「昨日よりも、もっと良い毎日を」 LINE Pay Taiwanが描く、決済の枠を超えた新しい日常
台湾人口の半数を超える1,360万人(※1)が利用し、生活に欠かせないインフラとなったLINE Pay。2024年12月の台湾証券取引所(TWSE)上場以降も、さらなる成長を続けています。
2025年12月17日、台北で開催された事業戦略発表会「LINE Pay Vision Day 2025」。多くのパートナーや投資家、報道陣を前に、LINE Pay Taiwanの会長兼CEOのJeong(ジョン)は、これまでの成長の軌跡や次のビジョンについて語りました。
本記事では、長年の悲願であったEPI(電子決済機関)ライセンスの取得による「完全体」への進化をはじめ、AIによる加盟店支援や、街歩きに新たな体験をもたらすAR技術の導入などについて紹介します。決済の枠を超え、人々の日常をアップデートしようとするLINE Pay Taiwanの、2026年に向けた戦略をご覧ください。
※1 2025年11月時点。
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設立10年目、「Be Better」を掲げるLINE Pay Taiwanの新たな船出
説明会の冒頭で、LINE Pay Taiwanの会長兼CEOであるジョンは、設立10年目という節目を迎えた決意を、次のように語りました。
ジョン:
2025年は、LINE Pay Taiwanにとって非常に意義深い一年でした。昨年のTWSE上場に続き、今年は長年の宿願であったEPI(電子決済機関)ライセンスを取得しました。これにより、「LINE Pay Money」サービスを正式に開始し、ようやく完全な決済プラットフォームとしての基盤が整いました。
私たちは過去10年間、第三者決済(TSP)事業者として、ポイント事業や金融連携、バウチャー事業、広告事業と、収益モデルを広げてきました。2026年、LINE Pay Taiwanはこの強固な基盤のもと、さらなる飛躍を目指します。国内事業の深化はもちろん、海外市場への本格拡大も推し進めていきます。そして、私たちの「人々の生活の一部となる」というビジョンに、より一層近づいていきたいと考えています。
このビジョンを現実のものとしていくプロセスにおいて、私たちは「Be Better」というスローガンを掲げます。あらゆる領域において、昨日よりも良いLINE Payを作り続ける。私たちの確固たる意志であり、ユーザーの皆さまへの約束です。
LINE Pay Taiwan 会長兼CEOのジョン
台湾から世界へ 盤石なユーザー基盤
続いて、2025年の事業実績が発表されました。
ジョン:
まず取扱高ですが、2025年11月時点で約7,910億台湾ドルに達しており、12月末までには8,000億台湾ドルを超える見込みです。
ユーザー数は台湾人口の半数を超える1,360万人を突破し、累計2,090万枚以上の銀行カードがLINE Payに連携されています。これは、台湾市場に流通するカードの約3分の1を占めており、強固な利用基盤を築いています。
決済可能箇所は、台湾で66万、海外で8万の計74万店舗以上にのぼります。最も広範なオフラインネットワークを持つサービスの一つへと成長しました。特に海外展開においては、競合他社とは異なり、「現地の加盟店と直接契約を結ぶ」独自の戦略を徹底しています。その結果としての8万以上という数字は、この戦略の確かな手応えを示しています。
2025年11月時点において、取扱高、ユーザー数、登録カード数、決済可能箇所は全て順調に成長している。
売上についても、2023年の約49.3億台湾ドルから、2024年には約63億台湾ドルへと大きく成長。2025年は、11月時点ですでに71.5億台湾ドルを超えています。取引量の安定的な増加とともに、他の事業領域も順調に成長していることを示しています。
営業利益については、2025年第3四半期時点で約5億台湾ドルとなりました。前年同期比では一時的に減少しましたが、これは将来の成長に向けた積極的な投資を行ったためです(※2)。この戦略的投資を通じて、堅固な売上成長基盤を築き、持続的な利益成長を実現していきます。
※2 投資先は、サービス革新に向けた集中開発、EPIサービス開発、IDC構築、国内外事業の深化を目的としたプロモーションなど。
売上(左)は、2025年11月時点ですでに71.5億台湾ドル、営業利益(右)は2025年第三四半期時点で約5億台湾ドルを記録。
「コンテンツ」が取引を創出する グローバル戦略の確かな手応え
続いて、LINE Pay Taiwanが2025年に行った海外事業拡大への取り組みと、その成果が語られました。
ジョン:
先ほど申し上げた「Be Better」というスローガンに近づくためには、LINE Payのサービスそのものが、今以上に進化しなければならないと思っています。
2026年の飛躍に向け、LINE Pay Taiwanが2025年に最も注力してきた取り組みの一つが、「海外事業の本格拡大」です。
2024年の業績発表会において、私たちは台湾での強みを基盤に、韓国、日本、そして東南アジアへと段階的に市場を拡大していく戦略をお伝えしました。その第一陣として韓国でパイロット事業を実施した結果、わずか1年で目覚ましい成長を達成することができました。
2025年12月末までに、約15億台湾ドルの取扱高と30万人以上のLINE Pay利用者を見込んでいます。
韓国でのパイロット事業の結果。2025年末までに取扱高は約15億台湾ドル、LINE Pay利用者は30万人以上、決済可能箇所は8万以上になる見込み。
決済件数も継続的に成長しており、市場が私たちの戦略に明確に応えていることがわかります。これは、単なる試験運用ではなく、実質的な利益を生むビジネスモデルの確立を意味します。
この成功の鍵は、「コンテンツプラットフォーム戦略」です。私たちは海外店舗の情報を単なる「データ」として扱うのではなく、一つの「コンテンツ」として価値を高め、ユーザーに「理由のある消費体験」を提供したのです。
パーソナライズされた体験 : 旅行ルートに合わせた最適な店舗をレコメンド
ストーリーテリング : 主要ショッピングエリアの魅力を物語として伝え、購買意欲を喚起
即時特典の融合 : リアルタイムでインセンティブを提供し、購買意欲を後押し
これらをかけ合わせることで、LINE Payユーザーが韓国で「より簡単に、より楽しく、より多くの場面で」決済できる環境を整えました。コンテンツがユーザーを動かし、その結果として取引が生まれる。この「コンテンツ基盤の決済プラットフォーム」という独自の競争力こそが、2025年における収穫のひとつです。
決済の枠を超える「Be Better」に向けた新たな機能
説明会の後半には、2026年の戦略の核心となるサービス機能が発表されました。
LINE Pay Moneyによる柔軟な金融体験
ジョン:
2025年、LINE Payは決定的な転換点を迎えました。EPI(電子決済機関)ライセンスの取得とともに「LINE Pay Money」を開始したことです。
これまでのLINE Payは、クレジットカード基盤のサービスであったため、ユーザーの多様な決済ニーズや金融体験を十分にカバーするには制約がありました。しかし、EPIライセンスの取得によって、支払いや個人間送金、チャージなど、より柔軟な金融サービスを、LINE Payのエコシステム内で完結できるようになりました。LINE Payが「不完全なサービス」から「完全なサービス」へと進化したことを象徴する、新たな始まりです。
LINE Pay Moneyのサービス画面。さまざまな金融体験がLINE Pay内で可能。
12月3日のリリースからわずか数週間で利用者は170万人以上を突破しました。この基盤をもとに、さらに大きな成長を実現していきます。
AIで進化する店舗管理
続いて、加盟店のオーナー様向けアプリ「Good Partner App」の進化です。
ジョン:
これまでGood Partner Appは、店舗管理を支えるツールとして多くの機能を提供してきました。しかし、統計データを一つひとつ確認したり、複数のオプションを選択したりしなければ使えないプロモーション機能は、多忙なオーナー様にとってかえって負担になっている側面もありました。
こうした課題を解決するため、私たちはAI技術を導入し、サービスをアップデートしました。その一つが、「AI Insight Report」です。
AI Insight Reportは、単なる「取引量変動レポート」という枠を超え、なぜ取引量が変化したのか、その理由を深掘りしレポートとしてお届けします。取引データだけでなく、天候、祝日、地域イベントといった外部要因もかけ合わせて総合的に分析し、店舗状況を一目で理解できるよう最適に整理します。
オーナー様はもう、複雑な数字を読み解く必要はありません。直感的にビジネスの流れを理解し、次の一手へと集中できる環境を提供します。
AI Insight Reportの サービス画面。
二つ目は、レポート体験そのものを変える「AI Audio Report」です。これは、日々の売り上げ状況を1分間に凝縮して届ける音声ブリーフィング機能です。
通勤途中や、忙しい仕込みの時間にも、まるでラジオを聴くような感覚で「今日の取引量の流れ」を把握できます。
数字やグラフなどのデータに慣れていなくても、言葉による解説でより直感的に理解できます。
AI Audio Reportの サービス画面。
三つ目は、「AIマーケティングアシスタント」です。これまで、店舗のプロモーションを行うには、キャンペーンの種類や特典、期間の設定など、膨大な検討事項をオーナー様自身が判断しなければなりませんでした。プロセスの中に多くの判断ポイントが存在していたことで、施策の実行を断念したり、毎回同じようなマーケティングに陥ってしまったりするケースも少なくありませんでした。
これからは、AIが先に店舗の現状を診断し、最も効果的なマーケティングを具体的に提案します。オーナー様は、AIが提案した案の中から一つを「選ぶ」だけです。ワンクリックで、マーケティングを開始できます。
戦略を「作る」のではなく、戦略を「選ぶ」方式へ。オーナー様の手間を省き、本来の店舗運営に集中できる環境を整えます。
私たちが提供するのは、単なる機能ではありません。
Good Partner Appは、実績を可視化するツールから店舗経営を支えるAIエージェントへと進化します。これからのLINE PayのAIは、加盟店の皆さまの「より良い未来」を創り出す中核的な原動力になるでしょう。
街を体験する地図「トレジャーマップ2.0」
ジョン:
次にご紹介するのは、「トレジャーマップ2.0」です。知らない街を歩いているとき、雰囲気が気に入って近くのカフェを探そうとしたけれど、地図を見ても実際の街並みとうまく照らし合わせられない。皆さんも、こんな経験はありませんか? そんな日常のちょっとした「不便さ」が、私たちの出発点でした。
「もし、現実世界の情報をそのまま地図上に映し出せたら、もっと簡単で直感的になるのではないか?」この想いから生まれたのが、LINE Payの新しい地図体験、トレジャーマップ2.0です。
AR(拡張現実)技術「LINE Pay AR」を用いることで、カメラを起動して街並みに向けるだけで、お店の営業時間やユーザーのレビュー、店舗情報などが、風景の一部であるかのように浮かび上がります。
LINE Pay ARを用いたトレジャーマップでは、カメラを起動して街並みに向けるだけで、お店の営業時間やユーザーのレビュー、店舗情報などが確認できます。
さらに、各店舗の特徴や情報が3Dオブジェクトとして出現します。街全体が、没入感あふれる情報空間へと変わり、その雰囲気や魅力が伝わってくる。これが、私たちの創り上げたい「未来の地図」です。
この機能は、まずは一部のエリアから提供を開始し、2026年には台湾全土の主要エリアへと順次拡大していく予定です。
「探す」地図から街を「体験する」地図へ。LINE Payは決済の枠を超え、街の歩き方、そして暮らしの楽しみ方そのものを再定義していきます。
各店舗の特徴や情報が3Dオブジェクトとして出現します。
最後に発表されたのは、広告の常識を覆す「LINE Pay Ads」です。
ジョン:
私たちが日常で目にする広告は、時に「押し付けがましいもの」として敬遠されがちです。しかし、LINE Pay Taiwanが挑むLINE Pay Adsは、その常識を根本から覆します。
私たちが目指すのは、広告を「楽しさと報酬を提供するユーザー体験」へと昇華させることです。店舗とユーザーの間に、「Better Connection(より良いつながり)」を築いていきます。
街を冒険する「地域の宝探し」は、ユーザーが街中で地図を開くと、近くに隠された「宝物」が現れます。見つけると、ポイントやクーポンをその場で獲得できます。広告という枠を超えた、街を舞台にした「探検体験」です。
そのほか「友だちボーナス」「投票広告」「オンラインチラシ」「決済くじ」の機能によって、ユーザーは楽しみながら気軽にキャンペーンに参加し、報酬を受け取れます。
わずか数秒のアクションで報酬を得られるこの仕組みは、広告が「参加型ゲーム」へと変わります。店舗にとっては、確かな露出と来店動機を生む、スマートなオフライン広告の完成形です。
我々が構築しようとしているのは、「決済 → 参加 → 報酬 → 地域トラフィック → 店舗訪問」というポジティブなサイクルです。
この循環によって、ユーザーは楽しくお得に、店舗はより成長し、街はより活気あるものへ変わっていくと信じています。
暮らしのあらゆる瞬間に寄り添い、パートナーと共に未来を育む
ジョン:
「人々の生活の一部となる」というビジョンの実現に向け、LINE Pay Taiwanはこれからも絶えず進化を続けていきます。
決済を起点に、多様なサービス体験へと領域を広げ、日常のあらゆる瞬間に自然と寄り添うサービスを創り出すこと。
そしてパートナーの皆さまと共に、暮らしの中に溶け込む価値を大切に育て続けていくこと。
2026年、LINE Payは「昨日よりも、もっと良い毎日(Be Better)」を目指し、皆さまと共に新しい未来を切り拓いていきます。
説明会の後半では、QAセッションも行われました。
※2025年12月17日のLINE Pay Vision Day 2025の内容を編集しています。
LINE Pay Taiwan CEOインタビュー
LINE Pay Taiwan 会長兼CEOのジョンに、今回の発表に対する反響、今後の展望について聞きました。
Jeong Woong-Ju (チョン・ウンジュ)
LINE Pay Taiwan 会長兼CEO
韓国の延世大学でコンピュータ工学の修士号を取得。2013年に旧LINE(株)に入社。LINE Pay(株)のCOO(Chief Operating Officer)としてグローバル業務を担当していた当時、台湾のLINE Payサービスが他国に比べ業績不振であったことから、事業改善を目指しLINE Pay Taiwanを主導。2016年から会長を務めている。LINE Financial Corp、LINE Pay Plus、LINE Bank Taiwan Limitedなどの取締役も兼任する。
――今回の説明会に対して、パートナーやメディアからはどのような反応がありましたか?
LINE Pay Vision Dayには、350名を超えるパートナー、投資家、メディア関係者にご参加いただき、会場全体で非常に高い関心と活発な交流が見られました。
紙媒体・放送メディアの双方から大きな注目を集め、主要なニュース媒体やテレビチャンネルを含む、幅広いメディアで取り上げていただいています。
説明会でお伝えした戦略やサービスの方向性については、パートナーや投資家の皆さまから多くの前向きな声をいただき、大きな励みになりました。すでに、今後の協業の可能性を見据えた具体的なフォローアップの議論もいくつか始まっています。
今回のLINE Pay Vision Dayを通じて、パートナーや投資家、そして一般の皆さまとのコミュニケーションをより一層強化できたと感じています。また、より良い生活と、便利で革新的な決済プラットフォームを目指すLINE Payのビジョンと、その長期的な取り組みの姿勢を明確にお伝えできた と思います。
今後もパートナーの皆さまと密に連携しながら、具体的な協業へとつなげ、ユーザーにさらなる価値を提供していきます。
――今回、特に注目を集めたサービスについて教えてください。
「Be Better」というスローガンのもと、LINE Pay Vision Dayでは、Good Partner Appを通じたLINE Pay AI、トレジャーマップ2.0の機能LINE Pay AR、LINE Pay Ads、LINE Pay Moneyの4つの主要なサービス領域をご紹介しました。これらはいずれも、LINE Payが決済にとどまらず、より良く、よりつながりのある日常生活を支える存在へと進化していることを示すものです。
中でも、今回の説明会で初めてお見せしたARを使ったトレジャーマップは、参加者から特に大きな関心を集めました。インタラクティブなマップを通じて、近隣の店舗やプロモーション、地域の体験を直感的に発見できる点が評価され、多くのパートナーから、オンラインでのエンゲージメントとオフラインへの来店の双方を促進できるサービス として高い期待の声が寄せられました。
また、加盟店向けのAIソリューションについても、ビジネスパートナーから大きな注目を集めました。これらのサービスは、顧客行動の把握や業務の最適化、マーケティング効率の向上を支援する ことを目的としており、テクノロジーを通じてパートナーを支援していくという私たちの姿勢を体現しています。
こうしたサービスを通じて、ユーザーにはよりスマートな体験を、パートナーにはより持続可能な成長機会を提供することで、「Be Better」を具体的に実現 していきたいと考えています。
――長年の目標だったEPIライセンス取得において、最も苦労した点は何でしょうか?
EPIライセンスの取得は、銀行と同等の金融サービスを提供するための重要な一歩であり、LINE Payにとって大きなマイルストーンでした。
EPIライセンスでは、システムの安定性、情報セキュリティ、内部統制、リスク管理、法令遵守など、あらゆる面で最高水準が求められます。グローバルレベルの技術要件を満たすだけでなく、インフラやガバナンス体制、運用プロセスが銀行レベルの基準に完全に沿っていることを、規制当局に対して丁寧に示していく必要がありました。
このプロセスを通じて、私たちは技術力やセキュリティ体制を一段と強化すると同時に、LINE Payが従来の金融機関と同等の信頼性・安全性を備えた金融サービスを提供できる段階にあることを、市場に示すことができた と考えています。
今回のライセンス取得は、今後のサービス拡大に向けた確かな基盤となるものであり、ユーザーやパートナーの皆さまに対して、安全で信頼できる金融サービスを提供し続けるという、私たちの長期的なコミットメントをより強固なものにする成果 だと捉えています。
取材日:2025年12月17日
※本記事の内容は取材日時点のものです
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