「上場して、さらにやる気に火がついた」delyのCEO堀江に聞く、これまでの道のりや組織作りの秘訣

リーダーズ
二人の男性、堀江と出澤が、白い背景の前で緑の椅子に座って微笑んでいます。左の堀江は黒いジャケット、右の出澤はグレーのジャケットを着ています。

2024年12月、LINEヤフーのグループ会社、dely株式会社が上場しました。
今回が3回目のチャレンジだったそうです。これはぜひお祝いしたい...! そこで今回、delyのCEO堀江とLINEヤフーのCEO出澤の対談が実現しました。
レシピ動画サービス「クラシル」で知られるdelyは、どんな秘策で競争の激しい市場を勝ち抜いてきたのでしょうか。これまでの道のりや組織作りの秘訣、そして未来へのビジョンとは? 熱量の高い1時間となった対談の内容を、ぜひご覧ください。

黒いジャケットに白シャツを着た堀江が、白い背景でリラックスした感じでカメラを見ています。
堀江 裕介(ほりえ ゆうすけ)
2014年、慶應義塾大学在学中にdely株式会社を設立。2度の事業転換を経て、2016年2月よりレシピ動画サービス「クラシル」を運営。4年でクラシルを利用者数・アプリDL数・SNS総フォロワー数・レシピ動画数のすべてにおいて日本最大のレシピ動画サービスに成長させる。
グレーのジャケットに黒のシャツを着た出澤が、白い背景で笑顔を見せています。
出澤 剛(いでざわ たけし)
LINEヤフー代表取締役社長 CEO(最高経営責任者)
1996年、朝日生命に入社。2002年にオン・ザ・エッヂへ入社、2007年にライブドア代表取締役社長に就任。2015年、LINE代表取締役社長CEOに就任。2021年3月からZホールディングス代表取締役Co-CEOを経て、2023年10月にLINEヤフー代表取締役社長 CEOに就任。

上場して変わったことは?

出澤が、横を向きながら笑顔で話している

上場おめでとうございます! 上場して、何か変わりましたか?

堀江が、横を向いて話している

ありがとうございます。会社としてプレッシャーや責任感は増しましたが、一番の変化は僕自身だと思います。うれしい気持ちもありますが、悔しさの方が強くて、上場前よりさらに働いていますね。

今は「とにかく事業・会社を大きくしてやろう」って思ってます。よりハングリーになりました。

出澤が、横を向きながら笑顔で話している

最初に創業したのっていつでしたっけ?

堀江が、横を向いて話している

2014年です。もう10年やっていますね。
実はIPOを2回延期していて、今回が3回目のチャレンジです。ヤフーに入ってからも、2度ほど挑戦しようとしたんですが、市況が悪くなってしまって。2021年あたりに特に市況が悪化し、結果的に10年かかってしまいました。

スーツを着た堀江と出澤性が、JPXのロゴが入った背景の前で、鐘を鳴らすためのハンマーを一緒に持っています。

2024年12月19日、東証グロース市場に上場。当日は出澤も駆けつけた。

出澤が、横を向きながら笑顔で話している

堀江さんとは、まだ資本関係がない頃から、食事に行くなど交流がありましたよね。
非常に才能ある若手経営者で、今も昔もその存在感は変わりません。
ビジネスの勘どころや、やりきる力、リーダーシップが際立っていて、常に4手、5手先を読んで行動している印象があります。

堀江さんから、今のLINEヤフーはどう見えていますか?

堀江が、横を向いて話している

僕たちはLINEヤフーグループに長くいるので、会社を客観的に見るのは難しい部分もありますが、LINEやPayPay、Yahoo!ニュースなどを手掛けている中で、本当に多くのイノベーションの可能性を秘めた会社だと感じています。

これから、それらの可能性を10倍、100倍にする方法を考える段階に来ていると思いますし、そこに少しでも貢献できたらいいなと思っています。まだまだ調理のしがいがありますね。

出澤が、横を向きながら笑顔で話している

ぜひ堀江さんに調理してほしいですね(笑)

グレーのジャケットを着た出澤が、白い背景の前で椅子に座り、笑顔でリラックスした様子です。
堀江が、横を向いて話している

(笑)いろいろなことを今のまま続けられればいいなと思っています。でも、僕たちの規模はまだまだ小さいので、もっとアグレッシブに経営して、売上や成長率でインパクトを残さないと、LINEヤフーにとっての存在意義が薄れてしまうと感じています。

やっぱり、グループの中心にいることが面白いですし、自分たちがリーダーシップを取れる位置にいるべきだと思います。
だから、出澤さんが「ぜひ一緒にやりましょう」と言ってくれるような事業アセットを作るのが僕の役割だと思っています。「LINEヤフーにこんな強力なチームがいて心強い」と思ってもらえるようになりたいですね。

あと、LINEヤフーは優しい人が多くて素晴らしい会社ですが、僕たちはまだまだ弱小ベンチャーなので、もっと泥臭くアグレッシブでもいいのかなと思っています。

出澤が、横を向きながら笑顔で話している

これからも、ぎらぎらし続けると(笑)

堀江が、横を向いて話している

はい(笑) 孫さんの言葉を借りれば、まだまだ、少し「いかがわしさ」が必要だと思います。そうしたスケール感が大切で、僕たちが丸くなっている暇はない、という感じです。

上場すると、本当に実力が全てだと感じます。結果が出ていれば誰も文句を言わないし、出なければ厳しく批判されます。だから、上場してもう一段階ギアが入ったというか、さらにやる気に火がつきました。

未上場のときは、ある程度の結果を出していれば資金調達もスムーズでした。でも、上場するとGAFAと比べられ、「なぜあなたの会社に投資する必要があるの?」とフェアに比較されます。成長率や事業基盤で評価されるわけです。

もちろん反省すべき点もありますが、そう言われて悔しいと思えないなら、それは起業家として終わりだと思います。自分の規模や活動に対して「悔しい」と感じる機会があるのは良いことだと思っています。

黒いジャケットに白いシャツを着た堀江が、横を向いて話している様子です。背景は明るい緑と青です。
出澤が、横を向きながら笑顔で話している

「悔しい思い」を表に出すか出さないかの違いはありますが、われわれ経営者は日々そうしたことに直面していますよね。

経営統合してからも、うまくいくこともあれば、うまくいかないこともあります。その中で、悔しい思いや大きなプレッシャーにさらされることもありますが、何とかしなければいけない状況に直面することも多いです。
そうした現状を打破しようとすることが、私たちのエネルギーになっているんですよね。

堀江が、横を向いて話している

あと、僕は根本的には3.11のときに感じたことが大きいですね。被災地に行って瓦礫を運んだりしましたが、それ以上のことはできず、自分の無力さを痛感しました。それがきっかけで、凡人でも何かできることがないかと考え、ビジネスを通じて影響力を持とうと思ったんです。

自分の資産や会社のリソースを使って、世の中に貢献することが自分を奮い立たせてくれます。その影響力を最大化することが今も目標で、これは終わりのない挑戦です。上場しても、まだ1%も達成できていないと感じています。

黒いジャケットに白いシャツを着た堀江が、淡い青の背景の前で話をしている様子です。

事業を大きくしていく上で大事にしている考え方は?

出澤が、横を向きながら笑顔で話している

堀江さんが事業を成長させる上で大事にしていることは何ですか?

堀江が、横を向いて話している

僕は、「追い風が吹いているかどうか」だけかなと思っていて。

出澤が、横を向きながら笑顔で話している

うん。いいポジションを取ること、いいタイミングで始めること。

堀江が、横を向いて話している

マーケット選定が重要で、それさえうまくいけば良い方向に進みます。逆に、LINEヤフーのような大企業でも、小さなベンチャーに負けることもありますし、その逆も然りです。
重要なのはタイミングと、世の中がどの方向に流れていくかを見極めることです。

会社の規模が1桁、2桁変わるのはマーケット選定によるもので、さらに実行力があれば、もう1桁の差が生まれる、そんなイメージですね。

出澤が、横を向きながら笑顔で話している

マーケット選定の次に重要なのは、実行力、資金力ですね。
私はLINEでLINE Payを担当していましたが、PayPayはソフトバンクとヤフーが手掛けていました。そこで決定的な差が出たのは、店舗カバレッジを広げる戦略でした。
営業網の拡大や徹底力、そして「ここだ」というタイミングでの資金投入が大事でした。事業の徹底力は本当に重要ですね。

それから、タイミング選定について言えば、LINEは2011年6月にリリースしたんですが、その年の秋にはKDDIがiPhoneを販売し始め、iPhone 4Sの登場でスマートフォンの普及率が一気に上がりました。

そのタイミングで、良い状態のメッセンジャーとして市場に入れたことが大きかったですね。振り返ると、良いタイミングでそこにいることがすごく大事だったと思います。

グレーのジャケットを着た出澤が、白い背景の前で腕を組んで話している様子です。
堀江が、横を向いて話している

正直言って、あのLINEでさえアプリを出したタイミングで、今のようにフィンテックまで発展しているなんて誰も想像していませんでしたよね。だから、そういうことは後で考えればいいと思っています。
重要なのは、世の中がどちらの方向に流れているかを間違えないこと。それさえつかめていれば、うまくいくと信じてます。

会社を成功させるには、どの山を選ぶか、つまりどの市場に参入するかが非常に重要で、これが9割を占めると言ってもいい。

若い起業家の中には、非常に優秀な人がたくさんいますが、勝てる市場を見極める勘が弱いと、どんなに最適化や実行力が高くても勝てないと思います。

堀江と出澤が会議室で向かい合って話しています。
出澤が、横を向きながら笑顔で話している

撤退する時の潔さも大事ですよね。

堀江が、横を向いて話している

そうですね。僕はダメなら1カ月でもすぐに撤退します。
これは経営者として必要な要素です。プライドはなく、勝ちたいだけなんです。

勝たせたい、勝ちたい。

そのために方針をすぐに変えてでも勝つ確率が少しでも上がるなら、即決します。時間は有限なので、負け戦を続けるよりも有効に使うべきです。

出澤が、横を向きながら笑顔で話している

厳しそう、怖そうに見られるかもしれませんが、でも最終的にはそれが一番優しい。

堀江が、横を向いて話している

やはり、どれくらいのスピードで実行できるかが非常に重要だと思います。優しい人だと空気を読んでしまうことがありますが、僕は早く撤退したことで後悔したことは一度もないです。
むしろ、もっと早くやればよかったと常に思っています。だから、思い立ったらすぐに動き「びびらない」のが自分の強みかなと思いますね。

中途半端な優しさは必要ないと思っています。
勝って給与が上がり、みんなが良いキャリアを築けて、良いサービスを提供できるようになることが大事なのに、なぜ意思決定が遅れるのか? と考えると、それはたぶん自分の心の弱さだと思うんです。

メンタルの強さというのは、経営者として正しい意思決定をし続けられるかどうかだと思います。
たとえば、5年後を見据えたときに、今の撤退が良いかどうかを考えれば、確実に良い選択だと判断できるのではないでしょうか。

黒いジャケットに白いシャツを着た堀江が、白い背景の前で手を使いながら話している様子です。

勝率を上げるために必要な要素は?

堀江が、横を向いて話している

結局、波風を立てずに経営するのは無理だと思っています。

自分が正しいと思った方向に即座にトップダウンで進むのが僕のスタイルです。もちろん、みんなで決めるボトムアップ型のほうが、言葉としては良い印象を与えますし、良い人に見られるかもしれませんが、それでは勝率が低いと考えています。
圧倒的なスピードで、組織をできる限り納得させながら進めていきたいと思っています。

レシピサービスが乱立する中で一気にクラシルを伸ばすために大金をかけてCMを打ったり、成長しそうな事業でも追い風が吹いていなければ潔くストップしたり、それこそヤフーと手を組んだり。
そういった決断も当時を振り返るとさまざまな意見がありましたが、結局は会社・事業を成功させるための最適解でした。

実は、僕は負けることに対してすごく臆病なんです。昔、撤退を繰り返してうまくいかなかった経験があって、そのときに多くの人が辞めていきました。
それで気づいたのは、勝つことが組織や顧客を最もハッピーにするということでした。

それ以来、「勝たせてなんぼ」、つまり一緒にチームとして勝たなければ意味がないと思っています。

出澤が、横を向きながら笑顔で話している

(delyが当時の)ヤフーグループに入ったとき、私から見ると「自分で十分やっていけるんじゃないか」という印象もありました。
でも、競争が激化することを見越して、早めに大胆な意思決定をしていたんですよね。そんな決断を繰り返してきた印象があります。

堀江さんの言う、臆病というのは重要な要素ですよね。

グレーのジャケットを着た出澤が、腕を組んで穏やかな表情で遠くを見ている様子です。
堀江が、横を向いて話している

すごく怖いんですよね、負けるのが。

出澤が、横を向きながら笑顔で話している

だから準備するんですよね。

堀江が、横を向いて話している

めちゃくちゃ準備しますね。プランもいくつも用意しておかないと不安です。それで、24時間働いてしまう、みたいなときもあります。だからある意味、経営者として向いていると思います。

僕は、わくわくしながら経営するタイプではなくて、「このパターンが来たら怖いな」「あの競合がこう動いたら嫌だな」といったことをすべて洗い出して対策を練らないと気が済まないんです。これをやらないと不安で眠れない。

出澤さんは怖くないですか?

出澤が、横を向きながら笑顔で話している

うん、怖いですね。

堀江さんは、生成AIは怖くないですか?

堀江が、横を向いて話している

小さな会社ほど人的アセットは軽いわけですし、AIは我々弱小企業には追い風です。
今はまだみんながスタートラインに立っている状態なので、アグレッシブにいきたいですね。

出澤が、横を向きながら笑顔で話している

次の新しい事業のイメージはあるんですか?

堀江が、横を向いて話している

いろいろと準備はしていて、3年後に伸びるもの、5年、10年先まで伸びるものを、自分の中でポートフォリオとして分けて管理しています。
伸びるトレンドもあれば、伸びないトレンドもありますが、僕は両方持っておくべきだと考えています。インフレになったとき、デフレになったときに対応できるよう、どちらの武器も持っていればどちらかでヘッジできるからです。

事業ポートフォリオを多角化することは、非常に長期で見れば勝率を上げるために必要な要素だと思っています。経営の難易度が上がるのは理解していますが、それでもやるべきです。
そうしないと、安定的に30~40%の成長を続けるのは難しいと思っています。市場の波はさまざまな方向に動くので。

だから、「なんでdelyがエンタメの会社をやっているの?」と思われるかもしれませんが、それは将来的なビジョンのためです。何を言われようとも多角化しておくべきだという判断です。ずっと伸びる事業はないので。

黒いジャケットに白いシャツを着た堀江が、横を向いて何かを考えている様子です。背景は緑色です。

リーダーシップのスタイルは?

出澤が、横を向きながら笑顔で話している

堀江さんが各事業に関わる配分はどんな感じ? 任せる部分は任せているんですか?

堀江が、横を向いて話している

いや、全部にがっつり関わっています。
毎週の定例ミーティングにはすべて参加しているし、細かいデザインの指示もしています。会社が何万人という規模になるまでは、強力なリーダーシップを発揮しないといけないと思っていて。

LINEヤフーに来て優秀な人たちと話すと、僕がちょっとごまかしたいようなことを言うと、すぐに「それってこうですよね」と鋭く指摘してくるんですよね。そういう緊張感の中で成長してきた感じがあるので、delyでもそれがすごく重要だと感じています。

出澤が、横を向きながら笑顔で話している

堀江さんが描いているリーダー像はありますか?

堀江が、横を向いて話している

僕が「こうありたい」というのは特にないんです。ただ、勝つための最も効果的な手段は、トップが「ゴー」と言ったら全員がその方向に動く組織だと思っています。そして、「ストップ」と言ったら全員が止まることができる組織です。

決まったことに対して、意見が合わなかった人が我を通そうとしたり、「納得できないけど...」としぶしぶやるような人がいたりする組織は絶対に勝てません。僕たちのような小さな会社が大きなところをひっくり返すには、全員の意思統一が必要です。

そのためには、事業に対する高い解像度が求められます。だからこそ、僕は現場に入り続け、解像度を上げつつ、緊張感を与える存在でいないといけない。
それがあるからこそ、僕が「ゴー」と言ったときに、みんながそれを信じて動いてくれると思っています。

delyでは「Disagree, but commitment」という方針を掲げているので、決まるまでは、もちろん何でも言ってもらって構わないし、反対意見を述べることも大歓迎です。ただ、一度協議して決まったら、全員が同じ方向に進む必要があります。それが成功するための確率を上げるからです。

ボトムアップは世間的には評価されがちですが、僕はあまり信じていません。その理由は、目線が違うからです。
僕は10年単位で会社を成長させることを考えていますが、他の人は転職や短期的な成績を考えることもあるはずです。

会社の長期的な最適化を考えられるのは僕だと思っているので、任せてほしいと言っています。ボトムアップではなく、決まったら「ゴー」だと。

黒いジャケットに白いシャツを着た堀江が、手を広げて話をしている様子です。背景は淡い色です。
出澤が、横を向きながら笑顔で話している

私も最初に自分で事業を立ち上げたときは、50~60人の部署でした。1人で始めてそこまで成長したときは、現場感を非常に大事にしていました。LINEの立ち上げのときも、B to Bビジネスをハンズオンでやってきたので、現場のリアリティーを重視していました。

しかし、会社の規模が大きくなり、経営統合が進む中で、適材適所に人を配置することが非常に重要なテーマになってきました。適材適所を意識し、そのための情報に基づいて意思決定を行うスタイルに、だんだん変わってきていると感じます。

グレーのジャケットを着た出澤が腕を組み、何かを考えながら話している様子です。背景は白です。
堀江が、横を向いて話している

もちろん、任せたほうがいいというやり方もあるでしょう。でも、どちらにしても、解像度が高いからこそ任せられると思います。
任せるにしても解像度を上げ続けて、「堀江さんはごまかせないな」という緊張感は必要ですね。
ただ、僕らの規模で言うと、権限委譲を考えるのはまだ早いと思っています。

出澤が、横を向きながら笑顔で話している

本当に重要ですよね。権限委譲を使いたがる人は多いですが、それを逃げだと感じることもあります。ある局面では正しいですが、別の局面では、責任を現場に委譲してしまうだけで、自分の目が届かなくなる危険があると思っています。

私は経営者から「どうやって権限を委譲しますか」という相談を受けることも多いですが、一定の規模までは「自分で全部やる」という姿勢が絶対に正しいと思いますね。

堀江が、横を向いて話している

実は、昨年は人事のトップもやっていまして (笑)

黒いジャケットに白いシャツを着た堀江が、緑の背景の前で微笑みながら話している様子です。
出澤が、横を向きながら笑顔で話している

え? どうして?

堀江が、横を向いて話している

人事が会社の歴史を知らず、事業の解像度が浅い状態では、良い仕組みを作っていくことは難しいと思ったからです。

上場前のベンチャー企業だと業績プレッシャーが非常に強いのでどうしても目の前の業績に目が行きがちです。
でも、創業者としてより長い時間軸でdelyのことを考えると、メンバーが1万人、10万人と増えていく土台が出来ているかどうかが時価総額数千億、1兆円とステップアップするための大きなイシューであり、それは創業者にしか出来ない重要な仕事だと考えました。

人事は事業と会社の歴史に深くリンクしているので、他社の成功事例をそのまま持ち込んでもうまくいかない。結局、仕組みを作れるのは創業者だけだと思ったので、そこにコミットしました。

出澤が、横を向きながら笑顔で話している

なるほど。具体的にはどのような仕組みを作ったんですか?

堀江が、横を向いて話している

まず、delyには「ビジョンブック」があって、そこに社員がどう考えるべきかをまとめています。

VMV(ビジョン・ミッション・バリュー)だけでは合意形成のできない細かい方針の擦り合わせから、自分たちが「どこに、何のために」向かっているのかや、「こういう事業領域はやる/やらない」という判断基準まで事細かに書いてあります。いわば僕自身が10年間で培ってきた勝ち方の原理原則を書いてあるバイブルです。

社員一人ひとりが自身の日々の業務において判断をする際、「こうすれば勝てる」という基準を明確にしています。
こうすることで採用のミスマッチも起きないですし、「delyらしさ」が社員ひとり一人の行動に根付きます。実際、社員の会社への解像度が上がったことで、昨年のリファラル応募は15倍になりました。

黒いジャケットに白いシャツを着た堀江が、手を顎に当てて考えている様子です。

仕事に対する情熱やモチベーションを保つための秘訣は?

出澤が、横を向きながら笑顔で話している

事業にも入り、人事も自分でやり...。
本当にいろいろなことをされていますが、堀江さんは、いつほっとするんですか? 何時間睡眠?

堀江が、横を向いて話している

正直、起業してから今まで、一度も心からほっとした瞬間はないですね。

お正月に休んでいると、「なんでみんな休んでるんだ...!」と思ってしまうくらい、1週間でも止まることが不安です。
今こうして(休んで)いる間に新しい発明が生まれていないか、とも考えてしまうので、営業できない時間があることが嫌なんですよね。海外に行ってもすべてが仕事につながらないかと考えてしまう。自分にとってはもうこれが生きがいなのかなとも思います。

ちなみに、睡眠時間は必ず7時間確保しています。その上で、それ以外の時間をすべて仕事にフルベットする感じです!

出澤が、横を向きながら笑顔で話している

7時間睡眠と聞いて、ちょっと安心しました。

堀江さんのその根性はどこで培われたんですか? 

堀江が、横を向いて話している

やっぱり、人を雇い始めてから責任を強く感じるようになりました。

過去には事業がうまくいかず、社員が何人も辞めていった時がありました。その時、半分は「ありがとう」という気持ち、半分は「一緒にやっていればもっと良い未来を作れたのに」と思う悔しさがありました。だからこそ、社員が自分に投じてくれた時間を「良かった」と思ってもらえるように、より一生懸命やるようになりましたね。

マーケットの選定方法も変わりました。勝たないと社員が不幸になるので、勝ちに対する意欲がさらに高まったんです。勝つことで多くの問題が解決することを実感しました。

人に対する思いはずっと変わっていなくて、(社員が1人になってしまった)当時も大事にしていましたが、ビジネスがうまくいかなければ結局、人の心は折れてしまう。だから、まずはビジネスの成功を優先しています。

出澤が、横を向きながら笑顔で話している

堀江さんのように、仕事に対する情熱やモチベーションを保つための秘訣はありますか?

堀江が、横を向いて話している

まずは人の倍くらいの結果を出してみると、仕事が楽しくなるタイミングが来るんじゃないでしょうか。だから、まずは一度頑張ってみることをお勧めします。

特に新卒の人には積極的に挑戦してほしいですね。仕事を楽しくするかどうかは自分次第だと思います。僕はたまたま楽しいと思える状況を作り出せただけで、他の人と根性に大きな差はないと思っています。

出澤が、横を向きながら笑顔で話している

成果が出るまでやってみたら楽しくなるというのは、第一歩としてとてもいい提案だと思います。

ただ、「根性で差分はない」と言われると、堀江さんには、やはり何か根源的な強さがあると思いますけどね。 経営者はみんなプレッシャーの中で働いていますが、堀江さんは特に日本の若い経営者の中でも、その情熱や鋭さは一番強いのではないでしょうか。常に渇望している感じがします。

川邊さん(LINEヤフー会長)や小澤さん(前ヤフー社長)と話したときも、堀江さんにグループに入ってもらった理由は、「起業家的なエッセンスを強烈に持っているから」だと言っていました。

大企業になるとそういった要素は失われがちですが、堀江さんの持つ渇望感や情熱、事業に対する備えと構えは、LINEヤフーグループにとって大きな意味があると思います。これからいろいろやりましょう。

堀江が、横を向いて話している

はい、ぜひ。今以上にグループ内でいいシナジーが生まれる機会があるはずだし、これからもっと一緒にやり切ったほうがいいと思っています。だって敵じゃなくて仲間だから。

僕たちもグループの仲間として、できることがあればどんどん提案したいと思います。そのときは「うざい」と思わずに(笑)聞いてもらえたらうれしいですね。

黒いジャケットに白いシャツを着た堀江が、淡い青の背景の前で微笑んで横を向いている様子です。

取材日:2025年1月15日
※本記事の内容は取材日時点のものです

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