企業とユーザーの関係を、もっと自然で心地よいものにしたい。
LINEヤフーで法人向けプロダクトを統括し、「Connect One」構想を推進するコーポレートビジネスドメイン(CBD)CPOの二木に、これまで大切にしてきた仕事観や、AI時代に描く企業とユーザーの新しい関係について聞きました。

新卒でプロダクトマネジメントや事業開発に携わった後、2015年にLINEに入社しました。入社のきっかけは、当時の「LINE@(ラインアット)」(※1 2019年4月に「LINE公式アカウント」に統合)に大きな可能性を感じたことです。
「すべてのものにLINEアカウントが作れる」という世界観に、企業とユーザーのコミュニケーションが変わる未来を見たんです。
※1 LINE、店舗・メディア・公共団体向けにビジネスアカウント「LINE@」を2012年12月上旬に提供開始
LINE入社後は、Messaging API(※2)のグローバル公開や「LINE広告」の立ち上げ、「LINE公式アカウント」のリニューアルなどを担当しました。
その後、ヤフーとの経営統合などを経て、現在は「LINE公式アカウント」や「LINEミニアプリ」をはじめとする、LINEヤフー全体のビジネスプラットフォームづくりの責任者を務めています。
「Connect One」は、LINE公式アカウントにあらゆるソリューションを連携させ、ビジネスを総合的に支援するLINEヤフーの新たなコンセプトです。 企業やお店は、メッセージやチャットに加え、広告・コマース・予約・販促・店舗DX・顧客分析までをワンストップで活用可能。 1億人を超えるユーザー基盤を活かし、あらゆるビジネスチャンスを最大化します。
意思決定において意識しているのは、「多面性」と「スピード」を両立させることです。「こうあるべき」という正論だけでは決められない。売上はもちろん、国内や海外ユーザーへの影響、組織の力学やモチベーションなど、さまざまな角度から物事を見るようにしています。
一方で、メリット・デメリットを並べ続けても、意外と結論は出ないんですよね。だからこそ、リーダーシップポジションにいるメンバーをしっかり巻き込んだ上で、最後は経験則も踏まえて早く決めきることを大切にしています。
そして、何より重要だと考えているのが「好奇心」です。アリストテレスの「仕事を楽しむことで、その仕事は完璧なものになる」という言葉が好きで。
好奇心を持って取り組むことで、仕事の質も変わってくる。LINEヤフー、そして「Connect One」の世界観には、あらゆる領域に挑戦できる環境があるからこそ、その姿勢を何より大事にしています。
現時点では、「配管工事が大詰めを迎えている」段階です。
LINEとヤフーのビジネスIDやデータ基盤を一つに統合し、バラバラだったデータがつながろうとしています。これからは「LINE公式アカウント」を中心に、LINEヤフーのサービスが統合されていきます。
2026年は、いよいよ「水を通す」フェーズです。
一言で言えば、「LINE公式アカウント1つですべてが完結する」世界を目指しています。
2026年6月には、店舗DXシリーズの第一弾を展開します。LINE公式アカウントと密に連携した飲食店向けのモバイルオーダーやPOSレジ機能、美容室向けの予約・カルテ機能などを提供し、ユーザーは注文や予約、行動履歴に応じたお得なクーポンの受信といったアクションをLINE上で手軽に完結できるようにします。
さらに、体験のシームレス化を加速させるため、広告プラットフォームの統合とあわせて、「Yahoo!ショッピング」との連携も強化します。これにより、商品の閲覧から購入まで、アプリを切り替えることなくスムーズに行える、ストレスのない購買体験を目指します。また、顧客理解を深める鍵となるのが「LINEミニアプリ」です。 アプリインストールの手間をなくして利用ハードルを下げるだけでなく、蓄積された利用履歴(※3)を活用することで、「LINE公式アカウント」を通じて一人ひとりの興味関心に合わせた最適なメッセージ配信が可能になります。
※3 LINEアカウントと紐づいた行動データの取得・活用にはユーザーの許諾が必須となります。
2025年11月に提供を開始した「LINEタッチ」は、想定を上回る反響をいただいており、製造が追いつかないほどの状況です。スマートフォンを専用のNFC(近距離無線通信)タグにかざすだけで、「LINE公式アカウント」や「LINEミニアプリ」などがスムーズに起動し、友だち追加やクーポン取得、会員証の表示、モバイルオーダーといった「LINE」上のさまざまなサービスを瞬時に利用できます。
AI関連では、「ブランドエージェント」への反響が大きかったです。「LINE公式アカウント」上で、AIが企業の「専属スタッフ」として、接客や予約対応、カスタマーサポートまでを担います。企業ごとに、「その企業らしさ」を備えたAIエージェントが、ユーザーと会話する世界です。
「ブランドエージェント」のベースとなる「AIチャットボット(β)」機能はすでに約1万アカウントで利用されています。特に台湾やタイでの活用が進んでいて、日本よりも早くAIを通じて企業とチャットでやりとりするコミュニケーション文化が根付きつつあります。
私は、変化には3つの段階があると考えています。最初は「コンシェルジュ」。聞けば何でも答えてくれる存在ですが、あくまで役割は後方支援。困ったときに助けてくれる存在です。
次の段階が「バディ」。困ったときに呼ぶ存在でなく、最初から隣にいる存在。一緒に悩み、一緒に動く相棒です。たとえば、「来週キャンプ行くんだよね? 買わなきゃって言ってたギア、今セール中だよ」と、AIのほうから声をかけてくれる。
そして最後の段階が「任せられる」。旅行の計画を自動で組み立て、予約から決済までをすべて済ませてくれる。朝起きたら「来月の沖縄旅行、予約しておいたよ。いつもの航空会社で、窓側の席も取れたよ」って(笑)。そんな世界です。
はい、そう思います。一般的なAIエージェントは、基本的に新しいアプリを開いて、「初めまして」から始まります。そこから信頼を築き、外部サービスと連携して、ようやく行動できるようになる。
でも、LINEは違います。企業とユーザーが、すでに「友だち」なんです。何年もかけて積み上げてきた関係性がある。AIエージェントに一番必要なのは、「賢さ」ではなく、「つながりの期間」だと思っています。LINEには、それがすでにある。
もう一つ大きいのは、「聞いて終わり」にならないことです。AIに「旅行プラン作って」と聞けば、プラン自体は出てきます。でも、そのあと自分で予約サイトを開いて、決済して...という流れになりますよね。LINEなら、提案から予約、決済まで、すべて完結できる。
そして「習慣」。毎日開くアプリにAIがいる。新しいアプリを開く必要がない。いつもの場所に、いつの間にかバディがいる。その自然さこそが、僕らの最大の武器だと思っています。
私たちが目指しているのは、すべての「LINE公式アカウント」が「ブランドエージェント」になる世界です。
たとえば、好きなアパレルブランドの「LINE公式アカウント」が、「先週見てたあのジャケット、あなたのサイズが残り1点だよ。今月のセール対象だから20%オフ」と教えてくれる。美容室の「LINE公式アカウント」が、「前回のカラー、そろそろ色落ちしてくる頃だね。来週の火曜、いつもの時間が空いているよ」と声をかけてくれる。
企業や店舗からの一方的な「お知らせ」ではなく、私のことを知っている友だちからの「ひとこと」。そうなれば、広告は広告ではなくなります。届け方ひとつで、「押し売り」は「おすすめ」に変わるんです。
僕たちのキーワードは、常に「フレンズ」。AIを掛け合わせて、「ただの友だち(Friends)」から「親友(Good Friends)」へ。知らなかった商品やお店との出会いが、もっと自然に増えていく世界をつくっていきます。
私たちが常に意識しているのは、「透明性」です。AIがどれだけ賢くなっても、最終決定は人間。データはあくまでユーザーのものであり、使われたくない情報は、いつでも自分で止められる。主導権は常にユーザーにある。
LINEヤフーは「24時間365日、生活のすべてを支えるプラットフォーム」を目指しています。だからこそ、データの取り扱いには細心の注意を払っている。この姿勢は、今後も変わらず重視していきます。
LINEに入社してから10年、ずっと追いかけてきたのが、「企業とユーザーのコミュニケーションをシンプルにする」ことです。
きっかけは、「LINE@」の動画でした。ビルや人、お店など、あらゆるものに「LINE@」のマークがついていく映像を見て、「これだ」と思ったんです。電話やメール、フォームなど、連絡手段がバラバラで面倒になりがちな企業とのコミュニケーションを、LINEならすべてシームレスにできるんじゃないか、と。
家族や友だちとのやりとりは、LINEによって劇的に変わりました。次は、お店や企業とのコミュニケーションです。LINEヤフーには、それを実現するためのアセットがあります。LINEのコミュニケーション基盤、ヤフーの予約・購買のソリューション、そして強い営業組織と生活のあらゆる場面に届くメディア接点。
LINEヤフーだからこそ実現できることが、たくさんある。一瞬で買えて、一瞬で予約できて、一瞬でつながれる。そんな世界をつくれたら、日常はもっと豊かになるはずです。
AIの登場によって、その未来は現実に近づいています。昔、chatbot(※4)に取り組んでいた時期があるのですが、当時は「住所はどこですか」「ベビーカーは入りますか」「わかりません」といった、機械的な一問一答が限界でした。でも今は、本当にコンテキストを読んで答えられる世界になってきている。
※4 LINE DEVELOPER DAY 2016開催~chatbotのさらなるオープン化、そして新たなMessaging APIを公開、正式提供開始
正直、「ちょっと来たな」という感覚がありますよね。昔やろうとしていたことが、ようやくAIで実現できるようになってきた。「Connect One」とAIという2つの武器が揃った今、それが現実になろうとしています。2026年が勝負です。一気にやり切りたいですね。ぜひ、期待していてください。
取材日:2025年12月19日
文:LINEヤフー社内広報編集部 写真:倉増 崇史
※本記事の内容は取材日時点のものです
