「若手でも会社は変えられる」。入社2年目が挑んだ全社プロジェクト
リリース前のサービスや新機能を社員が実際に使い、改善点をフィードバックする「社内テスト」。より良いプロダクトづくりに欠かせない取り組みですが、LINEヤフーでは「参加者が集まりにくい」という課題がありました。
その課題を解決しようと立ち上がったのが、入社2年目(当時)の若手社員です。役員への提案をきっかけに全社プロジェクトが始動し、参加しやすい仕組みづくりや制度改善を進め、社内テストの文化そのものを変えていきました。「若手の社員でも会社を動かせる」。そう語るプロジェクトの中心メンバー7人に、その熱い思いを聞いてきました。
- 濱田 香菜子(はまだ かなこ)
- LINEミニアプリの事業企画を担当。ゲーム領域を中心に導入企業の成果創出・ベストプラクティス化を推進する。
- 井上 南(いのうえ みなみ)
- クライアントへの広告実績レポートに必要な広告ログ集計基盤の開発・運用を担当するデータエンジニア。
- 永田 昂輝(ながた こうき)
- Yahoo!ショッピングに関するデータ分析基盤の開発とAIエージェント利活用を担当。AIエージェントのパーソナライズをユーザー、ストアに提供する。
- 吉良 慶信(きら よしのぶ)
- サステナビリティー関連の話題を発信するメディア「サストモ」の企画担当。兼務のLINEドメインでは詐欺対策機能の企画をリード。
- 鈴木 真子(すずき まこ)
- LINEスタンプ・絵文字に関する企画開発を担当。これまでにサジェスト機能やお気に入り機能の改善などを推進する。
- 奥 早和紀(おく さわき)
- 各種サービスの監視プラットフォームを担当するSREエンジニア。サービスの安定運用に向けた監視・分析基盤の開発・運用を担う。
- 岩澤 芙弓(いわさわ ふゆみ)
- ローカル・UGC領域にて、LINEオープンチャットのサービス企画を担当。同領域でのAIを用いた新規サービス企画に携わるほか、ユーザーリサーチチームも兼務する。
役員への直談判から翌日始動! 若手発のプロジェクト立ち上げ
――まずは「社内テスト活性化タスクフォース」結成のきっかけを教えてください。
もともと私は、社内テストについて課題意識を持っていました。自分の担当プロダクトの企画を進めているとき、先輩から「社内テストを実施しても、なかなか人が集まらないんだよ」という話を聞いたのがきっかけです。せっかく自社でサービスを作っているのに、社員同士でプロダクトを良くしていく姿勢がもっとあってもいいのではないかと感じていたんです。
そうした思いをある日、CTO(Chief Technology Officer)のイビンさんに直接伝えてみました。するとその場で賛同してくれて、「全社的に大切なことだから、やったほうがいい」と背中を押してくれたんです。
イビンさんがすごくその意見に共感してくださって、あれよあれよという間に話が進みました。
そこからのスピード感は圧倒的でしたね。
翌朝にはタスクフォース設立の企画書を作って提出しました。そして、とんとん拍子で話が進んでプロジェクトが立ち上がったんです。若手社員の提案が、たった1日で会社公認の全社プロジェクトとして動き出したことには、私たち自身も驚きました。
――他のみなさんも、社内テストについて似た課題感を抱えていたのでしょうか?
私が当時、関わっていたプロダクトで社内テストを実施したときのことです。100件のフィードバックを最低ラインの目標にして、全社のSlackチャンネルで大々的に宣伝しました。しかし、結果として参加してくれたのは70人ほど。さらにテスト後のアンケートに対する回答は、30件弱にとどまってしまったんです。
私のチームでも回答が集まらないので、最後は自分たちで行動するしかありませんでした。
社内レストランの出口近くに自作のインタビューブースを作り、直接声をかけてテストをお願いするという、泥臭いことをしていました。また、当時はテスターの手元を撮影する機材が会社で借りられず、市販のスマホアームがぐらつくのを押さえながら撮影していました。
ただ、個別に声をかけるだけでは限界がありました。そこで「なぜ参加者が少ないのか」を把握するため、まずは全社調査を実施しました。その結果わかったのは、全社的な注力案件のテストであっても調査回答者の約4割の社員が「テストが募集されていること自体を認知していない」という根本的な課題でした。
情報が届いていないなら、まずはそこを解決しなければならないと気づいたんです。
壁にぶつかりながらも、全社を巻き込んだ実行力
――全社の課題に対して、具体的にどのようなアクションを起こしましたか?
課題が見えたことで、次は「どうすれば社内テストをもっと知ってもらえるか」を考えました。タスクフォースのメンバーは企画職とエンジニアの混合チームだったので、それぞれの強みを生かして「参加促進」「実施者支援」「データ分析」の3つの分科会に分かれて取り組みました。
具体的には、役員から全社メールを配信してもらったり、各部署のSlackチャンネルで募集を告知したりして、1週間で1000件以上の回答を集めました。
「社内テストポータルサイト」の立ち上げも行いました。これまで属人化していた社内テストの知見やノウハウを、一箇所にまとめようという目的です。また、テストの募集情報が流れてしまわないよう、社内テスト募集に特化したSlackの専用チャンネルもスタートさせました。
活動は限られた期間だったので、小さくても早く成果を出すことを意識しました。例えば、全社集会でこのタスクフォースの活動が紹介された裏で、リアルタイムに宣伝を打ち、瞬時にSlackチャンネルの参加者を200名近く集めるなど、スピーディーに行動できたと思います。
――部署横断のプロジェクトを進める上で、苦労したことはありましたか?
一番苦労したのは、タスクフォースが解散したあとも、取り組みを一過性で終わらせず、文化や仕組みとして定着させることでした。
手動での運用だと私たちが抜けたら終わってしまいます。そこで、APIを使って社内テスト情報を自動で一覧化する仕組みを構想しました。しかし、そのシステム運用を別の組織に引き継いでもらうための交渉が難航したんです。
自分たちが作ったシステムを、他部署に運用まで引き受けてもらうには、その部署にもメリットを理解してもらう必要があり、かなりハードルが高いんですよね。
私はエンジニアなので、どうしても「システムでどう解決するか」にフォーカスしてしまいがちなんです。しかし企画職メンバーが、それ以外の道を示してフォローしてくれました。
「システムに今フォーカスしているけど、本来の課題をそれで解決できるのか」という点に立ち返らせてくれて、誰にアプローチしたら解決できそうか、他部署への相談をリードしてくれたんです。エンジニアと企画職が一緒のチームだからこそ、そうした壁を乗り越えることができたと思います。
新プロダクトのテストで感じた、「会社を変えた」確かな手応え
――タスクフォースの活動では、どのような成果が出ましたか?
タスクフォース側から募集を呼びかけなくても、「社内テスト募集に特化したSlackの専用チャンネル」を通じてテスター募集してもらえるようになりました。社員の自発的な参加により、以前よりも多くのテスターがSlackチャンネルに集まっています。「協力したいけど、どこで告知しているかわからない」という方の課題解決に少しでも寄与できたのではないかと考えています。
Slackでの投稿やポータルだけでなく、オフィスの各執務エリアへのポスター掲示や、バナーの掲載など、複数の接点で告知を広げる工夫もしました。その結果、自然と多くの方がテストを認知するようになったと感じます。
4月にリリース発表された「Agent i」は、全社からの注目度が高かったです。開発過程のプロトタイプでの社内テストは、1週間で約4,000件もの回答を得ることができました。
多くの社員が自社のプロダクトに高い関心を持ち、「自分ごと」として捉える姿勢が広がっています。部門の垣根を越えて、担当者に直接フィードバックを伝えてみんなでプロダクトをブラッシュアップしていく。そうしたカルチャーが、社内に少しずつ根付いてきていると感じています。
――このタスクフォースの経験が生きた事例を教えてください。
先ほど話題に出た「テスト用の撮影機材が借りられず自費で買っていた」という課題についてです。これまでは「会社に制度がないから仕方ない」で終わっていました。しかしこの活動を通じて、誰でも借りられるように「会社に制度がないから仕方ない」ではなく、「制度そのものを変えればいい」と考えられるようになったんです。
そこで、思い切ってヘルプデスクに直談判してみました。すると、意外にも快く対応してもらえて。結果的に赤坂オフィスでは、誰でもスマホアームやウェブカメラ、ピンマイクを全社的な貸出制度を使って正式にレンタルできるようになりました。若手の提案であっても、理にかなっていれば柔軟に受け入れてもらえ、会社全体が変わっていくという手応えを感じられました。
若手社員が見据える、LINEヤフーのこれから
――今回の経験を経て、社内テストの重要性をどう再認識しましたか?
社内テストは、LINEヤフーが掲げるミッション「WOW Our Users!」と、バリュー「スピード10倍」を体現するために絶対に欠かせないプロセスだと、改めて強く感じています。
最近は、すぐに動くプロトタイプを用意できる環境が整ってきました。その結果、社内テストの目的が「リリース前の最終確認」から、「企画初期でのユーザーニーズの確認」へと移りつつあります。早い段階でテストを挟むことで、担当者は方向性のズレに気づき、試行錯誤をすばやく繰り返すことができるようになりました。
――タスクフォースは解散したと伺いましたが、今後も社内テストの活性化に向けて、目指すビジョンはありますか?
社内テストポータルを特定のメンバーだけでなく「みんなで作る場所」にしていくのが理想です。ノウハウを気軽に共有し合える環境を作り、全社で育てる形を目指しています。
最終的に目指すところは、社内テストが実施されたら、積極的に社員が参加する文化が定着することです。そのために短期的な施策も進めてきましたが、今後は持続可能な仕組みをなるべく残すことが重要だと思っています。
――最後に、今回の経験を通して感じたことや、これから挑戦する人へのメッセージをお願いします。または最後に、この経験を通じて伝えたいことを教えてください。
もし少しでもやりたいと思うことがあれば、ぜひ自分の枠を飛び越えて挑戦してみてほしいです。LINEヤフーには、若手であっても手を挙げれば声を拾い上げ、一緒に動いてくれる環境と、それを助けてくれる温かい社員がたくさんいます。今回の経験を通じて、挑戦することで会社は本当に変えられるのだと実感しました。
私たちが目指しているのは、世の中のユーザーに「WOW」と言ってもらえるような、便利なプロダクトを生み出すことです。社内テストに参加することで、自分が関わったサービスに愛着が湧き、「もっと良くしたい」という気持ちが自然と生まれる。そして自分の子どものように誇れるサービスが増えたらうれしいですよね。若手でもボトムアップで会社を動かし、仕組みを変えたり環境を整えたりしながら、自分の誇れるサービスを一緒に作っていくことができる。今回の活動を通じて、そう感じました。
取材日:2026年6月9日
文:LINEヤフーストーリー編集部
※本記事の内容は取材日時点のものです
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