河津さん:
楽しいデートの時間でも、地震は待ってくれません。飲食店で大きな地震が起こったらどうするか、事前に想定しておいてください。
また、出入り口までの動線に照明やオブジェなど、落ちたり飛んだりして危険なものがある可能性があります。外が必ずしも安全とは限らないので、とにかくお店から出るのはオススメしません。
瞬時に状況を確認するのが難しい場面では、テーブルの下にもぐって揺れが収まるのを待ってください。
大きな地震など、「いつ、どこで」発生するかわからない災害時には、正しい知識が命を救います。防災グッズをそろえただけでは備えが十分とはいえません。正しい知識を持っておくことも備えのひとつです。
たとえば「今、大きな地震があったら自分の身を守れる?」「災害時の備えは十分?」などと、外出時の電車の中や就寝中など、日常生活のいろいろな場面で普段から考えてみる習慣をつけておくことがとても大切です。
災害発生時に「まず、これだけは覚えていてほしい!」命を守るための行動を、気象予報士の河津真人(かわづまこと)さんに教えていただきました。
楽しいデート中(カフェでお茶)に突然、大きな地震が発生しました。そのときあなたは、どうしますか?
河津さん:
楽しいデートの時間でも、地震は待ってくれません。飲食店で大きな地震が起こったらどうするか、事前に想定しておいてください。
また、出入り口までの動線に照明やオブジェなど、落ちたり飛んだりして危険なものがある可能性があります。外が必ずしも安全とは限らないので、とにかくお店から出るのはオススメしません。
瞬時に状況を確認するのが難しい場面では、テーブルの下にもぐって揺れが収まるのを待ってください。
飲食店で地震が発生したら...まずテーブルなどの下にもぐり身を守る
お風呂やトイレにいるときに突然、大きな地震が発生しました。そのときあなたはどうしますか?
河津さん:
私は実際にこの体験をしました。トイレの個室にいる最中に大きな地震が起こったのですが、当時私は慌ててしまい何もできませんでした。ドアが変形して開かなくなってしまうことがあるので、「まずドアを開ける」を覚えておいてください。
トイレやお風呂で大きな地震がきたら...まずドアを開ける
電車に乗っているときに突然、大きな地震が発生。緊急停止のアナウンスが流れました。そのときあなたはどうしますか?
強い揺れを感知すると電車は緊急停車するため、人に衝突したり倒れたりする危険があります。座っていたらカバンなどで頭を保護し、立っていたら姿勢を低くして身を守りましょう。満員電車では、手すりやつり革にしっかりつかまり足を踏ん張って倒れないようにしましょう。揺れが収まったら、乗務員の指示に従います。
地震の最新情報を確認することも大切ですが、まずはご自身の安全を第一に行動しましょう。
落下物などから身を守り、ホームから転落しないよう近くの柱に移動しましょう。混雑して身動きがとれないときは、その場にうずくまって揺れが収まるのを待ちます。
地下鉄の場合、いち早く地上に出ようとしてパニックになる危険もあります。ホームから線路には絶対に下りず、揺れが収まったら駅員の指示に従ってください。
河津さん:
一日の中で、電車に乗っている時間って意外と長い人も多いと思います。もし、そのとき大きな地震が起きたらどうするか、シミュレーションしてみましょう。
満員電車の中で大きな地震がきたら...まず、手すりやつり革などにしっかりつかまる
深夜に突然、大きな地震が発生しました。まず、あなたはどうしますか?
窓ガラスの破片やつり下げ式照明器具などの直撃を避けるため、枕や布団などで頭を保護し、スタンドや鏡台などが倒れてこない位置に移動しましょう。揺れが収まったら、ドアを開けて避難経路を確保します。
河津さん:
2016年の熊本地震では震度7の地震が午後9時半ごろと午前1時半ごろの2回発生しています。
寝ている間にも地震は当然のように起こります。寝起きの状態は誰でもとっさの判断が難しいと思います。とにかくまずは身を守ってください。
寝ているときに大きな地震がきたら...布団や枕などで頭や体をまず守る
みなさんは、「避難場所」と「避難所」の役割の違いを理解していますか?
災害発生時、危険から逃れるためにまず避難する、大きい公園や校庭などの広い場所です。洪水や津波などの種類ごとに、安全性などの一定の基準を満たしています。災害によって違いますので、自宅や職場周辺の避難場所を事前に確認しておきましょう。
避難したり、家に戻れなくなったりした住民が一定期間、生活をする体育館や地区センターなどの施設です。
災害時にまず移動するところは「避難場所」、災害の脅威がおさまったら「避難所」に移動します。
河津さん:
「避難場所」「避難所」などの専門用語ってなかなか知るチャンスがないですよね。字面だけではわからないことも多いので、この際きちっと覚えておきましょう。 避難所では、限られたスペースで年齢や性別もさまざまな、たくさんの方々と生活することになります。
ルールを守るのはもちろん、主体的な避難所運営の参加も必要です。ストレスがかかる生活にはなってしまいますが、助け合って乗り切りたいですね。
「避難場所」は災害発生時、危険から逃れるためにまず避難する場所
「避難所」は避難して家に戻れなくなった住民が一定期間生活をする場所
みなさんは、緊急地震速報を受け取ったときに適切に行動できる自信がありますか...?
緊急地震速報を受け取った時に適切な行動ができる「自信がない」という方が約80パーセントでした。まだ受け取ったことがない、という方もいらっしゃるかもしれませんね。
緊急地震速報は、地震の発生後、強く揺れる前に揺れが来ることを伝える目標で出される情報ですが、速報が発表されてから、対象となる地域が強く揺れるまでは数秒~数十秒しかありません。緊急地震速報を受け取っても、慌ててしまうと適切な対応ができなくなってしまいます。 自宅にいる時、外出時などにどう行動したらよいのか、事前に考えておきましょう。
河津さん:
緊急地震速報には専用の音(報知音)が使われているので、まずはそれをしっかり覚えておいてください。緊急地震速報を見聞きしたときも、地震を感じたときでも、取るべき対策としては同じです。
慌てずにまずは自分の身を守ることが大切ですが、まわりの人と声をかけ合うことで、お互いに冷静になれるかもしれません。
緊急地震速報を受け取ったら...周囲の状況に応じて、速やかに慌てずに、まず身を守る
地震が発生したときの適切な行動は、そのときにいる場所や時間によって違います。
慌てずに身を守る行動を起こすためには、日常生活で過ごすいろいろな場所、時間帯によってどのような行動を取るべきかを知っておくこと、それぞれの場面で行動している自分を想像しておくことが大切です。
普段から、大きな地震が起こったときのことをイメージして、「今、ここで大きな地震が発生したら、または緊急地震速報を聞いたらどう行動すべきか」想像する習慣をつけておきましょう。
※ヤフー株式会社のコーポレートブログに掲載した記事を一部修正し再掲載しています。