「課題解決者」を支援し社会課題を解決するために CSO relationが目指す新たな連携

コーポレート
スーツ姿の女性がデスクで話をしている。LINEヤフーのストーリーが関連している。

2020年10月に(当時のヤフーが)立ち上げた社会貢献ユニット「CSO(※1)relation」は、社会課題の解決に取り組んでいる方や団体、NPOやNGO、自治体などと連携することを目的として活動しています。
なぜ、「NPO」ではなく「CSO(市民社会組織の略称)」という名前を選んだのでしょうか。その理由、定期的に開催しているNPO向け講座の内容、今後の展望を執行役員の西田、CSO relation責任者の田村に聞きました。

※CSO:非営利組織や社会貢献の文脈で語られるCSOは「Civil Society Organization(市民社会組織)」の略称。NPO、NGO、市民活動団体、ボランティア団体に限らず、消費者団体や、研究者、自治会・町内会、婦人会、老人会、PTAといった組織・団体なども含まれる。

青いセーターを着た男性がカメラに向かって微笑んでいる。背景はぼやけた室内。
西田 修一(にしだ しゅういち)
執行役員 サステナビリティ推進統括本部長。2004年ヤフーに入社。Yahoo! JAPANトップページの責任者を務め、ヤフー初となるYahoo! JAPANトップページの全面リニューアルを指揮。また、東日本大震災の復興支援と検索を掛け合わせたキャンペーン「Search for 3.11 検索は応援になる。」を立ち上げる。検索事業本部長を経て、2017年4月より現職。
眼鏡をかけた女性がカメラに向かって微笑んでいる。落ち着いた色合いのトップスを着用。
田村 夏子(たむら なつこ)
サステナビリティ推進統括本部 CSO relation-manager。2008年ヤフーに入社。法務、人事を経て、2014年4月にYahoo!基金に異動し、東日本大震災復興支援助成やIT助成など複数の事業をプログラムオフィサーとして企画・運営しながら事務局長も務める。2020年10月から現職。

「CSO relation」とは?

――「CSO」の主な活動、そしてあえてNPOではなくCSOとした理由を教えてください。

西田:
LINEヤフーは持続可能な社会の実現に貢献していきます。しかし、持続可能な社会の実現には多様な課題があり、LINEヤフーだけで取り組むことは難しいため、課題の現場にいる方々や、活動に取り組んでいる団体、NPOやNGO、自治体などと連携していきたいと考えています。

現在、私たちが連携している組織の多くは、約5万あるNPO法人です。しかし、NPOに限定すると、それ以外の重要なグループや個人が取り残されてしまう可能性があります。たとえば、消費者団体、研究者、自治会・町内会、婦人会、老人会、PTAなど、いわゆる「市民団体」で活動している方々とも幅広く連携したいという思いから、あえて「CSO(市民社会組織)」という名称を選びました。

さまざまな社会課題に対して、私たちが連携すべきNGOやNPOを理解しておくことで、問題が発生した際には迅速に対応することが可能になります。また、活動中の団体からも気軽に相談を受けられる関係を築くことを重視しています。

田村:
これまでの取り組みの中で、特にわかりやすい例として「SEMA(※)」が挙げられます。これは、災害支援に取り組むNGOと協力し、災害発生時に他の企業と連携して被災地を支援するプロジェクトです。
その他にも、CSOの方々をサービスに紹介することはありますが、具体的な連携として形になっているものはまだ少ないのが現状です。まずは、課題の現場にいる方々と直接対話できる関係を築くことを通じて、LINEヤフーが社会課題の解決に貢献できるようにしていきたいと考えています。
その取り組みの一環として、CSOの方々をお招きし、「社会課題の現場」講演を社内で定期的に開催しています。これにより、社員がさまざまな課題をよりリアルに理解し、その解決に取り組むCSOの方々とつながるきっかけになればと思っています。

SEMA(シーマ):
Social Emergency Management Allianceの略。大規模自然災害発生時に、民間企業と市民団体(CSO)が連携し、日本国内において災害支援を行う。
大規模な自然災害の発生時には、現地に入った加盟CSOが被災者にヒアリングを行い、現地ニーズを把握。加盟企業や団体が持つ物資・サービスなどを集約したリストをもとに、各社が提供できる物資を迅速に被災地に届けている。LINEヤフーはその1企業として参加し事務局を担当している。

CSO relationの主な活動

1)CSO向けのオンライン「情報発信講座」を定期的に実施 ※過去開催講座

  • 「伝わる」SNS
  • 「伝わる」社会課題 効果的な見出しのつけ方
  • 「伝わる」活動紹介動画の作り方(クリエイターズプログラム共催)

2)社内に向けた、「社会課題の現場」講演を定期的に実施
3) 社員が行うプロボノ・ボランティア活動を支援

LINEヤフーが持つノウハウを伝える「情報発信講座」を始めた背景

――CSOの方に向けて実施している「情報発信講座」について教えてください。

西田:
CSOの方たちはLINEヤフーのメディア力に特に大きな期待を寄せてくださっていると感じています。それは、取り組んでいる社会課題を広く知ってもらいたいという思いが強いからだと思います。

田村:
多くの方が「発信しなければその課題に気づいてもらえない」と感じていらっしゃるようです。この、CSOの方々が抱える「情報発信」に関する課題を解決するために、LINEヤフーが何かお手伝いできるのではないかと考え、この講座を始めました。LINEヤフーが持っている「効果的な情報発信のノウハウ」を提供することで、少しでもCSOのみなさんの課題解決に貢献できればと思っています。
また、この講座を通じて、LINEヤフーの社員がさまざまな社会課題に取り組むCSOを知り、つながることも目指しています。社会課題は多種多様で、私たちがまだ気づいていない課題も多く存在するからです。ノウハウを提供するだけでなく、私たちが新たな課題を発見する場にもなっています。

眼鏡をかけた女性が微笑んでいる。ベージュのトップスを着て、落ち着いた雰囲気。

LINEヤフー社員が社会課題を知るためのセミナーを定期的に開催

――社員向けの社会課題セミナーを開催している目的を教えてください。

田村:
私たちがまだ知らない社会課題は数多く存在します。まずそれを知ることが、より良いサービスを提供するきっかけになると考え、社員向けの「社会課題解決の現場」セミナーを定期的に実施しています。最近では、情報発信講座に参加いただいたCSOの方々をゲストスピーカーとしてお招きすることが増えています。

この講座を受けて、「ボランティアとして活動したい」と声をかけてくれた社員もいたため、講座を担当してくださった団体の方々とミーティングを行い、アイデアを共有しています。講座を聞いた社員がその課題を知ることで、「自分のサービスで何かできることはないか」と考え、実際に行動に移し始めています。

西田:
LINEヤフーはこれまで災害対応(減災、防災、被災地支援)に力を入れてきました。そのため、この分野で活動する団体の方々とはかなり良い関係を築けていると思います。しかし、気候変動への対応や生物多様性、人権問題など、私たちだけでは取り組むのが難しく、知見も少ない分野もあります。今後は、これらの分野に強いCSOの方々ともつながり、情報を得ていきたいですね。

国際的な活動としては、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)など難民支援を行うNGOの方々に社員向けの講演を依頼し、私たち自身の理解を深めるための活動も続けています。

また、複数のサービスを担当する責任者向けに、サステナビリティに関するレクチャーも行っています。各サービスでできることを考えるためには基本的な知識が必要になるため、このようなインプットの機会も定期的に設けています。これらの知識からヒントを得て、「この課題はサービスと組み合わせることで解決できるかもしれない」という発想につながることを期待しています。

サービスを通じた社会貢献は、「サービス本来の役割に加えて、使い方を少し変えたり、拡張したりすることで社会に貢献する」ということです。そのためにも、社会課題についての知識をインプットすることは非常に重要ですし、今後のCSR活動を進める上でも力を入れていくべきことだと感じています。

青いセーターを着た男性が緑のソファに座って微笑んでいる。リラックスした雰囲気。

社会課題を知り、行動につなげるために私たちが意識したいこと

――LINEヤフーのサービスユーザーのみなさんが、社会課題を知り何か行動につなげるために意識してほしいことはありますか?

田村:
NPOなどで社会課題に取り組んでいる多くの方々は、活動に忙しく、なかなか情報発信まで手が回らないことも多いです。また、ウェブサイトのデザインも刷新できていない場合が多いのですが、「見た目」よりも掲載されている活動内容に重点を置いて見てもらえたらと思います。

西田:
Yahoo!ネット募金は寄付のプラットフォームですが、掲載内容の質にもこだわっています。活動内容や実績など、LINEヤフーの基準をクリアした団体のみを掲載しています。
みなさんが社会課題を知り、何か行動に移したいと感じたときには、たとえばYahoo!ネット募金に掲載されている内容をまず見てみるのも一つの方法です。社会課題は非常に多様で数多く存在しますが、それぞれの領域に特化して取り組んでいる人や団体が必ずいます。そこで、どのような課題があるのかを知ることができると思います。

災害支援や教育、文化などのアイコンが並ぶ。各分野を象徴するイラストが描かれている。

Yahoo!ネット募金

全方位で社会課題にアプローチするために「CSO relation」が目指すもの

――今年で5年目になるCSOの活動ですが、今後目指していきたいことを教えてください。

田村:
3年間にわたって実施してきたNPO講座と社員向けのセミナーを通じて、サービスとの連携が生まれたり、社員の活動につながったりするなど、少しずつ成果が現れてきました。今は、これまで蒔いた種を育てる段階に入ったと感じています。しっかり育てて、2~3年以内に形にしたいと思っています。
よりよい社会を実現するために、CSOや企業などのセクターを超えて、社会課題を解決しようとする人たちがつながることができる場を作っていきたいですね。

西田:
LINEヤフーはこれまで、大災害などの社会課題が生じるたびに、その分野や地域で強いNPO団体を探し、連携してきました。今後もCSOの活動を通じて、課題解決に取り組んでいるさまざまな団体とのつながりを強化していきます。その結果、さまざまな課題に全方位でアプローチし、解決できるようになりたいと考えています。

また、昨年からは各企業のCSR担当者が集まり、日常の悩みや新たに取り組みたいことなどをざっくばらんに話せる関係づくりも始めています。このCSRという領域では、競合であっても異業界であっても、つながることができると考えています。
企業のCSR担当者が集えるサロン的な場所とCSOをどこかでかけ合わせることで、多様な課題に取り組む優秀なCSOと民間企業の力を発揮できるのではないでしょうか。

そのためにも、まずは「LINEヤフーとCSO」、「LINEヤフーと企業のCSR」、それぞれの関係をしっかりと育てていきます。

※ヤフー株式会社のコーポレートブログに掲載した記事を一部修正し再掲載しています。

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