新しいギフト体験の創出で、
プロダクトの成長をも生み出
す。「LINEギフト」のプ
ロダクトデザインはビジョナ
リーであれ。
新しいギフト体験の創出で、プロダクトの成長をも生み出す。
「LINEギフト」のプロダクトデザインはビジョナリーであれ。
Oh Seulgi 2019年入社
Web制作会社を経て、プロダクトデザイナーとして中途でLINE(現 LINEヤフー)に中途入社。「LINEギフト」のプロダクトデザイナーとしてUI/UX改善やデザインディレクションに従事。
※この記事は、2024年3月に取材・掲載したものを一部修正して再掲載しています。サービス名称や所属は取材当時の内容です。
呉スルギです。前職では2年間Web制作会社で働き、一時韓国に戻った後、再び日本へ来る機会を得て、旧LINEに入社しました。前職でかなえられなかったのは、つくった後もユーザーの声を聞きながらフォローアップや改善を行っていくこと。自社サービスやプロダクトを持っている会社であれば数字なども見ながら改善していけるのではと考え、旧LINEが選択肢として浮かびあがりました。
もともと「LINE」をユーザーとしても使用していて、シンプルで見やすく整えられたデザインがとても使いやすく、好感を持っていました。面接で「LINEギフト」の事業内容を聞いて興味を持ったこともあり、そのまま入社して4年半ほどプロダクトデザイナーとして携わっています。
現在主に担当しているのは、「LINEギフト」のUI/UXの改善、サービスが重要と位置づけるバレンタインデーやクリスマスなどのイベント企画の各種LPやバナーのデザイン、ディレクション、その他、新規サービスのデザインなどです。自分自身でも手を動かしますが、チームメンバーがつくったデザインに対してフィードバックを行ったり、意見交換の場を設けたりするのも大切な業務です。
「LINEギフト」は2015年4月に開始し、立ち上げから9年ほどたちました。当初の累計ユーザー数※1は100万人にも満たない規模でしたが、私が入社した2019年には500万人、そして2022年6月にはその5倍の2500万人となり、近年は「LINE」のプロダクトのなかでも見たことないほどのスピードで成長を続けています。当然、同等の成長率で売上やGMV(Gross Merchandise Value/流通総額)にも貢献しており、オンラインギフト市場のなかでも第一想起をとれるまでになりました※2。その成長を生み出すため、改善や特集企画など幅広い業務に取り組んでいます。
※1 LINEギフトを贈った、もしくは経験があるユニークユーザー数
※2 LINEギフト調べ
手を動かしてデザインする時間や、進行中の改善や特集企画に関する定例会議のほか、チームメンバーがつくったデザインに対するディレクションやディスカッションなどにも意識的に時間を割くようにしています。
デザインに対してフィードバックを行うときは、私の意見が唯一の正解ではなく、「私にはこう見えるけど、みんなはどう思う?」と意見を聞いて話し合うことを大切にしています。まずは私自身がフレンドリーなリーダーであるように、聞きにくいことや悩みなどなんでも相談しやすい雰囲気づくりを心がけています。
ただディレクションに関しては、いまだに悩むことも多いですね。みんなで一緒に「LINEギフト」をつくっていくためには、立場に関係なくそれぞれがプロダクトのことを理解して取り組む必要があります。まだまだ手探りではありますが、ヒントを出しつつ自ら考えることを促してみるなど試行錯誤しています。
ひとつは「数字」です。「LINEギフト」はギフトを贈る体験をともなうエモーショナルなプロダクトですし、誰かの喜びのためのデザインである側面が多分にありますが、より良いプロダクトデザインのためには常に数字を意識することが重要だと考えています。たとえば、過去の特集ページのCTRの結果をふまえて、別のプロジェクトでデザイナー側からABテストを提案する機会も少なくありません。これまでの施策で得た数字を頭の片隅にいれておいて、さまざまな企画やデザインに生かしています。
ふたつめが「デザイナーとして守るべきものを守る」ことです。ワイヤーフレームに情報が盛り込まれすぎているときも、私たちデザイナーはそこから情報を削ぎ落としていって、デザインとして表現しなければいけません。チームでも「ワイヤー通りにはしない」とよく言っています。
これは「LINEギフト」に限らず、LINEブランドのプロダクト全体に共通するデザイン哲学でもあり、本質を伝えるためにどうデザインとしてアプローチすべきかを常に考えるところに「らしさ」があります。ユーザーのペルソナが頭の中に入っていれば、本当に伝えたいメッセージだけにフォーカスできますし、本質が何かを見定めることができれば、装飾する要素は削ぎ落すことができます。そういったLINEブランドのデザインDNAを先輩や上長からも受け継いでいますし、他部署のメンバーもデザイナーにリスペクトを持ってくれているので、お互いに信頼しあいながらものづくりに取り組む良い関係性ができているなと感じます。
最後にもうひとつ、強く意識しているのが「ビジョナリーにプロダクトをアップデートしていくこと」です。プロダクトを非連続的に成長させていくには、私たちデザイナーがプロダクトの未来をビジョナリーに形づくっていく必要があると考えていて、私自身はそれを「先行するデザイン」と呼んでいます。
これまでには「先行投資ってデザイナーがするものなの?」と言われることもあり、おりてきた案件をこなしていくという考え方が一部であったように思います。でも私自身は自ら改善点を探し、提案書とデザイン案をつくって企画チームに持っていくような動き方をずっとしてきましたし、それが当たり前だと思っています。企画、デザイン、開発、QAと進むのが一般的なプロジェクトの流れではありますが、デザインが起点となって始まるものがあったっていい。デザインチームが「LINEギフト」を引っ張っていく気概を持って、これからも変わらず提案し続けていきたいです。
2020年12月のクリスマス特集企画のプロジェクトです。これまでにないほど大きな目標が掲げられたときには、「どうしよう…!」と焦りました(笑)。前年12月の売上実績比較で7倍の目標ですし、もちろんこれまでに実績のない金額。しかも企画としてはできることが限られていたので、あとはデザインでどうにかしなければならないのに、デザイナーもほぼ自分ひとり…と、本当に大変なプロジェクトでした。
このとき実施した企画は、12月1日から25日まで連続で公開していくアドベントカレンダーを用いたアイデアです。キャンペーンLPはもちろん、掲載する25枚のイラストのディレクションが必要だったため、キャラクターや場面の設定をすべて考えてオーダーし、イラストレーターの方と一緒につくり上げていきました。ちなみにいま「LINEギフト」によく登場するサンタクロースのキャラクターは、この企画がきっかけで誕生したものです。実物のラッピング用ギフトBOXもつくるなど、本当に目が回るほど忙しかったのを覚えています。
結果的に目標にはわずかに届かなかったのですが、「やってみよう!」というポジティブなマインドを持ったメンバーたちと共に、実現不可能と思われた目標に挑戦できたことはとても印象に残っています。同時に、会社(旧LINE時代)として最も「WOW」だったプロジェクトに与えられる「Global WOW Project Awards」も獲得でき、「LINEギフト」にとってもエポックメイキングな取り組みとして表彰してもらえたことも嬉しかったです。
そして重要なのは、このとき取り組んだことがいまにつながる資産になっている点です。このときにつくったものをベースに求めるクリエイティブが実現でき、JSONやCMSで簡単に実装できるフレームワークをつくったことで、特集などの企画が立ち上がってから早ければ1週間で形にできるようになりました。これらを活用することで、クリスマスや母の日など既存のイベント企画がある繁忙期はもちろん、閑散期にも定期的に記念日イベントを仕掛けられるようになったことが、現在の「LINEギフト」の爆発的な伸びを支えています。
私個人としても、このとき「これで本当に完成でいいのか?」「このクオリティーで大丈夫なのか?」と悩みながら取り組んだことで、ディレクションのスキルを身につけられたと感じています。加えて、企画段階から前のめりに取り組んだことでデザイナーという職種の壁を壊すことができたのも、現在につながる良い経験になったと感じています。
「LINEギフト」のプロダクトデザイナーは、ユーザーに対してギフト体験や思い出を共につくりだすという貴重な経験ができる仕事です。UI/UXはもちろん、グラフィックデザインをとおした相手を思う気持ちを伝えることも大切ですし、さらには企画にも携われる、ある意味欲張りなポジションだと感じています。
会社としても、FigmaやAfter Effectsなどのツールの勉強会があるなどインプットを支援してくれる環境があります。またリーダー職に関する研修も用意されていたり、リーダーやマネージャーという仕事に対して理解を深める時間を上長が設けてくれたり、自信を持ってリーダーとしてふるまえるようなサポートも充実しています。
そして何より「私、『LINEギフト』をやっています!」と言えることが、私がプロダクトデザイナーを担当していて最も嬉しいことですね。周囲に使っている人がいると聞けば「使いにくいところはなかったですか?」とすぐリサーチを始めてしまうほど、愛情を持って取り組んでいます。
「LINEギフト」はイベント企画も多いですし、それが売上にも直結するので、それらを魅力的に魅せるグラフィックデザインのスキルの重要度は高いです。ただし現在はグラフィックデザインを担っているコンテンツデザインチームに委ねることも多いので、グラフィックだけやりたい方ではなくUI/UXとグラフィックのどちらも好きで、双方のスキルをバランスよく持っている方を求めています。
またLINEヤフーは、「『WOW』なライフプラットフォームを創り、日常に『!』を届ける。」をミッションにしていますがその「WOW」や「!」を持っている方、という点も大切なポイントです。
「WOW」「!」という言葉はいろいろな解釈ができますが、総じてプロアクティブでポジティブ、そしてユーザーファーストな視点で物事を考えて行動できる方から生まれると考えています。デザインチームで言えば、ひとつの改善に対してピクセル単位で異なる何十案ものデザインをつくって検証もするので、そういったことにも諦めずに取り組める方だと良いですね。
そして最も重要なのは、デザイナーであることに誇りを持っていることでしょうか。その誇りの源泉に、社会を良くすること、社会課題を解決すること、プロダクトを通じて人に喜びを還元していくことなどへの使命感のようなマインドセットがある方。ぜひ「LINEギフト」はもちろん、LINEヤフーのプロダクトに愛情と情熱を注いでいただける方とご一緒できたら嬉しいです。
「LINEギフト」は立ち上がってから10年近く経っており、古いデザインが残っている部分に関してはアップデートが必要だと考えています。イベント企画への対応やGMVに寄与する改善の優先度が高いなかでも、そういった土台となる部分をより使いやすく、わかりやすくしていきたいです。
例として、マイページの改善は最近でも3回ほど行っており、現在も進行中です。「有効期限が切れてしまいギフトが使えなかった」という声も多いため、現状できていないギフトの残り有効期限に応じたプッシュ通知などに関しても、早く対応したいと考えています。ギフトが利用されなくても売上には影響はないものの、私たちとしてはユーザーの使いやすさやギフト体験を何よりも優先したい。そういったことの積み重ねにより、ビジョンも浸透していくものだと考えています。
以前からさまざまな企画や改善を考えて提案をしていますが、どうしてもシステムやリソースなどの兼ね合いから、そのときは取り組めなかったものが多数あります。でもLINEとヤフーの合併により、より多くの技術者の力やリソースを借りられる可能性が生まれました。今後はより一層幅広い方々との連携を通じて、いままでの「LINEギフト」で実現できていなかったユーザー体験をつくり、届けていきたいです。
「LINEギフト」の価値は、新しいギフト文化をつくることだと感じています。先日「猫の日特集」をやってみたのですが、「猫好きの友達にこれを贈ってみよう!」「あの子、猫飼ってたからこれ使うんじゃないかな?」などのマインドと行動が生まれ、新しいギフトシーンが生まれたように感じました。それは「誰かのことを思ってギフトを贈る体験」であり、ギフトを贈る側も贈られる側もそれぞれが喜びを感じられるすてきな体験。そんな体験をつくれるプロダクトを、ぜひ一緒につくっていけたらと思います。