この時期は大阪万博開幕500日前ということで、入場チケットの前売が開始され、街中にミャクミャクの姿が増えた時期です。さらにそれらがニュースに取り上げられることで、人々の関心が高まったと推測できます。
提供:2025年日本国際博覧会協会
今年、日本中から大きな注目を集めた大阪・関西万博の公式キャラクター「ミャクミャク」。 「Yahoo!検索大賞2025」でもスペシャル部門1位となり、今では「国民的キャラ」といえる存在になりました。
とはいえ、登場当初は「気持ち悪い」「不気味」といった戸惑いの声も多く見られました。しかし万博の盛り上がりとともに印象は徐々に変わり、いまでは「かわいい」「推せる」と愛着を持つ人が大きく増えています。 あなたは、ミャクミャクへの印象がいつ頃変わったと感じていますか?
LINEヤフーでは今回、Yahoo!検索での「ミャクミャク」に関する検索件数の推移や、一緒に検索されたキーワードを調査しました。人々の関心の変化を、LINEヤフーのデータアナリスト阪上のコメントとともに読み解きます。

ミャクミャクの名称が決定したのは2022年7月18日。発表された直後は検索数が伸びましたが、その後は落ち着き、2022〜2023年にかけては低い水準で推移する静かな時期が続きます。
そんな中で変化の兆しが見えたのは2023年末。12月に小さな山が現れました。ちょうど大阪市役所正面玄関前に、ミャクミャクの大きなモニュメント像が設置された時期でした。
データ元:Yahoo!検索、2025年10月を100とする

この時期は大阪万博開幕500日前ということで、入場チケットの前売が開始され、街中にミャクミャクの姿が増えた時期です。さらにそれらがニュースに取り上げられることで、人々の関心が高まったと推測できます。
翌2024年には4月にも小さな山が見られました。その後もミャクミャクへの関心は安定した状態が続きます。
そして2025年、いよいよ本番の年です。検索数は1〜3月にかけて継続的に増加し、右肩上がりの状態が続きました。迎えた4月の万博開幕で一気に急伸。これまでにない突出したピークを記録しています。前年の7倍以上という大ジャンプで、ミャクミャクが人気キャラクターへと大きく進化した様子がわかります。
さらに注目すべきは、万博開幕後もその勢いが止まらなかった点です。2025年5〜10月の検索数は高い水準を安定して維持し続けました。夏に一度落ち着いたものの、9〜10月には再び大きく回復し、ピークに近い検索数にまで戻っています。

開幕時から一度下がってまたV字回復する傾向が興味深いです。万博後半の駆け込み来場の増加とリンクしているのかもしれません。
データ元:Yahoo!検索、属性不明データ除外
年代別の検索数の推移を見ると、ミャクミャクを検索している人の層には、特徴的な動きが見られます。
ミャクミャク登場当初は30代から50代を中心に、幅広い現役世代から関心を集めていました。万博開幕が近づくにつれて、さらに上の60代以上の関心も増えていったようです。閉幕月の2025年10月には、関心の半数が50代以上から寄せられており、若い世代だけにとどまらず、シニア層からの人気も高かったことがわかります。

一般に、流行は若い世代から始まり、上の世代に波及していく傾向があります。(参考:大ヒットの鍵は40代?! データで見る鬼滅・あつ森・スノスト人気)
ミャクミャクは初期から幅広い世代からの関心を集め、特にシニア層にも愛された点がキャラクターとして特徴的です。
データ元:Yahoo!検索
「ミャクミャク」と一緒に検索されていたワード(第二検索ワード)を時期ごとに見比べてみると、人々の受け取め方が少しずつ変わっていく様子が表れています。今回は第二検索ワードを、次の5つに分類して構成比を分析しています。
※第二検索ワードを伴わない検索や、「ミャクミャク 万博」といった特に意図をくみ取れない検索は除外。
まず2022年7月の登場直後は、ミーム(58%)が中心でした。「何これ⁉」とネット上で謎の存在としてネタ的に扱われていた時期を思い出す人もいるかもしれません。同時にネガティブ(11%)の検索も一定割合ありました。
ところが1年後の2023年4月になると、検索の中身がガラッと変わります。グッズ(77%)が一気に増え、ミームは10%に落ち着きます。さらに2024年4月になると、情報系(51%)がトップになり、グッズも38%と引き続き高く検索されています。

初期のミーム的盛り上がりが落ち着くと、グッズ系の検索が中心になりました。また2024年4月の開幕1年前イベントで公開されたアニメでミャクミャクが初めてしゃべり、大きな話題になりました。
キャラクターの設定がリッチになっていくにつれ、関連情報を求める検索が増えたようです。
そして2025年。万博直前の4月には、検索数そのものが跳ね上がると同時に、グッズ(81%)が圧倒的な比率に。

初期にはぬいぐるみやフィギュアなど定番グッズに関する検索が中心でしたが、徐々にグッズの種類が増え、さまざまなコラボ商品も登場しました。
選択肢が広がるにつれて、ミャクミャクファンの裾野がひろがっていったのではないでしょうか。
さらに10月になっても、グッズ(83%)がほぼ独占状態です。対してネガティブやミームはほぼゼロに近づき、ミャクミャクがネガティブな印象からいつのまにか愛すべきキャラクターとしてポジティブに変わったことが推測されます。

実はネガティブな検索数自体が減ったわけではないのです。それ以上に他の検索、特にグッズの検索が大幅に増えたため、相対的にネガティブな検索の比率がとても小さくなったというわけです。
グッズを求める行動はファン心理の反映と推測されるので、閉幕月にはミャクミャクへの関心はほぼ好意的なものに転じたと言えそうです。
提供:2025年日本国際博覧会協会
最後に、データを分析した阪上に、今回の結果について聞いてみました。
とくに印象的だったのは、シニア層からの関心が強かったことです。 私は関西在住なのですが、街でバッグにミャクミャクグッズをつけたご年配の方を見かけることも多かったため、肌感とも一致した納得の結果でした。
当初はややネガティブに受け止められていたミャクミャクが、最終的には愛されるキャラクターへと成長していった流れは、万博そのものの盛り上がりを象徴しているように感じます。また、さまざまなコラボなど関連グッズの多様さも特徴で、キャラクターとしての懐の深さが多くの人に受け入れられた一因かなと思います。
今回使用した検索データには、人々の関心やニーズ、課題感が反映されています。これらを読み解くことで、おもしろい発見があるとともに、社会の動きを考えるきっかけにもなります。これからも、データの持つ可能性や力強さを皆さまにお届けしていければと思います。
取材日:2025年12月4日
※本記事の内容は取材日時点のものです
