10年間の森林整備を通じて、白河および北九州のデータセンターでの水使用量を上回る水源涵養を目指す
LINEヤフー株式会社(以下、LINEヤフー)は、西白河地方森林組合および福岡県広域森林組合と、それぞれ森林整備に関する協定を締結しました。本協定は、当社が所有する白河および北九州のデータセンターで使用する水資源を支える流域において、水源涵養機能の維持・向上を図るとともに、両データセンターで使用する水量を上回る水が流域で育まれることを目指す枠組みです。本協定のもと、LINEヤフーと西白河地方森林組合および福岡県広域森林組合は、森林整備などの取り組み(以下、本取り組み)を通じて、水循環の健全性を高め、地域の水資源保全と自然環境の維持・回復に貢献します。なお、水源涵養を目的とした取り組みは、当社において初めてとなります。

近年、気候変動の影響などにより、水不足や水質汚染、浸水被害など、水資源をめぐるリスクは世界的に高まっており、企業においても事業活動と水資源との関係を中長期的な視点で捉え、適切に対応していくことが求められています。TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)をはじめとする国際的な枠組みにおいても、水資源は重要なテーマの一つとして位置づけられています。
LINEヤフーグループでは、全体の水使用量の半分以上をデータセンターで使用しており、水資源は事業運営を支えるうえで重要です。その中で、白河および北九州のデータセンターでは、水使用量の抑制や効率化に継続的に取り組んできました。サーバーの冷却用途を中心とした水の使用にあたっては、外気を活用した空調システムや、冷却水の使用量を抑えられる空冷チラーの採用など、節水を目的とした設備投資を進めています。
こうした取り組みに加え、LINEヤフーは、データセンターが依存する水資源そのものを将来にわたって育んでいくことも重要であると考えています。この考えのもと、水資源を拠点単位ではなく流域全体の視点で捉え、森林整備などを通じた水源涵養に取り組むこととしました。
本取り組みでは、2026年春から、福島県の阿武隈川水系および福岡県の遠賀川水系において、データセンターの水利用と関係の深い流域を対象に森林整備を行います。森林は、降水を地中に浸透させ、地下水や河川の水量を安定的に保つ水源涵養機能を担っており、適切な間伐や植林などの整備を行うことで、流域全体の水循環の健全性向上が期待されます。本協定に基づき、LINEヤフーは森林整備費を支援し、各森林組合がそれぞれの対象地域において森林整備を実施します。
整備した森林における水源涵養量については、八千代エンジニヤリング株式会社の技術支援のもと、降水量、蒸発散量、地質条件などを考慮した水収支解析により算定しています。本取り組みでは、10年間にわたり森林整備を段階的に進める計画としており、森林整備の進捗に応じて水源涵養機能が高まっていくことを想定しています。
その結果、10年目時点における単年効果として、阿武隈川水系(福島県)では年間約10万立方メートル、遠賀川水系(福岡県)では年間約9.4万立方メートルの水が、整備した森林で涵養されると見込まれています。これらの涵養量は、白河および北九州のデータセンターで使用する水量を上回る水が流域で育まれることを前提に算定しています。森林整備による水源涵養と、データセンターにおける節水・効率化の取り組みを組み合わせることで、各流域における水循環の健全性向上を図ります。

福島県においては、阿武隈川上流域に位置する森林を対象に、西白河地方森林組合と協定を締結し、間伐を中心とした森林整備が行われます。同地域では、森林組合の現場において、間伐材の有効活用を含めた森林資源の循環に向けた取り組みが進められています。本取り組みを通じて、木材チップのバイオマス発電利用など、森林資源の循環とエネルギー活用の促進にもつなげながら、水源涵養機能の維持・向上を図ります。
福岡県においては、遠賀川上流域に位置する森林を対象に、福岡県広域森林組合と協定を締結し、再造林を中心とした森林整備が行われます。同地域では、植林後の若木が鹿による食害を受けやすい状況があり、森林組合の現場において、若木の保護を含めた対策が進められています。本取り組みを通じて、森林の健全性を回復しながら、水源涵養機能の維持・向上につなげていきます。
本取り組みにあたり、西白河地方森林組合および福岡県広域森林組合からは、それぞれ次のようなコメントをいただいています。
日本は国土の約3分の2が森林に覆われています。森林は緑のダムとも呼ばれ、雨水を吸収し地中に一時的に貯留し、ゆっくりと時間をかけて河川や地下水として供給します。この働きのおかげで、大雨による河川の急激な増水や洪水が緩和されたり、雨が降らない時期でも水不足(渇水)が防がれ安定した水の供給を維持します。また土砂流出や土砂崩壊のリスクも低減されます。これらの災害が起こった場合の経済的損失を考えると、水源涵養の持つ防災機能は非常に大きな価値があると言えます。LINEヤフー様におかれましては、このような水源涵養の機能に着目し、データセンターで利用している阿武隈川の上流域(西郷村)を対象とし、健全な森林を保つため、当組合と協定書を締結していただき、手入れが遅れている人工林(スギ・ヒノキ等)に対し間伐事業を実施することとなりました。また、間伐材は、一般用材(建築材等)やFIT材として木質バイオマス燃料に利用し、隣地残材の減少に努めます。当組合において、このような先駆的な取り組みは今後の事業展開の転機となると捉えております。
地域の森林は、水資源を支える重要な役割を担っています。本協定を通じて、植栽木の保護など地域の課題に対応しながら、遠賀川流域において計画的な間伐等を実施し、森林の健全化を進めていきます。あわせて、間伐後の更新を見据えた植栽作業や、将来的な森林管理を担う体制づくりに必要な作業環境の整備にも取り組んでいきます。これらの取り組みを通じて、森林の持つ水源涵養機能の維持・向上を図り、流域全体における水資源の安定確保に寄与していきたいと考えています。今後は単年度の事業にとどまらず、継続的な森林整備を見据えた長期的な管理計画の策定を進めるとともに、地域の森林所有者や関係機関との連携を強化していきます。あわせて、事業の成果については可能な範囲で情報発信を行い、森林整備の重要性や水資源保全との関係について理解促進にも努めていきます。本事業を通じて、遠賀川流域の森林環境の向上と、水資源の持続的な利用に貢献できるよう、組合一丸となって取り組んでまいります。
『「WOW」なライフプラットフォームを創り、日常に「!」を届ける。』をミッションに掲げるLINEヤフーは、水資源や生物多様性を含む自然資本への取り組みを進めています。今回の水源涵養に向けた森林整備の取り組みに加え、生物多様性の価値が認められた森を守り育てる活動として、環境大臣に認定された「自然共生サイト」への支援にも取り組んでいます。当社は今後も、自然資本への取り組みを通じて、持続可能な社会の実現に貢献していきます。
| 項目 | 福島県 | 福岡県 |
|---|---|---|
| 協定締結先 | 西白河地方森林組合 | 福岡県広域森林組合 |
| 対象流域 | 阿武隈川水系(上流域) | 遠賀川水系(上流域) |
| 対象地区 | 西郷地区 | 嘉麻地区・宮若地区 |
| 実施内容 | 間伐を中心とした森林整備 | 再造林を中心とした森林整備 |
| 整備面積 | 20ヘクタール以上 | 40ヘクタール以上 |
| 想定水源涵養量(10年目・単年効果) | 年間 約10万立方メートル(=約1億リットル) | 年間 約9.4万立方メートル(=約0.94億リットル) |
| 協定期間 | 10年間 | 10年間 |
※森林整備は2026年春から順次開始する予定です。
<ご参考>
LINEヤフー サステナビリティに関する情報
https://www.lycorp.co.jp/ja/sustainability/