが進んだ一方で、通勤ラッシュを経験する人も増え、その疲れを癒すために温泉旅行が特に人気を集めています。
コロナ禍では「家にずっといたから外に出たい」という流れがありましたが、最近は「毎日出社で疲れたから、のんびりしたい」という旅が増えているようです。
――人気のエリアはどこでしょうか?
鳥海さん:
日本人には沖縄や北海道が人気ですね。九州の温泉なども定番です。
一方で、外国人観光客は観光庁のデータによると、アクセスの良い関東圏、関西圏、中部圏の都市部に集中しています。その影響で、年末年始を含めて東京など都市部のホテルが、ビジネスホテルも含めて去年よりかなり高くなっています。これが日本人の旅行先選びにも影響を与えているわけです。
インバウンド消費動向調査
レンタカー問題が解消に向かった沖縄の道路/イメージ写真(Adobe Stock)
――去年と違いが見られたことはありますか?
鳥海さん:
2023年と2024年で大きく変わった点としては、レンタカーが借りやすくなり、価格も正常に戻ったことがあります。特に沖縄では、去年まではレンタカーがなかなか借りられなかった問題がかなり解消されました。
その一方で、ビジネルホテルも含めたホテル代が上がっていることもあって、特に家族旅行ではお財布事情が厳しくなり、旅の計画に慎重になっている印象です。
また、ここ1~2年で東京、大阪、京都、北海道、沖縄などでは外資系ホテルが次々とオープンしています。新しく開業したホテルは1泊5万円前後のところも増えていていることも、日本人観光客の動きに影響を与えているようです。
――東京や大阪のホテル代の高騰で、出張族が悲鳴をあげている話もよく聞きますね。
鳥海さん:
そうですね。東京、大阪で、昨年までは年末年始でも5,000〜7,000円で泊まれるビジネスホテルが多かったのですが、今年は1万円~1万5,000円くらいが普通になっています。
外国人観光客は、地方にも行かれるけど、都市部のホテルの需要が圧倒的に高いのです。カプセルホテルも増えていますが、こちらも価格が上がっている話をよく聞きますね。
――一休.comやYahoo!トラベルの予約状況などからは、どんな分析ができますか?
西村:
一休.comやYahoo!トラベルでは、国内のお客さまが利用されるので、都市部のホテルは鳥海さんがおっしゃるように、料金の高騰により、ジャンルを問わずアゲインストな状況となっています。その傾向はどの宿泊予約サイトも同じでしょう。
国内のお客さまについては、鳥海さんからもお話があったように、海外の方がまだいない、まだ知られていないエリアが人気となっています。「値上がりも緩やかな人気の宿にお得に泊まりたい」という傾向が読み取れます。関東近郊だと、意外にも熱海、箱根の仙石原あたりが動いています。
都心は、以前は1万円で泊まれていたホテルが今は1万5,000円でも難しい状況です。「1万円台で泊まるには調布や府中など、都心を離れないといけない」という話をよく聞きます。
外国人観光客が増えている京都の路地/イメージ写真(Adobe Stock)
――都市部以外で海外の旅行客に人気のエリアはどこでしょう?
鳥海さん:
外資系ホテルができると、そのブランドを求めて訪れる方が一定数います。たとえば、岩手の安比高原では、2022年にANAインターコンチネンタル安比高原リゾートがオープンして、外国人観光客が増えているようです。
海外の富裕層は、日本の地方に宿がない場合、魅力的な観光地であっても訪れない傾向がありますが、外資系ホテルが増えてくると行く傾向があります。北海道のニセコもその典型的な例ですね。
――オーバーツーリズムのニュースを目にしますが、京都はいかがでしょうか?
鳥海さん:
私は京都を定点観測しているのですが、去年よりも人出が増えて、紅葉のシーズンは特に混雑していました。平日でも渋滞がひどく、時間をずらして旅するしかない状況です。
そのため、「インバウンドに疲れた」という声も多く、2025年は混雑を避けて、知られていない国内の魅力的な場所を訪れる流れがトレンドになりそうです。
この点については、後ほど詳しくお話ししますね。
広島県廿日市にある嚴島神社/イメージ写真(Adobe Stock)
年末年始のおすすめの旅行先
――年末年始に、おすすめの旅行先はどこでしょうか?
鳥海さん:
今からですと(11月26日時点)、飛行機はもう高いですからね。沖縄が最もおすすめですが、新幹線で行ける都市部を考えるとビジネスホテルを拠点にするプランが現実的です。
その点、広島は比較的に値段を抑えられ、嚴島神社、しまなみ海道などの観光スポットもあります。
仙台、盛岡も意外とビジネスホテルは取りやすく、神社巡りやスキーも楽しめます。
日程をずらせるなら、リゾートホテルや温泉なども狙い目ですね。
西村:
私も同意見です。年末年始の予約状況を見ると広島、山口、鳥取、北陸の富山、東海の三重、東北の山形、福島あたりが動いています。
どこも海外の旅行客が少ないエリアです。特に三重の伊勢志摩や鳥羽はもともと中国からの観光客が多かったのですが、まだあまり戻ってきてないのです。ですから、お得にラグジュアリーなレジャーを楽しむにはおすすめです。
インバウンドの影響が小さい島根県松江市の松江城/イメージ写真(Adobe Stock)
2025年のおすすめ旅行先
――では、2025年のおすすめも教えてください。先ほど、インバウンドを避けるという話がありましたが、そういったエリアはどこですか?
鳥海さん:
特にインバウンド率が低いエリアが山陰地方です。島根県松江市には、松江城や玉造温泉など観光名所が豊富で、グルメ、地酒も楽しめます。出雲大社のある出雲市も魅力的ですが宿が少ないのが難点です。まだ、こうした魅力があまり知られていないのですよね。
また、車がないと行きにくい場所も注目です。たとえば、北海道の道東エリアなどは来年、人気が出そうだなと思っています。
最近、ロードサイドホテルなども話題で、アクセスが限られる場所、つまり、外国の方が行きにくい場所が、トレンドになると思うのです。
レンタカーの問題も解消しまたし、個人的にはカーシェアもおすすめです。スマホで予約できて、空港のターミナル内にできたところもあり、並ばなくてもいいから楽です。
2025年の盛り上がりが期待される大阪・関西万博/イメージ写真(Adobe Stock)
――2025年は4月に大阪・関西万博が開幕します。ホテル宿泊にも大きな影響が出ているでしょうか?
西村:
今のところまだ大きな影響は見られませんが、開催が近づくと価格が上がるため、早めに予約を取るのがおすすめです。
大阪の宿が取れない場合、アクセスの良い京都や神戸、滋賀エリアも良いと思います。特に京都は桜のシーズンが終わると、少し落ち着くと思うので、狙い目です。
3年ぶりに開催される瀬戸内国際芸術祭/イメージ写真(Adobe Stock)
――他に、トピックスに絡んだもので何かありそうでしょうか?
鳥海さん:
NHKで2025年春から放送予定の連続ドラマ小説『あんぱん』は、主演が今田美桜さんで、「アンパンマン」の作者・やなせたかしさんの奥さまがモチーフです。舞台となる高知県は盛り上がりそうですね。
また、個人的に注目しているのは、ニューヨーク・タイムズが毎年1月に発表する「今年訪れるべき場所」です。2023年は盛岡がブームになり、2024年は山口が注目されました。
今年どこが選ばれるか楽しみです。
他には、「瀬戸内国際芸術祭」が4月18日から5月25日にかけて開催されます。先日、しまなみ海道に久しぶりに行きましたが、島ブームが来そうな気もしています。屋久島、宮古島、伊良部島、石垣島あたりは、新しいホテルやサウナも続々誕生しています。
――何か、トレンドのキーワードみたいなものはありますか?
鳥海さん:
昨今、欧米で注目されているのが「トランスフォーマティブトラベル」という概念です。
自分を見つめ直す旅、学びを中心とした自己啓発的な旅をしようということですね。人生観を考え直すといった目的の旅も来年は増えそうです。
海外旅行でも、目的がない旅はなくなったと思っています。「安いから出かける旅」がなくなってきているのです。旅先で「これをやりたいから出かける」ということで旅に出る人が多いので、その延長で広がりそうですね。
あらためて、外国人のいないところを探すこと、今のいいところを探すことが1つの命題かなと思います。
西村:
トランスフォーマティブトラベルは、「リトリート旅」から続く流れですね。ここ2~3年の間に、ヨガや瞑想(めいそう)などのウェルネス系がはやりました。海外の方でも、日本人よりも日本のことをよく知ってから来て、小さな民宿を拠点にして、ハードに回る旅をされる方がいます。
国内の旅行客も似てきているのです。個人の成長、癒やしもそうですが、いろんな要素を旅に求めるようになっているのが顕著ですね。
一休.com、Yahoo!トラベルの強み、特徴
――旅行を計画する際に、一休.comやYahoo!トラベルを利用するメリットはなんでしょうか? 強みや特徴について教えてください。
西村:
一休.comは、旅することを愛するお客さまが多く、選りすぐりの宿をお得に、心地よく予約できるのが魅力です。Yahoo!トラベルは、カジュアルに旅を楽しむ方やビジネス利用が多く、全国の宿をいつでも誰でも10%以上お得に予約ができる点が強みです。
基盤となるシステムは一緒ですが、それぞれのお客さまに快適にご利用いただけるよう、ユーザーファーストを心がけて開発しています。
――ユーザーファーストを実現するために、どのような取り組みを行っているのですか?
西村:
毎週、社長の榊(さかき)が業績を分析したレポートを基に、改善すべき課題、注力すべきテーマを設定します。そのテーマについて、ユーザーインタビューと、カスタマージャーニー(※2)の分析を通じて、日々改善を行っています。
榊のデータ活用のアプローチや挑戦を楽しむ風土が社内に浸透しており、定量データだけでなく、ユーザーの感性も重視した改善のアプローチを行っているのです。
※2 カスタマージャーニー:顧客が商品やサービスを購入し、利用、継続・再購入に至るまでの一連の行動や体験の流れ
――ユーザーに知ってほしい推しの機能はありますか?
西村:
まず、「テーマ検索」がおすすめです。絞り込み機能の中で、「美食を叶える」や「夜景が綺麗」、「温泉自慢」「スイートルーム」など、さまざまなテーマでの検索が可能です。
お客さまに、「こういうお宿はいかがですか?」とレコメンドしているわけです。使っていただくと、自分でも気づいていなかったニーズを発見できるなど、「こういう宿を探したかったんだよね」という気づきがあるはずです。さらに、食事場所の絞り込みも可能です。
2つ目は「お気に入り登録」機能です。「行きたい宿」の登録件数が最大150件まででき、プロモーション通知も受け取れます。
最後に、宿泊前のお知らせをLINEで受け取れる機能も便利です。いずれも、一休.comと、Yahoo!トラベル両方で利用可能です。
LINEの通知
――では、最後に年末年始におすすめのキャンペーンなどがあれば教えてください!
西村:
一休.comでは、特に年末年始に限らず、毎月1日、9日、19日に、さまざまなテーマの人気宿トップ10を選び、宿泊された方に10%ポイントを付与するキャンペーンを行っているので、ぜひご利用いただきたいですね。2025年1月1日も実施しますのでお正月から人気のお宿がお得に予約できます!
年末年始、2025年も、多くのユーザーのみなさまに旅を楽しんでいただけるよう、今後も魅力的なプランをご提案していきます。ご期待ください!
取材日:2024年11月26日
※記事中の所属・肩書きなどは取材日時点のものです。
※変更履歴:キャンペーンに関する記載を一部修正(2024年12月23日)
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