こんにちは、「Yahoo! JAPANビッグデータレポート」チームです。
本レポートでは毎回、Yahoo! JAPANが保有するビッグデータを元に分析や検証を行い、景気や選挙予測などの新たな価値を創造するといった内容をお届けしてきましたが、今回はYahoo!地図の「ルート探索」を使ってビッグデータ処理を実施した"新たなデータビジュアライゼーション地図"を作成する取り組みを行いました。
皆さんはYahoo!地図で利用できる「ルート探索」機能をご存知でしょうか?
"新しい地図"についての話をする前に、今回のレポートで重要な役割を果たす「ルート探索」機能について解説いたします。
これは「出発地点」と「目的地点」、「出発時刻」などの条件を設定すると、その2地点間の最適なルートと所要時間や運賃などを案内する機能です。
経路計算には「徒歩」「車」「鉄道」「バス」「フェリー」「飛行機」を駆使した最適ルートを提示しているため、非常に複雑な処理が必要となります。
通常の使い方はすでに解説したとおり「出発地点」から「目的地点」までの経路を調べるために使うものですが、応用すると新しい価値を生み出すことができます。
みなさんは次のようなことを考えたことはありませんか?
これを実現するにはどうすればよいのでしょうか。
答えは単純で、出発地点から日本全国のあらゆる地点までの時間を総当たりで計算して抽出すればよいのです。
実際に挑戦しました。
まずは、任意の出発地点から日本全国のルートを調べるために、日本全国をなるべく細かい単位で分割してそれぞれに目的地を設定する必要があります。
市町村レベルでの分割は単位が大きすぎるため、今回は日本全国の住所を「○○町○丁目」まで細分化して、それぞれを到達エリアに設定しました。
実際に抽出してみたところ約19万エリア存在しました。
次に、出発地点と目的地点の計算を行うために全到達エリアに特定の目的地点を設定する必要があります。
約19万到達エリアに自動的に目的地点を付与する処理を行いますが、エリアにはさまざまな形があるため微調整が必要となります。
ここでうまく処理をしておかないと、場合によっては川の上や人が到達できない地点が目的地となり計算処理できない事態が発生してしまいます。
出発地点を定めたら、出発地点からすべての到達エリアの目的地点に対して大規模処理を行い、到達までの所要時間を一気に計算します。
この処理により任意に定めた出発地点から日本すべての到達ポイントへかかる時間を計算することが出来るのです。
最後に、これまでの工程で得られたデータを地図上で可視化すれば完成です。
これを「到達所要時間マップ」としました。
ではさっそく「到達所要時間マップ」を作ってみましょう。
今回はさまざまな交通機関を利用しやすいということで 出発地点を「東京駅」と設定しました。
今回の到達所要時間マップを作成するにあたっての条件は以下の通りとなります。
この条件をもとに、「東京駅」から日本全国約19万到達エリアに対してすべての所要時間を計算し、画像と動画にてデータビジュアル化しました。
「到達所要時間マップ」によって、一目で東京駅から日本全国への到達時間を把握できる地図を作ることが出来ました。
この「到達所要時間マップ」ですが、「ルート探索」機能を使っているので細かな条件を設定することも可能になります。
例えば2015年3月14日に開通した「北陸新幹線」の開通前と開通後の比較を、全国版の条件から「飛行機」の利用を除いて計算してみたのが次の到達所要時間マップです。
「飛行機」を利用しない、といった条件の設定のほかにも、「運賃」や「乗換え経路」、「終電時間」といった情報も一緒に抽出することが可能ですので、これらを組み合わせることで
のような計算も可能になります。
このように「到達所要時間マップ」は地図活用に新たな視点を与えてくれるのです。
実はこの「到達所要時間マップ」が実力を発揮するのはここからです。
上記で紹介したシミュレーションはあくまで現実の交通網、インフラに基づいたものでした。
しかし、Yahoo!地図は現実と異なりデジタルデータですので、「もしも」を設定することが原理的には可能です。(現在提供中のサービスのものではありません)
例えば、
というような現実世界では難しい「仮想ルート」「仮想建築物」のシミュレーションも、Yahoo!地図と「到達所要時間マップ」を組みあわせれば、建設後に交通網へ与える影響を把握することが可能となります。
そこで、今回は「もしもリニア中央新幹線が開通した場合、日本はどれだけ狭くなるのか?」というシミュレーションを行ってみました。
リニア中央新幹線の条件に関しては国土交通省やJRより発表されている情報を元に以下のように設定をし、開通前と開通後の出発してから3時間後までの「到達所要時間マップ」を比較しました。なお、リニア中央新幹線に影響が出ない地域のデータは除いています。
このように、「もしもリニア中央新幹線が開通した場合、日本はどれだけ狭くなるのか?」といった、これまで可視化することが難しかった建設予定インフラが与える影響をエリア単位で表現することも可能となりました。
ここまで紹介してきた使い方以外にも、この処理方法はさまざまな可能性を秘めています。
また、処理方法を変更したりさまざまなオープンデータ、公共交通機関などのデータと組み合わせたりすることで以下のようなことも調べられると考えています。
さらに今回の大きな目的として、これら大規模な抽出データをどう視覚的にわかりやすく把握できるようにするか、という「データビジュアライゼーション」の取り組みもあわせて行いました。
大量の到達時間情報を時間推移や到達点情報などと組み合わせつつ、伝えたいことの意図を失うことなくどのように表現するか、というデータビジュアライゼーションにも挑戦することで、今後より発展していくYahoo! JAPANのビッグデータを活用するだけでなく、よりわかりやすく伝えるには?という課題にも取り組んでいければと考えています。
今後もYahoo! JAPANのさまざまなデータやシステムを駆使して、世の中の課題を解決するべく取り組みを続けてまいります。
引き続き、「Yahoo! JAPANビッグデータレポート」をよろしくお願いします。