グループCEO連載 正木美雪の二刀流経営「LINEらしい金融体験で、未来のスタンダードを創る」

リーダーズ
正木CEOがテーブルに肘をついて微笑んでいます。シンプルな背景で、カジュアルなビジネスシーンを感じさせます。「LINEヤフーストーリー」と書かれています。

メディアからコマース、金融まで国内外100社以上の事業を展開し、さまざまなシナジーを生み出すLINEヤフーグループ。本連載では、各社CEOのキャリアやビジョンに迫ります。今回はシリーズ2回目。

金融とテクノロジーが交差する現場で20年以上にわたり、フィンテックの進化と向き合ってきた正木美雪。現在、LINE CreditとLINE証券のCEOを兼務し、グループのアセットとAIを最大限に活用しながら、次世代の金融体験づくりにチャレンジしています。

そこで、正木社長のこれまでのキャリアと現在の取り組み、そして金融サービスの未来に向けた展望を聞きました。

正木CEOのポートレート。白い背景に白いジャケットを着ており、穏やかな表情でカメラを見ています。
正木美雪(まさき みゆき)
LINE Credit・LINE証券 代表取締役CEO
金融ITベンチャーにて事業開発に従事したのち、2006年ヤフー(現LINEヤフー)入社。金融商品仲介、FX、クレジットカード、保険など、幅広く金融事業に従事。 複数の金融子会社のM&A、PMIにも携わり、2013年にグループ会社ワイジェイFXの取締役に就任。2017年にスタートアップに移り、金融ディレクターやCEOを歴任。2020年LINE(現LINEヤフー)に入社。2021年10月からLINE証券の代表取締役CEOに就任。2025年6月からLINE Creditの代表取締役CEOと、2社のCEOを務めている。

ネット証券の幕開け期からフィンテックの第一線へ

――まずは、これまでのキャリアのなかでターニングポイントになったエピソードをお聞かせください。

最初は、ネット証券のシステム開発を手がけるベンチャーに入社しました。まだ「ネットで株を買う」ということ自体が珍しかった時代です。その現場で感じたのは、新しいインターネットがこれまでの金融の構造やカルチャーそのものを変えていくというダイナミズムでした。

そこで、「金融にある情報の非対称性をなくしたい」「一部の人だけでなく、すべての人に人生の選択肢を広げる金融サービスを作りたい」と思うようになったんです。それが今でも変わらない自分の原点であり、現在も金融プロダクトに向き合い続けている理由です。

――旧ヤフーでのキャリアでは、どのようなご経験を? また退職後は、どのように見えていましたか?

2006年にヤフーに入社して、金融事業の立ち上げや子会社(ワイジェイFX)の経営に携わりました。
スタートアップに移って外から見て感じたことは、圧倒的な顧客基盤の強さと資金力があり、メディア、コマース、金融といった多様な事業がそろう総合力です。
そうした大手ならではのユニークな強みがあるからこそ、中長期でリスクをとって大きなチャレンジをできる点が魅力だなと感じていました。

――その後、LINEにジョインされたのですね?

はい、スタートアップでの経営を経て、2020年にLINEに入りました。2021年10月からLINE証券のCEOに就任し、2025年6月からLINE CreditのCEOも兼務しています。再びLINEヤフーグループの一員となり、縁を感じますね。
20年来の仲間がさまざまな部署にいるので、グループ内の連携を進めるときにメリットになっています。

――2社のCEO兼務は大変ではないでしょうか?

正直、大変な部分はあります。「どうやって回しているのですか?」と聞かれることも多いですが、自分ですべてやろうとしないのが大事だと思っています。
信頼できるメンバーに任せるところは任せて、自分は責任を持って意思決定すべきポイントに集中する。やること・やらないことを明確にし、日々優先順位を動的に見直しながら経営にあたっています。
2社の状況は当然、日々変化していますから、重要な案件が進行する際はそちらに比重を置くなど、バランスを調整しています。

ソファに座った女性・正木CEOが笑顔で話しています。木目の壁を背景に、リラックスした雰囲気が漂っています。

LINE Credit黒字化と、スコアモデルの進化

――2024年度、LINE Creditは初の黒字化を達成しました。ビジネスモデルと苦労した点について教えてください。

主力サービスは2019年にスタートした個人向け無担保ローン「LINEポケットマネー」、2022年にスタートした他社借りかえを一本化できる専用ローン「LINEポケットマネー借りかえ」、そして、与信スコアリング事業「LINEスコア」です。

おかげさまで、LINEで手軽に借り入れができるLINEポケットマネーは、この8月でサービス提供開始から6周年を迎え、累計貸付実行額は2,600億円(※1)を突破しました。また、累計申込件数は260万件(※2)を突破しており、多くのユーザーに支持されています。

昨年度は創業から5年で初の単年度黒字化を達成し、持続可能な成長を実現しています。
ローンというビジネスモデルの特性上、立ち上げ初期は投資が先行し、採算化まで一定の時間を要しますが、健全なスピードで着実に成長を積み重ねて、ようやく一つの節目を迎えられたと感じています。

※1:2025年7月末時点
※2:2025年6月末時点

――好調の背景、強みをどのように分析されていますか?

私たちの強みはLINEというコミュニケーション基盤を持つプラットフォームを起点に多くのユーザーと接点を築けるところです。このLINEを通じたマーケティングがうまく行っているのが一つ。
もう一つ、LINEスコアは、LINEの与信スコアリングのモデルです。この精度・判別の向上に継続的に取り組んできたことで、返済が滞るケースの割合が低下したことも好調の背景の一つだと捉えています。

――重視しているKPIはなんですか?

重視しているKPIは貸付残高ですね。より多くのユーザーに継続的に安心して使っていただける状態を積み上げていくことが、結果として事業の収益性と安定性につながると考えています。

――利用者は若年層が中心のイメージですが、あっているでしょうか?

いえ、実は40代・50代の方を含む、幅広い層に使っていただいています。
働き方が多様化していて、たとえば、派遣社員やパート、業務委託、フリーランスの方など、従来型の与信基準では評価しきれなかった層にも、LINEスコアを通じてサービスを届けられるようになりました。
普段使っているLINEのユーザーで、LINEというブランドだからこそ、必要なときに安心してご利用を検討いただける土台になっていると感じます。

――一点、信用スコアというと、ガバナンスを含めて透明性が難しいと思いますが、苦労されているポイントは?

まずは、ユーザーの皆さまに安心して利用していただけることが何よりも重要だと考えています。たとえば、LINEの通話内容などは一切使っていませんし、ユーザーの同意を得たデータのみを活用しています。これからも安心・信頼の担保は第一に取り組んでいきます。

正木CEOがソファに座り、手を使って話しています。カジュアルで親しみやすい雰囲気が伝わります。

LINE証券のリスタートと、LINEらしい投資体験

――2024年にはLINE証券でも大きな再編がありましたね。

2024年8月に大きく事業再編を行い、現在はリニューアルフェーズにあります。金融サービスとして「安心・信頼」が大前提である一方、LINEらしいユーザー体験について、たとえば、投資情報がトーク感覚で届いたり、AIによってパーソナライズされた提案を受けられたり、そういった「日常に自然に溶け込む投資体験」を提供したいと考えています。

CFD(差金決済取引)の再開も予定しています。今後は、投資初心者から中・上級者まで、幅広い層のニーズに応える商品ラインナップを目指しています。

――グループ全体でAIの積極活用が進んでいますが、いかがですか?

LINE証券、LINE Creditともに、顧客体験の高度化や業務効率化に向けて活用を進めています。
たとえば、コミュニケーションのパーソナライズ化やナビゲーションの最適化など、AIが貢献できる領域は広いと考えています。審査・与信などの業務プロセスでも、AIを積極的に取り入れていく予定です。

ソファに座った正木CEOが笑顔で話し、手を組んでいます。木目の壁が背景にあり、落ち着いた雰囲気です。

LINEヤフーのアセットを生かして金融の再定義を

――グループシナジーの中で、今後どんな可能性を感じていますか?

LINEとヤフーが保有する膨大なユーザー接点を活用すれば、より立体的な顧客理解が可能になり、さらにユーザーファーストの新しい金融体験の提供につながると考えています。加えて、AIなど最新技術を積極的に実装できるグループの土壌も大きな強みです。

――現状の強みをさらに生かせるということですよね?

はい、LINE上で申込・審査・借り入れまで完結するスマホ融資サービスとして展開できていることが私たちの非常に大きな強みです。
そんなLINEらしさを生かして、ただの金融機能提供にとどまらず、「日常に自然に溶け込む体験」を目指しています。
PayPayとの連携も視野にありますし、コマースやメディアとの掛け合わせによって、まったく新しいユーザー体験を提供できると信じています。たとえば、買い物後の資金需要ってありますよね。そんなユーザーニーズにも対応したいですね。
近年、金融業界ではいろんなサービスと連携してよりシームレスなサービスを提供する「エンベデッドファイナンス」も広がっています。私たちは、グループ内に多種多様なアセットがありますから、どんどん連携をしていきたいですね。

――最後に意気込みをお願いします。

このグループだからこそ実現できる、ユーザーファーストの新しい金融体験があると信じています。LINE CreditやLINE証券だけではなく、グループ横断で力を合わせて、まだ誰も体験したことのないような、未来の金融をグループの皆さんと一緒につくっていきたいですね。

正木CEOがテーブルに肘をついて微笑んでいます。シンプルな背景で、カジュアルなビジネスシーンを感じさせます。

取材日:2025年8月4日
文:LINEヤフーストーリー編集部 撮影:日比谷 好信
記事中の所属・肩書きなどは取材日時点のものです。

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