人権の尊重

私たちLINEヤフーグループは、「国際人権章典」「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」「子どもの権利とビジネス原則」などの国際的な人権規範を支持・尊重し企業活動を行っています。2021年10月には「LINEヤフーグループ人権ポリシー」を策定し、ビジネスに関わる全ての人の人権を尊重するために、従業員やサプライヤー、お客様、地域社会といった様々なステークホルダーと対話し、働きかけながら、取り組みを一層強化しています。

LINEヤフーグループ人権ポリシー

私たちLINEヤフーグループは、「WOW」なライフプラットフォームを創り、日常に「!」を届けることをミッションとし、ユーザー、取引先、株主などの多くのステークホルダーと関わり合いながら様々な事業活動を展開しています。それらの事業活動を行う上で、人権の尊重は基本的な価値であり、不可欠なものと考え、事業活動およびバリューチェーン全体における人権尊重の取り組みに関する最上位の方針として「LINEヤフーグループ人権ポリシー」(以下「本ポリシー」と言います。)を定めました。本ポリシーは、人権に関する外部専門機関から内容への助言をいただいた上で策定(改定)され、取締役会で審議・承認を受けた後に開示しています。本ポリシーは、LINEヤフーグループの全役員および従業員に適用されます。さらに、サプライヤーやその他の取引先に対しても本ポリシーへの理解を促すとともに、取引先との契約に人権尊重に関する条項を導入し、協働して人権尊重を推進し、バリューチェーン全体における人権尊重の取り組みを行っています。

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推進体制

代表取締役社長が委員長を務めるサステナビリティ委員会にて人権分科会を組織し、グループ各社の人権責任者が委員に就任し、グループ会社各社におけるリスクの特定、評価、対応計画の策定およびその推進について把握し、リスク低減に努め、人権デュー・ディリジェンスを推進しています。

サステナビリティ推進体制図。サステナビリティ委員会は、代表取締役社長が委員長を務めており、連なる組織として「環境分科会」および「人権分科会」を設置。取締役会がサステナビリティ委員会から重要事項の付議・報告を随時うけるとともに、リスクマネジメント委員会からも全社リスクの報告を受ける。取締役会は、付議された重要事項の審議・決議を行うことを通じて、サステナビリティに関するリスクおよび対応状況を監督。

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人権デュー・ディリジェンス

人権デュー・ディリジェンスのプロセス

LINEヤフーでは、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に従い、当社の事業活動により負の影響が生じるリスクのある人権課題を明確にし、評価・特定、緩和・是正等の人権デュー・ディリジェンスのプロセスを構築しています。

人権デューディリジェンスのプロセス図、方針によるコミットメント、LINEヤフーグループ人権ポリシー、人権デューディリジェンスの 4 つのプロセスとステークホルダーエンゲージメント、苦情処理メカニズム。プロセス1、人権リスクの特定 評価、人権リスクを特定するためのアセスメントの実施、取引先に対するリスクアセスメントの実施、社会的情勢を踏まえた人権リスクに対するアセスメントの実施、プロセス 2、人権リスクの防止 緩和の取り組み、人権リスク防止および緩和施策の実施、グループ会社を含めた人権啓発活動の実施、プロセス3、実行 モニタリング、人権に関する潜在的リスクを認めた場合の追跡確認の実施、プロセス4、情報開示 コミュニケーション、人権デューディリジェンスの状況を定期的にウェブサイトで開示、相談窓口の設置、若年層ユーザーに対する人権の啓蒙啓発。

人権リスクの特定と評価

LINEヤフーグループは、当グループの事業活動およびバリューチェーンにより負の影響が生じるおそれのある人権課題を洗い出し、深刻性と発生可能性を評価したうえで「人権リスクマップ」を作成しました(直近の評価は2024年度に実施)。本評価は、外部有識者の知見も取り入れ、国連「ビジネスと人権に関する指導原則(UNGP)」および OECD「責任ある企業行動のためのデュー・ディリジェンス・ガイダンス」に基づき策定しています。
今回の評価では、メディア事業、コマース事業、戦略事業(金融)の各領域において、主要グループ会社の「国別従業員数」「サプライヤーの拠点国・業種」「取引規模(取引額)」等の実データを基にし、外部の人権リスク指標と組み合わせて算定し、グループ全体のリスク特性に反映しています。得られた結果は人権デュー・ディリジェンスのプロセスに組み込み、深刻性の高い課題から優先的に対策を強化しています。今後は、リスクの大きさや事業拡大状況に合わせて対象範囲を段階的に広げ、事業環境の変化やステークホルダーとの対話結果を踏まえながら、定期的かつ継続的にリスクマップを見直していきます。

人権リスクマップの作成プロセス

人権課題の整理
  • 「国際人権章典」「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」など国際的な人権規範や原則を参照し、当グループの事業活動およびバリューチェーンに関連すると想定される人権課題を整理
深刻性および発生可能性の評価
  • 各人権課題について、実際の影響および潜在的な影響を以下の三つの観点から総合的に評価し、深刻性を算出
①負の影響の重大性 – 人権侵害が生命や生活に与える影響の度合い
②影響の及ぶ範囲 – 実際および潜在的な影響を受ける人数や、影響を受ける集団全体に占める割合
③救済困難度 – 被害がどの程度回復可能か(あるいは不可能か)、被害を受けた人を元の状態に戻すまでに要する時間や、その困難さを含む
  • 発生可能性は潜在的影響を対象に評価し、優先順位付けにおいては深刻性を主要な基準とした
  • 外部データ※1を用い、国別リスクと業種リスクを数値化し、自グループの従業員数や取引規模で重み付け
  • 国別リスクを主軸に、業種リスクを補助として組み合わせ、発生可能性を算出
人権リスクマップの作成
  • 深刻性と発生可能性の二つの軸で各人権課題を評価し、マトリクス上に可視化
  • LINEヤフーグループにとって顕著な人権課題を示し、優先的に対応すべきリスク領域を明確化

※1 国際機関(UNICEF、世界銀行)および国際NGO(ビジネスと人権リソースセンター、ウォーク・フリー財団「Global Slavery Index 2023」)などが公表する国別・業種別の人権リスク指標

人権リスクマップ

縦軸に深刻性、横軸に発生可能性をとったマトリクスに、LINEヤフーグループにとって顕著な人権課題を配置したリスクマップ。課題は、自社、顧客、地域社会、サプライチェーン、投融資先といったステークホルダー区分ごとに色分けされている。リスクが特に高い領域には、プライバシーに関する権利(顧客)、健康と安全、責任あるマーケティング・金融サービス提供、非人道的な扱い、表現の自由・情報へのアクセス、安定した雇用、結社の自由・団体交渉権、移民労働者/外国人労働者の待遇、差別の9課題が位置付けられている。次に高いリスク領域には、労働安全衛生、労働時間、賃金、強制労働・人身取引、児童労働、子どもの権利、地域社会の課題、プライバシーに対する権利(従業員)、救済へのアクセスの9課題が配置されており、全体として優先的に対応すべきリスク領域を明確化している。

責任あるマーケティング、金融サービス提供…顧客に虚偽や誤解を招く広告や宣伝を行わず、ITリテラシーや金融知識が十分でない利用者を含む全ての顧客に、公正かつ適切に金融サービスを提供すること。
健康と安全…提供する製品やサービスによって顧客の健康や安全が脅かされないよう、設計から提供までの全段階で配慮すること。
安定した雇用…正当な理由なく役職員を解雇したり、有期雇用契約の更新制限を設けるなど、雇用を不安定にせず、必要に応じ公正な手続と説明を行うこと。

AIや環境に関する人権課題

LINEヤフーは、LINEおよびYahoo! JAPANをはじめとする各サービスで生成AIを活用しており、その活用に伴う様々な人権リスクを認識しています。とくに、公平性、透明性、プライバシーなどを重要なリスク領域として位置付け、必要な対策を講じています。AIの倫理的側面を重視し、2021年には「AI倫理に関する有識者会議」を設置し、外部専門家との継続的な議論を進めています。さらに、2022年にはユーザーのプライバシーを保護しながらAIを安全に活用するため、取締役会決議のもと「AI倫理基本方針」を策定しました。今後もAIに関わる人権リスクを多角的に注視していきます。

加えて、「LINEヤフーグループ人権ポリシー」に基づき、企業活動のあらゆる場面で、自然との結びつきの強い地域社会に属する人々の人権を尊重し、持続可能な環境・社会の発展に貢献するという考え方から、環境に起因する人権影響も重要なリスク領域として位置付けています。取締役会の監督のもと「サステナビリティ委員会」を設置し、それに連なる組織として「人権分科会」と「環境分科会」が連携して方針や施策の進捗を管理しています。また、サプライヤーやビジネスパートナーに対しても、国際的な人権規範および当グループの行動規範に沿った人権尊重を求めています。

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セグメント別実施事項

当社従業員に対する人権アセスメント

当社では毎年、差別・ハラスメントを中心とした人権に関する従業員向けの研修や啓発コンテンツの配信を実施しています。また、全従業員に対して人権侵害相談窓口を案内し、人権侵害事案が発生した際は社内規程に基づき厳正に対処しています。2024年は実施時点で当社に所属のある社員全員(正社員・契約社員・嘱託社員・アルバイト・出向出入・派遣社員)を対象にハラスメントに関するアンケート調査を行いました。今後も定期的な研修、アンケートや調査分析などを通じて、人権侵害の未然防止に努めるとともに、従業員の人権尊重を図っていきます。

グループ各社に対する人権アセスメント

人権デュー・ディリジェンスの一環として、2021年度よりLINEヤフーグループ各社を対象に「ビジネスと人権の取り組み状況」や「人権リスクの詳細」を確認するための調査を実施しています。2024年度からは調査結果をスコア化し、前年度の調査で基準を下回った企業にフォローアップ調査を実施しました。調査の結果、顕在化している人権への影響は見られず、全ての対象先が基準を上回る結果となりました。一方で取引先に対する遵守対応等、継続的な課題に対しては個別にアプローチし、リスクの把握と緩和措置を行い各社と協力しながらビジネスと人権の取り組みの底上げを図っています。今後も本調査を通じて、グループ全体のビジネスと人権の取り組み状況をしっかりと把握し、さらなる改善と向上に向けて取り組んでいきます。

人権アセスメントの結果

年度 対象数
(国内、海外)
調査数
(国内、海外)
カバレッジ リスク緩和の対象 対象割合 緩和計画を実行済みの対象 実行割合
2024年度※1 対象数(国内/海外): 5(4、1) 調査数(国内/海外): 5(4、1) カバレッジ: 100% リスク緩和の対象: 0 対象割合: 0% 緩和計画を実行済みの拠点:  実行割合: 
2023年度※2 対象数(国内/海外): 53(33、20) 調査数(国内/海外): 53(33、20) カバレッジ: 100% リスク緩和の対象: 6 対象割合: 11% 緩和計画を実行済みの拠点: 6 実行割合: 100%
2022年度 対象数(国内/海外):77(48、29) 調査数(国内/海外):77(48、29) カバレッジ:100% リスク緩和の対象:0 対象割合:0% 緩和計画を実行済みの拠点: 実行割合:

※1 2024年度は2023年度にリスク緩和の対象となった6社のうち、事業再編等で対象外となった2社を除く4社に、新たに1社を加えた合計5社(国内4社、海外1社)に対して実施しました。
※2 2022年度、2023年度は合併に伴いアセスメントの対象企業数が変動しております。

リスクの把握と緩和・是正措置(2024年度)

潜在的なリスクの概要 緩和・是正措置
人権に関する基本姿勢
(人権関連法の認識)
取り組み状況のヒアリングと共に以下の対応を行い、継続的なモニタリングを実施
  • 教育、啓発コンテンツの共有
  • LINEヤフーにおける対応手順やノウハウの提供
  • 具体的な対応策の検討
サプライチェーンなど取引先への取り組み
(人権尊重のための取り組み、強制労働、人身取引、児童労働の禁止に関する遵守)

サプライヤーに対する人権アセスメント

LINEヤフーグループは、持続可能で公正な取引関係を構築するため、購買基本方針を定めています。購買基本方針は、法令の遵守、公平な競争機会の提供、合理的な取引先の選定、反社会的勢力との関係遮断、相互信頼の醸成、CSRへの取り組み、環境の保全、社会問題への取り組み、そして人権の尊重を含む9つの項目により支えられています。また、LINEヤフーでは、2024年7月から、購買基本方針の下、新たなサプライヤー管理方針を導入しています。

サプライヤー調査プロセス

LINEヤフーの調達活動においては、物品やサービスの提供を受けるサプライヤーに対して、原則、反社・反腐敗・経済安保・財務・ESG(環境、人権、児童労働の禁止、労働や賃金に関する法令順守)の観点から調査項目を定めた「サプライヤー調査」を実施しています。また、取引が継続しているサプライヤーには、基本的に2年に一度、同様の調査を依頼し、定期的に情報を更新しています。
さらに、LINEヤフーが業務委託する一部のサプライヤーとの間では、締結する契約書に多様性の重視、ハラスメントの禁止、強制労働や児童労働の禁止、労働時間と賃金の管理、結社の自由、団体交渉の権利行使の尊重、従業員の安全と健康の維持など、人権に関する遵守条項を導入するなど、調達活動を通じた人権尊重の取り組みも行っています。このような取り組みを通じて、サプライヤーとのエンゲージメントを深化させ、協力的かつ人権に配慮したパートナーシップを築いています。

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救済の仕組み

LINEヤフーでは、当社に関わる全てのステークホルダー(お客さま・取引先・取引先で働く人々・従業員など)に向けて相談窓口を設置し、事業活動に関わる人権問題を確実に把握し、対応する仕組みを設けています。これには、内部通報制度が含まれ、差別やハラスメントなどの人権問題を含む法令やコンプライアンス違反を報告するための仕組みが整備されています。

内部通報制度は、通報者が安心して利用できるよう、匿名での通報を可能とし通報者への不利益な取扱いや報復、探索の禁止を徹底し、通報内容の秘密保持を厳守しています。通報は24時間可能で、日本語、英語、韓国語の多言語に対応しています。通報窓口では外部弁護士事務所による受付も可能となっており、役職員および取引先からの通報を端緒として法令やコンプライアンス違反が発見された場合には、状況の改善、再発防止につなげる仕組みづくりをしております。

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カスタマーハラスメントへの対応

LINEヤフーは、従業員が安心して働ける環境を守ることが、私たちのサービスを持続的に提供するための基盤であると考えています。大切なお客さまとの関係を良好に保つだけでなく、暴言や過剰な要求などから従業員等を守り、安心して働くことができる職場環境を整えることが、より良いサービスの提供に不可欠であると考え「カスタマーハラスメントに関する当社の考え方」を作成しました。

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人権に関する具体的な取り組み

従業員向け

従業員の意識向上と、人権デュー・ディリジェンスの推進を目的に、定期的に教育コンテンツを提供するほか、ビジネス(AI等)と人権など、事業特性に合わせたセミナーも定期的に開催しています。2024年度には、LINEヤフーの従業員およびLINEヤフーグループの主要企業の従業員を対象に案内し、最新の人権課題に関する知識を深めるための全5回の人権セミナーを実施しました。本セミナーは、「生成AIと人権」、「メディアと人権」、「環境と人権」など、デジタル社会における人権課題の最新動向を通じて、幅広い理解を促進し、LINEヤフーグループ全体で人権リスクを低減させることを目的としています。

人権に関する研修実績(2024年度)

開催日 テーマ 登壇者 形式
2024年9月25日 人権セミナー「ビジネスと人権」
(人権課題の最新動向と対応策)
株式会社オウルズコンサルティンググループ プリンシパル
矢守亜夕美氏
オンライン研修
2024年12月18日 オンライン研修(録画視聴)
2025年1月24日
2025年2月19日
2025年3月14日

お客様向け

メディアサービスにおける取り組み

LINEヤフーは、メディアサービスにおいて人権の尊重が必要不可欠であると考えており、LINEヤフーメディアステートメントに明記するとともに、これを実現すべく、適切な情報提供に努めています。

子ども向けの取り組み

LINEヤフーは、子どもたちのプライバシー保護を重視し、インターネットサービス利用に関する啓発コンテンツを提供しています。また、フィルタリング機能の強化や情報モラル教育を通じて、子どもたちが安心してインターネットを利用できる環境の提供に努めています。
インターネットメディアの特性を生かし、子どもたちの人権に関する取り組みを行っており、2019年には公益財団法人日本ユニセフ協会と連携し、府省庁とNPOなどで策定が進められていた子どもに対する暴力をなくす計画に 子どもたちの声を反映する「子どもパブコメ」の実施や、文部科学省と連携して「いじめ」などの子どもの人権侵害に対応した機能をYahoo!きっず検索に導入しています。2023年の世界人権デー以降、子どもたちを対象に、人権についての情報をYahoo!きっず上で公開。人権に関する関連動画やコンテンツなどを子どもたちに広く発信、紹介しています。

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