防災リュック選手権を開催! いざという時、本当に使える? 家族用からペット用までプロが採点してみた

サービス
1人の女性、2人の男性が防災バッグを持って笑顔で並んでいます。それぞれ4人家族用、一人暮らし用、ペット用のバッグです。

災害時に命を守るための「防災リュック」。みなさんは準備できていますか?
水や食料、防寒具など、必要なアイテムは人それぞれ異なります。家族構成やペットの有無、一人暮らしなど、ライフスタイルによっても中身は変わってきます。

今回、LINEヤフーストーリー編集部では「家族用」「ペット用」「一人暮らし用」の3つの防災リュックを実際に作成して防災のプロに採点してもらう、「防災リュック選手権」を開催。その様子を一人暮らしのライターである地主さんに寄稿いただきました。
あなたなら、どんなアイテムを選びますか?

防災のプロに、それぞれの防災リュックをみていただく、防災リュック選手権!

地震や台風などの天災に見舞われた際に必要になる防災リュック。
避難する時に持って行くリュックで、避難する時に荷造りするのではなく、常に万全な状態で自宅に保管してあり、いつでも持ち出せるようにしておくことが大切だ。

オレンジ色のパーカーを着た男性、地主さんが笑顔で立っています。パーカーには「MOUSOU UNIVERSITY」と書かれています。

どうも、この記事を書いている地主です!

ただそうは言っても、実際に防災リュックを作るとなると、何をリュックに入れればいいのか悩む。
必要なものだと思っても、リュックのサイズは有限なので、入れるのか否かの選択も生まれる。

スーツ姿の男性、高荷さんが笑顔で立っています。ネクタイはストライプ柄で、落ち着いた雰囲気を醸し出しています。

ということで、備え・防災アドバイザーの高荷智也さんをお呼びしました!

高荷さんは、家庭の地震・水害・噴火対策から企業のBCP策定、パンデミックからゾンビ対策まで「死なない」防災を真剣に楽しくアドバイスしてくれる専門家だ。

高荷智也さん
高荷 智也(たかに ともや)さん
合同会社ソナエルワークス 代表
備え・防災アドバイザー

「自分と家族が死なないための防災」をテーマに、地震・水害・パンデミックなどの自然災害から、銃火器を使わないゾンビ対策まで、堅い防災をわかりやすく伝える活動に従事。防災系YouTuber・Voicyパーソナリティとしても活躍中。
X:https://x.com/sonaeru

高荷さん

防災リュックは、目的を何にするかが重要なところです。防災対策の基本は命を守ることで、何を準備しておけば、死なずに済むかを考えることが一番重要です。

そういう意味では水と食べ物を準備していても、逃げ遅れて亡くなったら意味がないですし、逃げるための防災リュックを準備していても、家がつぶれて亡くなってしまったら意味がないので、基本的には即死する要素からつぶすことが主要となりますね!

地主さん

せっかく防災リュックを用意しても、命が守れなかったら意味がないということですね......。

高荷さん

そうなんです、ですので、実は、一番重要なのは家なんですよ。家と土地で防災の半分はもう決まってしまいます!

地主さん

防災リュックを作る前から大切な要素が!

高荷さん

新耐震基準以降の家に住んでいれば、基本的には大きな地震があっても生き延びられます。

ただ逆に、沈んだり崩れたりするところに家があったり、旧耐震基準の家なんかに住んでいたりすると、防災リュックがあってもなくても、意味がないこともあるので、まずは家を何とかするのが前提としてあります。

地主さん

なるほど。防災対策は家からなんですね。

スーツ姿の高荷さんが机に向かい、何かを説明しています。ジェスチャーを交え、熱心に話しています。

高荷さん

で、家の次に防災リュックなんですよ。

防災リュックには2つの役目があって、一つはまず避難場所まで安全に移動するということ。避難場所にたどり着くまでにはいろいろな危険がありますので、そのための道具が必要になります。

もう一つが素早く家を飛び出す準備なんですよね。いざ「逃げろ」と言われても、のんきに荷造りしていたら、死ぬんですよ! 

40秒で家を飛び出せるようにしておかなければなりません!

地主さん

40秒! 事前の荷造りが大切になってきますね。

高荷さん

そうです。

事前に防災リュックを準備しておけば、財布と通帳を突っ込んで、サッと逃げられますので、素早く家を飛び出す準備、そして飛び出した後ちゃんと避難場所まで安全に移動するための道具
それが防災リュックの大きな役目なんです。

地主さん

避難所で必要なものもありますよね?

高荷さん

首都直下地震とかですと、すぐに支援は来ません。
基本的に3日間は外部支援0という意識で、その3日間を生きるための準備は必要です。
とはいえ、水さえあれば3日間はなんとか生き延びられますので、そういう意味では割り切って、食料を準備しない防災リュックも考えられます。

ただ寒い季節ですと、防寒着がないといけません。そういうことを考えて、防災リュックを作成してみてほしいです。

地主さん

うーん、いろいろ防災リュックに入れたくなりますね。

高荷さん

繰り返しになりますが、防災リュックの最大の目的って素早く逃げることです。重すぎて持っていけないというのは最悪です。

高齢者の方にありがちですが、ネットで一番評価が良かった29,800円豪華38点セット買ったけど、持ち上がらないといったことがリアルにあるんです。

地主さん

じゃ、筋肉つけるのも防災対策と言えますね!

高荷さん

なるほど、それは素晴らしい考え方です!

スーツ姿の高荷さんがバックパックを背負い、前に立っています。

高荷さんは常に防災グッズを持ち歩いているそうです!

ということで、家の次に大切な「防災リュック」。
40秒で家を出られるようにしなければならない。

そこで今回は子どもがいる人、ペットを飼っている人、一人暮らし人でそれぞれ防災リュックを作り高荷さんに採点してもらおうと思う。ちなみに予算は2万円以内だ。

女性1人、男性2人が異なるタイプの防災バッグを持って笑顔で並んでいます。バッグは4人家族用、一人暮らし用、ペット用です。

三人でそれぞれ作ります!

遊び道具は必要? 子どもがいる人の防災リュック

菱山さん

私は4人家族です。
家族構成は私と夫と小学3年生の男の子と女の子の双子です。今回は2万円ということで、4人が3日間生き延びられるものはそろわないだろうなと思いました。

基本的に夫は仕事で外にいることが多いということを考えて、シチュエーションを割り切って、私と子どもの3人が生き延びられるものを作成してみました。

菱山さんが3つの防災バッグを持ちながら笑顔で立っています。バッグは異なるデザインで、それぞれの用途に合わせて選ばれています。

菱山さんの防災リュックは大人用が一つと、子ども用が2つ。

菱山さん

2年前に家を建てたばかりで、その時にハザードマップとかを見て地盤が安定しているところ、浸水しないところに建てたので、基本的には火事とか起きない限りは家にいられそうです。
プラスで避難所の小学校が徒歩2分ぐらい、川もないため、すぐに行ったり来たりができます!

5歳さん

防災リュックに関係ない加点アピール!

菱山さん

なので食料品とかは、家に置いちゃっています。
本当にその日一日、体育館で寝泊まりするっていうところを想定しているので、食料とかはもうめちゃめちゃ少ないです。寒さ対策や避難場所に行くまでの備えを中心にしています。

高荷さん

基本は子ども一人ずつに背負わせる感じですね。

菱山さん

子ども用のリュックはそれぞれ子どもが背負える重さにしてあります!

高荷さん

素晴らしい!

防災用のアルミシートが2つ、手で持たれています。パッケージにはサイズと用途が記載されています。

まず取り出したのはアルミシート。

菱山さん

防災グッズはホームセンターと100均でそろえたのですが、このアルミシートは1センチぐらいの厚さで、クッション性があり、体育館で寝る時や、ちょっと着替えたい時とかに囲うこともできるかなと思い、2枚購入しました。

テーブルの上にヘッドライトが複数置かれています。パッケージには使用方法や特長が記載されています。防災用品の一部として並べられています。

ライトは全部で4つ用意。

高荷さん

こちらのライトはヘッドライトタイプですね。

菱山さん

両手が使えた方がいいのかなと思い、ヘッドライトタイプにしました。あとは軍手ですね。寒さ対策にもなるかなと思って。
また、何かに使えるのではないかと思って、ごみ袋も用意しています。
あとは子どもが遊ぶための道具も入れてみました。

女性がらくがきノートと12色クレヨンを持っています。ノートには動物のイラストが描かれています。

お絵描きセットとトランプ

菱山さん

避難所の体育館って子どもにとっては慣れない環境ですし、退屈してしまうのではないかなと。
また、避難所に行けば友達がいるはずですし、友達と遊べるといいなと思って、トランプや落書き帳を入れました。

地主さん

防災リュックから家族の温かさを感じる!

この画像は、非常時に備えた防災グッズの一覧です。リュック、食料、携帯トイレ、飲料水などが並べられています。

菱田さんの防災リュックの中身

高荷さん

僕の独自のシートで採点していくと......菱山さんの点数は61点です! 
ちなみに満点は100点ではありません。今回2つの視点で点数をつけていて、命を守る道具なのか、生活をするための道具なのか、それぞれに絶対にあって欲しい物と、あったら嬉しいけどなくても死にはしないという感じで点数をつけました。

地主さん

61点は高い方ですか?

高荷さん

とても高いです!
そのまま防災リュックとして売ってもいいほどです。命を守る方では14点。軍手や雨具、特にヘッドライトがちゃんと人数分入っているのは素晴らしいです。

さっき両手を空けるって言いましたよね。まさにその通りで両手を使えるヘッドライトがいいんです。
お気持ち程度に1個2個だけ入れているという方も多いのですが、ちゃんと全員分入っているのが素晴らしいです!

菱山さん

よかった!

高荷さん

乾電池式のスマホ充電器も、やはり今は欠かせないアイテムなのでも加点対象です。メモ帳とペンもいいですね。

スマホで情報収集したあとに書くものがないと意外と困るんですよ。衛生管理用品もちゃんと押さえているところも素晴らしい。

5歳さん

たしかに、メモ帳とペンは役立ちそうですね。スマホってすぐ充電なくなっちゃうし。

高荷さん

あとは、冬はインフルエンザ、コロナの感染症があるので、マスクもちゃんと人数分入れているっていうところもいいなと思います。

タオルも重要ですね。体を拭けないと凍死してしまうリスクもあります。また、アルミシートもすごく大切で、避難所の床はとても固いので、厚手のものを用意している点がとても良いです!

地主さん

ベタ褒めですね!

高荷さん

それに一番ほしいごみ袋もちゃんと入っています。
水を通さない透明で衛生的な布って実は自然界にないんですよね。

たまにアウトドアが趣味で、ブッシュクラフトで生き延びられるという方もいらっしゃいますが、ごみ袋だけは調達できないので、すごくいいです!

5歳さん

そうなんだ! まさに僕はキャンプが趣味なので、なんとかなると思っていました。

高荷さん

おもちゃも実は大切な防災グッズです。
その子には必要でも、避難所でもらえないことが多いです。そういう用品もちゃんと押さえている。ですので、高得点にさせていただきました!

菱山さん

他に何かあればいいものってありますか?

高荷さん

お子さんもいるのでホイッスルをぶら下げておくといいですね。ホイッスルは、やっぱり助けを求める時に使えます。

あと、もう一つ入れるとしたら、やっぱりラジオですかね。

菱山さん

ラジオですか。スマホで十分かなと思っていました。

高荷さん

スマホも停電直後はつながりますが、停電が長期化して携帯電波がダウンすると使用できなくなります。最後まで使える情報源は携帯ラジオになりますので、これにあと1000円ぐらいの安いラジオが入ると、そのままセット化できるって感じですね。

地主さん

いきなり正解の防災リュックが完成した!

黄色の取替用ゴミ袋が3本セットで包装されています。1ロールに8枚入りで、非常時にも便利です。

ビニール袋が大切です!

キャンプ用品を詰め込んだ、ペットと生き延びるための防災リュック

5歳さん

はじめまして、5歳と申します。僕はパグを飼っています!

僕はキャンプをやるし、山登りもやります。つくづく思うんですけど、山登りやっている人はそのままそれ背負えば生きていけるんです。

アウトドア風の服装をした5歳さんが、大きなバックパックを持ってポーズを取っています。

5歳さんの用意した防災リュック

地主さん

ちょっと待った! 2万円ですよね、そのリュックですでに2万超えていませんか?

5歳さん

購入するものが2万円以内ですよね? 僕の家にはキャンプ道具がたくさんあるので、それらを詰めていけばそのまま防災リュックになると考えました。

地主さん

そうだったの? そんなのズルいじゃないですか!

高荷さん

まあまあ。日頃から備えがあるということで、今回は家にあるものを含めても良いことにしましょう。

5歳さん

ありがとうございます! ではまずはこれですね!

ペット用品がテーブルに並んでいます。リード、ペットフード、ウェットティッシュ、ペット用ウェアなどが見えます。

犬のリードやウェットシート、ごはんなど

5歳さん

パグって耳がすぐダメになるんですよ。耳が垂れている犬って、体調が悪いと耳あかがたまったり、すぐに耳の炎症起こしたり。
だから、耳のケアは欠かせないと思い、ケア用品を入れています。あと、歯磨きと餌。一つ残念なのがおむつを忘れました。

高荷さん

避難所にいるときは犬用のおむつは必要かもしれませんね。欠かさず入れるようにしましょう!

5歳さん

承知しました! 僕が犬と避難する際にこだわったところはこのコンパクトゲージです!

5歳さん、地主さん、菱山さんが、折りたたみ式のペット用のゲージを囲んで座り、興味深そうに見ています。

ワンタッチで大きくなる犬用のゲージ

5歳さん

調べてみたら、避難所ってゲージがないと入れないところが多いみたいなんですよね。
しかも、犬を避難所に連れてきても、ほえちゃうとか、人がいっぱいで落ち着かないとかで、仕方なく犬と一緒に車の中で生活したというのを聞いたことがあるんですよね。

だからたぶん、僕は校庭とかにテントを張って、ある程度隔離した状況で、パグと一緒に寝ることになると思うんです。ですので、一人用のテントや、寝袋、エアマットなども用意してみました。

アウトドア風の服装をした5歳さんが、寝袋を収納袋に入れて片付けています。テーブルにはヘルメットなどの道具が置かれています。

空気が簡単に入るエアマット

5歳さん

あと何かと必要な雨具ですね。僕は山登りをしていて、小雨が降った時とかは折り畳み傘でしのいでいたんですよ。

カッパもいいんですけど、結構着替えが面倒くさかったりするから、折り畳み傘で意外とどうにかなるのではないかなと考えました。

スーツ姿の人とアウトドア風の服装の人が並び、傘を差しながらポーズを取っています。スーツの人は登山靴を持っています。

折り畳み傘!

5歳さん

僕は以前、野宿をしたことがあるのでわかるんですけど、木陰に隠れられれば暑さで死ぬことはないです。
でも電気がない中、たとえ避難所でも寒さ対策ができていないと、結構危ないと思うんです。

今着ているのはスノボのジャケットなんですけど、これは暖かくて防水性もあるので、これさえ着ていれば大丈夫だと思っています。

地主さん

日頃から防災に適した格好!

アウトドア風のジャケットを着た5歳さんが、黒いロープを手に持っています。ロープの柄は白い模様が入っています。

すでに着用してきたスノボジャケット

5歳さん

あといつも、枕元に登山靴を置いてあります。
夜中に大地震が来た際、ベッドから起きて一歩目に割れたガラスを踏んでしまって、足をケガする方がいるらしくて。しかも、足の裏をケガして、そこから感染症になっちゃうと聞いたこともあります。

高荷さん

その通りです! 私は「踏み抜き防止ソール」を防災リュックに入れるか、普段履いている靴に入れっぱなしにすることを勧めています。

頑丈なインソールを入れることで、くぎやガラスを踏んでも貫きません。鉄板タイプと特殊繊維タイプがありますが、普段使いするなら特殊繊維タイプがオススメです。
やはり足をケガすると、その瞬間に機動力が0になるので、そういうのをちゃんと押さえているのはポイント高いです!

スーツ姿の高荷さんが、黒いビジネスシューズを手に持ち、何かを説明しています。背景にはリュックが見えます。

高荷さんはいつも踏み抜き防止ソールを靴に入れているそうです!

5歳さん

あとこれ、アイマスク!

帽子をかぶった男性が、アニメ風のアイマスクをつけて笑顔を見せています。背景にはスクリーンが見えます。

キャラもののアイマスク!

5歳さん

睡眠と寒さ対策が一番重要だと思っていて、アイマスクがあるだけで、睡眠の質が変わるんですね。
体育館だと本当に寝れないと思うんですよ。なので、アイマスクが必要です!

キャンプやアウトドア活動に必要なアイテムがテーブルに並べられています。リュックサックや犬用防寒具、寝袋、テントなどが含まれています。

5歳さんの中身

高荷さん

5歳さんは......54点です! 命を守る方が22点、生活が32点です! 
ペット防災で重要なものはケージや食べ物、あとはペットのストレスケア用品になるので、この辺が全部ちゃんと押さえられています。十分に高い点数です!

5歳さん

よかった!

高荷さん

避難所にさえたどり着ければどうにかなると振り切っているんですよね。

そのコンセプトが明確なのはすごくわかりやすいので、生活用品を除いて、避難に特化したセットとして良いのではないかと思います。

地主さん

おお、いいですね!

高荷さん

一方で、不安なのは、避難所で水や食べ物が手に入るかどうか正直わからないことです。
最初の3日間は人命救助、道路の開通作業に全振りするので、4日目まで外から何も運んで来られない可能性が高いんです。

水と食べ物って小さな災害で流通が止まっていなければ手に入りますが、大きな災害の直撃を受けると、何日も手に入らない可能性があるので、そこだけは入れていてもいいんじゃないかなと思います。

5歳さん

キッチンカーがあるんです!

地主さん

そんなズルいアピールしないでください!

高荷さん

キッチンカーですか?

5歳さん

キッチンカーの中にコンロや発電機があって、水は常に何リットルも入っています。
しかも僕が停めている駐車場は屋外の駐車場だから建物でつぶれる心配もないですし、常に持ち運べる台所があるって感じなんですよね。

高荷さん

それはなんとか生活できますね!

地主さん

最強ですが、普通キッチンカーは持ってないですから!

テーブルに並べられたアウトドア用品を、スーツ姿の男性が確認しています。隣には帽子をかぶった男性が立っています。

高荷さん

ちなみにキャラもののアイマスクで加点しました!

地主さん

アイマスクの加点ではなくて、「キャラもののアイマスク」で加点ですか?

高荷さん

そうです! 実は最低限の生活をするだけではなく、潤いを持たせる要素は重要だと考えています。

さきほどのお絵描き道具と同じような位置づけです。だって避難所でこんな人寝ていたら面白いじゃないですか!

菱山さん

確かに!

スーツ姿の男性が、テーブルに置かれたアウトドア用品を確認しています。リュックやヘルメット、靴などが見えます。

ほぼキャンプ道具!

物物交換をすればなんとかなる!? 一人暮らしの防災リュック

地主さん

最後は私で、一人暮らしの人の防災リュックです! 全部で19978円(税込)です!

菱山さん

ほぼピッタリな金額!

オレンジ色のパーカーを着た地主さんが、同じ色のバッグを肩にかけて振り返っています。

一人暮らしの人の防災リュック!

地主さん

リュックの値段も2万円の中に入っています。
これ素晴らしくて防水リュックなので中はぬれません。
地震だけではなく、九州出身なのもあって、台風という災害が身近だったので、ぬれないことも大切かと思い、このバッグをチョイスしました!

高荷さん

防災リュックというと、大地震のイメージがありますが、台風を意識されているのはいいですね! リュックが防水なのもすごく良いと思います。

地主さん

ありがとうございます! まずは食べ物ですね。保存が効く方がいいので「黒砂糖」と「塩」です。
共に開封しなければ賞味期限はありません! 僕はこれをなめて、3日間生き延びます。

高荷さん

なるほどそっちできたか!

テーブルの上に防災用品として、黒砂糖、塩、アルミ保温ブランケットなどの食品とアイテムが並んでいます。

賞味期限のない黒砂糖と塩

高荷さん

確かに塩と砂糖は地主さんがおっしゃったように賞味期限がないので、究極のほったらかし防災対策としてとても有用です。

塩、砂糖、はちみつで命をつなぎ、蒸溜酒は物々交換用のアイテムにするという考えも、極限状態への備えとしては有効なんです。

5歳さん

避難所に物々交換という発想があるんだ!

高荷さん

もちろん生き延びた後ですけどね。

地主さん

僕も今回物々交換をすれば良いという考え方で防災リュックを作成しています! 

5歳さん

なんとも地主さんらしい。

地主さん

水も念のため、1リットル用意したんですけど、やっぱり防災用の水の方がいいんですか?

高荷さん

水の消費期限って品質じゃないんですよ。
どれだけ容器が頑丈で中身が失われないかという点が大切なんです。
ですので、100年前の未開封のペットボトルでも容器が頑丈で、空気にさらされていなければ飲めます。

で、水の消費期限ってなにかというと、ちょっとずつ蒸発して減ってくる水の中身を維持できる期限のことなんです。防災用の水はボトルの強度などで蒸発しづらいものになっているので、できれば防災用の水を購入したいところですね。

地主さん

なるほど、水の消費期限ってそんなからくりになっていたんだ!

テーブル上に非常用のコンパクトなレインポンチョと、耳栓のセットがたくさん並べられています。

耳栓とカッパを大量に用意してみました

5歳さん

なんでこんな大量に耳栓とカッパが入ってるんですか! ふざけてます?

地主さん

いえいえ、真面目ですよ! 
耳栓はよい睡眠を取るために必要ですよね。雨具や防寒具としてのカッパも大切です。
ですので、耳栓とカッパを複数個、準備しました。周りに配って、避難所の人気者になろうと思っています!

菱山さん

周りの人と良好な関係を築こうとしている......。

地主さん

その通りです! 僕は皆に優しくありたいんです。そして......

テーブルの上に、複数のモバイルバッテリー、粘着テープ、黒糖、塩などの防災用品が整然と並べられています。

モバイルバッテリー9個!

地主さん

こちらはモバイルバッテリーですね、9個用意してみました。これもとに物物交換して、足りないものを手に入れようと思っています!

菱山さん

物物交換で生き延びようとしてる!

地主さん

ダイソーで買ったので1個税込1100円でした。高いものはあげると、お互いに気を使いそうですが、1100円ならいいかなと。

5歳さん

普通は生き延びるための道具を少しでも購入するのに、これで約1万円分を使うところに地主さんらしさを感じます。

地主さん

あと、ここにはないですが、枕元には、絶対にホイッスルと靴を置いて寝ています。
もちろん年中スノボ用の服を着ています! 今日は奇跡的に着てないですが!

5歳さん

全部さっき聞いたやつ!

地主さん

あとスマホがあれば、ライトもあるし、radikoも聴けるので、モバイルバッテリーがあるに越したことはないかと思っています。

高荷さん

地主さん、考え方は素晴らしいですが、radikoは「ラジオ」ではなく「スマホアプリ」ですので、停電が生じた場合は携帯電波が生きている半日ぐらいしか使えないんですよ。

大地震の場合、基地局がダウンしてしまい、電波がなくなって、radikoも聞こえなくなります。
むしろ周りが全部停電しても災害直後の方がスマホはつながる可能性があるので、最初に安否確認とか情報収集とかを済ませるのがいいですよ。

地主さん

知らなかった!

オレンジ色の服を着た地主さんが、黄色いパッケージの「カレー粉」を手に持っている様子です。

極めつけはカレー粉です!

地主さん

食料でこだわったのはカレー粉を入れた点です!

避難所では炊き出しとかしてもらえると思いますが、どうしても口に合わないってことがあるはずです。その時にカレー粉をかければ全部カレー味になるので食べられるんです!

高荷さん
確かによく軍隊で言いますよね。銃弾よりカレー粉が重要って。サバイバルでカレー粉さえあれば何とかなると聞いたことがあります。

地主さん

それです!

オレンジ色の服を着た男性が、洗濯用の袋を手に持ち、大きなオレンジのバッグの横で説明しています。

あとは洗濯できるやつ!

地主さん

「どこでも袋でお洗たく」というもので、これで3回洗濯ができます! 衛生的にも洗濯ができた方がいい場面があると思うので!

5歳さん

バックパッカーしてたときに同じやつを持っている人がいましたね。たしかにこれは使えそう。

地主さん

そうなんですよ、海外に行く時に私も持って行っています!

テーブルに防災用品が並べられています。リストには、防水バッグ、耳栓、モバイルバッテリー、食料品、衛生用品などが記載されています。

一人暮らし用の中身!

高荷さん

地主さんの点数は......38点です! 命を守るという点では4点ですね。

地主さん

それってほぼ死んでいますよね......。4点ってのもなんか嫌な数字だし!

高荷さん

避難所にたどり着いた後の生活点数は34点。5歳さんよりも高いです! 
同じものをたくさんリュックに入れて、誰かにあげるなり、物物交換するというコンセプトはすごく面白いなと思います。

でも避難所にたどり着けずに亡くなってしまう可能性が高いと思いました。

地主さん

避難所の王になる前に果てるのか......それはダメですね。

スーツ姿の高荷さんとオレンジのパーカーを着た地主さんが、テーブル上のオレンジ色のバッグとアイテムを確認しています。

避難所にさえたどり着ければ!!!

それぞれのスタイルで、想像力をふくらませること。防災リュックの必要性

地主さん

それぞれの防災リュックを見て、いかがでしたか?

高荷さん

あくまで、僕の基準から点数をつけてみましたが、全体のバランスをみて、今回の優勝は......菱山さんです!

4人の男女が笑顔でカメラに向かい、それぞれ異なるデザインのバックパックを持ってポーズを取っています

防災リュック選手権、優勝は菱山さん!

地主さん

たしかに、誰よりも想像力があって、充実していましたね。
これについては異論はありません。

でも、なんで一人暮らしで一番身軽な私が負けたんだろう......。

高荷さん

そこに落とし穴があって、一人暮らしの方だと、これまで自分でなんとかしてきたから、何とかなると思ってしまうんですよ。

たとえば、ミニマリストの方っているじゃないですか。ミニマリストって丁寧な暮らしとかシンプルで環境負荷が少ない生活とかと思いがちなんですが、実は全然そんなことなくて、ミニマリストの生活をするためには、社会の流通と生産が完璧に動いていないとダメなんですよね。

一日でもトラックがコンビニに入らなくなったら生き延びられません。

5歳さん

社会に依存した上に、そういう生活があるってことなんですね。

高荷さん

複雑な生活を安定させれば勝手にモノは増えるはずです。

よく一人暮らしの方が「うちの冷蔵庫は隣のコンビニ」などとおっしゃっていますが、それはやっぱり普段の生活が便利すぎて、コンビニに行けばどうにでもなっちゃうので、家にモノがないんですね。

地主さん

まさに僕の家、冷蔵庫ないです......。

高荷さん

ペットがいたり、家族や子どもが増えたりしてくると、やっぱりいざという時にないと困るものがいっぱい出てくるので、モノは増えるはずなんです。

地主さん

その結果が、この防災リュックになっているんですね。
なんとかなると思っているところがあるかもしれないです。スマホさえあればと思ってしまい、その結果のモバイルバッテリー9個です!

高荷さん

繰り返しにはなりますが、何より死なないことが一番大切で、防災リュックは、生き延びたあとのことを考えて作成していただきたいです。

3日間、家族を守れるか、ペットと過ごすためにはどうすれば良いかなど、それぞれみなさんのライフスタイルを想像してみると、必要なものが見えてくるはずです。

地主さん

読者の方にも、ぜひ意識してほしいですね。
僕も改めて防災リュックを見直そうと思いました。本日はありがとうございました!

まとめ:防災リュックの中身を揃える上で大切なこと

1)命を守るための基本を押さえる
水や食料、防寒具など、生存に必要な最低限のアイテムを優先的に用意する

2)迅速な避難を可能にする
防災リュックは軽量で持ち運びやすく、40秒以内に持ち出せるように準備しておく

3)家族構成やライフスタイルに応じたカスタマイズ
家族やペットがいる、一人暮らしなど、各自のニーズや生活スタイルに対応したアイテムを用意する

4)避難所での生活を支えるアイテムを選ぶ
ラジオやモバイルバッテリー、メモ帳とペンなど、情報収集やコミュニケーションに役立つものもあるとよい

今回の「防災リュック選手権」を通じて、防災リュックを準備する際には、それぞれのライフスタイルに応じて、必要なものや優先順位が大きく変わることがわかりました。
リュックの中身は、想像力を働かせて準備することが大切です。

この記事をきっかけに、みなさんもぜひご自身の防災リュックをチェックしてみてください。
「備えあれば憂いなし」。
大切な命を守るための第一歩を、この機会に踏み出しましょう!

関連リンク

取材日:2024年12月26日
文・地主恵亮 編集・高山諒+ヒャクマンボルト
※本記事の内容は取材日時点のものです

「LINEヤフー ストーリー」のロゴ
LINEヤフーストーリーについて
みなさんの日常を、もっと便利でワクワクするものに。
コーポレートブログ「LINEヤフーストーリー」では、WOWや!を生み出すためのたくさんの挑戦と、その背景にある想いを届けていきます。
Page top