神アプデの舞台裏─全絵文字が利用できる「リアクション」機能でもっと気軽で豊かなコミュニケーションへ

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LINEの「リアクション」機能のプロダクトマネージャー材木 駿平の写真。正面を見て笑顔でほほえんでいる。

「気軽にさりげなく思いを表現する」
そんな思いを込めて、2021年8月にリリースされたコミュニケーションアプリ「LINE」の「リアクション」機能。これは「LINE」のトーク上で、任意のメッセージや画像にピンポイントにコミュニケーションできるものです。このリアクション機能に、ユーザーが保有する全ての絵文字が使用可能になる新機能が追加されました。

そこで今回は、プロジェクトマネージャーの材木に新機能リリースの背景やユーザーの反応、これからの展望について聞きました。

この記事のインタビュイーである材木の顔写真。笑顔で正面をむいてほほ笑んでいる
材木 駿平(ざいき しゅんぺい)
エンターテインメントカンパニー トーク事業統括本部 トーク事業本部 トークプロダクト室 エンハンスコミュニケーション企画チーム リーダー
2019年LINE(現LINEヤフー)入社。プロジェクトマネージャーとして「LINEスタンプ」をはじめ「LINEスタンプ プレミアム」や「アニメーション絵文字」、「リアクション」機能などを担当。

ユーザーが保有する全ての絵文字がトークリアクションとして使用可能に

――まずは「リアクション」機能について教えてください。全世界で多くのユーザーに使われている機能と聞いていますが、どんな特徴があるのですか?

コミュニケーションアプリ「LINE」のトーク画面上に表示された画像やメッセージなどを長押しすることで、絵文字を添えてコミュニケーションできる「リアクション」機能は2021年8月にリリースされました。

特徴として、スタンプとは違い絵文字を送信しても相手側に通知されないため、相手に負担を感じさせにくく、深夜などに相手の通知音を鳴らさずに反応できます。また、表示されるUIも小さく、「気軽さ」と「さりげなさ」が好評で多くのユーザーに利用いただいています。

1日当たりの送信数は全世界で約5,000万回、日本では約2,500万回で年々拡大しています。さまざまな性別・年代のユーザーに利用いただいていますが、メインユーザーは若年層です。ライトに返信できる「気軽さ」と「さりげなさ」が若年層のコミュニケーションスタイルにフィットしていると分析しています。

――今回のアップデートの内容について教えてください。

これまでの「リアクション」機能では、6種類のリアクション絵文字しか使えませんでしたが、5月29日より、ユーザーが保有する全ての絵文字をリアクションで利用できるようになりました。
たとえば、ポケモンやハローキティなどのIP(※)キャラクターを使った公式絵文字や、ちいかわなどのクリエイター絵文字も、すべて使えるようになっています。これによって、ユーザーは表現の幅が広がり、より多様で個性豊かなコミュニケーションが可能になりました。

※ Intellectual Propertyの略称で「知的財産」

LINEのトーク画面と、新しくなった「リアクション」で使えるさまざまな絵文字が表示されている。

今回のアップデートにより、約24万種類の絵文字が利用できるようになった

――今回のアップデートにはどのような背景があったのでしょうか?

ユーザーにより楽しく便利に「リアクション」機能を使ってもらうために、「利用できる表情のバリエーションを増やしたらどうか?」と仮説を立て、ユーザー調査をしたところ「ぜひ使ってみたい」と反応が良かったんです。くわえて、カスタマーサービスやSNS上に寄せられた「仕事で使える表現がほしい」「6種類では物足りない」「気持ちにピッタリな表情がない」などの表情のバリエーションに対する要望もきっかけとなり、今回のアップデートに至りました。

――リリースまでに大変だったことを教えてください。

すでに多くのユーザーに受け入れていただいている機能なので、既存の価値を損なわないようにアップデートを心がけました。「リアクション」機能は、もともとの絵文字より表示されるサイズが小さいのでUI/UXの設計やテストケースの膨大さ、表示条件の調整など技術的難易度は高かったです。

プロジェクトは開発、デザイン、法務、セキュリティ、アライアンスなど多くの部署と進めていきましたが、メンバー全員に"ユーザーファースト"という共通のモチベーションがあり、意思決定における目線合わせはとてもしやすい環境でした。これはLINEヤフーの開発環境の魅力だと改めて実感しました。 

明るい光が差し込むなか、緑色のソファに腰かけて材木がインタビューに答えている

ユーザーから「神機能」などのポジティブな反応

――リリース後、ユーザーからの反応はいかがでしたか?

ユーザーからはSNSを中心に、「神機能」「革命」「最高」などポジティブなコメントが多く寄せられました。通常、新機能を追加すると変化に対する抵抗を感じる方も多く、「以前のほうが良かった」「元に戻してほしい」といったコメントを寄せられることが多いのですが、今回はネガティブなコメントを見つけるのが難しいといったうれしい状況でしたね。

利用回数としても、提供開始後、1日で全世界でのリアクション送信数が6,200万回を突破し、リリース前の平均送信数より114%増加となりました。特に国内での利用が好調で、国内だけで約3,000万回を記録し、リリース前の平均送信数より122%増加となりました。

――そのほかに変化はありましたか?

売上面でLINE絵文字単体の課金がリリース直後に爆発的に伸びました。新機能に興味を持ってくださったユーザーが、新しい絵文字を購入する動きが顕著にあらわれた形です。絵文字が使い放題というサブスクリプションサービスもあるのですが、こちらも伸長しています。

そしていま、そうしたユーザーの利用状況や盛り上がりを受けて、クリエイターさんから新たにたくさんの絵文字が生み出されている状況です。リアクションだからこそ映えるクリエイティブというものを考えてくれていて、クリエイターさんの収益はもちろんですが、創造力を刺激することができたのかなと思うとうれしいですね。

――すごい手応えですね。

リリース後、ユーザーのコミュニケーションが盛り上がっている様子を実感でき、事業的な貢献にもつながり、とてもやりがいを感じています。

また、台湾やタイなどの海外での新機能の利用状況も視察したのですが、海外のコミュニケーションでも利用されている様子を目の当たりにして、インパクトの大きさを感じました。

――「リアクション」機能の意外な楽しみ方などはありますか?

「リアクション」機能は、1メッセージに対して1回リアクションできる仕様ですが、LINE絵文字のパッケージの中につなげて使うものや組み合わせられるものがあり、友達と協力し合ってハートを作るなどの新しいコミュニケーションが生まれたのはおもしろいなと思いましたね。

LINEのトーク画面のキャプチャ。絵文字を組み合わせてハートをつくっている

新機能の提供により、ユーザー間で新しいコミュニケーションが生まれている

LINEのデフォルト絵文字「えもじの子(仮)」が爆発的大ヒット

――今回のアップデートでLINEのデフォルト絵文字「えもじの子(仮)」が注目を浴びています。

LINEのデフォルト絵文字をきっかけに誕生した「えもじの子(仮)」は、多くのユーザーに愛着を持っていただき、「リアクション」機能でも爆発的に利用されています。今後の「えもじの子(仮)」の展開にも注目いただきたいです。

2024年11に誕生した「えもじの子(仮)」のX(旧Twitter)への投稿画面。絵文字のラインナップが表示されている。

2024年11月に誕生した「えもじの子(仮)」の公式絵文字は2024年12月31日から販売開始

LINEトーク画面に表示された「えもじの子(仮)」の絵文字ラインナップ。

「リアクション」機能で爆発的な人気の「えもじの子(仮)」

――最後に、今後どのようなことにチャレンジしていきたいですか?

LINEスタンプは、10年以上使われていて、完成されたプロダクトのようにいわれることも多いのですが、部署内では、「ポテンシャルの10%くらいしか発揮されておらず、まだまだ伸びしろがある」とみんなで話しています。
できることはまだまだたくさんあると思っています。引き続き、クリエイター支援による「コンテンツ」とユーザビリティ改善による「機能」を土台に、ユーザーの声に耳を傾けながら「リアクション」機能でしか伝えられない感情や表現を増やし、次世代のコミュニケーションづくりにチャレンジしていきたいですね。

取材日:2025年6月17日
文・LINEヤフー社内広報編集部 撮影・倉増 崇史
※本記事の内容は取材日時点のものです

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