捜査機関への対応

私たちLINEヤフー株式会社(以下「LINEヤフー」)は、コミュニケーションアプリ「LINE」や、ポータルサイト「Yahoo! JAPAN」をはじめとするインターネットサービスを提供しており、その過程においてユーザーの皆さまのプライバシーに関わる様々なデータを取り扱っております。

LINEヤフーでは、原則としてご本人の同意がない限り、第三者にユーザーの皆さまの情報を提供することはありません。また、外部からそのような要請があった場合も対応することはありませんし、国家機関による盗聴や検閲等、ユーザーの皆さまの人権を不当に脅かす行為に対応することも一切ありません。これは、私たちが提供するサービスに共通する考え方となります。

ただし、サービス提供者としての社会的な責任を果たす上で、例外として捜査機関による捜査などに対応するケースがあります。捜査機関から情報開示の要請を受領した場合など、関係法令に基づいて開示することが適切と判断される状況と範囲に限り、当社では捜査に必要な情報を提供する場合があります。

捜査機関への対応に関するスタンス

LINEヤフーでは、法執行機関より弊社が保有するユーザーの皆さまに関する情報の開示を求められた場合でも、裁判官が発する令状によるもの、または関係法令によって直接LINEヤフーに開示を義務付ける手続きによるもの(明文の法令によって開示を間接的に強制されている場合を含みます)でない限り、原則として、ユーザーの皆さまに関する情報を開示いたしません。

ただし、例外的に、LINEヤフーにおいて開示の必要性と相当性の双方が認められる範囲においては、開示請求に応じることを検討いたします。

例外的に、必要性が認められると考えられる場合は以下の通りです。

  1. 人の生命身体に対する具体的な危険がある場合であって、LINEヤフーにおいて緊急性を認める場合
  2. 開示請求の根拠となっている具体的な犯罪事実が存在する蓋然性が高いとLINEヤフーにおいて認める場合(探索的な情報の開示請求には応じません)

<具体例>

  • LINEヤフーが提供するサービス上で行われた脅迫、ストーカーなどの事案
  • 決済情報を不正利用され、LINEヤフーからの身に覚えのない請求が発生した事案
  • LINEヤフーが提供するアカウントサービスにおいて発生した不正アクセス事案
  • LINEヤフーが提供するサービス上で行われた財産犯(詐欺など)で、LINEヤフーが経緯などを認知できる事案
  • SNS型投資・ロマンス詐欺等、社会的に影響が大きい犯罪において、被疑者が当社サービスのアカウントを悪用している事実があり、当該情報を開示する必要性が高いと判断した事案
    例外的に、相当性が認められると考えられる場合は以下の通りです。
  • 上記1において、その危険を除去するために必要であるとLINEヤフーにおいて認める情報
  • 上記2において、具体的な請求の根拠となっている事実や状態に直接関係があるとLINEヤフーにおいて認める情報

<具体例>

  • 被疑者を特定するためにLINEヤフーが提供するIDの登録情報
  • LINEヤフーサービス上で行われた被疑事実に関するログイン履歴
  • LINEヤフーサービス上で行われた被疑事実に関するIDの当該サービスにおける利用履歴

また、以下に該当する情報については、必要性と相当性が認められる範囲であっても、令状の執行によるものでない限り、お客様に関する情報を開示いたしません。

  • 通信の秘密の保護対象となる情報およびそのおそれのある情報
  • LINEヤフーにおいて、プライバシー性が高いと判断する情報(要配慮個人情報、クレジットカード情報、対象期間や項目が広範囲にわたる情報など)
  • 被疑者以外の者に関する情報(ただし、人の生命身体の保護に係る緊急要請を受けた場合や、本人の同意があると認められる場合は除く)

根拠とする法令

LINEヤフーのサービスは日本法に準拠して運用されています。

日本法においては、検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、裁判官の発する令状により、捜索・差押えをすることができ、事業者がその命令に従う義務が生じます(刑事訴訟法218条1項)。

また、捜査機関は、捜査については、捜査関係事項照会等に基づき、必要な事項の報告を求めることができます(刑事訴訟法197条2項)。

さらに、緊急避難(刑法37条1項)として、たとえば自殺予告や誘拐等の人命の保護の必要がある場合など、人の生命、身体等に対する現在の危難を避けるため、やむを得ずに情報を開示することが適切と判断される状況となることがあります。

日本国外の国家からの要請の場合は、「国際捜査共助等に関する法律」や、特定国家との刑事共助条約(MLAT)等、国際捜査協力の枠組み等に基づき海外からの要請を受けることがあります。これには、国際刑事警察機構(ICPO)を経由して日本の警察が要請を受領するケースや、大使館を通じて日本の外務省が要請を受領するケース等が含まれます。この場合においても、令状の受領やプライバシー保護組織による検証等、同様の取り扱いルールが適用されます。

また、特定の国家や地域において、法律上開示要請の対応等が義務付けられている場合には、当該対応等に必要な範囲で開示要請に対応する場合があります。

対応プロセスについて

LINEヤフーでは、捜査機関等からの要請を受領した後、あるいは緊急避難が成立し得る事態を認識した後、対応基準に従って適法性、ユーザー保護の観点等からの適切性の検証を行い、必要に応じて社内のプライバシー保護に関わる部門において内容を審議したうえで対応を決定します。
仮に捜査機関からの要請に法的な不備や、開示請求の根拠となっている具体的な事実が存在する蓋然性が認められない場合は対応を行いません。

検証の結果、適法性、必要性と相当性等の確認が取れた場合のみ、担当者が厳格な取り扱いルールに基づき捜査機関への対応を行います。捜査機関への情報提供は社内で定める厳格なプロセスに則ってのみ行われており、LINEヤフーが策定したプライバシー保護政策に反して捜査機関に盗聴やバックドアの設置を認めることはありません。また、犯罪を構成しない段階における抽象的な危険性を理由とする国家安全保障(公安・テロ対策)上の要請や検閲等、当社サービスを利用した犯罪を原因としない要請に対して当社が応じることはありません。

透明性レポートについて

LINEヤフーが提供するサービスを使った犯罪の被疑者の検挙や被害の軽減、人命保護、犯罪抑止に対応するのは、多くの利用者を抱えるインターネットサービス事業者の責務だと私たちは考えています。一方で捜査機関からインターネットサービス事業者等への過度な情報提供要求は、サービスをご利用いただいているユーザーの皆さまのプライバシーを脅かす可能性を孕んでいます。

ユーザーの皆さまのプライバシーを厳格に保護し、一方でサービス提供者としての社会的な責任を果たす上で、どの程度の頻度で捜査機関から要請を受領し、応じているかを透明性レポートとして開示することは必要不可欠だと考えています。

これからも安心してご利用いただけるよう、透明性レポートは今後も定期的に更新していく予定です。

最終更新日:2024年10月

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