ホーホッホッホッホー! メリークリスマス! サンタさんじゃよ。
〇〇くん(ちゃん)かのう?
今日は特別に、今年1年間頑張っていた〇〇くん(ちゃん)に会いに来たんじゃよ。
〇〇くん(ちゃん)は今日は何をしとったんかのう?
クリスマスになると、世界中に「サンタクロース」が現れます。
子どもを寝かしつけたあと、そっと起き出すお父さん・お母さん。保育園で白いひげをつける先生...。
そして今年は、Yahoo!ショッピングの社員50人もその仲間に加わりました。
「子どもにとって、サンタに会えるのは『推しに会える』のと同じなんです」
そう語ったのは、認定NPO法人チャリティーサンタの講師、おおたさん。
子どもが年1回、推しに会える日。そんな特別な時間をつくるためには、声の出し方、話し方、間の取り方、質問への返し方など、「サンタらしくふるまうための技術」が必要なのだそうです。
この記事では、チャリティーサンタの「サンタ研修」から、家庭などでも真似できるサンタらしいふるまい方を紹介します。
みなさんが思う「サンタらしさ」は、どんなものでしょうか?
赤い服? 白いひげ? 朗らかな笑い声?
講習会は、まず「5歳の〇〇くん(ちゃん)が思う理想のサンタ像」を考えてみるところから始まりました。
ちなみに、今回参加した社員がワークシートに書いていたのは、こんな言葉でした。
・やわらかい
・服や靴が赤い
・めがね
・ゆっくり話す
・怒らない
・話を聞いてくれる
・やさしく笑っている
・夢がふくらむことを言ってくれる
講師から伝えられた、サンタになるために大切なことは以下の3つ。
1.子どもに心から寄り添う
2.子どものことを知ろうとする
3.子どもに喜んでもらうことを一番に考える
サンタはやさしくてユーモアがあって、陽気なイメージ
「サンタは、子どもの今年頑張ったことを聞きに来てくれる存在。子どもたちは、学校や家で頑張ってきたことを、推しであるサンタに聞いてほしいんです」
会話練習では、2人1組で「5歳の子ども役」と「サンタ役」に分かれて実践。
やってみると、意外にも、
「サンタ役が難しい」
「でも、5歳の子ども役は簡単でした!」
という声が続出。
「サンタらしく話す」コツは3つ。
1)共感する・ほめる
「すごいのう」「えらいのう」と、まず気持ちを受け止める。
2)子どもに返す
「〇〇くん(ちゃん)はどう思う?」と問い返し、世界を広げてもらう。
3)世界観を壊さない返事をする
「魔法のカギがあって...」などと、世界観を壊さないようにする。
また、親がサンタから伝えてほしい頑張りポイントと、子ども自身が思っている頑張りは違うことも多いそうです。
「親はお手伝いをほめてほしいはずと思っていても、子どもはドッジボールで強くなったことを誇りに思っているかもしれません」
だからこそ、サンタは子どもから話を引き出し、子ども自身が達成感を感じている「頑張ったこと」をほめることが大切です。
会話のコツを学んだら、いよいよ本番さながらのロールプレイです。
「子どもの夢を壊す可能性がある以上、下手な人には行かせられません」
という講師の一言に、会場の空気が少しだけ引き締まったような気がしました。
では、インターホンを押すところから、プレゼントを渡し、写真を撮って帰るまで。
大人たちが本気でサンタになる時間の始まりです!
最初に配られたのは、ロールプレイの設定シート。今回の例は、はるとくん(7歳)です。
・頑張ったこと:家でも勉強をがんばっていた
・応援してほしいこと:スイミングを続けてほしい
・性格:人見知りせず、おしゃべり
実際の訪問でも、こうした事前情報をもとに、サンタとしての会話を組み立てるのだそうです。
また、子どもたちに会いにいくときにサンタ役と同じくらい大切なのが、「サポート役」の存在です。サンタは、そのミッションを終えるまではスマホを見られません(サンタ設定が崩壊してしまうため)。
そのため、サポート役は
・訪問先までのルート管理・時間管理
・髭のズレ・帽子の角度・ブーツなど、身だしなみの最終チェック
・サンタが子どもに集中できるよう、親御さんとのやりとり
・写真撮影、撮影の促し
・緊張しているサンタの応援
などを担当します。どれも、とても大切な役割ですね。
「頑張ってね!」と、緊張しているサンタを応援するのも、サポート役の大事な役割
通常の訪問なら、
「こんにちは、○○です。あなたのお名前は? 今日は〇〇の目的できました。今日は何をしていましたか?」
となるところ、サンタとして会話するときは...。

ホーホッホッホッホー! メリークリスマス! サンタさんじゃよ。
〇〇くん(ちゃん)かのう?
今日は特別に、今年1年間頑張っていた〇〇くん(ちゃん)に会いに来たんじゃよ。
〇〇くん(ちゃん)は今日は何をしとったんかのう?
「ホーホッホッホッホー!」から始まるのがハードルが高い...。先ほど紹介したサポート役の方の役割に「サンタ役のテンションを上げる」も加えたくなりました。

好きなものは何じゃ?
学校では何をしておるんじゃ?
最近何かがんばっていることはあるか?
○○を習っておるそうじゃな。楽しんでおるか?

最近頑張っていることは何かのぅ?
学校では何をしているんじゃ?
今年はどんな1年じゃったかのぅ?

〇〇を知っていて、すごいのぅ。
〇〇によく気付いたのぅ、サンタさんも気になっておったんじゃ。

〇〇くん(ちゃん)はどう思うんじゃ?
〇〇くん(ちゃん)はどうしてそう思ったんじゃ?
「うちには煙突もないし、オートロックなのにどうやって入ってきたの?」などと聞かれたら...。

実は、魔法のカギで入ってきたんじゃ。

1年間がんばった○○くん(ちゃん)に、特別なプレゼントがあるんじゃ。
時には、「Switch2がよかったのに!」そんな本音が飛び出すこともあるそうです。
そんなとき、大事なのは「サンタがなぜこのプレゼントを選んだのか」理由を語ること。そうすると多くの子どもがスッと気持ちを受け止めてくれるそうです。

〇〇くん(ちゃん)が△△を頑張っているから、これがぴったりだと思って選んだんじゃよ。

来年のスイミングも頑張ると、サンタさんはもっとうれしいぞ。

おっと、そろそろ世界中の子ども達のところに行かねばならんのう。
○○くん(ちゃん)が良い子にしていたらまた来年も会えるかもしれんのう。
メリークリスマス!
「来年も必ず会える」という約束はせず、可能性を残すだけにすることが大事です。こうして、最後までサンタへの夢を壊さずに去っていく...までが一連の流れ。
これは...大役です。「サンタの帽子をかぶってひげをつけて、『ホッホッホー』と言えばサンタっぽくなるだろう」と思っていたことを心から反省しました...。
LINEヤフーの社員も、思い思いにサンタを熱演していました!
ロールプレイでは、インターホンを押して家に入ってもいいか確認するところからスタート。
これは誰かを刀か何かで斬ろうとしているわけではなく...。
プレゼントの入った袋を担いだポーズをしっかり再現しています。
「次は自分の番だ...」と少し緊張しながら見守る二人。
ずっと笑顔で、やさしく子ども役に語りかけていました!
片ひざの姿勢をとるのは、飛び込んでくる子どもを受け止められるようにするため。
やってみると、この体勢でい続けるのは思った以上に大変でした。
約3時間の研修を通してわかったこと。サンタになるために必要なのは派手な演技ではなく、小さな積み重ねでした。
1.ゆっくり話す:子どもが安心できるスピードで
2.目線を合わせる:片ひざで、近い距離で向き合う
3.まずほめる・受け止める:推しにほめられたら誰でもうれしい!
4.子どもの言葉を引き出す:子ども自身が頑張ったと思っていることをほめる
5.プレゼントに物語を添える:「〇〇くん(ちゃん)のためにこれを選んだんじゃよ」
どれも特別なことではないけれど、その積み重ねが、子どもにとっての本物のサンタ体験になる。そしてそれは、家庭でも、保育園でも、誰もが真似できそうな「小さな魔法」でした。
約3時間の研修で、みんなの表情がどんどん「サンタの顔」に変わっていったのが印象的でした。
今年のクリスマス、みなさんにとって素敵な思い出ができますように。
そして、子どもたちの特別な一日をつくる輪が、これからも広がっていきますように。
NPO法人チャリティーサンタの理念は「子どもたちに愛された記憶を残すこと」、「あなたも誰かのサンタクロース」を合言葉に活動しています。クリスマスイブにサンタになって家庭を訪問したり、絵本やケーキを届ける支援を行ったりと、さまざまな形で子どもたちの特別な体験をつくっています。
この活動には、性別や年齢を問わず「子どもにやさしさを届けたい」という気持ちさえあれば、どなたでも参加できます。
今年は、Yahoo!ショッピングとYahoo!ネット募金がチャリティーサンタと連携。サンタ研修を受けた社員50人が東京と大阪の家庭を訪問予定です。
取材日:2025年12月8日
文・写真:LINEヤフーストーリー編集部
※本記事の内容は取材日時点のものです
