将来、おいしいビールが飲めなくなる...? キリンとLINEヤフーが目指す再生可能エネルギー100% RE100への参加を通じて実現したい未来

コーポレート
三人の男女が屋外で微笑んでいる。明るい日差しの中、自然を背景にしたLINEヤフーのストーリー。

みなさんは、ふだん飲んでいるお茶やビールなどの飲料、そして使っているアプリができるまでに、電力がどれだけ使われているか考えたことはありますか?
今の時代を生きる私たちには、地球温暖化や気候変動から地球を守るため、企業の事業活動や生活で使われるエネルギーを、自然界にある資源を循環させて使う再生可能エネルギーに変えることが求められています。

LINEヤフーとキリンホールディングスは、RE100(あーるいーわんはんどれっど:Renewable Electricity 100%)に参加し、全事業で使用する電力を100%再生可能エネルギーに切り替えていくことを目指しています。企業はどのように環境への影響を減らし、持続可能な未来を目指しているのか、RE100の取り組みをリードしているClimate Group RE100担当の川村さん、キリンホールディングスCSV戦略部の野坂さん、LINEヤフーサステナビリティ推進統括本部の服部が語り合いました。

たとえば、キリンホールディングスの野坂さんによると「気候変動が進行すると未来のビールの味が変わってしまうかもしれない」のだそうです...。
私たちが地球の未来のためにできることについて、改めて考えてみませんか?

男性が屋外でカメラに向かって微笑んでいる。背景には緑が広がり、自然の中での穏やかな瞬間。
川村 剛士(かわむら つよし)さん
Climate Group- Japan。RE100ポリシー&エンゲージメントマネージャー。イギリスに本部を置くNGO、Climate Groupの日本担当として、RE100をはじめとした脱炭素を推進するグローバルな取り組みをリードしている。
女性が屋外でカメラに向かって微笑んでいる。背景には緑が広がり、自然の中での穏やかな瞬間。
野坂 有紀江(のさか ゆきえ)さん
キリンホールディングス CSV戦略部で、ビジネスの経済的価値と社会的価値を両立させるための会社の方針の策定などを担当。特に気候変動への対策に注力している。
男性が屋外でカメラに向かって笑顔を見せている。背景には緑が広がり、自然の中でのリラックスした様子。
服部 実(はっとり みのる)
LINEヤフー サステナビリティ推進統括本部で、環境問題を中心に活動。環境、社会、企業統治(ESG)の視点から全社の取り組みを横断的に見る立場でもある。

RE100は、企業の「再生可能エネルギーを使いたい」という声を届けるための取り組み

――まず、「RE100」とは、どのような取り組みなのか教えてください。

男性が屋外でカメラに向かって微笑んでいる。背景には緑が広がり、名前が「川村」と表示されている。

RE100は、事業活動に必要な電力を100%再生可能エネルギーでまかないたいと取り組んでいる企業の集まりです。再生可能エネルギーとは、具体的にはたとえば風力や太陽光などから生成される電気です。

まず、前提として、政府の制度に基づいて運営されている太陽光発電所や風力発電所のような施設は、過去10年間でかなり増えてきています。とても素晴らしいことですが、再生可能エネルギーを求める企業が望んでいる量にはまだまだ足りていません。

エネルギーのインフラは非常に大規模なので、再生可能エネルギーを増やすことは簡単ではありません。たとえ企業側に再生可能エネルギーを利用したいという強い願望があっても、それぞれの企業が個別に必要な再生可能エネルギーを求めることはとても困難です。
そのため、これからは「私たちは再生可能エネルギーの電力を欲しています」と多くの企業が一緒になって、積極的に声を上げていくことがより重要になると考えています。

RE100は、多くの企業が集まり「再生可能エネルギーを使いたい」とより大きな声を政府や電力会社、社会に届けることで、これまで以上に再生可能エネルギーの供給を促すことを目的とした活動です。その一つとして、今年はキリンさんやLINEヤフーさんをはじめとしたRE100に加盟している12企業で、日本で再生可能エネルギーを増やすための取り組みを政府に提言しました。

――日本で、供給を望んでいるすべての企業のニーズを満たせるのでしょうか?

男性が屋外でカメラに向かって微笑んでいる。背景には緑が広がり、名前が「川村」と表示されている。

現在日本でつくられている電力の約20%が再生可能エネルギーだといわれています。
日本でRE100に参加している企業が国内調達できている電力の約25%が、再生可能エネルギーですので、日本全体でつくられている再生可能エネルギーの割合より多くの割合で再生可能エネルギーを調達できているといえます。

ただ、他国のRE100参加企業は、ヨーロッパは約80%、北米は65%、アジアの他の国(ベトナム、中国、インドネシアなど)は30%以上、再生可能エネルギーを調達できています。それらと比較すると日本が調達できている割合は低く、企業が再生可能エネルギーを調達することが難しい国だといえると思います。

男性が屋外で微笑んでいる。背景には緑が広がり、晴れた日の明るい雰囲気が感じられる。

RE100(Renewable Electricity 100)とは...

「再生可能エネルギーを使いたい」という声を政府や社会に届け、これまで以上に再生可能エネルギーの供給を促すことを目的とした企業の集まり

――RE100の目標は「100%の再生可能エネルギーを利用すること」で、とても大変なことのように感じますが、これは実現可能なことなのでしょうか?

男性が屋外でカメラに向かって笑顔を見せている。背景には緑が広がり、名前が「服部」と表示されている。

RE100に参加した企業は、特定の年までに100%の再生可能エネルギーを調達するという目標を設定します。ただ、業種によっては太陽光などのエネルギーだけでは事業活動を維持することが難しく、現在は火力発電などの強力なエネルギー源に依存せざるを得ない場合もあります。各企業の状況によって、その期限は2030年、2040年、あるいは2050年など異なり、各企業に委ねられています。

「100%の再生可能エネルギーを利用すること」が未来に向けて実現可能なのかという点ですが、日本の風力や太陽光などの再生可能エネルギーは過去10年間で増加しています。これからもさらに増え続ければ、企業が求めるニーズを満たす能力は十分にあると思っています。そのためにも「私たちは再生可能エネルギーを使いたい、必要です」というメッセージを伝え続けることが大切だと考えています。

「環境に負荷をかけない商品をお客様にお届けするために」キリンホールディングスの取り組み

――では、キリンさんの飲料に再生可能エネルギーがどのように関わっているのか、具体的な取り組みを教えていただけますか?

女性が屋外でカメラに向かって微笑んでいる。背景には緑が広がり、名前が「野坂」と表示されている。

キリンは食、医、ヘルスサイエンス領域で事業を展開しており、これらの製品をお客様に提供するためには多くのエネルギーが必要です。私たちは、このエネルギーが地球環境を損なわないもの、つまり温室効果ガスを出さないエネルギーであることを選択していないと、「環境に負荷をかけない事業活動をしている」とは言えないと考えています。

具体的な例として、「午後の紅茶」という商品を製造し、お客様に届けるプロセスについてお話したいと思います。
プロセスの上流には、ペットボトルを製造する企業や茶葉を育てる農家が存在します。温室効果ガスを出さずに商品をお客様に届けようとすると、これらの企業や農家が使用するエネルギーもまた、温室効果ガスを出さないものでなければなりません。

そして、これらの原材料を製品に加工する工程でもエネルギーを使用します。さらには、完成した商品をトラックで輸送し、小売店に届けるために使うエネルギーや、小売店で商品を冷蔵庫で冷やすときに使う電力も温室効果ガスを出さないエネルギー、つまり再生可能エネルギーであることが理想です。

もし、これらのどこか1工程でも、温室効果ガスを出すエネルギーが使用されれば、午後の紅茶がお客様のお手元に届くとき、それは完全な意味で環境に負荷をかけない商品とは言えないのです。

飲料製造の工程図。ペットボトル製造から紅茶詰め、出荷までのプロセスを示している。

参考)午後の紅茶ができるまで

女性が屋外でカメラに向かって微笑んでいる。背景には緑が広がり、名前が「野坂」と表示されている。

環境に負荷をかけない商品をお客様にお届けするために私たちができることは、商品の製造、販売にかかるエネルギーを温室効果ガス(GHG)が出ないものに切り替えることです。ただ、これは一気にはできません。現在、日本における再生可能エネルギーの供給量が十分でないことや利用するコストはまだ高いため、事業活動を継続しつつ温室効果ガスを出さない活動を行うという二つの目標がまだ両立できない状況です。

そのため、私たちはRE100に加盟して2040年までに使用するエネルギーを100%再生可能エネルギーにするという目標の達成に向けて動いているところです。
ただ、自社でできることには全力で取り組んでいますが、一社だけでできることには限りがあります。日本だけでなく、全てのバリューチェーンに関わる企業が再生可能エネルギーを選択し事業活動を行う状況にならないと、完全に環境に負荷をかけない商品をお客様に届けることは難しいと思っています。

女性が屋外で微笑んでいる。背景には花と緑があり、晴れた日の穏やかな雰囲気が漂う。

――たしかに、完成した飲料などを最終的に販売する小売店に対して再生可能エネルギーを使用するよう働きかけるのは難しいかもしれませんね。

女性が屋外でカメラに向かって微笑んでいる。背景には緑が広がり、名前が「野坂」と表示されている。

はい、難しい側面があります。ですが、RE100には小売業者も参加していらっしゃいますので、そういった先進的な企業がリードしてくれるのでは、と期待しています。

現時点で私たちが商品をお客様へお届けする際にできることの一つとして、キリンビバレッジでは自動販売機にグリーン電力を利用しています。自動販売機で使われるエネルギーに再生可能エネルギーから生成された電力の証書を購入しており「この自動販売機はCO2排出が実質ゼロ」という形で展開しています。

男性が屋外でカメラに向かって笑顔を見せている。背景には緑が広がり、名前が「服部」と表示されている。

日本は世界的に見ても街中に自動販売機が多い国ですよね。それらの自動販売機が使用する電力がグリーンエネルギーになるだけでも、大きな変化につながると思います。

CO2排出量ゼロの自販機とその説明ポスター。環境に優しい取り組みをアピールしている。

使われている電力がグリーン電力であることを示すステッカーが貼られている

「ユーザーができることを考え、行動を変えるきっかけにつなげたい」LINEヤフーの取り組み

――では、LINEヤフーが提供しているサービスは自然に優しいといえるのか、教えてください。

男性が屋外でカメラに向かって笑顔を見せている。背景には緑が広がり、名前が「服部」と表示されている。

私たちのビジネスでは主に電力を使用し、デジタルサービスの提供に注力しています。物理的な製品の製造は主な活動ではありません。電力の使用や温室効果ガスの排出は目に見えないので、私たちのビジネスはクリーンなものだと誤解しやすいかもしれません。

確かにデジタルビジネスはある意味で温室効果ガス削減に貢献している面もあるため、それによってそのマイナス面を見過ごしてしまう傾向があります。でも実際は、多くの方がLINEヤフーのサービスを使ってくださることで、事業活動において使用される電力の量は非常に多いといえます。

それらの電力が化石燃料などから生成されていたら、私たちが提供しているサービスが間接的に地球にダメージを与えてしまうことになってしまいます。そう考えると、物理的な製品を作っていないLINEヤフーも、キリンさんのように「環境に負荷をかけないビジネス」を目指していくことが大切だと思います。

――ちなみに、LINEヤフーの社員はリモートワーク中心の働き方ですが、これは環境に配慮していると言えますか?

男性が屋外でカメラに向かって笑顔を見せている。背景には緑が広がり、名前が「服部」と表示されている。

リモートワークでは通勤に伴う移動がないため、環境への負荷が少なくなる効果は期待できると思います。ただ、その一方で社員が家庭で使う電力の量が増えてしまう可能性もありますよね。
将来、社員が家庭で使用する電力やLINEヤフーのユーザーがサービス利用するときに使う電力も再生可能エネルギーに変えていくためには、政策の変更やより安価で安定したエネルギー供給が必要です。RE100に加盟する多くの企業と共に、最終的には社会全体が再生可能エネルギーを利用できるような変革を推進していきたいですね。

男性が青いシャツを着て屋外で笑顔を見せている。背景には緑が広がり、自然の中でのリラックスした様子。

――LINEヤフーは情報発信にも力を入れている企業です。RE100の取り組みの一環として、ユーザーの意識変革に取り組むことも予定していますか?

男性が屋外でカメラに向かって笑顔を見せている。背景には緑が広がり、名前が「服部」と表示されている。

はい。私たちは多くのメディアとコミュニケーションツールを持っているので、サービスを通じて貢献できることは非常に多いと思います。
具体的には、「Yahoo!マップ」では各ルートでどれくらいのCO2が排出されるかを可視化しています。

地図アプリのスクリーンショット。目的地までのルートとCO2排出量が表示され、環境に配慮した案内。

プレスリリースより抜粋したイメージです。実際の画面とは異なります。

男性が屋外でカメラに向かって笑顔を見せている。背景には緑が広がり、名前が「服部」と表示されている。

また、Yahoo!ショッピングなどのコマース事業では、再配達を避けるために指定日配送や置き配を選択する、などを推奨しています。
また、「サストモ」というサステナビリティに焦点を当てたLINE公式アカウントの運用を2023年11月から開始しています。現在、302万人(2024年6月現在)が登録しており、再生可能エネルギーやサステナビリティの重要性についての記事を定期的に配信しています。

LINEヤフーのサービスや情報発信を通じて、ユーザーのみなさんが「自分たちでも何かできることがあるのではないか」と考え、行動を変えるきっかけにつなげたいと思っています。

サストモのLINE画面。サステナビリティを考える公式アカウントで、食品ロス削減やSDGsの情報を提供。

LINE公式アカウント「サストモ」の画面

※LINEヤフーの環境に配慮した取り組みの例

――キリンさんはお客様に届く商品の製造工程を環境に負荷をかけない方法で行い、LINEヤフーはサービスのユーザーに対して地球に配慮した行動を提案しているという、それぞれの事業内容ならではの違いがあるように感じました。

女性が屋外でカメラに向かって微笑んでいる。背景には緑が広がり、名前が「野坂」と表示されている。

先ほど服部さんがお話されたように、将来的には社会全体がどの電源を選んでも、それが再生可能エネルギーであるという状況が理想的です。ただ、そこに到達するまでにはまだまだ時間がかかります。

そのためにも、私たちのような企業が声を上げたり、行動変化を促したりしていくことが効果的だと思います。LINEヤフーさんが提供しているメディアやアプリなど、多くの人々にアプローチできる、さまざまなタッチポイントを通じて伝えていくことは、とても効果があるのではと感じました。

将来、おいしいビールが飲めなくなる...? RE100への参加を通じて実現したい未来

――最後に、RE100の取り組みを通じて達成したい目標を教えてください。また、川村さんからは、私たちが環境のために何かできることがあればアドバイスをいただきたいと思います。

女性が屋外でカメラに向かって微笑んでいる。背景には緑が広がり、名前が「野坂」と表示されている。

再生可能エネルギーによる発電量を増やす取り組みを優先するなど、社会全体に再生可能エネルギーを増やすための選択をさらに積極的にしていくことが大切だと考えています。

また、私たちは自然の恵みを使って事業を行い、商品をお客様にお届けしていますが、気候変動によってその供給が途絶えてしまう可能性があります。
たとえばビールの製造では大麦やホップを原料として使用します。ですが、そもそも気候変動によって自然の恵みが得られなくなれば、事業が継続できません。そうなったら、お客様にビールを届けることができなくなってしまいます。
さらに、気候変動が進行すると、未来のビールの味が変わってしまう可能性もあるんですよ。

――え! それはどういうことでしょうか...?

女性が屋外でカメラに向かって微笑んでいる。背景には緑が広がり、名前が「野坂」と表示されている。

キリングループの事業会社であるニュー・ベルジャン・ブルーイングが、気候変動が進行した未来のビールがどのようなものになるかを消費者に示すため、2022年に「TORCHED EARTH ALE」というビールを開発しました。

このビールは、気候変動が進行した未来において利用可能と考えられる原料から作られており、その味を通じてカーボンニュートラル製品の重要性について訴えています。このビールですが、「おいしくない」そうです...。
アメリカの醸造会社がつくる「気候変動が進んだ世界のビール」 | 世界のソーシャルグッドなアイデアマガジン | IDEAS FOR GOOD

お客様にこれからもおいしいビールを続けて楽しんでいただくためには、全ての人間活動が温室効果ガスを排出しない脱炭素社会へ移行していく必要があり、その意味でもRE100の活動は非常に重要だと考えています。

大量のビール缶が製造ラインに並んでいる。青い缶が整然と配置され、効率的な生産が伺える。

ビール工場の製造ラインでも電力を使用している

男性が屋外でカメラに向かって笑顔を見せている。背景には緑が広がり、名前が「服部」と表示されている。

サステナビリティとウェルビーイングの観点からも、ビールのない生活になったり、おいしくないビールしか飲めなくなったりするのはつらいですね...。

女性が屋外でカメラに向かって微笑んでいる。背景には緑が広がり、名前が「野坂」と表示されている。

(笑)そのようなことにならないためにも、キリンは気候変動につながらない事業活動を進めています。
そのひとつとして、今年4月にサプライヤーとの協働プログラム(※2)を立ち上げました。このプログラムでは、商品の原料や資材の製造・輸送などに関わるサプライヤーが科学的な根拠に基づいて温室効果ガスの削減に取り組むことを一緒に進めています。既に問題意識をもって各社で取り組んでくださっているところですが、このプログラムを通じて、お互いに取り組みを強化できれば...と期待しています。

※2「キリンサプライチェーン環境プログラム」をスタート~サプライヤー17社とのさらなる協働で、GHG Scope3排出量の削減を目指す~(キリンさんのプレスリリース)

男性が屋外でカメラに向かって微笑んでいる。背景には緑が広がり、名前が「川村」と表示されている。

地球温暖化を止める、2050年にカーボンニュートラルを達成するなど、多くの人々が奮闘していますが、どれも一発逆転の技術があるわけではありません。それでも、今ある社会がこれからも続いていくという前提に加えて、2030年、2050年の脱炭素化されたあるべき社会を目指していく必要があると思います。

この目指すべき社会に向かって、目線は遠くを見つめながら今私たちができることをしっかりと続けていくことが重要です。キリンさん、LINEヤフーさん、その他のRE100に参加している各分野のトップ企業のみなさんと共に、今回の政策提言のような再生可能エネルギーを増やすための働きかけをしていきたいと思っています。

そして、商品やサービスを利用される立場の方たちに向けては、普段よく言われる「電気を節約しましょう」「公共交通機関を利用しましょう」といったアドバイスはすでに広く浸透していると思いますので...。
今回は「エネルギー」について興味を持っていただくための提案をさせてください。

たとえば、みなさんは電気がいつでも使えて停電しないものだと思っているかもしれませんが、なぜ停電しないのか考えたことはありますか?
また、再生可能エネルギーは地球にやさしいと言われていますが、価格が高いとも言われています。では、実際に電気料金の明細に「再エネ賦課金(※3)」という項目があるのを見たことはあるでしょうか。
このように「自分たちのエネルギー環境がどのように成り立っているのか」少しだけ興味を持っていただくだけでよいと思います。

先ほどの野坂さんのお話にあったように、「この自販機にはこのマークが付いているけど、あの自販機には付いていないな」といった観察をしてみる、「なぜプロパンガスと都市ガスが存在するのかな?」という疑問を持ってみるだけでも十分です。
そんな風に、エネルギーについて興味を持っていただいて、ちょっとした疑問が生まれたら調べてみる時間を少しでも使っていただけたらうれしいですね。

※3 再エネ賦課金:
決まった期間・決まった価格で再エネ発電された電気を買い取ることを電力会社に義務付け、買い取りにかかった費用を利用者が負担する仕組み

――今お話いただいたようなことについては、たしかに普段は考える機会がなかなかないですね。私たち一人ひとりが生活を支えているエネルギーについて考え、疑問に感じたことを調べてみる、であれば多くの方ができそうです!

男性が屋外でカメラに向かって笑顔を見せている。背景には緑が広がり、名前が「服部」と表示されている。

インターネット関連のサービスを提供している私たちが改めて考えるべきは、これらのサービスが何のために存在しているのかという原点です。
合併前にヤフーが掲げていた初期のミッションは多くの課題を解決する「課題解決エンジン」でした。そして、LINEは東日本大震災をきっかけに、「大事なときのホットラインになりたい」という想いから誕生しました。

気候危機や地球環境問題は、まさに日本だけでなく全人類が共有する最大の課題だと思います。これまでも課題解決を目指してきたLINEヤフーのDNAを活かして、この問題の解決を目指したいと思っています。また、たとえば目に見えない電力やCO2を可視化して発信するなど、人々の行動変容を促すための取り組みも増やしていきたいですね。

ただ、再生可能エネルギーの調達は、どの企業にとっても長期的な取り組みです。2030年や2050年といった将来の目標への道のりは、特に長く感じるかもしれません。
先月参加したRE100アジアサミットのパネルディスカッションで他のパネリストの方が紹介していた、
「早く行きたいなら一人で行け、遠くへ行きたいならみんなで行け」(※4)
という言葉が印象的でした。

この言葉は、私たちが進めているエネルギーの取り組みにも当てはまります。「再生可能エネルギーを100%利用したい」という目標を目指して多くの企業と協力することで、学びの場が広がり、進んでいくエネルギーが湧きます。そして、取り組みの社会への影響力も増すと信じています。
これからも、RE100でご一緒している企業さんと共に、よりポジティブなインパクトを生みだしていきたいと思います。

※4 アル・ゴア元米副大統領がノーベル平和賞授賞式典の演説で引用したことで有名になった、アフリカのことわざ

三人の人物が屋外で談笑している。明るい日差しの中で、楽しげな雰囲気が伝わってくる。

関連リンク

取材日:2024年6月12日
※本記事の内容は取材日時点のものです

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