広告配信からセキュリティへ
。サービスの信頼を支えるプ
ラットフォーム構築に挑む
広告配信からセキュリティへ。
サービスの信頼を支えるプラットフォーム構築に挑む
堀本 悠介(ほりもと ゆうすけ)2015年入社
広告配信システムのソフトウェア開発を経て、ヤフー(現LINEヤフー)へ中途入社。「Yahoo!広告 ディスプレイ広告」のバックエンドエンジニアを担当後、現在はセキュリティ部署で社内向け共通プラットフォームの開発・運用に従事。
※本記事は2025年8月に取材したものです。サービス名称や所属は取材当時の内容です。
2015年にヤフーへ中途入社しました、堀本悠介です。もともと大学院では数理物理学を専攻していました。学生時代はITとは全く関係のない分野にいたのですが、趣味でゲームを作ったことがきっかけでプログラミングに興味を持ちました。
前職では、広告配信を支援するパッケージソフトの開発を担当しました。2年半ほど勤務しましたが、より大規模なシステムを扱いたい思いが強くなったんです。ちょうどその頃、広告配信のバックエンドエンジニアを募集していたヤフーに応募しました。
入社後に携わったのは「Yahoo!広告 ディスプレイ広告」です。「Yahoo!ニュース」などのメディア面から寄せられる広告リクエストに対し、最適な広告を返す仕組みを開発していました。トラフィックは1秒間に数十万リクエスト規模で、最初にその数字を見たときは本当に驚きました。
以前は比較的小規模なシステムを扱っていたため、ある程度ざっくりとした設計でも問題が顕在化しないこともありました。しかし、大規模システムではそうはいきません。より厳密で堅牢な設計が求められるため、エンジニアとしての成長を強く実感することができました。
広告配信の業務を続けるなかで、不正な行動をするユーザー、いわゆるアビューザーの存在を目にするようになりました。広告配信において不正対策はビジネスの根幹に関わります。正常に運用されていることを監視する仕組みや、セキュリティの重要性を強く意識するようになり、この分野におもしろさを感じました。そこで社内公募制度「LINEヤフー Job Challenge」に応募し、セキュリティ関連のプラットフォームを扱う部署へ異動して、現在に至ります。
主に、セキュリティ関連の社内向け共通プラットフォーム「ANTISM」(アンチズム)の機能開発や運用を担当しています。「ANTISM」とは、LINEヤフーの各種サービスが簡単にTraffic abuse(大量アクセスや不正利用など)への対策を行えるようにした共通基盤です。
LINEヤフーでは数多くのサービスを展開していますが、それぞれのサービスが独自にセキュリティ対策を行うのは難しく、コストもかかります。その課題を解決するために、横断的かつ効率的に不正リクエストへの対策を実施できるよう支援する仕組みを整えています。
また、「ANTISM」は全社のプロキシサーバのプラグインとして動作しているため、これらとの関連も深いチームとなっています。
大きく3つあります。まず1つ目は「仕事の本質的な目的は何か」をしっかり理解したうえで取り組むことです。これがないと、受け身の仕事になったり、最終的に目指していたものと異なる成果物ができて手戻りが発生したりします。逆に目的を正しく理解していれば、当初の想定以上に良い方法を見つけられることもあります。
2つ目は「やるべきことに注力し、やらなくてもよいことはやらない」ことです。私はもともと、興味を持ったことに幅広く手を出したくなる性格でした。過去には、自分のキャパシティを超えて業務を抱え込み、ミスが増えてしまったことがあります。その反省から、いまはタスクの優先順位を見極め、必要なことに集中するよう心がけています。
3つ目は「その領域の知見を持つ人と協力する」ことです。自分ですべてをこなせれば理想的ですが、時間やスキルには限界があります。幸い、LINEヤフーには優秀な人が多く、それぞれの専門領域に精通している方がたくさんいます。そうした人たちの知識や経験を借りれば、自分ひとりで取り組むよりも、はるかに大きな成果を出せます。そのため、積極的に周囲の協力を仰ぎながら仕事を進めるようにしています。
広告配信のバックエンドエンジニアとしての経験が、特に印象に残っています。
広告配信では、「最適なユーザーに最適な広告を届ける」ことが重要です。そのため、日々さまざまなアルゴリズムやモデルを導入して試験をくり返していました。ただし、アルゴリズムやモデルを高度化すれば精度は向上しますが、実際のシステムに組み込むと処理時間の制約を超えてしまい、運用に耐えられないケースが出てきます。この「精度と処理速度のバランス」をどう取るかが、非常に難しいポイントでした。
新しいパターンの実装を試す際は、実際のトラフィックの一部を使って検証しながら、その微妙なラインを探る必要がありました。大規模システムだからこそ直面する難しさであり、同時にこの経験がエンジニアとして大きく成長させてくれました。
制約の多い状況のなかで、適切な内容を短時間で応答できるようシステムの設計・実装を行う。その過程で培ったスキルは、他ではなかなか得られないものであり、今振り返っても貴重な機会だったと感じています。
これまでは、「システムの一部分を改修すること」が主な業務でした。そのため、より大規模なプロジェクトを担う際の進め方をイメージできず、システムを作り出してから世に出すまでにどのようなプロセスを踏むべきか、想像もつきませんでした。
しかし、LINEヤフーでの経験を通じて、要件定義から設計・開発、リリース、運用に至るまで、システム開発の一連の流れを具体的にイメージできるようになりました。それが可能になったのは、エンジニアとして一段階ステップアップできた証だと感じています。
また、そもそも「自社サービスのためのプラットフォーム開発」を手がける機会自体、それほど多くありません。LINEヤフーでは不正対策だけでなく、それを支えるプラットフォームや仕組みづくりまで一貫して担うことができます。
さらに、サービスの数や種類が非常に多く、それぞれの特性に応じたセキュリティ対策が求められます。そのため、プラットフォームを運用していると「このサービスではこうした不正が多い」といった特徴が見えてきます。サービスごとの特性や適切な防御手段を横断的に学べるのは、他社ではなかなか得られない経験です。
まずは、担当している「ANTISM」の周辺に蓄積されているデータを有効活用することが直近の目標です。現状では十分に生かしきれていないデータも多いため、それらを活用することでプラットフォームとしてさらに進化させられるよう、試行錯誤を続けています。
また、現在の私の役割は不正対策のための“プラットフォーム”を提供することが中心であり、不正対策そのものには深く関わってはいません。ですが、この業務に携わり続けるうちに、不正の手口や攻撃者の行動パターンに接する機会も増えてきたため、最近は不正対策そのものにも関心を持つようになりました。
これまでの経験を生かしながら、そうした領域にも挑戦していきたいです。現状はトラフィックベースの不正対策が中心ですが、今後はより広い意味でのセキュリティ領域に携わり、視野を広げていきたいと考えています。
生成AIの台頭により、世の中の変化がこれまで以上に速くなっています。LINEヤフーでも、全社的に生成AIの活用に取り組んでいます。
生成AIを活用すれば、さまざまなものを容易に作り出せるようになりました。その一方で、世間ではフェイクニュースのような問題もすでに発生しており、今後は「正しい情報をユーザーに届ける」ことがますます重要になるはずです。LINEヤフーが「ユーザーを第一に考え、正しい情報を扱う企業であり続ける」ことを期待していますし、そのために自分の力を役立てていきたいと考えています。
LINEヤフーには多様なサービスがあり、挑戦できる領域も幅広く存在しています。優秀なメンバーが集まっており、日々大きな刺激を受けられる環境です。技術的なスキルはもちろん重要ですが、それは入社後に十分身につけられます。それ以上に「こんな挑戦をしてみたい」という強い思いを持っていることが大切です。そうした意欲のある方には、ぜひ積極的に応募を検討していただきたいです。
新しく入ってくる方の視点やアイデアは、会社にとっても新しい風となるはずです。みなさんと一緒に働ける日を、心から楽しみにしています。