みなさんは、電気やガス、水道などのライフラインが止まってしまった時に自宅で過ごすために必要な備え(水・食料、日用品など)はできていますか?
災害時を想定して備えておきたい50個の備蓄品やその使い方を、気象予報士の河津真人(かわづまこと)さんに教えていただきました。今回は、前編の25アイテムについてご紹介します。
・災害発生時に自宅で過ごすために必要な備えは? 備蓄品リスト(後編)
電気やガス、水道などのライフラインが止まったとき、自宅で過ごすために必要な飲料水。【3日分(1人1日3リットルが目安)】を確保しましょう。
また、トイレを流すための生活用水も必要です。飲料水とは別に、水道水を入れたポリタンクなどを用意しておきましょう。また、お風呂の水を沸かす直前に入れ替えるようにすると、手間なく日頃から生活用水は確保できている状態になります。
缶詰は保存期間が長いので、備蓄食としてオススメです。平常時に食べて味を確かめておきましょう。
サバのみそ煮、野菜の缶詰以外にも、果物や小豆などの甘いものの缶詰も用意しておくと、災害時に少し気持ちがまぎれるかもしれません。災害に巻き込まれたストレスは計りしれないほどです。せめておいしいものを食べられるようにしておけば、つらい状況を何とかしのげるかもしれません。
非常食として売られているレトルトご飯は、通常のものより保存期間が長い点がメリット。白いご飯だけでなく、炊き込みご飯など味がついているものもそろえておくとよさそうです。
保存期間切れが迫った非常食は、日常で食べてしまえばムダになりません。ときには食べて楽しみながら備蓄しておきましょう。
栄養補助食品が備蓄食にオススメな理由
食べ慣れた味は、災害時の心理的なストレスを軽減してくれるかもしれません。防災用の非常食として、通常の製品よりも賞味期限が長いものもあるようです。コンビニやスーパーでは通常販売されていないので、ネットで探してみるのがよさそうですね。
お菓子は賞味期限が長いので、ローリングストックに向いています。また、非常時のストレスを和らげる効果も。
チョコレートやビスケット、飴などの甘いもの、おせんべいなどの塩気のあるものの両方を用意しておくのがオススメです。栄養補助食品と同じく、お菓子も「保存用」で賞味期限が長く設定されているものがあります。パッケージもかわいいので、つらい気分が少し和らぐかもしれません。
備蓄しにくい「野菜」を補給するため、野菜ジュースがあれば野菜不足がカバーできます。
野菜汁100%と野菜と果物のミックスジュース両方用意しておけば、味の変化をつけられますね。常温保存が可能で賞味期限の長いものを選びましょう。野菜ジュースは紙パックのイメージがありますが、保存用の缶入りのものがあるようです。野菜の摂取ができるのはもちろん、水分補給としても活躍します。
電気やガスなどが止まってしまうと、お湯を沸かす、料理を作るなどができなくなってしまいます。また、料理を作ったりお湯を沸かしたりするだけでなく、冬の寒いときには暖を取ることもできます。
高性能なカセットコンロは、耐低温、耐風の仕様になっていて、冬の寒空の中でも使えるものがあるようです。アウトドアにも使えるので一石二鳥かもしれません。
ラップを少し多めに用意しておくと、食器に敷いてご飯やおかずを乗せれば、災害時に食器洗いで水を使わなくてもよい点がメリットです。
また、ケガをした時に巻いて包帯の代わりにもなり、汚れや感染を防ぐことができます。体に巻けば防寒にも。
クシャクシャに丸めるとスポンジの代わりになるほか、細長く丸めるとヒモ(それを束ねればなんとロープにも!)なる便利な一品です。防災バッグの中に必ず入れておきたいですね。
災害時などの停電に備えて懐中電灯、ランタンなどのあかりを用意しておきましょう。
各部屋に1つ、家族1人につき1つ以上、複数用意しておくのがポイントです。ヘッドライトも1人につき1つあると、避難するときに両手があくのでオススメです。懐中電灯アプリがあるのでスマホでも代用はできますが、やはり専用のものを1つは持っておきたいですね。ベッドの近くに置いておけばいざという時に安心です。
防災グッズをそろえても、グッズに合った乾電池がなければ役に立ちませんよね。グッズと電池の種類を洗い出して、多めにストックをしておくのがよいです。乾電池式のモバイルバッテリーもあるとなおよいですね。災害に備えて、10年など長持ちする乾電池を備えておきましょう。
乾電池の正しい保管方法
災害時に備えて、火をつける手段をいくつか準備しておきましょう。
ライターは長期間保管しているとガスが抜けてしまったり、点火できなくなったりするので注意が必要です。
マッチは「防災マッチ」を選ぶと雨にぬれても使えます。冬に屋外で過ごさなければならないリスクを考えて、万が一のために火をつける手段は持っておきたいですね。
ガムテープには紙製、ビニール製などがありますが、布テープは、
ことなどがメリット。防災グッズとして用意しておくと安心です。
布テープのほかの用途として・ガラス片の片づけ・食料などの袋の口止めなどありますが、とにかく「文字を書いて貼れる」ので重宝すること間違いなしです。
災害時、散乱したがれきや障害物などを素手で触ると、手を傷つける可能性がありとても危険。そんなときには軍手があると安心です。頑丈な「防刃手袋」を用意しておくとなお良いです。ガラス片や刃物など鋭利なものでも切れにくい、耐切創(たいせっそう)レベルの高いものをえらべば、とがったものを触っても破れる心配は少ないようです。
また、防寒用としても使えますので、家族全員分それぞれ手に合うサイズの軍手を用意しておきましょう。
スマートフォンでできること
また、ハッシュタグ「#救助」を覚えておきましょう。地元の消防署や警察、ツイートを見た人などの連絡によって助けがくることも。緊急救助を求める場合は、「#救助」をつけて要請内容や写真、住所または位置情報などを投稿してください。
防災に関するアプリを入れておけば、災害が起こった後も情報を取得しやすいですし、何をすればよいかの目安も確認できます。
停電、携帯が通じない、インターネットも使えない時に役立つのがラジオ。電池・手回し・ソーラーなどで停電時でも充電が可能です。また、持ち運びできるので避難所でも必要な情報を確認できます。電気や通信などのインフラが途絶えても、別枠のラジオを持っていれば情報収集が可能です。防水やライト付きのものなど種類がたくさんあるのもよいですね。
防災グッズのひとつとして備えておきましょう。
とくに電池を消費しやすいのが液晶画面です。設定で即時に切り替えましょう。細かいですがロック時間を最短にしておくのもおすすめです。
スマホのバッテリー維持のために
避難場所によっては火気厳禁でたき火もできず、暖を取るのが難しい場合もあります。寒さにより体力が消耗するのを避けるためにも、備えておきたい一品です。冬の災害に備えて使い捨てカイロを用意しておきましょう。台風など大雨でも停電になることがあるので、水に濡れた体を温められ夏でも役立ちます。
貼るカイロは身体が温まりやすく、携帯したり手先や首筋などを温めたりするのに向いています。
防災用にコンタクトをストックしておくのも手ですが、衛生面を考えるとメガネが無難そうです。災害時には転んだり物が落ちてきたりする可能性もあるので、丈夫なメガネがおすすめです。
また、阪神淡路大震災を経験された方からは、
「実体験として、コンタクトはホコリで目が痛くなり無理だった。断水で手が十分洗えないと衛生的にも不安だし、地震後の被災地は土ぼこりなどがひどい。屋外だけではなく自宅内も。室内のホコリが揺れや家具の転倒で舞い散るので、災害時には強くメガネを推奨」というコメントをいただきました。
災害時には病院もドラッグストアも機能していない可能性があります。常備薬は3日分は別でストックしておいたほうがよいでしょう。慣れない避難生活などで体調をくずしてしまったときに備えて、常備薬以外の薬も用意しておくと安心です。
口腔の衛生状態が悪化すると「誤嚥(ごえん)性肺炎」を起こしやすくなります。口の中の細菌が食べ物や唾液といっしょに気管に入り込み、肺の中で繁殖して炎症を起こす病気で、高齢者の肺炎の多くは誤嚥性肺炎と言われています。
災害発生時には特にストレスがたまり、体の抵抗力も落ちるため、避難生活では口腔(こうくう)ケアが大切です。以下の用なものを用意しておきましょう。
台風などの風水害や地震などの災害時はトイレが使えなくなることがあります。災害時は仮設トイレが設置されるまでに時間がかかりますし、設置されても衛生面などで不安が残ります。車の中に用意しておけば非常時にも心強いですね。
両方備えておきましょう。備蓄するときはトイレに行く回数を考えて用意を。人が一日にトイレに行く回数は約6~7回です。※備えておきたい料は、内閣府は最低3日分、推奨は1週間分としています。
トイレットペーパーの使用量は4人家族で1カ月約15ロールといわれています。4人家族なら常に15ロール以上ある状態を維持しておく必要があります。また、ティッシュペーパーの代わりとしても使えるため、多めに備蓄しておくと安心です。ただ、場所をとってしまうのが難点ですよね。備蓄用に長尺のものがあるようなので、普通のものとは別に用意しておくのがよいでしょう。
ビニール袋をカバンや段ボールの中に敷く形で使えば水の運搬もしやすくなります。その他、手袋やおむつ(中に布を敷く)の代わりとしても使えます。災害時にはいろいろと工夫して乗り切りたいですね。災害時のビニール袋の便利な使い方
ローリングストック(古い物から使って、使った分を買い足しておく保存法)による保存がおすすめです。
ウェットティッシュは、除菌グッズとしてだけでなく、手洗いや食器洗いの水の代用品として使用できます。また、お風呂が使えない時には体拭きとしても利用できます。自宅で過ごしている際も、断水時に水代わりになりますので備えておきましょう。
ウェットティッシュを水の代用品として使うなら、アルコール成分は入っていないものの方がよいですね。反対に、水のストックが十分なら、消毒や臭い消しにも役立つアルコール成分が入ったものを備蓄するとよいでしょう。
地震、台風などによる大雨、河川の氾濫など、災害時にはけがをしてしまうことも。避難グッズには救急セットを入れておきましょう。ばんそうこうだけでなく、ガーゼや包帯、消毒液なども入っているものが安心です。
災害時にも病院やドラッグストアに対応してもらえるとは限りません。ケガや病気になっても自分たちだけでしのげるよう、最低限の準備だけはしておきましょう。
※ヤフー株式会社のコーポレートブログに掲載した記事を一部修正し再掲載しています。