こんにちは、Yahoo! JAPANビッグデータレポートです。
2020年11月1日に「大阪市廃止・特別区設置住民投票」、いわゆる大阪都構想の賛否を問う住民投票が行われ、以下のとおり僅差で否決されました。
結果を見たところ、北部・内陸部と南部・沿岸部で賛否の傾向が分かれています。まるで米国の大統領選のようです。今回はこの件についてビッグデータで検証していきます。なお、地図上の太線は、特別区案の4区を表しています。
まずは基本情報として「大阪都構想」に対する全国的な注目度の比較です(図2)。大阪府が突出して高く、奈良、兵庫、京都など近隣の大阪と関連の深いエリアが続きます。近畿圏以外ではなぜか島根県の注目度が高めでした。なお、近畿地方に含められることも多い三重県の注目度は低く、大阪との関連度は低いことが見てとれます。
図3は大阪府における注目度の日別推移です。最終日の到達点は前回2015年投票時に及ばなかったようですが、告示日前後での伸長率では前回投票時を上回りました。
日本維新の会(以下、維新)への関心度合いはどうでしょうか(図4)。大阪市の主要政党に関する相対的注目度の変化を見たところ、告示日以降に維新の注目度が高まっていますが、おおむねそう高くはなかったようです。
続いて区別の投票結果と都構想および維新への注目度を確認してみましょう。図5は賛成票率の降順に並んでいます。北区から東淀川区までの10区が賛成多数、東成区から港区までの14区が反対多数です。賛成多数のエリアでは都構想への関心自体が薄く、投票率も市平均より低めの傾向が見られました。同じデータを地図で表してみると(図6)、賛成多数だった北部・内陸部では投票率と都構想の注目度が薄めであったことがわかります。なお、維新の相対的注目度は北部と沿岸部で薄めの傾向があったようです。
性年代別ではどうでしょう(図7)。都構想の注目度は男性30~60代で高く、若年層とくに女性の関心が低かったようです。維新の相対的注目度は40代以下で高く、シニア層では低い傾向が見られます。仮に維新の相対的注目度が都構想への姿勢を反映していると仮定した場合、ざっくりいうと若手現役層がどちらかと言えば賛同的、シニア層が反対的、そして女性若年層が無関心な傾向があったのではと推定されます。
これらの属性による差異が投票結果に影響しているのでしょうか(図8)。区別の投票結果と各エリアの40代以下人口構成比(15歳以上人口に占める構成比)を並べてみると、賛成多数エリアは比較的若い年代が多いことがわかります。投票人口の年代傾向が投票率、ひいては投票結果に影響したと推定できます。
次に主要政党の関心層が都構想にどれくらい関心を寄せていたのかを確認してみましょう(図9)。都構想の注目度を見ると、やはり維新の関心層が最も高く、自民党の関心層だけが特に低かったようです。一方、公明党の関心層は維新についで高かったため、与党内で傾向が分かれる結果となりました。
では大阪市民は都構想について何を知りたがっていたのでしょうか。図10は主要政党関心層別の「大阪都構想」の関連検索ワードランキングです。いずれの関心層でも一位は「大阪都構想 世論調査」でした。他にも世論や情勢を伺う検索ワードが上位にランクインしており、多くの人が状況の様子見をしていたことが推測されます。「メリット デメリット」をセットで調べる傾向も高かったようです。都構想によって何が変わり自分の生活にどう影響するのか、具体的な検討ポイントが分かりづらかった可能性も否めません。
Yahoo! JAPANビッグデータレポートでは今後もさまざまな話題について、データで検証していきます。よろしくお願いします。