プロダクトだけじゃなくプロ
ジェクトの品質も守る 全体
を俯瞰してチームを支えるQ
Aエンジニアの視点
プロダクトだけじゃなくプロジェクトの品質も守る
全体を俯瞰してチームを支えるQAエンジニアの視点
戸田 千晴(とだ ちはる)2024年入社
LINE Fukuoka(現LINEヤフーコミュニケーションズ)を経て、2024年よりLINEヤフーに在籍。LIFFやLINEミニアプリプラットフォームのQAエンジニアとして、プロセス改善や生成AIの活用を通じたプロダクトの品質向上に取り組んでいる。
※本記事は2025年7月に取材したものです。サービス名称や所属は取材当時の内容です。
QAエンジニアの戸田 千晴です。「LINE Front-end Framework(以下、LIFF)」 というWebアプリのプラットフォームと、その上で実行される「LINEミニアプリ」の品質向上に取り組んでいます。
人文学部出身で、前職は飲食業界でした。IT業界で働いてみたいという漠然とした思いがあり、福岡にLINE Fukuokaのオフィスができると聞いて、「ここで働いてみたい」と思ったのが応募のきっかけです。当時、「LINE」は単なるメッセンジャーアプリにとどまらず、「LINEスタンプ」や「LINE NEWS」など日常生活全般をカバーする生活プラットフォームへと進化している段階で、日常の“あたりまえ”を創り変える挑戦に大きな可能性と魅力を感じていました。自身もそのサービスづくりに携わりたいと思い、2014年にLINE Fukuokaへ入社しました。
LINE Fukuoka へ入社後、テスターとしてQA業務のキャリアをスタートしました。最初はテスト実行がメインでしたが、経験を積むうちにテストリードやテスト計画など上流工程にも関わるようになりました。約10年間LINE Fukuokaで経験を積み、2024年に組織再編でLINEヤフーへ転籍しました。業務内容は大きく変わらず、それまでの経験を生かして働いています。
「LIFF」と「LINEミニアプリ」プラットフォームのテスト工程全般を担当しています。テスト計画から実行まではもちろん、開発チームとの連携やプロセス改善、テストの自動化や生成AI活用といった、業務全体を円滑に進めるための仕組みづくりも行っています。
テスト工程では、リーダーとして全体のテスト計画を立て、福岡のテスターメンバーと協力して進めています。福岡のメンバーが実施した成果物のレビューを行うほか、自分でテストを実行することもあります。
開発メンバーとはテスト計画の段階から連携し、情報を早めにキャッチアップすることで、仕様の認識齟齬を防ぐようにしています。仕様を見直したり、品質向上のためのプロセス改善について議論したりする機会も多いですね。
生成AIの活用も始まっていて、全社的な施策とは別に、「LIFF」に最適化された形での活用方法を個人的にも模索しているところです。
普段は名古屋からリモートで働きつつ、出社日はプロジェクトの都合に合わせて東京のオフィスで働いています。チームは3名で担当プロジェクトは違いますが、定例会議でナレッジを共有しています。
QAやテスターというと「テストをする人でしょ」と思われがちですが、私はプロダクトの品質を守るだけではなく、プロジェクト全体がスムーズに進行できる環境づくり、つまり「プロジェクト品質」も意識しています。
具体的には仕様の曖昧さを早い段階で指摘したり、関係者の認識のずれを整理したりして、手戻りや認識違いによる遅延を防いでいます。テスト工程の段階で仕様についての質問が多くなるとコミュニケーションコストも増えますし、調整も大変になってしまいますから。品質というのは、テストによって作られるのではなく、開発プロセス全体から作られるものなので、全体の動きを見ながら支援する姿勢を大切にしています。なかなか理想通りに進めるのは難しいですが、プロジェクトの品質を高めるためのプロセス改善にも介入できるのは、QAエンジニアの仕事の面白さですね。
2024年にリリースした共通プロフィール機能対応が印象に残っています。アカウントセンターで管理されているプロフィール情報を「LIFF」でも活用できるようにする仕組みで、「LIFF」とアカウントセンターの共同開発でした。「LIFF」側では、アカウントセンターに登録されたプロフィール情報をAPIで取得し、「LINEミニアプリ」上のプロフィール入力欄に自動反映させるような連携機能も追加で開発されました。
この機能は、元々あった「LINE Profile+」に加えて、 全社的なコア認証プラットフォームやチャネルゲートウェイなど複数のコンポーネントをまたぐ開発で、幅広い知識や技術前提の理解が必要でした。関係するチームも多く、最初は誰に何を確認すればよいかもわからない状態だったため、調整や意思疎通にはかなり苦労しましたね。「LIFF」の開発は通常2週間サイクルのところ、これはトータルで3カ月近くかかり、大変でしたが、状況整理や進行サポートを通じて、チームの動きを少しでも前に進められたと感じる場面もあり、多くを学ぶことができました。
この案件では、テスト直前につなぎ込みの開発不備でプロダクトが動かないという事態も発生してしまい、疎通確認のタイミングをもっと早めておくべきだったという反省もありました。以降、類似のプロジェクトでは各コンポーネントの開発状況を早めに把握し、疎通確認のスケジュールを早めに組み込むようにしています。
今いるLIFFプロジェクトに配属されてからは、特に強く成長を感じます。一般的なサービスとは違いプラットフォームなので、構造や仕組み、運用前提なども含めた広い理解が必要になります。習得に時間はかかりましたが、手探りで少しずつ知識を積み上げ、今ではプロジェクト全体を見渡して判断できる場面が増えてきました。
知識のキャッチアップは基本的に業務のなかで学び、足りない部分は独学で補ってきました。本を読んで、実務に転用できそうなところは実践してみる、ということを繰り返してきましたね。
多くのユーザーに利用されるプラットフォームに携われることです。影響力の大きいプロダクトなので、自分の意見や提案が仕様に取り入れられると、大きなやりがいを感じます。難易度は高いものの、周囲の開発メンバーは本当に優秀な人ばかりで、技術的な知見を惜しみなく共有してくれたり、わからないことを丁寧に教えてくれたりするので、大きな学びにつながっています。
常にスキルアップが求められる世界ですが、挑戦は好きなので、IT業界を選んだのは間違いではありませんでした。なかでもLINEヤフーは大規模なプロダクトに関われる会社ですし、チャレンジしていける土壌もあるので入社してよかったです。
業務では生成AIを活用した業務効率化を進めたいと思っています。今は個人レベルで試していますが、テスト計画やテストケースの作成において、チーム全体が同じ品質のアウトプットを出せるような、再現性のある形で日常業務に組み込んでいきたいです。
キャリアについては、QAエンジニアという枠を超えて、プロジェクト全体に貢献できる存在を目指しています。たとえば、開発プロセス全体を見ながら品質課題を見つけて改善提案や仕組みづくりを指導できる「品質コンサルタント」や、サービスの価値を形づくる「プロダクトマネージャー」といったポジションにも関心があります。QAエンジニアは俯瞰的な視点を持てるポジションなので、キャリアパスは多岐にわたると思っています。まずは担当プロジェクトに取り組みながら、少しずつ関わる領域を広げていきたいです。
合併を経て、QA組織としてもお互いのカルチャーやナレッジを融合し、新しい品質文化を築いていくフェーズにあります。旧LINEが内製文化で大切にしてきた密なコミュニケーションやスピード感を生かしつつ、より効率的で安定的な品質保証体制を作っていけるのではないかと期待しています。
担当している「LINEミニアプリ」は、これまで以上にユーザーの暮らしに自然と溶け込む体験を提供できるようになるでしょう。私自身は飲食店での注文や美容系の予約で使っていますが、今後さらに利用シーンが広がるはずです。そうした進化に関われることは光栄ですし、やるべきことが多いからこそ、大きなやりがいとワクワクを感じています。
LINEヤフーは多様な働き方を尊重してくれる会社で、手を挙げればチャンスをつかめる場面が多くあります。合併を経た今はまだ整備途上の部分もありますが、だからこそ自分の工夫や提案が生かされる機会がたくさんあって、日々の業務の中に成長や挑戦の面白さが詰まっています。そうした変化や可能性にワクワクしながら取り組める方と、一緒に働けることを楽しみにしています。