三澤 明寛

engineer

低レイヤーの技術に魅せられ
、OSの専門家に。大規模シ
ステムの根幹を担う

低レイヤーの技術に魅せられ、OSの専門家に。
大規模システムの根幹を担う

三澤 明寛さんのインタビュー記事のメイン画像です。三澤 明寛さんが正面を向いて写っています。

三澤 明寛(みさわ あきひろ)2019年入社
2019年にヤフー(現 LINEヤフー)に新卒入社。入社以来、オンプレミスのインフラ管理部門にて、社内のサーバーで利用されるOS(Operating System)の保守運用や、運用効率化のための内製ツールの開発に従事。

※本記事は2025年8月に取材したものです。サービス名称や所属は取材当時の内容です。

自己紹介をお願いします。

2019年に新卒でヤフー(現 LINEヤフー)に入社した三澤明寛です。大学院では、計算機資源の動的再構成機能を持つベアメタルクラウドにおける計算資源の割り当てロジックを研究していました。通常、サーバーはCPUやメモリといったハードウェア構成が物理的に固定されています。もし、それらを動的に変更できる環境があったなら、どうすればその環境上でアプリケーションや計算を効率的に実行できるかを探究するという研究内容です。 

多くのエンジニアは「動くアプリをつくりたい」と考える方が多いと思います。しかし私は、サーバーやOSといった低レイヤーの技術に強く関心を持ちました。長期にわたり使われ続ける基盤技術や、成熟した技術に魅力を感じるタイプだったんです。 

そのため、就職活動では自社でサーバーなどのインフラを管理している企業を志望し、ヤフー(現 LINEヤフー)に入社しました。世の中を便利にするシステムを開発している方々を、下支えしたいと考えたからです。 

三澤 明寛さんのインタビュー記事の写真です。

現在担当している主な業務内容や具体的な流れについて教えてください。

私の主な業務は、LINEヤフーの各種サーバーにインストールされているOSの管理です。管理といっても、採用するOSの選定や初期設定の設計から、バージョンごとのライフサイクル管理まで幅広く含みます。 

OSを物理サーバーにインストールする場合、もっともシンプルな方法はインストールメディアを用いることですが、大規模な台数を管理する環境では現実的ではありません。そこで、リモートから効率的にインストールできる仕組みを開発し、あらかじめ必要な設定を施した状態でOSを提供できるようにしています。 

利用しているディストリビューションは主にRHEL(Red Hat Enterprise Linux)系です。Fedoraなどのアップストリームをそのまま使うと安定性に欠ける部分があるため、RHELによって調整された安定版を基盤とする方が妥当だと判断しています。具体的には、CentOSやRocky Linuxを採用しています。クリティカルなサービスや重要な情報を扱うLINEヤフーの環境では、安定性が高く、知見が豊富に蓄積されたOSを選ぶことが最適だと考えています。 

OS管理には、セキュリティやパフォーマンスの設定に加え、OSや周辺ツールのアップデートに追従して調整する役割も含まれます。セキュリティ面では、rootでのSSHログイン禁止など基本的なルールを組み込むほか、各サーバーにエージェントを導入し、インストール済みソフトウェアや設定を含むサーバー情報を収集・可視化しています。パフォーマンス面では、単なる設定適用にとどまらず、アプリ開発者から寄せられる相談に応じて調査・検証を行うこともあります。 

1日のスケジュール例

  • 10:30
    勤務開始
  • 11:00
    1日のタスク整理・技術領域以外の仕事
  • 12:00
    ランチ
  • 13:00
    技術調査
  • 15:00
    チームメンバーや他部署とのミーティング
  • 16:00
    開発
  • 19:30
    勤務終了

私の1日の流れで特徴的なのは、技術調査の時間を設けていることです。サーバーやOSを専門とするチームといっても、すべての知識を把握しているわけではありません。そのため、業務の中で未知の要素に直面した場合や、先を見越して情報収集したい場合には、各種Webサイトを調べています。 

よく参考にしているのは「LWN.net」「Phoronix」「Linux Kernel Newbies」といったサイトです。これらはLinuxカーネルやオープンソースの最新動向を扱っており、「LWN.net」は開発者向けの詳細な解説記事、「Phoronix」はベンチマークやニュース速報、「Linux Kernel Newbies」は初心者向けの解説が特徴です。そこから得た情報をもとに、「新しいカーネルではこうした変更があるので今後の設定に生かせそうだ」とか「この仕様は事前に関係者へ共有した方がいい」といった判断につなげています。 

また、チーム内や他部署とのミーティングも頻繁に行います。OSの設定や提供しているツールは「利用者ありき」で設計されるものです。サーバーを調達・選定するチームやクラウド基盤を担当するチームなどからさまざまな要望が寄せられるため、その実現方法を議論することも、私たちの重要な仕事です。 

三澤 明寛さんのインタビュー記事の写真です。

仕事を進めるうえで、意識していることはなんですか。

「調査の深さ」と「レスポンスの速さ」のバランスを取ることです。私の場合、何かを調べ始めると「あれも知っておいた方がいい」「これも確認しておこう」と、どんどん深掘りしてしまう癖があります。 

ただ、リーダーや同僚に判断を仰ぐときに、そこまで詳細な情報は必要ないケースが多いです。判断に必要な範囲を見極めて「ここまで調べれば十分」というところで区切りをつけ、速やかに返答するよう心がけています。そうしないと、いつまでも話が進まなくなってしまいますから。チームで仕事を進める上では、このバランス感覚は重要だと感じています。 

特に印象に残っている仕事を教えてください。

大きく2つあります。1つ目は、新人の頃に任せてもらった原因調査です。クラウド基盤を担当するチームから「Linuxカーネルがうまく動かない」という相談を受けました。具体的には、死活監視の仕組みが突然ハングアップするという現象が発生していました。 

当初は誰も原因の見当がつかない状況からのスタートでしたが、カーネルのコードを読み解き、観測ツールを使いながら可能性を一つひとつ検証していきました。最終的にはRed Hatの技術サポートに問い合わせることになりましたが、調査の過程で得られた知見やサポートからの回答を整理し、クラウドチームに原因と解決策を報告しました。調査は大変でしたが、多くの学びがあり印象に残っています。 

この経験を通じて得られたのは、原因調査に必要なツールの使い方や、Linuxカーネルのソースコードを読み解く力です。より広く捉えれば「調査力」や「読解力」が鍛えられました。一般的なソフトウェアエンジニアの仕事ではカーネルのコードまで追うことはあまりないため、この職種ならではの貴重な経験だったと感じています。 

2つ目は、インフラ管理で利用しているエージェントツールに関する取り組みです。このエージェントは各サーバーにインストールし、パッケージ情報などを収集する仕組みです。しかし、セキュリティ上の要件で「特定サーバー群のネットワークを分離しなければならない」という制約があり、通常のネットワーク経由では通信できませんでした。そのため、情報をやり取りするための専用ネットワークを新たに構築する必要がありました。 

私はこのプロジェクトで調整役を担い、各チームの要望をヒアリングして整理し、合意形成を進めながら、要件に合うネットワークを設計・実装しました。インフラに関わる複数のチームと協力して進めた仕事であり、最終的に「みんなが便利に使える仕組み」を実現できたことが大きな達成感につながりました。 

この経験を通じて学んだのは「情報整理力」です。要望を具体的に言語化し、相手にとって理解しやすい形で情報をまとめることの重要性を実感しました。 

三澤 明寛さんのインタビュー記事の写真です。

入社して良かった・成長したと感じることはなんですか。

「世の中を便利にしているサービスを支えている」という実感を得られることです。LINEヤフーの各種サービスは、私自身も日常的に利用していますし、身近な人たちも当たり前のように使っています。私はOSを扱っているため、直接的ではなく間接的にではありますが、人々の生活を便利にする仕組みに関われていることに大きなやりがいを感じます。 

成長できる環境という点では、やはり大規模なインフラを持っていることが大きいですね。たとえば、自動化しなければ運用が回らない規模のサーバー台数や、サーバーのパフォーマンスが出なければサービス全体に影響が及ぶような状況に、日常的に直面します。 

そうした前提のもと、エンジニア同士で「インフラ構築・運用の仕組みをどう改善するか」「大規模トラフィックに耐えられる仕組みをどうつくるか」といった会話が自然に交わされるのは、この会社ならではだと思います。大量のトラフィックや膨大なユーザー数を前提に考えるからこそ直面する課題が多くあり、その解決を通じて成長できていると感じます。 

三澤 明寛さんのインタビュー記事の写真です。

今後の目標を教えてください。

個人的には、より多くを学び続けて「Linuxカーネルに詳しいエンジニア」になることを目指しています。チーム内でも「いつかLinuxカーネルにコントリビューションできたら」という雰囲気はありますが、実現はなかなか難しいのが現状です。というのも、私たちはアップストリームのカーネルを直接利用しているわけではなく、安定化されたディストリビューションを使っているため、良い意味で「枯れた」状態にあります。問題が起こりにくいぶん、コントリビューションの機会も少ないです。とはいえ、個人的には希望を持ち続けており、将来的には挑戦していきたいと考えています。 

最後にメッセージを。

インフラエンジニアという職種の中でも大規模なインフラを持つ企業で、OSを専門に扱う仕事に携われる機会は多くはないと思います。 LINEヤフーにはその貴重な機会がありますので、興味のある方はぜひ応募してください。 

三澤 明寛さんのインタビュー記事の写真です。三澤さんが正面を向いて写っています。

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