こんにちは、LINEヤフービッグデータレポートです。
先日、2024年10月に実施された第50回衆議院議員総選挙(以下、衆院選)についてレポートをリリースしました(第50回衆院選選挙をビッグデータで振り返る)。
今回はその続編です。
選挙の結果、与党が議席数を減らし、野党では立憲民主党、国民民主党、れいわ新選組が躍進する一方、日本維新の会は議席数を減らしました。しかし大阪府の19選挙区においては維新が全勝しました。
一体大阪では何が起こっていたのでしょうか? データで深掘りしてみましょう。
図1は小選挙区における都道府県別の得票率を維新降順に並べたものです。大阪は維新の得票率が4割以上とひときわ高く、一方で立憲の得票率が極めて低い状況です。維新の得票率が高いエリアは、滋賀、兵庫、奈良、京都と、大阪近県が続きます。東京や福岡などの大都市圏も比較的高かったようです。
図2は維新の得票率を日本地図上に表したものです。近畿での強さが見てとれます。
次に、「Yahoo!検索」のデータによるインターネット上の主要政党注目度の変化を大阪府に絞って見てみました。ここでの「盛り上がり度」とは、公示前の検索数を基準値1とした場合の公示後の変化を表したものです。大阪の各政党の盛り上がり度を全国と比較すると、維新の盛り上がり度が低めであったことがわかります。他の主要政党は立憲が全国よりやや低いものの全国と比べてさほど変わらないようです。
これまでの国政選挙の解析結果から、盛り上がり度は与党などの歴史が長く一定の支持層が固いと思われる既存政党では低めであり、比較的新しい政党や時事的な話題性のある政党では高めの傾向があることがわかっています。維新の場合、全国区では盛り上がり度が高めの話題政党的な位置付けであるのに対し、大阪ではむしろ低めで既存政党に近い位置付けということになります。
インターネット上の注目度と得票数の相関はどうでしょう。大阪特有の特徴はあるのでしょうか。図4の通り、インターネット上の注目度以上に得票を獲得しやすい、つまり得票コンバージョンが高い政党と、逆に注目度は高いが得票にはつながりにくい政党が存在します。維新は大阪においては得票コンバージョンが高い政党と言えそうです。他の野党の多くは得票コンバージョンが低い政党群に位置しており、与党が両者の中間にあります。
逆に維新の得票率が低いエリアはどうでしょう。図5は、図1で維新の得票率が低かった5県に絞って同様に注目度と得票数をプロットしたものです。これらのエリアでは自民の得票コンバージョンが高く、第一野党である立憲以外の野党は総じて得票コンバージョンが低い傾向です。
図4と図5を比較すると、大阪での維新と、5県での自民が似たポジションに位置することがわかります。また、大阪での自民と5県での立憲も同じような位置に存在します。つまり、大阪では維新が与党的な位置にあり、自民が第一野党的な位置にあったようです。なお前回レポートの図6で示した通り全国で見ても図5に近い傾向です。大阪の特異性が見てとれます。
最後に、「Yahoo!検索」による主要政党への関心を年代別に確認してみました(図6)。全国との差分で見ると、大阪はどの年代でも維新への関心が相対的に高く、逆に低いのは立憲と国民でした。他政党は大きな差はないものの、その中でも自民はやや低め、公明はやや高めであり、与党であっても必ずしも傾向が一致しないのが興味深いところです。立憲と国民以外の野党の場合もやや高めの傾向が見られました。
以上、LINEヤフービッグデータレポートでは地域に特化した社会課題についてもデータにもとづいた考察を行っていきたいと思います。今後ともよろしくお願いいたします。