「夏の終わり」がわからない...? 2025年の「夏」と「秋」の区切りを調べてみた

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広大なひまわり畑が広がる夕焼けの風景。空はオレンジとピンクに染まり、美しい自然のコントラストが印象的です。

朝晩に少し涼しい風が吹いても、日中はまだ真夏日。スーパーに並ぶのは秋限定のビールや栗のお菓子。でも衣替えをするには早すぎる気もする...。今年は「夏の終わり」がどこにあるのか迷った、という方も多いのではないでしょうか。
LINEヤフーは今回、「夏の終わり」についてアンケートを実施(※)。また、検索データから夏から秋への移り変わりを分析しました。さらに、気象予報士・河津真人さんに、「今年の夏の終わりがわかりにくかった」理由を聞いてきました!

※調査対象:日本全国の15歳~69歳の男女(1,056人)
実施時期:2025年9月22日~2025年9月24日

アンケートでわかった みんなが感じる「夏の終わり」の瞬間は?

今回のアンケートでは、「夏の終わりがわかりにくい」「夏の終わりが遅くなった」と答えた人が8割以上にのぼり、季節の区切りが曖昧になっていることが浮き彫りになりました。

「夏の終わりを感じる瞬間」として最も多かったのは「気温が涼しくなったとき」。次いで「朝晩が冷えるようになったとき」「セミの声が少なくなった/秋の虫の声を聞いたとき」が上位に入りました。
特に、夏の終わりを告げる気温ラインとして、最高25℃・最低20℃が目安になるという回答が多く集まり、気温で季節を区切っている人が多いこともわかりました。
また、「昨年はいつ夏の終わりを感じたか」という問いでは、9月下旬が最多で約半数。10月上旬と答える人も2割を超え、季節の終わりを後ろ倒しに感じる傾向が数字にも表れています。

あなたが「夏の終わり」を感じるのはどんなときですか?

アンケートのグラフ画像

※複数回答、N=1,056

あなたが「夏の終わり」を感じる目安の最高・最低気温は何℃ですか?

アンケートのグラフ画像

※N=1,056 「その他」は「気温では判断しない」「わからない」という回答も含む

昨年、あなたが「夏が終わった」と一番強く感じたのは何月ごろですか?

アンケートのグラフ画像

※N=1,056  「特に感じなかった」は「あてはまるものはない」という回答も含む

あなたは、10年前と比較して「夏の終わり」を感じる時期が遅くなったと感じますか?

アンケートのグラフ画像

※N=1,056

あなたは今年「夏の終わり」がわかりにくいと感じますか?

アンケートのグラフ画像

※N=681(これまでに「夏の終わり」がわかりにくいと感じたことがあると回答した人のみが回答)

そして、「夏の終わり」がわかりにくいことで「困ったこと」としては、衣替えやエアコン・扇風機などの片付けのタイミングに迷う声が目立ちました。

アンケートのグラフ画像

※複数回答、N=1,056 「特に困ったことはない」は「あてはまるものはない」という回答も含む

一方で、「夏の終わり」を感じた後にやりたいことについては、「秋服を着る」「紅葉狩り」「ハロウィン」「秋の食べ物」といった、これからの秋を楽しみにする回答も多く寄せられました。

アンケートのグラフ画像

※複数回答、N=1,056

検索から探る、夏から秋へのスイッチは?

Yahoo!検索によるキーワード分析からも、「夏の終わり」の兆しが表れていました。

熱中症

検索データによる「熱中症」に対する関心はこの10年で変化が見られました。下図は、2015年と2025年の「熱中症」の検索者数の週次推移を、各年の8週目までの平均を1とした指数で表したものです。
2015年は29週目から33週目つまり7月中旬から8月前半といういわゆる盛夏に集中していましたが、2025年は25週目あたり、6月から検索数が増え始めており、さらに収束も遅く、9月になっても山が続いています。
つまり、「熱中症シーズン」が前後に拡大して長期化したのがこの10年の変化です。体感として「暑さが長引いている」と言われる現象が、検索データにもはっきり表れているといえそうです。

「熱中症」検索者数(指数)の週次推移

データ分析のグラフ画像

資料:Yahoo!検索。各年の1~8週目平均を1とした指数。2025年は39週目までのデータ。

また、「蚊 いつまで」という検索ワードを比較すると、10年前は8月半ば~後半にピークを迎えていたのに対し、近年では9月以降も高い水準が続き、年末近くまで検索が残るケースもあることがわかりました。
気温との関係をみると、平均気温が23度前後になると検索数が落ち始め、26度前後のときにピークを迎える傾向があるといいます。つまり、気温が高止まりすることで蚊の活動期間が延び、人々が「まだ蚊がいるのでは?」と感じる時期も長くなっているのです。

「蚊 いつまで」のユーザー推移

データ分析のグラフ画像

私たちの季節感はどれだけ変わった?データで検証してみた(LINEヤフー データストーリー 公式note)より

夏の象徴ともいえる蚊が「秋になってもいなくならない」という現象は、まさに「夏の終わり」が見えにくいことをデータで裏づけているといえそうです。

詳しくは以下の記事をご覧ください。
私たちの季節感はどれだけ変わった?データで検証してみた(LINEヤフー データストーリー 公式note)

気象予報士河津さんに聞く「夏の終わりが見えない理由」

河津さんの写真
河津 真人(かわづ まこと)さん
気象予報士 (ウェザーマップ所属)
X(旧Twitter)やYouTube、TikTokなど各種SNSを運用しており、気象情報の拡散力に定評がある。現在はTBSテレビ「Nスタ」(月~木)でも天気を伝えている。

――(取材日は9月12日)河津さんにとって今日は夏ですか? 秋ですか?

河津さんの写真

今日は気温が低め(この日東京の最高気温は28℃くらい)で少し過ごしやすいですけど、やっぱりまだ夏ですね。
Xに投稿していても「まだ蒸し暑い」「今日は肌寒い」と反応が人それぞれ。体感は本当に違うので難しいです。
最終的には、自分がどう感じているかと、東京の気温の数字を参考にしていますね。最近は30℃を下回らないと秋とは言えないかな、と感じています。

※夏日=25℃以上、真夏日=30℃以上、猛暑日=35℃以上

――今年も本当に暑かったですが、なぜこんなに毎年厳しい夏が続くのでしょうか...。

河津さんの写真

ベースにあるのは気候変動、つまり地球温暖化です。気温が底上げされているうえに、海水温も高くなっています。今年は特に北日本の海水温が高く、札幌や仙台で真夏日や猛暑日が記録的に多く観測されました。その影響が陸地にも及んだんですね。

さらに、フィリピン付近の海水温上昇で太平洋高気圧が強まりました。これは「Pacific-Japanパターン(PJパターン)」と呼ばれる現象で、今年はまさにそれが起こっていました。その結果、7月から8月にかけて高気圧に長く覆われ、じりじりとした暑さが続いたんです。

――今年は5月からすでに暑かった印象があります。今後も夏は長く厳しいのでしょうか。

河津さんの写真

今年2025年はさすがにイレギュラーだと言われています。ただ、2023年や2024年も相当暑かったので、「これがスタンダードになるのかもしれない」と感じています。暑い期間が長引けば、それだけ夏が「幅を利かせる」ことになるんでしょうね。

気温はどんどん上がっているので、長期的には普通に「今日40℃だね」と会話する日が来てもおかしくないと思います。

――この記事は10月頭に公開予定ですが、その頃もまだ暑いでしょうか?

河津さんの写真

9月末や10月前半でも東京で真夏日(30℃以上)が出ることは十分あり得ます。

※9月29日、東京都心でも30℃を超えて、真夏日となりました。

――最近は、「日本から四季がなくなって二季になるのでは」と言われることもありますが...。

河津さんの写真

「二季」というのは、よく言ったものだなと感じます。冬も気温は上がっていますが、変化は緩やかなので寒さは残る。一方で夏はどんどん長くなっていて、じりじりと「二季化」に近づいていると思います。

また、今年は特に気温の上がり方が大きく、北海道などのこれまで「30℃以上になることは基本なくエアコン不要」とされていたエリアの人たちも真夏の暑さを体感するようになってきたのではないでしょうか。

余談ですが、8月末に家族で沖縄に行ったとき、最近「沖縄は避暑地だ」と言われている理由が少しわかりました。曇りや雨の日が多く、東京より涼しいと感じる時間帯もあったんです。
気温も32~33℃程度で35℃にはならない。もちろん日差しが出ると強烈ですが、「東京のほうが暑いかも」と思うほどでした。北海道も沖縄も、これまでの常識が変わりつつあるのを実感しましたね。

河津さんの写真

河津さん「『暑さ寒さも彼岸まで』という言葉どおり、彼岸(今年は9月20日)を過ぎるころには30℃を下回る日も出てきます。今年の『真夏のピークは去った』とは思います。ただ、それは夏が終わったという意味ではなくて、『まだ夏の期間の中にいる』ということ。僕の中では今(9月中旬)は『秋に近づいた夏』という感じです。そんな風に考えてみると、夏の長さに対する気持ちも少し楽になるかもしれません」

猛暑をどう乗り切る? 河津さんの暑さ対策

――では、この厳しい暑さを乗り切るために、どのような対策をすればよいでしょうか?

河津さんの写真

外に出るのも大変ですが、まずは日傘を使うのがおすすめです。僕自身も常にさしていますね。

雨が降ったら傘を差すのが当たり前ですよね。それと同じで、太陽が照りつけているなら日傘を差すのも当たり前
日焼けを避けるためではなく、暑さ対策として効果は絶大です。体感温度がまったく違いますし、熱中症のリスクも減らせます。ご自身の健康のために、ぜひ日傘を使ってほしいです。

――ほかに河津さんが実践している工夫はありますか?

河津さんの写真

他にはインナー選びを工夫しています。Tシャツ1枚だと汗でベタつきやすいので、吸汗速乾性のあるインナーを着ることで、逆に快適に過ごせるんです。首元の形や透けにくい色など、素材やデザインに気を配ると、見た目もすっきりしますよ!
今は機能性の高い製品もたくさんあるので、日傘と同じ「快適に過ごすための道具」として取り入れてほしいですね。

――暑さに「慣れる」ことも大事ですよね。

河津さんの写真

そうですね。人は意外と暑さにも慣れるものです。今年は特に暑かったので、31~32℃くらいなら「今日は涼しい」と感じてしまうという方も多いのではないでしょうか?

もちろんクーラーを使うのは大事ですが、設定温度を上げてみるとか、少し消してみる時間を作るのも一つの方法です。外との気温差を極端にしないほうが体へのダメージが少なくて済みます
24~25℃に冷やすのは快適ですが、外気との差が大きすぎると体調を崩す原因にもなります。少しずつ暑さに順応していくことも必要だと思います。

黒い傘を差し、微笑む河津さんが緑豊かな場所でポーズをとっています。雨の中でも明るい雰囲気です。

河津さん「夏は急な雨も多いので、晴雨兼用の折りたたみ傘を持ち歩くのがオススメです」

巻雲・夕焼け・オリオン座──空に現れる秋のサイン

――では、河津さんはどんなときに「秋が来た」と感じますか?

河津さんの写真

雲や夕焼けは季節の変化が表れやすく、気温よりも早く秋らしさが出てくることもあるので、空をよく見ています。
夏の後半になると、高いところに「巻雲(すじ雲)」が出始めます。そうすると「真夏のピークは過ぎたな」と感じます。逆に、もくもくとした積乱雲はだんだん少なくなります。
夕焼けの色も変わります。夏は紫やピンクっぽい派手な色合いになりますが、秋は湿度が下がるので、オレンジ色の「いわゆる夕焼けらしい夕焼け」になるんですよ。

――なるほど。秋を感じたいときは空を見上げるとよさそうですね。

河津さんの写真

それから、星空でも季節を感じますよ。秋になると夜明けにオリオン座が見えてきます。冬になると夜の早い時間から見えますが、夏の終わりにはまだ見えません。
わかりやすい星座なので「オリオン座が見え始めたら秋」と目安にしてみるのもいいと思います。

河津さんの写真

河津さん「秋の楽しみは散歩です。春や秋は『暑くも寒くもない』という、ちょうどいい季節を味わいたいので、積極的に外に出ます。Tシャツに長袖シャツを重ねて歩くくらいの気温が一番心地いいですね。金木犀の香りがしてくると、季節の移り変わりを感じますし、紅葉や木々の色の移り変わりを見るのも好きです」

「ちょっと肌寒い」を放置しない──秋の体調管理

――少し涼しくなると夏の疲れが出て、不調になる人も増えます。気をつけるポイントはありますか?

河津さんの写真

春や秋は特に「朝は暑いのに夜は急に冷える」といった日がありますよね。そういうときに油断すると体調を崩しやすいです。
夏は夜も暑くて安定していますが、放射冷却で夜にぐっと気温が下がる日もあります。そういうときは敏感になっておいたほうがいいと思います。

少しでも肌寒いと感じたら、迷わず長袖を一枚羽織る。それだけで体へのダメージを減らせます。
この記事が公開される10月上旬ごろには、そろそろカバンに羽織ものを入れておくと安心です。

秋は短くても冬は12月にはしっかり来ます。長期予報でもラニーニャに近づく傾向があり、冬は寒くなる可能性があります。10月まで暑くても、11月には秋らしく、12月にはちゃんと冬になっていきますよ。

Yahoo!天気アプリ みんなの投稿に寄せられた「秋」

岩崎の写真

Yahoo!天気アプリの「みんなの投稿」に「秋」をテーマに寄せられた写真を見ると、彼岸花や夕焼け、萩の花などの「夏の終わり」や「小さい秋」が届いています。(「みんなの投稿」担当の岩崎)

彼岸花、落ち葉、萩の花や夕焼けなど、秋を感じさせるコラージュ写真

岩崎の写真

この秋からは写真投稿機能が加わり、空や雲の模様、紅葉や旬の味覚などを共有できるようになりました。

現在は「秋」をテーマにした投稿も募集中です。アンケートでも多くの人が「秋の楽しみ」を挙げていましたが、「みんなの投稿」にも秋を感じる写真が寄せられています。
みなさんが見つけた「小さい秋」をぜひシェアしてみてください!
Yahoo!天気アプリ

みんなの投稿の使い方

みなさんがいまいる場所の天気や季節の変化が伝わる写真を投稿してください。
空模様、街の景色、身近な自然の様子など、見た人にわかりやすい内容がオススメです。

今回は、アンケートやデータ分析、気象予報士の解説から「夏の終わり」を探ってみました。
あなたにとっての「夏の終わり」は、どんな瞬間ですか? 河津さんのアドバイスもヒントに、「秋のサイン」を探してみてくださいね。

取材日:2025年9月12日
文・写真:LINEヤフーストーリー編集部
※本記事の内容は取材日時点のものです

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