近い将来、モノが届かなくなる? 2024年問題、私たちができること

サービス
夕焼けの高速道路を走るトラックの画像です。「モノが届かなくなる?2024年問題、私たちができること」とのテキストが表示されています。

最近よく耳にする物流の「2024年問題」。一見、私たちの日常とは少し離れた話のように感じるかもしれませんが、オンラインショッピングを楽しむ多くの方々にとって、実はとても身近な問題です。ボタンをクリックする私たちの選択が、物流現場に大きな影響を与えています。
では、私たちユーザーはどのような行動を取れば、物流の課題解決に貢献できるのでしょうか? この重要な問題に早くから取り組んできたYahoo!ショッピング、ZOZOTOWN、LOHACOの担当者に、各社の取り組みやユーザーができること、これからの展望について聞きました。

Yahoo!ショッピング サステナブルな物流づくり 「おトク指定便」ほか 

男性が笑顔でカメラを見ている写真です。彼は青いストライプのシャツとグレーのカーディガンを着ています。背景はぼやけています。
須田 琢磨(すだ たくま)
2022年旧ヤフー(株)入社。Yahoo!ショッピングで事業開発チームのマネージャーを務める。
Yahoo!ショッピング

物流の2024年問題がメディアでも多く取り上げられるようになり、ユーザーが「何か行動を起こさなければ」と思っていても、実際の購入時にその意識を持つのはなかなか難しいのではと感じています。今回ご紹介する「おトク指定便」などの取り組みが「物流の改善につながるんだ」というユーザーの気づきや行動変容のきっかけとなり、結果として物流の効率化や環境への負担軽減につながることを目指しています。
EC事業者として、ユーザーのさまざまなニーズに合わせた選択肢を提供していくと同時に、ストアと協力しながらサステナブルな物流をつくりあげていきたいと考えています。

おトク指定便

おトク指定便の選択方法を示す図です。カート画面から希望日を選び、ポイントが表示される手順が説明されています。

「おトク指定便」とは、Yahoo!ショッピングでのお買い物時、ユーザーが余裕のあるお届け日を選べば、ストアからPayPayポイントが付与される仕組みです。おトク指定便を利用すると、ユーザーは約10円~30円相当のPayPayポイントを獲得できます(購入するストアによって異なる)。

大型セールや繁忙期に注文が集中してしまうことで、ストアの物流がキャパオーバーし、通常翌日や翌々日に届くはずの商品が、出荷作業が追いつかず数日後にずれ込むといったことが頻発。物流サービスの課題を解決するため、Yahoo!ショッピングとアスクルが運営する「LOHACO」との実証実験を経て、誕生しました。現在、おトク指定便の利用可能な商品については、約3割の方に利用されており、今後も導入ストアの拡充を進めていきます。

置き配

ヤマト運輸の「EAZY」と連携したサービスで、対面受け取り以外に、玄関ドア前、自宅宅配BOX、ガスメーターBOX、物置、車庫、自転車のかご、建物内受付/管理人預けなど、ユーザーが自分の都合にあわせてさまざまな受け取り場所を選択できます。また商品が届く直前まで、受け取り場所の変更が可能です(ヤマト運輸のEAZYに対応している商品の場合)。

ショッピングカートから注文完了までの手順を示す図です。配送方法や注文履歴の確認が含まれています。

店頭受取サービス

ネットで注文した商品を店頭で受け取れるサービスで、商品によって店頭の在庫状況も確認できます。家電量販店・スポーツ店・ドラッグストア・ファッションなど幅広いストアで展開しており、送料無料で最短当日受け取りが可能です。

スマートフォンで商品検索結果を表示する画面の画像です。スニーカーの情報と評価が表示されています。

店頭受取が可能な商品には「店頭受取可」のラベルが表示される。

ZOZOTOWN ユーザーと一緒に再配達削減、物流課題に取り組む

男性がカメラを見て微笑んでいる写真です。彼は黒いジャケットを着ており、背景はシンプルなベージュ色です。
水上 翔太(みずかみ しょうた)
2013年(株)ZOZO入社。フルフィルメント本部 拠点統括部のディレクターとして、ZOZOにおける物流サービスの価値向上や、配送パートナー様の領域も含めた物流課題改善に向けた各種取り組みなどをリードする。
ZOZOTOWN

EC事業者として、物流の2024年問題に向けた対応は必要不可欠だと考えています。ユーザーにとって便利で快適なショッピング体験を提供するため、さまざまな取り組みを進めています。それと同時に、再配達の削減を通じて配送ドライバーの負担を軽減し、環境への配慮としてCO2排出量の低減にも力を入れてきました。

今回ご紹介する取り組み以外にも、2024年問題への新たなアプローチとして、今年の4/2~4/22の間で「ゆっくり配送」の試験導入を実施しました。注文から4日以内に発送する通常配送に対し、注文から5日後〜10日後までに発送する試みで、多くの方にご利用いただきました。試験導入の課題を改善し、効率化を図りながら、今後本格的な導入を検討していく予定です。

今後も物流の2024年問題をはじめとする社会課題の解決に、積極的に取り組んでいきます。ぜひユーザーのみなさんと一緒に、再配達削減や物流の課題解決に取り組んでいければと思っています。

あんしん置き配

荷物の受け取り方法を示すイラストです。対面や玄関ドア前、宅配ボックスなど、様々な受け取り場所が描かれています。

ZOZOTOWNの「あんしん置き配(以下、置き配)」は、ヤマト運輸の「EAZY」で商品をお届けします。EAZYは、商品を受け取る際、対面に加え、玄関ドア前や宅配ボックス、物置、自転車のかごなどで受け取りが可能です。商品が届く直前まで受け取り場所の変更ができ、配送された荷物の状況はウェブサイトで写真にて確認できます。また送り状に記載されている宛先や住所などの個人情報は二次元コード化されているため、玄関ドア前などに置かれた商品の送り状から個人情報が漏れるリスクを低減できます。さらに、段ボールなどの包装資材を廃棄する際に個人情報が記載された送り状を破棄する手間も省けます。

2023年9月に、商品受け取り方法の初期設定をこの置き配に変更したところ、置き配を選ぶユーザーが以前と比べて2倍以上に増加し、現在では置き配が可能な注文の約7割が置き配で配送されています。ユーザーがより柔軟に受け取り方法を選べるようになり、同時に再配達率の削減につながっています。

注文のおまとめ

複数の配送拠点からの荷物を一つにまとめて配送するシステムの図です。配送コストが一回分になることが示されています。

「注文のおまとめ」は、ユーザーが特別な設定をすることなく利用できるサービスです。ユーザーが複数の注文をした場合、発送前であれば自動的におまとめ可能な注文が1つにまとめられ配送されます。おまとめ配送が適用されると2回の注文でも、1回分の配送料となります。

2023年4月からは、異なる発送拠点からの注文もおまとめ機能の対象としました。これにより、配送がより効率的になり、環境への負担も大きく減少しました。実際にこの取り組みは、年間で約230トンのCO2を削減することに貢献しています。

注文のおまとめの条件

LOHACO・アスクル ユーザー向け機能と、ラストワンマイル拠点のドライバー・作業員向け支援

男性が白いシャツと黒いジャケットを着て笑顔でカメラを見ています。背景はシンプルな白色で、彼の表情が際立っています。
成松 岳志(なりまつ たけし)
2007年アスクル入社。「ASKUL」のCRM、プロモーション、新規サービス企画担当を経て、「LOHACO」の立ち上げに参画。2022年5月より、執行役員としてLOHACO事業本部を統括するとともに、ECマーケティングディレクターとして企業間のデータ利活用を推進。2023年3月にロジスティクス本部の本部長に就任。
LOHACO

物流業界において、2024年問題は単なる通過点に過ぎないと考えています。経済産業省によると、2030年までに日本の荷物の約36%が運べなくなる可能性があります(※)。そのような状況に陥らないために、テクノロジーを駆使した生産性の向上への取り組みは、まだまだ必要だと考えています。

例えば、アスクルの物流センター内の入荷部分では、まだまだ多くの作業が人の手で行われていて、自動化が十分に進んでいない状況です。さらに、我々からサプライヤーへの注文がばらばらに行われると、空のスペースが多いトラックが物流センターに到着しかなりの無駄が発生します。サプライヤーと協力し、改善の余地がまだまだ多く存在している領域への取り組みを強化していかなければと思っています。

物流の課題解決のためには、ユーザーの協力も必要不可欠だと考えています。まとめて買っていただく、無駄なく買っていただく、そして一度で受け取っていただくこと。これが一番のポイントだと考えています。その上で、商品をいつ受け取りたいのか、置き配で良いのか、対面で受け取りたいのかといった、ご自身の意思を明確に示していただきたいと思っています。私たちはその意思に応じたサービスを提供することで、無駄を減らし、より良いショッピング体験をお届けできると考えています。

※「物流危機とフィジカルインターネット」による

ユーザー向けだけでなく、ラストワンマイル拠点でのドライバー・作業員支援も実施

<ユーザー向け>

  • おトク指定便
  • 置き配

LOHACOでもおトク指定便を活用しています。最短のお届け日以降で出荷能力に余裕があるお届け日を指定いただくことでドライバーの配送量と物流センターの作業量が安定します。配達を待っていただくユーザーには代わりにPayPayポイントを受け取っていただくという価値交換のサービスです。毎月5のつく日におトク指定便が利用でき、毎回約5割以上の方に利用いただいています(商品価格3,780円以上が対象)。

LOHACOの置き配サービスは、玄関横、宅配BOX、車庫、物置が選択可能です。また、配送された商品については写真付きメールでお知らせされます。商品が届かないなど、もしもの時の補償対応も行っています。

まとめ割

クーポンの利用手順を示す図です。クーポン選択から条件確認、商品カート追加、適用確認までの流れが描かれています。

「まとめ割」は、指定されている対象グループの商品を買い回ることで割引が適用となるお得なサービスです。通常のお買い物では値引きされない商品でも、まとめ割を適用して購入すると値引きされ、よりお得に購入することができます。

物流リソースが限られている中で、ユーザーが必要なものを都度少量で購入すると、梱包時に隙間が発生し、配送も頻繁に必要になり無駄が発生します。また、ユーザーにとっても受け取りの回数、開梱、資材の廃棄などの手間が増えてしまいます。この課題を解決するために、頻繁に必要なものはまとめて購入していただき、その代わりに安く購入いただくという仕組みを導入しました。さらに、まとめ買いを促すための売り場のUIを工夫したり、複数商品を同梱できるよう商品の規格を変更するなど、物流の効率化を図る取り組みを進めています。

<ドライバー・作業員向け>

  • 配送拠点の業務支援アプリ「仕分け支援アプリ」
  • 配送ドライバー支援アプリ「とらっくる」

アスクルのビジネスモデルは当日や翌日配送を基本とし、物流センターは消費地に近い場所に設置されているため、長距離にわたる配送業務はそれほど発生しません。そこでアスクルが注力すべきは、ラストワンマイル(最終拠点からエンドユーザーへの配送)拠点でのドライバーや作業員の労働時間短縮と業務効率化と考えました。

アスクルでは子会社のASKUL LOGISTを通じて、物流センターの運営、配達業務の作業のほとんどを自社で実施しているため、この自社ネットワークのドライバーと作業員の業務をいかに改善するかがポイントでした。もともと、アスクル物流センターでの「自動化」と「省人化」を進めていましたが、物流の2024年問題に対応するため、まだ取り組みが進んでいなかった配送デポでのDX化を進めようと開発したのが、「仕分け支援アプリ」と「とらっくる」です。

物流センターの作業工程を示す図です。商品出荷から配送までのプロセスが詳細に描かれています。

仕分け支援アプリは、配送デポで作業員が行う荷下ろしや仕分け、配送トラックへの積み込みをサポートするものです。これまで作業員が荷物と荷札を確認してどのパレット(荷物を載せる荷役台)に積み替えたら良いか作業員の長年の知恵に依存して行なっていた作業が、このアプリによって荷物の置き場所が表示されるため、仕分け作業が誰でも効率よく行えるようになりました。

とらっくるは、ドライバー支援のアプリです。道路の混雑状況を考慮した配送ルートの表示、配送先の駐車スペース情報、日時変更や不在時の再配達依頼の情報確認、受け取りサインの管理など、配送に関する様々な業務がこのアプリで効率よく行えます。このアプリはASKUL LOGISTの配送ドライバーだけでなく、他の配送パートナーにも開放しているため、広範な配送業務に対応が可能です。自社だけでなく、広く物流業界のソリューションとなることを目指しています。

配送システムのフローを示す図です。顧客からの依頼を受け、貨物管理システムを通じて配送会社へ連携する流れが描かれています。

生活者私たちにできること

近い将来、モノが届かなくなる、輸送コストの増加分が商品価格に転嫁される可能性もあるなど、一般消費者への影響が避けられないと言われている物流の「2024年問題」。日々の行動を意識し見直すことが、物流への負担軽減につながります。ぜひできることからはじめてみませんか。

利用可能なサービスを示す図です。おトク指定便や店頭受取サービス、置き配、まとめ買いなどが挙げられています。

取材日:2024年5月9日
※本記事の内容は取材日時点のものです

「LINEヤフー ストーリー」のロゴ
LINEヤフーストーリーについて
みなさんの日常を、もっと便利でワクワクするものに。
コーポレートブログ「LINEヤフーストーリー」では、WOWや!を生み出すためのたくさんの挑戦と、その背景にある想いを届けていきます。
Page top