11月29日、LINEヤフーの月額制サービス 「LYPプレミアム」が誕生しました。LINEの「L」、ヤフーの「Y」、PayPayの「P」をサービス名称に掲げ、グループシナジーを最大限に活用した新たなプレミアム会員サービスとしてスタート。これまでYahoo!プレミアムで提供していた特典にLINE特典が追加され、より便利でおトクにLINEヤフーのサービスを利用できます。
責任者の益田に、LYPプレミアムで提供したいユーザー体験、目指す世界観や今後の展望などを聞きました。
新卒で入社した証券会社では営業や海外駐在を経験したのち、コンサルティングファームにてIT関連企業のM&Aや再生、PMIなどを担当。自身の経験を活かしながらダイナミックにサービスを成長させ、ユーザーに届けたいという思いから、ヤフーに入社し超PayPay祭などの立ち上げを担当。現在はLYPプレミアムのプロジェクト責任者を務めている。
LYPプレミアムは、LINE、ヤフー、PayPayをはじめとするグループ各社の利便性をより高めることを目的に誕生したサービスです。LYPプレミアム会員は、既存のYahoo!プレミアムで提供していた特典に加えて、新たなにLINE特典を利用できるようになります。
LINE、Yahoo! JAPAN、PayPayユーザー数の総計は、日本の人口をカバーするほどの規模になっています。具体的には、LINEアプリの月間利用者は約9,600万人(2023年9月末時点)、PayPayの登録ユーザー数は約6,000万人以上(2023年10月時点)、Yahoo! JAPANの月間利用者数は約5,400万人以上(2023年6月末時点)と、日本に暮らすほとんどの方に、これらサービスのいずれかをご利用いただいていると言えます。
ただ、それらのサービスはばらばらにとらえられ、ユーザーが一つのサービスを利用していても、別のサービス利用につながりにくい、という課題がありました。たとえば、「LINEを使っているからYahoo!ショッピングやYahoo!検索も使ってみよう」「PayPayに登録しているからYahoo! JAPANのサービスも利用してみよう」というつながりが自然には生まれにくいのです。
私たちは、これらのサービス群が一体となることで、ユーザーにこれらのサービス群を1つの大きなグループととらえていただき、より便利に使っていただける環境にしたいと考えました。
これまでYahoo!プレミアムで提供してきた特典については、ご利用が少ないもの以外、基本的にすべて継続としています。具体的にはYahoo!ショッピングやYahoo!トラベルの特典、 PayPayのクーポンといった特典などです。
LYPプレミアムとして追加する特典の選定は、ユーザーが特に求めているものは何かを知ることから始まりました。11月のリリース時点では、LINEアプリ内のサービスで特に利用者が多いものや、ユーザーアンケートで重要性が高いとされたものから特典を選んでいます。
まず、1,200万種類以上の対象LINEスタンプが使い放題のサービス「LINEスタンプ プレミアム」をLYPプレミアム会員になると追加費用無しでご利用いただけます。次に、アルバム機能ではオリジナル画質の写真の保存や共有ができ、さらに動画もアルバムに保存できるようになり、大切な思い出をしっかり保存できます。
これらは今回ご提供している特典の一部ですが、今後もユーザー調査の結果も参考にしながら、これまで困っていたことを解決する特典にしていきたいと思っています。
LYPプレミアムを通じて、ユーザーが普段利用しているサービス体験をより良くすることを目指しています。特にこだわっているのは、ユーザーが「もっとこうなら便利なのに」と感じた瞬間に、その体験を最も簡単で理解しやすい形でご案内することです。
具体的には、ユーザーがアルバムを開いて「オリジナル画質の写真や動画をアップロードしたい」と思った時に「LYPプレミアム会員になると可能になります」というメッセージをお伝えします。また、ユーザーが何かしらの商品をYahoo!ショッピングで求めているときには「LYPプレミアム会員になると、この商品が1000円引になります」「PayPayポイントが増えてさらにお得になります」などのメッセージをお伝えします。
このように、ユーザーが達成したいことを実現できるよう「必要な内容を必要なタイミングで」お伝えしたいと考えています。
まず、やったことがないことに思い切って飛び込んでいくことを大切にしています。私たちは今、未知の領域、そしてシナジーが生まれる最前線に立っていると感じています。メンバーには「最前線で挑戦し続けることを楽しんでほしい」と伝えました。
「誰かが既にやっていることを改善、チューニング」ではなく、実績や前例がなくてもユーザー体験を重視して新しい仕組みやプロモーション方法を取り入れていくことを意識しています。LYPプレミアムでは、LINEとYahoo! JAPANのアカウント連携という新システムを活用した特典提供やアプリ内で課金ができる体験などさまざまな試みを採用しました。
また、異なるカルチャーを持っているLINEとヤフーが合併し、開発や企画の進め方、デザインの取り組み方など、それぞれの視点とアプローチを融合させて新サービスを作り上げたことも、多くのメンバーにとって前例のない大きな挑戦でした。
旧ヤフーのさまざまな横断プロジェクトでは、役割分担やタスクの境界が明確に設定されていました。これは効率的でもありますが、その一方で「他のサービスは他部門のもの」という、各部門が独立している雰囲気があり、意見を出しにくい状況もありました。
ですが、今回のLYPプレミアムや関連する旧LINEメンバーとのプロジェクトでは、お互いのサービスの改善点や懸念を積極的に意見交換・議論するスタイルだったので、最初は驚きました。特に印象的だったのは、メッセンジャーチームが私たちからの依頼がある前にLYPプレミアム向けの新機能の検討を始め、改善点をフィードバックしてくれたことです。
スタンプチームとも年末年始キャンペーンについてさまざまな議論をしました。最終的には、キャンペーン内容やプロモーションページのデザインにも多くの意見をもらえて、とてもよい「コラボレーション」になったと感じました。
上記は一例ですが、さまざまな考え方やこれまで実践してきた「型」が異なるため、しっかりすり合わせていく必要がありました。リリースまでの過程では、大げさではなく100回以上、かなり重要かつ困難なこともありました。
当たり前の事かもしれませんが、重要なのは双方の根底にある「想い」や「これまでどのようにサービスやユーザーと向き合ってきたか」を深く理解する事だと感じます。私自身もチームメンバーも、「異なる事は当然であり、掛け合わせにより新しい可能性が生まれるチャンス」ととらえることを心がけました。
LINEとヤフーは、違うカルチャーを持ってはいましたが、根底には共通する価値観として「ユーザーファースト」という考えがありました。
どうすればユーザーがより使いやすいか、喜んでいただける機能になっているか。それらの視点で話し合いを進めることで、最終的な目標は一致していると感じたことが多かったですね。
「ユーザーのためにいいサービスを作る」という思いは、2社が一緒にプロジェクトを進める原動力の1つだと感じています。
リリースまでの過程では困難なこともありましたが、「異なる価値観を併せて新しい価値を生み出していく」ことが今回の合併の意義であり、LYPプレミアムが引き続き目指していくものだと考えています。
今回の特典は、すでにLINEでLINEスタンプや写真や動画の共有などを使っていただいている多くのユーザーに喜んでいただけると思っています。ただ、その一方で、LINEをシンプルな通信手段として利用いただき、メールや電話と同じような通信インフラとしてLINEをとらえているユーザーも多くいらっしゃいます。
今後は、それらのユーザーにも喜んでいただける特典として、機種変更の際に多くの方が希望されるバックアップ機能、複数アカウントの作成などを検討していきます。
今回リリースしたLYPプレミアムは、主に今ご利用いただいているサービスが「より便利になる」「よりお得になる」といった「モア(More)」を体現した機能提供が中心です。これからは「オンリー(Only)」なユーザー体験、つまりLYPプレミアムだけで体験できる独自のベネフィットを提供することも重要だと考えています。
たとえば、各サブスクリプションサービスでは、特定の動画コンテンツを会員限定で提供し、その独自性がサービスの魅力を高めています。LYPプレミアムでも「この特典はLYPだけ」と感じていただけるオンリー体験を提供するための施策を積極的に実施していきます。
来年(2024年)は、「これは誰にお伝えしても絶対に喜んでいただける」と100%の自信でご提供できる魅力的な特典を増やしていく予定です。ぜひ、ご期待ください。
※ LINE特典とヤフー特典を利用するには、LINEとYahoo! JAPANのアカウント連携が必須となりますのでご注意ください。また、PayPayポイントやPayPayクーポンなどのPayPay特典を利用するにはYahoo! JAPANとPayPayアカウントの連携が必要になります。プレミアム会員特典は予告なく変更および一部が提供停止される場合があります。提供中の特典についてはLYPプレミアムのホームページでご確認ください。
※ LINEとYahoo! JAPANのアカウント連携を行わない場合でも「LYPプレミアム」の会員登録はでき、一部の特典の利用が可能です。また、本アカウント連携はいつでも解除できます。
取材日:2023年10月24日
※本記事の内容は取材日時点のものです