今冬もインフルエンザのシーズンが到来しました。
過去のレポートでもお伝えしたように、2020年から2022年のコロナ禍では、徹底的な衛生管理と意識の向上により、冬季のインフルエンザの大規模な感染拡大が抑えられるという現象が見られました。しかし、昨年2023年にはその反動からか、夏の終わり頃からインフルエンザが流行し始め、秋には一時的なピークを迎えるという、過去にあまり例を見ないパターンが発生しました。
では、2024年はどうでしょうか。ここまでのデータを見るとコロナ禍前の動きに戻ったように見えます。つまり、これまでの典型的な流行パターンである、11月の終わりから12月にかけて流行が始まり、1月後半から2月前半にピークを迎えるという動きに近い流れとなっています。
実際に厚生労働省より発表されている最新のデータを見てみましょう。
2011年1周目〜2024年50週(12月9日〜12月15日)
集計対象期間:2011年1週目~2024年50週目
資料:厚生労働省
2024年の第50週の定点患者報告数は19.06です。
この数値は、1.0を超えるとインフルエンザの流行入り宣言が発布され、ピーク時には40~60ほどになることが多いです。つまり、19.06という数値はすでにかなりインフルエンザの流行が広がっている状態を示しています。また、先週の報告数が9.03だったことから、その増加は驚くべきものです。
上記の波形を見ていただければわかるように、2023年のイレギュラーな動きを除けば、冬季流行の立ち上がりが例年になく早く、その角度も急であることがわかります。同じタイミングで類似の角度を示しているのは2019年冬のデータで、この時は年明けからコロナの大流行が始まり、大きなピークを迎えることなく終息しました。
さて、今冬に関してはコロナウイルスの流行も重なるのではないかという懸念が報道されています。この点についても、厚生労働省のデータを確認してみましょう。
2023年19周目〜2024年50週(12月9日〜12月15日)
集計対象期間:2023年19週目~2024年50週目
資料:厚生労働省
2024年の第50週の定点患者報告数は4.15です。インフルエンザほどではありませんが、じわじわと上昇していることがわかります。過去の傾向から、一度感染拡大期に入ると、定点報告数が15~20まで連続的に上昇することが多く、今冬はインフルエンザとともに、コロナウイルスの感染拡大も並行して広がる可能性が高いと言えそうです。
LINEヤフーが保有するビッグデータを用いて、インフルエンザの定点患者報告数を予測してみましょう。第51週(12月16日~12月22日)の予測値は次のようになりました。
資料:厚生労働省、Yahoo!検索
次回発表のインフルエンザ定点患者報告数の予測数値ですが、50週から大きく上昇して、45.31というものすごく大きな値となりました。この数値は全国的にインフルエンザが蔓延しているといえる大きい数値です。
また、過去のグラフと比較すると、今冬のインフルエンザは例年より早くピークを迎える可能性が高いことがわかります。とくに年末年始がかなり要注意だというのは波形からも見て取れますので、帰省やお出かけなどでインフルに感染しないように最大限の注意が必要です。
併せて、都道府県別の予測値も確認してみましょう。
インフルエンザ感染状況マップ
資料:厚生労働省、Yahoo!検索
このように、すべての県において前週から定点患者報告数が大きく伸びる予測となっており、日本全国が急激な流行拡大期に入っていることを示しています。特に福岡県や大分県、鹿児島県などでは予測値がとても高い数値を示しており、特段の注意が必要です。
上記予測の傾向から、現在インフルエンザは過去と比較しても「例年より早めに、かつ急激に、全国的に激しい感染拡大が起こっている」と考えられます。
なお、コロナウイルスについても過去のレポートで予測ロジックを構築しており、51週の予測値も確認してみましょう。
資料:厚生労働省、Yahoo!検索
51週の予測値は6.43で、インフルエンザほどの急増ではありませんが、先週比で53%増加しており、流行拡大のペースが続いています。このままの傾向が続けば、インフルエンザとコロナウイルスの感染者数がほぼ同時期にピークを迎える可能性があり、今冬は特に強い感染症対策が求められます。
LINEヤフービッグデータレポートでは、これからも世の中の課題についてデータを元に検証し、データが持つ可能性や力強さをお伝えしてまいります。今後ともビッグデータレポートをよろしくお願いいたします。