研究者として第一線で活躍を
続けるため選んだ。
研究者として第一線で活躍を続けるため選んだ。
池松 香(いけまつ かおり)2019年入社
LINEヤフー研究所の上席研究員として、ヒューマンコンピューターインタラクション(HCI)分野の研究に従事。
※本記事は、2022年に取材・掲載したものを一部修正して再掲載しています。サービス名称や所属は取材当時の内容です。
LINEヤフー研究所の上席研究員として、ヒューマンコンピューターインタラクション(HCI)分野の研究を行っています。端的に言えば、コンピューターをより快適かつ便利に利用するための取り組みです。なかでも、スマートフォンやタブレットPCなどのスマートデバイスにおける入出力インターフェースの研究が中心です。
最近の事例では、慶應義塾大学と東京工科大学との共同研究で、スマートフォンを「どの手で持ち、どの指で操作しているのか」を端末のフロントカメラから推定する手法を開発しました。
この手法を応用できれば、将来的にユーザーの利用状況に合わせて画面表示を最適化したり、操作ボタンやキーボード位置を自動で切り替えたりすることも可能になります。操作性の向上につながるだけでなく「端末の操作に起因する疾患の予防」に応用できる可能性があります。たとえば、長時間同じ姿勢でスマートフォンを操作するとアラートが表示される仕組みなどが考えられます。
また、研究者が大学や企業など複数の機関に雇用され、研究・開発および教育に従事できる「クロスアポイントメント制度」を活用し、東北大学電気通信研究所の助教を兼任しています。大学での勤務は年間の勤務時間の10%(月に2日程度)で、所属する研究室のプロジェクト遂行に携わっています。
発表した論文がトップカンファレンスに採択されたときは「この研究を続けてきて良かった」と、達成感を得られます。たとえばこれまで私が携わった論文で、ACM(Association for Computing Machinery)学会の分科会の1つであるSIGCHI(SIG Computer-Human Interaction)が主催するCHIやUIST、UbiComp(IMWUT)といった国際会議に採択されたものが複数件あります。LINEヤフー研究所で勤務するさまざまな利点がこの結果につながったと感じています。
具体的には、社内だけでなく複数の大学と協力して多彩なメンバーと研究を進められる点や、研究に必要な予算を自分で獲得する必要がなく、研究に専念できる点が大きいです。
また、論文執筆や学会参加などの研究活動がしっかりできるので、やりがいがあります。たとえば学会発表などの場で、自分たちが作ったシステムのデモをその分野の第一人者に体験してもらい、直接フィードバックをもらえます。また、トップカンファレンスの論文採択や、ヤフーのサービスへの貢献など、研究所内の評価指標が明確であり、成果を出したらその分評価される点にもやりがいを感じています。
常日頃からさまざまな機器に触れ、それを「人がどのように使っているか」、「そこにどんな機能や操作があれば便利か?」の視点に立つようにしています。
たとえば、新しいスマートフォンが発売されたら、いち早くショップに足を運び操作を体験します。新しいWebサービスも実際に利用し、パソコンやスマートフォンなど異なる端末で表示の変化を比較したりスマートウォッチなどほかの端末でも使えるかを確認したりしています。
また、人の動作特性や物理現象をインタラクションに生かすという観点から、仕事や日常生活で「観察」することを心がけています。身近な人がどのようにスマートデバイスやWebサービスを使っているか意識し「人がコンピューターをどう認識しているのか」を常に考えています。
実際に「スマートフォンの持ち方をカメラで推定する手法」の研究は、スマートフォンを持っている家族の瞳にその画面が映っていると気づいたことから生まれました。日常の小さな発見から、研究につながった好事例だと思います。
これからも研究者として、第一線で活躍していきたいです。具体的には、課題発見から実験、実装、論文執筆、学会発表に至るまでを自分が主導する主著論文を継続して世に出していくことが目標です。
現在、HCI分野に取り組んでいる国内の企業研究所は少ないです。そのなかでもユーザーデータを大量に保有していることがLINEヤフー研究所の強みです。私は人々の生活に密着した研究をしたいという思いがあるので、今後はそのデータを活用した研究にも取り組んでいきたいです。
LINEヤフーは社員の研究活動の支援にも積極的なため、情報科学分野に興味があり、博士後期課程への進学(フルタイムドクター)にはためらいがあるものの研究活動には未練がある方に、とても良い環境だと思います。
もし入社されたらぜひ、こうした環境を活用し、研究活動に挑戦してみてほしいです。