AIエージェントで「買う」と「売る」はどう変わる? Yahoo!ショッピングが目指す新たな買い物体験

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市丸数明と河内俊介が机に座り、Yahoo!ショッピングAIエージェントに関する説明会で話している様子。

「何を買おう」「どれを選ぼう」「今、買うべきだろうか」。日々の買い物には、小さな迷いがいくつもあります。LINEヤフーが運営するYahoo!ショッピングは、こうした買い物のプロセスをAIで支える取り組みを進めています。

2026年8月18日、LINEヤフー紀尾井町オフィスで「Yahoo!ショッピング」AIエージェントに関する説明会を開催しました。当日は、ユーザーの買い物を支援するAI機能に加え、ストアの運営を支える「Yahoo! EC Pilot」の取り組みも紹介。買う人と売る人、その双方に寄り添うAIエージェントの現在地と、これから目指す体験について説明しました。

AIが支える、新しい買い物の始まり

発表会は、市丸によるユーザー向けAIエージェントについての説明からスタートしました。

ショッピングSBU プロダクトユニットリードの市丸数明が、ステージ上で説明している様子。

ショッピングSBU プロダクトユニットリードの市丸数明

Yahoo!ショッピングは、「探す」「比べる」「買う」といった各場面でAI機能を提供してきました。AIチャット機能、商品比較、AIお買い物メモなど、買い物におけるさまざまなシチュエーションを支えています。

市丸は、「AIエージェント経由の取扱高比率は、2026年7月時点で約20%に達しました。提供開始から半年で、多くのユーザーにAIによる新しい買い物を体験していただいています」と説明しました。

Yahoo!ショッピングのユーザー向けAIエージェントの利用状況を示すグラフ。2026年7月のAIエージェント経由取扱高比率は約20%と示されている。

特に利用をけん引しているのが、「おトクな日を提案する機能」と「AIおまかせ比較」です。いずれも利用率は37%。いつ買うとお得かを知りたい、複数の商品を比較したいといった、購入前の「迷い」に応える機能です。

おトクな日を提案する機能とAIおまかせ比較の画面例。

「AIおまかせ比較」は、ユーザーに代わってAIが比較し、商品選びをサポートします。商品の情報を一つずつ見比べるだけでなく、どのような点に注目して比較すればよいかを示すことで、ユーザーが自分に合った商品を検討しやすくします。

さらに、買い物を始める前の「考える」「探す」を支援する機能として、「AIお買い物メモ」が紹介されました。月間利用者数は、2026年6月から7月にかけて約12倍に伸びています。

AIお買い物メモの画面例と、月間利用者数が約12倍に伸びたことを示すグラフ。

買い物のスタートは、「メモを残すだけ」

説明会では、「AIお買い物メモ」を使ったデモンストレーションが実施されました。

例として挙げられたのは、子どもの学校から「水遊び用のサンダルを用意してください」と案内があった場面です。足先が覆われていること、かかとや足首を固定できることなど、いくつもの条件が書かれた案内を受け取った場合、従来なら検索ワードを考え、商品ページを開き、条件を満たすかをユーザー側で判断する必要がありました。

「AIお買い物メモ」では、その案内のスクリーンショットをメモに保存するだけ。AIが内容を読み取り、条件に合う商品を探します。デモでは、単に「サンダル」を探すのではなく、条件によりマッチした「マリンシューズ」を提案しました。ユーザーは、提案内容を見て納得したうえで購入を検討できます。

欲しいものがまだはっきり決まっていない段階でも、まずはメモに残す。そこを入り口に、AIが商品探しをサポートする。そんな買い物体験が広がりつつあります。

5つの買い物プロセスに寄り添うAI機能

市丸は、AIによる支援を、商品を比較したり購入したりする場面だけでなく、買い物を思いつく段階から購入後まで広げていく考えを示しました。

Yahoo!ショッピングでは、こうした買い物のカスタマージャーニーを「想起」「探索」「比較・検討」「意思決定」「配送・利用」の5段階で捉えています。

買い物のカスタマージャーニーを想起、探索、比較・検討、意思決定、配送・利用の5段階で示し、各段階に対応するAI機能を示した図。

たとえば、「想起」では「AIお買い物メモ」、「探索」では「AIチャット機能」、「比較・検討」では「AIおまかせ比較」、「意思決定」ではおトクな購入日を提案する機能が、それぞれユーザーの買い物をサポートします。

買い物体験は、注文した瞬間に終わるものではありません。商品がいつ届くのか、遅れが生じた場合にどこへ問い合わせればよいのかといった不安もあります。

こうした配送・利用の段階を支援する新機能として、「AIお届け予報」を9月末に提供予定です。過去の配送実績などをもとに、AIが現在の配送状況や今後の見通しを整理、要約します。配送遅延時には、状況に応じた問い合わせ導線も案内する予定です。

AIお届け予報の機能を紹介するスライド。過去の配送実績などをもとに配送状況や今後の見通しを整理・要約し、配送遅延時には問い合わせ導線を案内することが示されている。

このほか、新たな買い物体験を支援する機能も紹介されました。ファッションの買い物における「これをどう着よう」「自分に合うサイズはどれだろう」という悩みに応えるのが、2026年秋にリリース予定の「AIおまかせコーディネート」です。気になる商品を選ぶと、ファッションスタイル別に複数のコーディネートを提案します。雰囲気だけでなく、着丈やサイズ感などのデータをもとに、着用時のサイズ感をイメージできます。

AIおまかせコーディネートの機能を紹介するスライド。気になる商品を選ぶと、ファッションスタイル別に複数のコーディネートを提案し、サイズ感をイメージできることが示されている。

その先に見据えるのが、「ヤフショメイク(仮)」です。これはAIの長期記憶を活用し、ユーザー一人ひとりに合わせた「自分専用の売り場」を提供する構想です。ページデザインや掲出される商品を、ユーザーが自由にコントロールできることを目指します。

ヤフショメイク(仮)の機能を紹介するスライド。気になる商品や情報にすぐアクセスできる自分専用の売り場を提供し、ページデザインや掲出商品をユーザーがコントロールできることが示されている。

ただし、AIがすべての買い物のあり方を置き換えるわけではありません。質疑応答では、買い物のプロセスそのものを楽しみたい人もいることに触れ、AIの利用を一律に求めるのではなく、ユーザーが自分に合った楽しみ方を選べる形を目指す考えも示されました。

ユーザーがサイト内を回遊しながら欲しいものを探す従来の買い物体験から、AIがユーザーの意図をくみ取り、必要な商品や情報をあらかじめそろえる体験へ

Yahoo!ショッピングが目指す世界は、「『欲しいものを探しまわる』から、『欲しいものがもうそろってる』へ」です。

3つの特徴でAIがストアをサポート

次に、ストア向けAIエージェントについて河内が説明しました。

ショッピングSBU プロダクトユニットリードの河内俊介が、ステージ上で説明している様子。

ショッピングSBU プロダクトユニットリードの河内俊介

買い物体験をより良くするためには、商品を販売するストアのサポートも欠かせません。河内が紹介した「Yahoo! EC Pilot」は、Yahoo!ショッピングを中心としたストアの日々の運営をAIで支援するサービスです。ストア運営ツール「ストアクリエイターPro」上で展開しています。

Yahoo! EC Pilotの主な機能と、ストアクリエイターPro上でのアクセス方法を紹介するスライド。

文章や商品情報の作成、ユーザーからの問い合わせ対応、分析など、毎日のEC運営を幅広く支援します。

「Yahoo! EC Pilot」の特徴は3つ。まず、AIがストアの状況から課題を見つけ、次に取るべきアクションを能動的に提案する提案型ソリューション。次に、「LINE公式アカウント」をはじめとしたグループサービスとの高い接続性。そして、日々の利用に寄り添う機能設計です。

「提案型ソリューション」では、AIが運営を振り返るきっかけを提供するサジェストによる提案が紹介されました。今後リリースが予定されている「コンサルティングレポート(仮)」は、ストアのデータを分析し、課題の発見と次のアクションの提案、振り返りを支援します。

サジェストによる提案とコンサルティングレポート(仮)を紹介するスライド。AIが課題を発見し、次に取るべきアクションを能動的に提案することが示されている。

グループサービスとの高い接続性を生かした機能として、配信内容を考える負担を軽減する「LINE配信文面の作成支援」が紹介されました。今後は、過去のLINE配信を分析し、次のコミュニケーションにつながる提案を行う「LINE配信分析」も提供予定です。

LINE配信文面とLINE配信分析を紹介するスライド。配信文面の作成支援と、過去の配信内容を分析して提案する機能が示されている。

最後に、「問い合わせ機能」と「競合比較」も紹介されました。
「問い合わせ機能」では、過去の返信を参考にAIが返信文を作成。「競合比較」では、競合商品との比較を通じて、改善のヒントをAIが提案します。
大きな経営判断だけでなく、日々の小さな手間や迷いにも寄り添うことを目指しています。

問い合わせ機能と競合比較を紹介するスライド。過去の返信を参考に返信文を作成する機能と、競合商品を比較して分析する機能が示されている。

「Yahoo! EC Pilot」の利用率は48%。利用状況別の取扱高前年比は、非利用ストアと比べて利用ストアが15ポイント高い結果となりました。

Yahoo! EC Pilotの利用率48%と、利用ストアの取扱高前年比が非利用ストアより15ポイント高いことを示すグラフ。

河内は、「AIだけですべての成長をもたらせるわけではありませんが、ストアに寄り添った機能を提供することで、成長の一助になることを目指す」と語りました。

発表会では、インナーウエアを扱う株式会社白鳩の事例が挙げられました。ある商品の販売数を増やすため、競合と比較して改善すべき点を「Yahoo! EC Pilot」に相談。分析内容を基に送料無料対応を意思決定した結果、CVR(購入率)は40%増、月間販売数は20%増となったといいます。

株式会社白鳩の事例を紹介するスライド。送料無料対応の意思決定後、CVRが40%増、月間販売数が20%増となったことを示している。

河内が掲げたのは、「成長に追われる日々を、成長を楽しむ日々に。」というメッセージ。日々の運営や判断をAIが支援し、ストアが戦略づくりやクリエーティブ、お客さまとの関係づくりにより多くの時間を使えるようにする。「Yahoo! EC Pilot」は、そんなストアの成長を支える存在を目指します。

Yahoo!ショッピングAIエージェントに関する説明会で、市丸数明と河内俊介が登壇し、来場者の前で説明している様子。

買う人にとっては、迷いなく、納得して選べる買い物を。売る人にとっては、日々の運営を支え、成長を後押しする仕組みを。Yahoo!ショッピングは、AIエージェントを通じて、買う人と売る人の双方に寄り添う、新たな買い物体験を目指していきます。

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取材日:2026年8月18日
編集:LINEヤフーストーリー編集部 撮影:日比谷 好信
※本記事の内容は取材日時点のものです

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